次郎柿と富有柿の違いは?食感と形で見分ける「柿の二大巨頭」を徹底比較!

秋の味覚の王様といえば「柿」ですよね。

スーパーの店頭には様々な種類の柿が並びますが、特に「次郎柿(じろうがき)」と「富有柿(ふゆうがき)」は甘柿の代表格です。

でも、「どっちが硬くて、どっちが柔らかいの?」「形が違うけど、味も違うの?」と、その違いを正確に知っている方は少ないかもしれません。

結論から言うと、次郎柿は四角張った形でカリカリとした硬い食感、富有柿は丸みのある形でサクサクとした(熟すとトロリとした)食感が特徴です。この二つは、甘柿の中でも人気を二分する存在なんです。

この記事を読めば、次郎柿と富有柿の明確な違いから、栄養価、美味しい食べ方、保存方法まで、もう二度と迷わなくなる知識がすべて手に入ります。

あなたの好みにピッタリな柿を見つけて、秋の味覚をもっと楽しみましょう。それでは、まず両者の決定的な違いから見ていきます。

次郎柿と富有柿の違いとは?結論を一覧表で比較

【要点】

次郎柿と富有柿の最大の違いは「形」と「食感」です。次郎柿は四角張った形で、果肉が硬くカリカリ(コリコリ)とした歯ごたえが特徴です。一方、富有柿は丸みを帯びた形で、果肉は次郎柿より柔らかくサクサクしており、追熟するとトロリとした食感になります。

「柿の二大品種」とも呼ばれる、次郎柿と富有柿。その最も重要な違いを一覧表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な見分け方は完璧です。

項目次郎柿(じろうがき)富有柿(ふゆうがき)
見た目(形)扁平で四角張っている(側面に溝が見られる)ふっくらと丸みがある(やや方形)
食感硬い(カリカリ・コリコリ)やや柔らかめ(サクサク)
※熟すとトロリと柔らかくなる
甘柿の分類不完全甘柿(種が少ないと渋が残る場合あり)完全甘柿(受粉に関係なく甘い)
主な産地静岡県、愛知県岐阜県、福岡県、奈良県
旬の時期10月下旬~11月下旬11月上旬~12月上旬
おすすめの食べ方硬いまま生食、サラダ、白和え、柿なます生食(硬めも追熟も可)、ジャム、デザート

「硬い柿が好き」という方は次郎柿を、「柔らかめの柿が好き」という方は富有柿を選ぶのが基本、ということですね。

どちらも「甘柿」ですが、実はその甘さの性質にも違いがあります。詳しく見ていきましょう。

次郎柿と富有柿の定義・分類・品種の違い

【要点】

次郎柿は静岡県原産の「不完全甘柿」で、受粉して種が入らないと渋みが残ることがあります。富有柿は岐阜県原産の「完全甘柿」で、受粉や種の有無に関わらず安定して甘くなります。富有柿は日本で最も多く生産されている甘柿の王様です。

どちらも日本の代表的な甘柿ですが、そのルーツと「甘さのタイプ」が異なります。

次郎柿とは?(静岡原産の不完全甘柿)

次郎柿は、静岡県森町が原産とされる柿です。「治郎(次郎)」という人物が発見したことから、その名が付けられたと言われています。

最大の特徴は、品種分類上「不完全甘柿(ふかんぜんあまがき)」に属することです。これは、受粉して種ができないと、果肉に「ゴマ」と呼ばれる黒い斑点(タンニンの不溶化)ができず、渋みが残ってしまうことがあるタイプを指します。

ただし、現在流通している次郎柿は栽培技術の向上により、種が少なくても渋みが残ることは稀になっています。その硬い食感から、昔から根強いファンが多い品種です。

富有柿とは?(岐阜原産の完全甘柿)

富有柿は、岐阜県瑞穂市(旧・巣南町)が原産とされる柿です。「富有は天下に富む」という願いを込めて名付けられたと言われています。

最大の特徴は「完全甘柿(かんぜんあまがき)」であること。これは、受粉や種の有無に関わらず、渋みのもとである可溶性タンニンが自然に抜けて甘くなるタイプです。

そのため、種がなくても安定して甘く、渋みが戻る「渋戻り」の心配もありません。日本で最も多く生産されている甘柿であり、「甘柿の王様」とも呼ばれています。

完全甘柿と不完全甘柿の違い

この「完全」か「不完全」か、というのが柿を理解する上で非常に重要です。

  • 完全甘柿(富有柿など):
    受粉しなくても、生理的に渋(タンニン)が抜けて甘くなります。種がなくても甘いのが特徴です。
  • 不完全甘柿(次郎柿、御所柿など):
    受粉して種が4個~6個ほど入ることで、種の周りから渋が抜けていきます。種が少ないと渋が残ることがあります。(※次郎柿は例外的に種が少なくても甘くなりやすい選抜系もあります)

