秋になると、スーパーの果物売り場でひときわ目を引く「赤いキウイ」。
でも、「紅妃(こうひ)」という名前で売られていたり、「レインボーレッド」という名前で売られていたり、一体どちらが正しいのか、違うものなのか迷ったことはありませんか?
実はこの二つ、基本的には同じ品種(またはその選抜系統)を指すことが多く、最大の違いは「品種名」か「ブランド名(商標)」かという点にあります。
この記事を読めば、その複雑な関係性から、共通する驚くべき甘さ、栄養価、そして旬の時期まで、スッキリと理解できます。「緑のキウイ」や「ゴールドキウイ」とも全く異なる、その秘密に迫ります。
それでは、まず結論から見ていきましょう。
結論|「紅妃」と「レインボーレッド」の違いを一言でまとめる
「紅妃(こうひ)」は中国原産のキウイの「品種名」です。一方、「レインボーレッド」は、その「紅妃」を日本国内の特定産地(福岡県、静岡県、愛媛県など)が栽培し、出荷する際に使用している「ブランド名(商標)」です。消費者が手にする時点では、ほぼ同じ特徴を持つ赤いキウイを指しています。
つまり、スーパーで「紅妃」と「レインボーレッド」が並んでいたら、それは「同じ種類のキウイだけど、産地やブランドが違うかもしれない」と解釈するのが正解です。
この二つの関係性と、他のキウイとの違いを比較表にまとめました。
| 項目 | 紅妃 / レインボーレッド | ゴールドキウイ | グリーンキウイ |
|---|---|---|---|
| 分類 | 中国系キウイ(品種名:紅妃) | 中国系キウイ(黄肉種) | 美味種(緑肉種) |
| 関係性 | 紅妃=品種名 レインボーレッド=ブランド名 | ー | ー |
| 見た目 | 中心が赤く、果肉は黄色 | 果肉が黄色 | 果肉が緑色 |
| 糖度(目安) | 非常に高い(17~20度) | 高い(15~18度) | 標準(14~16度) |
| 酸味 | 非常に少ない | 少ない | やや強い |
| 旬(日本) | 10月下旬~11月頃(非常に短い) | 5月~12月頃 | 通年(国産は11月~5月頃) |
| 主な用途 | 生食(加熱非推奨) | 生食 | 生食、加熱調理、ジャム |
「紅妃」と「レインボーレッド」は同じ品種?名称の違いを解説
「紅妃(こうひ)」は中国原産の品種 *Actinidia chinensis* ‘Hong fei’ を指す品種名です。「レインボーレッド」は、この「紅妃」またはその選抜・改良品種を、JAふくおか八女などが商標登録してブランド化した名称です。
「紅妃(こうひ)」とは?
「紅妃」は、中国の浙江省で発見されたキウイフルーツの原種から選抜・育成された品種名です。学名は *Actinidia chinensis* ‘Hong fei’ となります。
日本に導入された後、そのユニークな色と味から注目を集めました。「レインボーレッド」というブランド名で販売されていない場合でも、小規模な農家などが「紅妃」という品種名で直売所などに出荷しているケースもあります。
「レインボーレッド」とは?
