さつまいも売り場で「紅あずま」と「紅はるか」が並んでいると、どちらも美味しそうで迷ってしまいますよね。
名前は似ていますが、実はこの二つ、食感と甘さが全く異なる品種だということをご存知でしたか?
昔ながらの「ホクホク系」の代表格が「紅あずま」、近年のトレンドである「ねっとり系」の代表格が「紅はるか」です。
この記事を読めば、それぞれの特徴からおすすめの調理法、美味しい見分け方までスッキリと理解でき、あなたの料理や好みに合わせて完璧に使い分けることができますよ。
それでは、さっそく二つの違いを詳しく見ていきましょう。
結論|紅あずまと紅はるかの違いを一言でまとめる
「紅あずま」と「紅はるか」の最大の違いは「食感」と「甘さ」です。「紅あずま」は昔ながらのさつまいもらしい「ホクホク」した食感と上品な甘さが特徴です。一方、「紅はるか」は加熱すると「ねっとり」とした食感に変わり、蜜のような非常に強い甘さが出るのが特徴です。
紅あずまと紅はるかの違い 早分かり比較表
まずは、二つの品種の主な違いを一覧表で比較してみましょう。ここを押さえるだけで、使い分けのイメージが湧くはずです。
| 項目 | 紅あずま | 紅はるか |
|---|---|---|
| 食感(加熱後) | ホクホク・粉質 | ねっとり・しっとり |
| 甘さ | 上品な甘さ | 非常に強い甘さ(高糖度) |
| おすすめの調理法 | 天ぷら、大学芋、煮物、豚汁 | 焼き芋、干し芋、スイートポテト |
| 主な産地 | 茨城県、千葉県(関東が中心) | 鹿児島県、茨城県(全国的に栽培) |
| 開発・登録年 | 1984年 | 2010年 |
「紅あずま(べにあずま)」とは?
「紅あずま」は、1984年(昭和59年)に品種登録されたさつまいもです。関東地方で非常に人気が高く、「ホクホク系」さつまいもの代表格として長年愛されています。皮の色が鮮やかな紅色で、繊維質が少なく、加熱すると栗のようにホクホクとした食感になるのが特徴です。
特徴:ホクホク食感と上品な甘さ
「紅あずま」と聞くと、昔ながらの「ザ・さつまいも」をイメージする方も多いのではないでしょうか。
その最大の特徴は、加熱したときの粉質でホクホクとした食感です。甘さも、最近のねっとり系品種と比べると強すぎず、栗のような上品な風味が楽しめます。
皮の色は鮮やかな紅色で、見た目も美しいことから「紅」の名がついています。「あずま」は、関東地方(東国)で広く栽培されることを期待して名付けられました。
その名の通り、特に茨城県や千葉県といった関東地方で多く生産されており、東日本の食卓を支えてきた品種と言えますね。
「紅はるか(べにはるか)」とは?
「紅はるか」は、2010年(平成22年)に品種登録された、比較的新しいさつまいもです。九州の品種を親に持ち、その名前は既存の品種よりも「はるか」に優れていることから名付けられました。加熱すると非常に糖度が高くなり、食感も「ねっとり」と変化するのが最大の特徴で、焼き芋や干し芋として絶大な人気を誇ります。
特徴:ねっとり食感と蜜のような甘さ
ここ十数年で一気にさつまいもの主役となったのが、この「紅はるか」です。
「紅はるか」の魅力は、なんといってもその圧倒的な甘さです。生の時点でも糖度が高いのですが、じっくりと加熱することで、デンプンが麦芽糖に変わり、まるで蜜が入っているかのような強烈な甘さを生み出します。
そして、食感も「紅あずま」とは対照的。加熱すると水分が多くなり、「ねっとり」「しっとり」とした滑らかな舌触りに変わります。
この食感と甘さが、近年の「ねっとり系焼き芋ブーム」を牽引しており、スーパーや専門店の焼き芋の多くが、この「紅はるか」を使用しているんですよ。
紅あずまと紅はるかの味・食感・見た目の違い
「紅あずま」はホクホクとした粉質の食感で、甘さは上品です。一方、「紅はるか」はしっとり・ねっとりした粘質の食感で、甘さが非常に強いのが特徴です。見た目も、「紅あずま」はややゴツゴツしているのに対し、「紅はるか」は紡錘形で表面が滑らかな傾向があります。
二つの品種は、同じ「紅」という名前がついていますが、個性は正反対と言ってもいいほど異なります。
食感の違い:「ホクホク」 vs 「ねっとり」
これが最も大きな違いです。
- 紅あずま:水分が少なく、デンプン質が多いため、加熱すると「ホクホク」とした粉吹芋のような食感になります。口の中の水分がやや持っていかれるような、昔ながらのさつまいもらしい食感です。