次郎柿と富有柿の味・食感・見た目の決定的な違い

【要点】

次郎柿は扁平で四角く、側面に浅い溝があるのが特徴です。食感はカリカリ、コリコリとした硬さがあります。富有柿は丸みがありふっくらとしており、食感はサクサク。追熟させるとトロリとした食感に変わります。糖度はどちらも高いですが、富有柿の方が水分が多くジューシーに感じられます。

店頭で見分ける最も簡単な方法は「形」と「食感」です。

最大の違いは「形」:四角い次郎柿、丸い富有柿

次郎柿:
全体的に扁平(平べったい)で、ゴツッとした四角い形をしています。お尻(果頂部)がくぼんでおり、側面には「御所車(ごしょぐるま)」と呼ばれる4つの浅い溝が見られるのが最大の特徴です。「次郎は四角」と覚えると簡単ですね。

富有柿:
全体的にふっくらと丸みを帯びた形をしています。次郎柿のような明確な溝はなく、表面は比較的滑らかです。形が良く、色づきも鮮やかなため、贈答用としても人気があります。

食感の違い:「カリカリ(コリコリ)」の次郎柿、「サクサク(トロリ)」の富有柿

食感は、この二つを選ぶ上で最も重要な好みの分かれ道です。

次郎柿:
果肉が緻密で硬く、「カリカリ」「コリコリ」とした独特の歯ごたえが魅力です。この食感は、数ある柿の品種の中でも随一と言われています。追熟しても、富有柿ほど柔らかくはなりにくいです。硬い柿が好きな「カリカリ派」には絶対的におすすめです。

富有柿:
次郎柿に比べると果肉は柔らかめです。収穫したては「サクサク」とした心地よい歯ごたえがあり、時間とともに追熟が進むと、果肉が溶けるような「トロリ」「しっとり」とした食感に変化します。一つの品種で二つの食感を楽しめるのも魅力です。

甘さ(糖度)と種の有無

甘さについては、どちらも糖度が15度前後になる甘柿の代表格であり、優劣はありません。どちらも非常に甘いです。

ただし、食感の違いから甘さの感じ方が少し異なります。次郎柿は硬いため、しっかり噛むことで甘さが広がります。富有柿は水分がやや多くジューシーなため、口に入れた瞬間から甘さを感じやすい傾向があります。

種の有無については、富有柿(完全甘柿)は種がなくても甘いですが、次郎柿(不完全甘柿)は受粉の必要があるため、種が入っていることが多いです。

次郎柿と富有柿の栄養・成分・健康面の違い

【要点】

次郎柿と富有柿の栄養成分に大きな違いはありません。どちらもビタミンC、β-カロテン、カリウム、食物繊維が豊富です。特にビタミンCは柿1個で1日の必要量の大半を補えるほど含まれています。

栄養面では、どちらを選んでも「柿」としての優れた健康効果が期待できます。

共通する柿の栄養(ビタミンC・タンニン)

柿は「柿が赤くなれば、医者が青くなる」と言われるほど栄養価の高い果物です。文部科学省の「日本食品標準成分表」によれば、甘柿(100gあたり)には以下の栄養素が豊富に含まれています。

  • ビタミンC (70mg): 柿1個(約150g)で1日の推奨量(100mg)をほぼ満たします。抗酸化作用があり、免疫力向上や美肌効果が期待できます。
  • β-カロテン (420μg): 体内でビタミンAに変換され、目や皮膚の健康を保ちます。
  • カリウム (170mg): 体内の余分な塩分を排出し、高血圧やむくみの予防に役立ちます。
  • 食物繊維 (1.6g): 腸内環境を整え、便通を改善します。
  • タンニン: 渋みの成分ですが、甘柿では不溶化しています。アルコール分解を助ける働きがあるため、二日酔い予防にも良いとされます。

両者に大きな栄養価の違いはある?