「レインボーレッド」は、この「紅妃」という品種を、日本国内の生産者がブランド化する際に付けた商標名です。
特に有名なのが、福岡県のJAふくおか八女や、静岡県のJA富士市(富士レインボー)、愛媛県などです。これらの産地では、「紅妃」の中でも特に品質(糖度や形)が良いものを選抜し、「レインボーレッド」という統一ブランドで出荷しています。
そのため、消費者にとっては「レインボーレッド=高品質な紅妃」という認識で、ほぼ間違いありません。
共通する特徴①:味・糖度・食感(一般的なキウイとの違い)
最大の特徴は圧倒的な「甘さ」です。糖度は17~20度にも達し、一般的なグリーンキウイ(約14~16度)やゴールドキウイ(約15~18度)を凌駕します。酸味が非常に少なく、キウイ特有のイガイガ感もほとんどありません。
驚異的な甘さと少ない酸味
紅妃やレインボーレッドを初めて食べた人が最も驚くのが、その「甘さ」です。
一般的なグリーンキウイが糖度14~16度、人気のゴールドキウイでも15~18度程度なのに対し、紅妃・レインボーレッドは平均糖度が17度以上、高いものでは20度を超えることもあります。これは高級なメロンやブドウに匹敵する甘さです。
さらに、酸味の元となるクエン酸などの含有量が極めて少ないため、酸っぱさがほとんど感じられません。「甘酸っぱい」ではなく、ただひたすらに「甘い」と感じるのが最大の特徴ですね。
キウイ特有のイガイガ感がない
グリーンキウイを食べたときに舌がピリピリ、イガイガする感覚が苦手な人も多いのではないでしょうか。
あのイガイガ感の原因は、「アクチニジン(またはアクチニダイン)」というタンパク質分解酵素です。紅妃・レインボーレッドは、このアクチニジンをほとんど含まないため、舌への刺激が全くと言っていいほどありません。
このため、キウイが苦手な子供でも食べやすいフルーツとして非常に人気があります。
共通する特徴②:見た目(鮮やかな赤い中心部)
見た目の最大の特徴は、果実の中心部(種子の周り)が鮮やかな赤色に染まることです。果肉のベースは黄色(イエロー系)です。サイズは一般的なキウイより小さめ(70g~100g程度)で、表面の産毛が少ないのも特徴です。
この品種のアイデンティティとも言えるのが、カットした時の断面です。
果肉のベースはゴールドキウイのような黄色ですが、中心にある種子の周りだけが、まるで絵の具を垂らしたかのように鮮やかな赤色に染まっています。この赤い色素は、ポリフェノールの一種である「アントシアニン」です。
果実のサイズは、大玉のグリーンキウイ(約100~130g)と比べるとやや小ぶりで、70g~100g程度のものが多いです。また、果皮の産毛(うぶげ)が非常に少ないか、ほとんどないため、見た目もツルッとしています。
共通する特徴③:栄養と成分(ビタミンCなど)
非常に栄養価が高く、特にビタミンCの含有量が豊富です。100gあたりでレモン数個分(品種や栽培方法によっては100mg以上)を含むとされ、風邪予防や美容に役立ちます。また、赤い色素であるアントシアニン(ポリフェノールの一種)も含まれています。
紅妃・レインボーレッドは、その美味しさだけでなく、栄養価の高さも特筆すべき点です。
特に豊富なのがビタミンCです。一般的なグリーンキウイもビタミンCが豊富(100gあたり約70~80mg)ですが、紅妃・レインボーレッドはそれを上回る量(品種や調査によっては100mgを超えるものも)を含むとされています。
さらに、中心部の赤い色素成分であるアントシアニンも摂取できます。これはブルーベリーなどに多く含まれるポリフェノールの一種で、抗酸化作用が期待されています。
ビタミンEや食物繊維もバランスよく含んでおり、非常に優秀なフルーツと言えるでしょう。
旬の時期・主な産地・価格の違い
旬は非常に短く、10月下旬から11月頃の約1ヶ月間だけです。主な産地は、「レインボーレッド」のブランドで知られる福岡県、静岡県、愛媛県などです。「紅妃」として他県でも栽培されています。希少性が高いため、価格は高価な傾向にあります。
非常に短い旬と主な産地
このキウイの最大の弱点が、旬の短さです。
収穫時期は10月下旬から11月にかけての、わずか1ヶ月ほど。貯蔵性も他のキウイに比べて高くないため、まさしく「秋限定」の味覚です。
主な産地は、「レインボーレッド」のブランドで先行した福岡県(JAふくおか八女)、静岡県(JA富士市)、愛媛県が3大産地として知られています。その他、山梨県や神奈川県などでも「紅妃」として栽培されています。
価格
栽培面積が少なく、収穫時期も短く、さらにその人気の高さから、価格は他のキウイ(グリーンやゴールド)と比べて高価な傾向にあります。旬の時期には、贈答用としても重宝されます。