- 紅はるか:加熱によってデンプンが糖に変わると同時に、水分を保持したまま「ねっとり」とした食感に変化します。クリーミーで滑らかな口当たりが特徴です。
甘さの違い:上品な甘さ vs 強い甘さ
甘さの質も異なります。
- 紅あずま:甘さはありますが、紅はるかと比べると控えめです。栗のような風味と素朴で上品な甘さが特徴で、料理の味付けを邪魔しません。
- 紅はるか:非常に糖度が高く、まるでスイーツのようなガツンとした甘さを感じます。冷めても甘さが残りやすいため、干し芋にも最適とされています。
見た目の違い:形状と皮の色
並べてみると、見た目にも違いがあります。
- 紅あずま:形はややゴツゴツとしたものが多く、皮の色は濃い赤紫色をしています。
- 紅はるか:形は紡錘形(ぼうすいけい)で比較的整っており、表面は滑らかなものが多いです。皮の色は「紅あずま」よりやや明るい赤紫色をしています。
ただし、見た目は個体差も大きいため、確実に見分けるには食感と甘さを確かめるのが一番ですね。
使い方・料理での扱い方の違い(おすすめ調理法)
食感と甘さの違いから、おすすめの調理法が異なります。「紅あずま」はホクホク感を活かし、煮崩れしにくいため、天ぷら・大学芋・煮物などに最適です。一方、「紅はるか」はその強い甘さを活かし、焼き芋・干し芋・スイートポテトなどのスイーツ系調理に最も向いています。
この二つの違いを理解すれば、料理の失敗が格段に減りますよ。
【紅あずま】煮崩れしにくく、おかず作りに最適
「紅あずま」のホクホク感と上品な甘さは、おかず系の料理で真価を発揮します。
デンプン質で水分が少ないため、油で揚げてもベチャッとならず、煮物にしても煮崩れしにくいのが強みです。
おすすめの料理:
- 天ぷら:サクッとした衣とホクホクの食感のコントラストが最高です。
- 大学芋:外はカリッと、中はホクホクに仕上がります。タレの甘さを邪魔しない、程よいさつまいもの甘さが合います。
- 煮物・豚汁:煮込んでも形が崩れにくく、汁物にさつまいもの適度な甘みを加えてくれます。
- さつまいもご飯:炊き込んでも形が残り、ご飯と混ざりすぎずホクホク感を楽しめます。
【紅はるか】甘さを活かした焼き芋やスイーツに
「紅はるか」の圧倒的な甘さとねっとり感は、素材そのものを味わうシンプルな調理法に向いています。
逆に、天ぷらや煮物に使うと、水分が多いためベチャッとしやすく、甘さが強すぎて料理全体の味のバランスを崩してしまうことがあるので注意が必要ですね。
おすすめの料理:
- 焼き芋:最もおすすめの食べ方です。じっくり低温(160℃〜180℃)で60分以上加熱することで、最大限に甘さが引き出されます。
- 干し芋:高い糖度としっとりした食感は、干し芋の原料として最適です。
- スイートポテト:砂糖をほとんど加えなくても、天然の甘みだけで美味しいスイートポテトが作れます。
- 冷製スープ:滑らかな食感を活かして、冷たいポタージュにするのも美味しいですよ。
旬・産地・価格の違い
旬はどちらも秋(9月〜11月頃)に収穫され、貯蔵して甘みが増した冬(11月〜1月頃)が食べ頃です。「紅あずま」は茨城県や千葉県など関東が主産地。「紅はるか」は鹿児島県や茨城県など全国で栽培されています。価格は、新品種で人気・糖度ともに高い「紅はるか」の方がやや高価な傾向にあります。
主な産地と旬
さつまいも全体の旬は秋ですが、収穫してから1〜2ヶ月ほど貯蔵(熟成)させることで、デンプンが糖に変わり甘みが増します。
そのため、収穫時期は9月〜11月頃ですが、最も美味しく食べられる旬は、熟成が進んだ11月〜1月頃の冬場と言えるでしょう。
産地については、農林水産省の統計などを見ると、「紅あずま」は伝統的に茨城県や千葉県など関東地方が大きなシェアを占めています。一方、「紅はるか」は開発地の鹿児島県をはじめ、茨城県など全国のさつまいも産地で急速に作付面積を増やしています。
保存方法と価格の違い
保存方法はどちらも同じです。さつまいもは寒さに弱いため、冷蔵庫は厳禁です。新聞紙に1本ずつ包み、10℃〜15℃くらいの風通しが良い冷暗所(玄関や床下収納など)で保存するのが最適です。
価格については、一般的に「紅はるか」の方が「紅あずま」よりも高値で取引される傾向があります。これは、「紅はるか」が比較的新しい品種であること、糖度が非常に高く人気があること、また貯蔵性が高く長期にわたって出荷できることなどが理由として考えられます。
開発経緯・歴史的背景