次郎柿と富有柿の間で、これらの栄養価に特筆すべき大きな差はありません。

どちらを選んでも、柿が持つビタミンやミネラル、食物繊維といった恩恵をしっかりと受けることができます。選ぶ際は、栄養価の違いよりも、純粋に食感や味の好みで決めてしまって問題ないでしょう。

次郎柿と富有柿の使い方・料理での扱い方の違い

【要点】

次郎柿はその硬さを活かし、サラダや白和え、柿なますなど料理に使うのに最適です。富有柿は生食が一番ですが、追熟させてジャムやスムージーにするのもおすすめです。剥き方は、四角い次郎柿は先に四隅の溝に沿って切り分けると簡単です。

食感が異なる二つの柿は、食べ方や料理での使い道も少し異なります。

美味しい食べ頃(収穫時期と追熟)

次郎柿:
収穫したての硬い状態が食べ頃です。カリカリとした食感を楽しむ品種なので、あえて追熟させて柔らかくする必要はありません。もし柔らかい柿が好みなら、最初から富有柿を選んだ方が良いでしょう。

富有柿:
好みの硬さで食べられるのが魅力です。硬めのサクサク食感が好きなら収穫後すぐ、トロリとした濃厚な甘さが好きなら常温で数日間置いて「追熟」させ、お尻の部分が少し柔らかくなってきた頃が食べ頃です。

上手な剥き方(次郎柿は四隅からがコツ)

富有柿は丸いので、リンゴのようにヘタ側から包丁を入れて回し剥きするのが簡単です。

一方、四角い次郎柿は少しコツが要ります。次郎柿は、まずヘタを取り、側面にある4つの溝に沿って縦に4等分(または8等分)に切り分けてから、一切れずつ皮を剥くと非常に簡単です。この方法だと、あの独特の形に沿って無駄なく剥くことができますよ。

料理での使い分け(サラダ、白和えなど)

次郎柿:
その硬い食感とさっぱりした甘さは、料理の食材として非常に優秀です。

  • サラダ: 薄くスライスして、生ハムやクリームチーズと合わせると、食感のアクセントになります。
  • 和え物: ほうれん草の白和えや、大根と人参で作る「柿なます」に加えると、彩りと上品な甘さが加わります。
  • 天ぷら: 意外かもしれませんが、加熱しても煮崩れしにくいため、天ぷらにするとホクホクとした甘さが楽しめます。

富有柿:
そのままデザートとして生食するのが一番です。追熟して柔らかくなったものは、ジャムやコンポートにしたり、凍らせてシャーベットのようにしたり、牛乳と合わせてスムージーにするのもおすすめです。

次郎柿と富有柿の旬・産地・保存・価格の違い

【要点】

旬はどちらも秋の終わり(10月下旬~12月上旬)です。主な産地は、次郎柿が静岡県・愛知県、富有柿が岐阜県・福岡県・奈良県です。価格はどちらも同程度ですが、贈答用の高級品は富有柿の方が多く流通しています。

旬の時期と主な産地

旬の時期:
どちらも秋が深まる頃に最盛期を迎えます。次郎柿は10月下旬から11月下旬頃富有柿はそれより少し遅く、11月上旬から12月上旬頃が最も多く出回る時期です。

主な産地:
産地は原産地と近い場所に集中しています。

  • 次郎柿: 静岡県(特に森町)、愛知県
  • 富有柿: 岐阜県(特に瑞穂市)、福岡県、奈良県

保存方法(柔らかくする方法・硬さを保つ方法)

硬いまま保存したい場合(特に次郎柿):
乾燥が大敵です。柿はヘタの部分で呼吸しているため、湿らせたティッシュやキッチンペーパーをヘタに当て、ラップで包むかポリ袋に入れ、ヘタを下にして冷蔵庫の野菜室で保存します。これで呼吸が抑えられ、硬さが長持ちします。

早く柔らかくしたい場合(富有柿の追熟):
ポリ袋にリンゴやバナナと一緒に入れ、常温で2~3日置いておきます。リンゴなどが出すエチレンガスの効果で追熟が早まります。

価格の傾向

家庭用としてスーパーで販売される価格帯は、次郎柿も富有柿も大きな差はありません。どちらも1個100円~200円程度が相場です。

ただし、贈答用の高級品としては、形が丸く見た目も美しい富有柿の方が多く流通している傾向があり、その場合は価格が大きく上がります。

次郎柿と富有柿の起源・歴史・文化的背景

【要点】

次郎柿は江戸時代末期(1844年頃)に静岡県で、富有柿も同じく江戸時代末期(1857年頃)に岐阜県で、それぞれ偶然発見された在来種です。「次郎は篤農家、富有は天下に富む」と称され、日本の秋を代表する甘柿として人気を二分してきました。