美味しい食べ方と保存方法
このキウイは「生食」が絶対におすすめです。その驚異的な甘さと繊細な香りは、加熱すると失われてしまいます。スプーンですくってそのまま食べるのが一番です。保存は、硬い場合は常温で追熟させ、軽く押して弾力を感じたら冷蔵庫で保存します。
追熟の方法
店頭に並んでいるものは食べ頃に近いものが多いですが、もし触ってみて硬い(未熟な)場合は、常温で追熟させましょう。
リンゴやバナナと一緒にビニール袋に入れておくと、それらの果物が出すエチレンガスの効果で追熟が早まります。
食べ頃のサインは、キウイのお尻(花落ち部分)の周りを軽く押してみて、少し弾力を感じるようになったらOKです。熟したら、それ以上追熟が進まないよう、乾燥を防ぐためにビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
加熱はNG?生食がベストな理由
紅妃・レインボーレッドは、その繊細な甘さと香りが命です。
加熱調理(ジャム、ソース、焼き菓子など)は絶対におすすめしません。加熱すると、せっかくの甘い香りが飛んでしまい、中心部の鮮やかな赤色も褪せてしまいます。また、豊富なビタミンCも熱で壊れてしまいます。
最高の食べ方は、半分にカットして、スプーンでそのまま果肉をすくって食べることです。そのままで完成されたデザートと言えるでしょう。
体験談|初めて食べた「赤いキウイ」の衝撃
僕がこのキウイの存在を初めて知ったのは、数年前の11月、デパ地下のフルーツ売り場でした。
「レインボーレッド」という名前で売られていたそのキウイは、小ぶりで産毛がなく、正直「本当にキウイ?」と半信半疑でした。価格もグリーンキウイの倍近くしましたが、好奇心に負けて購入してみたんです。
家に帰り、半分に切ってみて、まずその断面の美しさに驚きました。本当に中心だけが鮮やかな赤色なんです。「これは何かのギミック(仕掛け)か?」と思うほどでした。
そして、スプーンですくって一口食べて、二度目の衝撃を受けました。
「甘い!酸っぱくない!」
それまで僕の中でのキウイの味は、ゴールドキウイの「甘酸っぱさ」が基準でした。しかし、このレインボーレッドは「酸っぱさ」が全くなく、ただただ濃厚な甘さが口に広がりました。マンゴーや完熟パイナップルのような、南国フルーツに近い甘さです。
そして、あのキウイ特有の「舌がピリピリする感じ(イガイガ感)」が一切ないことにも気づきました。これならキウイが苦手な人でも絶対に食べられる、と確信した瞬間でしたね。
旬が短いのが本当に残念ですが、この「紅妃(レインボーレッド)」は、僕の中でのキウイフルーツの概念を完全に変えてくれた、特別な果物です。
紅妃・レインボーレッドに関するよくある質問
Q1. 「紅妃」と「レインボーレッド」は、結局同じものですか?
A1. はい、基本的には同じ品種(またはその選抜系統)と考えて問題ありません。「紅妃」が品種の名前で、「レインボーレッド」は主にJAなどが使っているブランド名(商標)です。どちらも「中心が赤く、非常に甘いキウイ」という特徴は共通しています。
Q2. なぜ中心が赤いのですか?
A2. 中心部の赤い色素は「アントシアニン」というポリフェノールの一種です。ブルーベリーやブドウの皮に含まれるのと同じ成分ですね。キウイの中では珍しい特徴です。
Q3. 加熱してジャムやケーキに使えますか?
A3. おすすめしません。紅妃・レインボーレッドの最大の魅力である繊細な甘い香りとビタミンCは熱に弱く、加熱すると失われてしまいます。また、中心部の鮮やかな赤色も、加熱するとくすんだ茶色っぽさに変色してしまいます。美味しさ、栄養、見た目の全てにおいて、生食がベストです。
まとめ|「紅妃」と「レインボーレッド」は見かけたら買うべき希少なキウイ
「紅妃」と「レインボーレッド」の違い、スッキリ整理できたでしょうか。名前の違いはあれど、どちらも「中心が赤く、驚くほど甘い」という共通の魅力を持ったキウイです。
最後に、このキウイを選ぶ際のポイントをまとめます。
- 「紅妃」も「レインボーレッド」も、基本的には同じもの。(レインボーレッドは高品質なブランド名)
- 旬は10月下旬~11月と非常に短い。見かけたら迷わず購入するのがおすすめです。
- 最大の魅力は「圧倒的な甘さ」と「イガイガしない」こと。
- 食べ方は「生食」一択。加熱は厳禁です。
- 追熟が必要な場合があるため、お尻の柔らかさをチェックしましょう。
秋の短い期間だけ出会える特別なキウイ、ぜひその驚きの甘さを体験してみてください。
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