「紅あずま」は1984年に関東のニーズに応えるホクホク系として開発されました。一方「紅はるか」は2010年、既存の品種を「はるか」に凌駕する甘さと食味を目指して開発された、ねっとり系の品種です。
「紅あずま」の開発
「紅あずま」は、1984年(昭和59年)に農研機構(当時の農林水産省野菜試験場)によって開発・登録されました。親は「関東85号」と「コガネセンガン(黄金千貫)」です。
当時の関東地方では、皮の色が良く、食味が良いホクホク系の品種が求められており、「紅あずま」はそのニーズに応える形で誕生し、一気に関東の主力品種となりました。
「紅はるか」の誕生
「紅はるか」は、それから約25年後の2010年(平成22年)に、農研機構(九州沖縄農業研究センター)によって開発・登録されました。
この名前には、既存の品種よりも食味や外観が「はるか」に優れているという意味が込められています。その名の通り、当時の人気品種だった「紅あずま」や「高系14号」などと比べても、糖度や食感が格段に優れており、まさに「さつまいも界のエリート」として登場しました。
体験談|焼き芋で実感した食感と甘さの違い
僕もさつまいもが大好きで、よく自宅で焼き芋を作るのですが、この二つの品種の違いを痛感した体験があります。
数年前、焼き芋ブームが来る前は、スーパーで「焼き芋用」として売られているのは大抵「紅あずま」でした。僕もそれを買い、アルミホイルに包んでオーブントースターで焼いていました。出来上がりは確かに甘いのですが、食感はいつもホクホク。口の中の水分を持っていかれる感じで、「お店で売ってるような、あの蜜たっぷりの焼き芋にはならないなぁ」と常々思っていました。
そんな時、「紅はるか」という品種が焼き芋に最適だと知りました。早速手に入れて、いつもと同じように焼いてみたんです。すると、驚きました。
アルミホイルを開いた瞬間、皮の表面には蜜が溢れ出し、中身は黄金色。箸を入れるとスッと通り、食感はまさに「ねっとり」クリーミー。甘さも「紅あずま」とは比べ物にならないほど強く、まるでスイーツを食べているようでした。
この経験から、「焼き芋にするなら、絶対に紅はるか!」と確信しましたね。逆に、煮物を作るときに間違えて「紅はるか」を使ってしまい、煮崩れてドロドロになってしまった苦い経験もあります(笑)。料理によって品種を使い分けることが、いかに大切かを実感した体験です。
紅あずまと紅はるかに関するよくある質問(FAQ)
結局、どっちのほうが甘いんですか?
「紅はるか」の方が圧倒的に甘いです。「紅はるか」は蜜のような強烈な甘さが特徴ですが、「紅あずま」は栗のような上品で素朴な甘さが特徴です。甘いさつまいもが食べたいなら「紅はるか」一択でしょう。
焼き芋にするなら、どっちがおすすめですか?
好みによりますが、一般的には「紅はるか」がおすすめです。「紅はるか」は、じっくり加熱することで「ねっとり」とした食感と強い甘みが出ます。一方、「紅あずま」は「ホクホク」とした食感がお好みの方におすすめです。
カロリーや栄養に大きな違いはありますか?
さつまいもの栄養価は品種による差よりも、調理法(生・蒸し・焼き)による差の方が大きいです。例えば、日本食品標準成分表によると、生のさつまいも(塊根、皮なし)は100gあたり126kcalですが、蒸しさつまいもは129kcal、焼きさつまいもは151kcalと、焼くことで水分が飛び、カロリーが凝縮されます。どちらの品種もビタミンCや食物繊維が豊富ですが、甘さが強い「紅はるか」の方が糖質はやや多い傾向にあると考えられます。
まとめ|ホクホクなら紅あずま、ねっとりなら紅はるか
「紅あずま」と「紅はるか」の違い、もう完璧に使い分けられそうですね。
最後に、選ぶ際のポイントをもう一度まとめておきます。
- ホクホク食感で、天ぷらや煮物など料理に使いたい → 「紅あずま」
- ねっとり食感で、焼き芋やスイーツとして強い甘さを楽しみたい → 「紅はるか」
この二つの品種は、さつまいもの二大潮流である「ホクホク系」と「ねっとり系」のそれぞれの代表格です。どちらが優れているということではなく、あなたの好みや、作りたい料理に合わせて選ぶのが正解です。
ぜひ、それぞれの個性を楽しんで、秋から冬にかけての食卓を豊かにしてくださいね。
さつまいもの品種は他にもたくさんあります。当サイトでは、様々な野菜・果物の違いについても詳しく解説していますので、ぜひそちらもご覧ください。
さつまいもの品種開発や研究に興味がある方は、開発元である農研機構(NARO)の公式サイトで最新の研究成果を見るのも面白いですよ。