これほどまでに愛される二つの柿は、どちらも江戸時代末期に日本で発見された「在来品種」です。

次郎柿の歴史:
1844年(弘化元年)頃、静岡県森町の松本次郎吉(まつもとじろきち)氏が、太田川の氾濫後に見つけた幼木を育てたのが始まりとされています。その食感と味の良さから「次郎柿」として広まりました。

富有柿の歴史:
1857年(安政4年)頃、岐阜県瑞穂市居倉(旧・美濃国大野郡)で発見されました。品種名は、栽培に尽力した福嶌才治氏が「富有は天下に富む」という漢詩から命名したと伝えられています。

古くから「富有は天下に富む、次郎は篤農家(熱心な農家)」と並び称され、東海の次郎柿、美濃の富有柿として、日本の秋を代表する甘柿の東西横綱として人気を博してきました。

体験談|祖父が愛した「次郎柿」の歯ごたえ

僕の祖父は静岡県の出身で、秋になると決まって「柿は次郎じゃなきゃダメだ」と言っていたのを思い出します。

祖父にとっての「柿」とは、あの「カリッ!」という音がする硬い食感そのものだったようです。まだ歯が丈夫だった頃は、四角い次郎柿の皮を雑に剥いては、美味しそうに音を立てて食べていました。

ある年、母が良かれと思って、食べやすいようにと熟した富有柿を買ってきたことがありました。それを一口食べた祖父は、「こんな柔らかいのは柿じゃない」と少し不機嫌そうに言ったのです。

当時は「どっちも甘くて美味しいのに、なんで?」と子供心に思っていましたが、今なら祖父の気持ちがよく分かります。

祖父が求めていたのは、単なる甘さではなく、「噛みしめる歯ごたえ」と、そこから滲み出る「凝縮された甘み」だったのでしょう。それは、次郎柿にしか出せない魅力です。

今でも僕は、カリカリの次郎柿を食べると、あの頑固だった祖父の笑顔を思い出します。食感とは、それほどまでに人の記憶と結びついているものなんですね。

次郎柿と富有柿に関するよくある質問(FAQ)

次郎柿と富有柿、どちらが渋いですか?

どちらも「甘柿」なので、基本的には渋くありません。ただし、次郎柿は「不完全甘柿」のため、受粉がうまくいかず種が少ない場合、まれに渋みが残ることがあります。富有柿は「完全甘柿」なので、種がなくても渋みがなく安定して甘いです。

次郎柿が柔らかくなってしまったら、もう美味しくないですか?

いえ、そんなことはありません。次郎柿も追熟すれば柔らかくなります。カリカリ感は失われますが、甘みは増していますので、ジャムやスムージーなどに加工して楽しむのがおすすめです。

結局、どっちが高級なんですか?

品種としてどちらが高級ということはありません。価格は、その年の出来栄え、大きさ、形、等級(贈答用か家庭用か)によって決まります。ただし、市場流通量が多く、贈答用としての需要も高いのは富有柿の方が多い傾向にあります。

まとめ|カリカリ派?しっとり派?目的別おすすめの選び方

次郎柿と富有柿の違い、これであなたも「柿の専門家」ですね。

どちらも日本の秋を代表する素晴らしい甘柿ですが、個性は正反対。あなたの好みで選ぶのが一番です。

カリカリ・コリコリとした硬い食感が好きなら「次郎柿」
→そのまま食べるのはもちろん、食感を活かしてサラダや和え物など料理に使うのもおすすめです。

サクサク・しっとり(トロリ)とした食感が好きなら「富有柿」
→まずは生食で。追熟させて柔らかくなったら、デザートやジャムに使うと濃厚な甘さを楽しめます。

今年の秋は、ぜひ「形」と「食感」に注目して、二つの柿を食べ比べてみてください。きっと、あなただけの「好み」が見つかるはずです。

柿は栄養豊富な果物です。柿の品種や栄養についてさらに詳しく知りたい場合は、農林水産省の「aff(あふ)」などの情報も参考にしてみてください。

他の野菜・果物の違いを知ることも、旬の味覚を深く楽しむきっかけになりますよ。