冬の果物売り場を彩る「たんかん」と「みかん」。
どちらもオレンジ色で、コタツで食べたい柑橘類ですが、一体何が違うのでしょうか?
結論から言うと、「たんかん」はポンカンとオレンジの交雑種である「タンゴール」の一種で、濃厚な甘みとオレンジのような香りが特徴です。一方、「みかん」は一般的に「温州(うんしゅう)みかん」を指し、甘みと酸味のバランスが良いのが特徴です。
「たんかん」は「みかん」の一種ではありますが、そのルーツや味、旬の時期は大きく異なります。
この記事を読めば、二つの柑橘の明確な違いから、栄養価、そして正しい選び方まで、もう迷うことはありません。
それでは、まず両者の違いを比較表で見ていきましょう。
結論|「たんかん」と「みかん」の違いが一目でわかる比較表
「たんかん」と「みかん」は、どちらもミカン科の柑橘類ですが、品種(ルーツ)が異なります。「たんかん」はポンカンとオレンジ類の交雑種(タンゴール類)で、濃厚な甘みとオレンジに近い香りが特徴。一方、私たちが「みかん」と呼ぶものの多くは「温州みかん」で、甘みと酸味のバランスが取れています。産地や旬の時期も異なります。
まずは、「たんかん」と、私たちが最もよく知る「温州みかん」の違いを一覧表にまとめました。
| 項目 | たんかん(タンカン) | みかん(温州みかん) |
|---|---|---|
| 分類 | ミカン科(タンゴール類) | ミカン科(温州みかん) |
| 主なルーツ | ポンカン × オレンジ(自然交雑) | 中国から伝わった柑橘の偶発実生 |
| 見た目(皮) | 濃いオレンジ色、ゴツゴツして厚め | 鮮やかなオレンジ色、ツルツルして薄い |
| 味・香り | 甘みが非常に強い(糖度12〜14度)、オレンジに近い芳醇な香り | 甘みと酸味のバランスが良い(糖度11度前後) |
| 食感・種 | 果汁が非常に多い、じょうのう(薄皮)はやや厚め、種はあり(品種による) | じょうのうが薄く食べやすい、種はほぼ無し |
| 主な産地 | 鹿児島県、沖縄県(亜熱帯性) | 愛媛県、和歌山県、静岡県(温帯性) |
| 旬の時期 | 1月下旬〜3月頃(春先) | 10月〜1月頃(秋〜冬) |
| 栄養(ビタミンC) | やや豊富(35mg/100g) | 豊富(32mg/100g) |
※栄養価は日本食品標準成分表(八訂)の生果実の値を参照。
このように、見た目から旬の時期まで、多くの違いがあることがわかります。次に、この関係性について詳しく解説します。
「たんかん」と「みかん」の定義と分類(品種)の違い
「みかん」は広義にはミカン科の総称ですが、一般的には「温州(うんしゅう)みかん」を指します。一方、「たんかん」はミカン科の中でも「タンゴール類」というグループに属し、ポンカンとオレンジの自然交雑種とされています。
「たんかん(タンカン)」とは?(タンゴールの一種)
「たんかん(タンカン)」は、ミカン科ミカン属の中でも「タンゴール類」に分類される柑橘です。「タンゴール」とは、みかん類(Tangerine)とオレンジ類(Orange)の交雑種を指す言葉です。
たんかんは、「ポンカン」と「ネーブルオレンジ(またはスイートオレンジ)」が自然に交雑して生まれたと考えられています。そのため、みかんの食べやすさとオレンジの香りを併せ持っているのが特徴です。
「みかん」とは?(温州みかん)
「みかん」という言葉は、本来とても広い意味(ミカン科の果物全般)を持ちますが、私たちが日本で単に「みかん」と呼ぶ場合、そのほとんどは「温州みかん(ウンシュウミカン)」を指します。
温州みかんは、皮が手で剥きやすく、種がほとんどないため、非常に食べやすいのが特徴です。日本のコタツの風景に欠かせない、最もポピュラーな柑橘ですね。
生物学的な分類(同じミカン科だがルーツが違う)
どちらも「ミカン科ミカン属」という大きな枠では同じ仲間です。
しかし、そのルーツは異なります。「温州みかん」は、約500年前に中国から鹿児島に伝わった柑橘が偶然変異して生まれたとされる、日本発祥の品種群です。一方、「たんかん」は台湾が原産地とされ、明治時代に日本に導入されました。
「たんかん」は、「みかん類」と「オレンジ類」のハイブリッド(交雑種)である、と覚えておくと分かりやすいですね。
味・香り・食感・見た目の違い
見た目は、たんかんが「ゴツゴツして濃い色」、みかんが「ツルツルして薄い皮」です。味は、たんかんが糖度が高く濃厚な甘みとオレンジのような香りを持つのに対し、みかんは甘みと酸味のバランスが取れています。
実際に食べる上で最も重要な、見た目や味、食感の違いを詳しく見ていきましょう。
見た目(皮の厚さ・ゴツゴツ感)
たんかん:
色は「みかん」よりも濃いオレンジ色をしています。最大の特徴は皮で、表面がゴツゴツとしており、みかんに比べると厚めです。ただし、見た目に反して皮は剥きやすいです。
みかん(温州みかん):
色は鮮やかなオレンジ色。皮は薄く、表面が滑らか(ツルツル)です。油胞(ゆほう)と呼ばれるツブツブが細かく見えます。
味と香り(濃厚な甘み vs バランスの良い甘酸っぱさ)
味と香りは、この二つを決定的に分ける要素です。
たんかん:
糖度が12〜14度と非常に高く、酸味が少ないため、非常に濃厚な甘みを感じます。香りはみかんよりもオレンジに近い、芳醇(ほうじゅん)で華やかな香りがします。
みかん(温州みかん):
糖度は品種にもよりますが11度前後が一般的です。甘みと酸味のバランスが取れているのが特徴で、甘いだけでなく、ほどよい酸味があることで「味の濃さ」を感じさせます。香りは、私たちが「みかんの香り」として認識している、馴染み深い爽やかな香りです。
食感と食べやすさ(じょうのう・種の有無)
たんかん:
果汁が非常に多く、「果汁が滴るほどジューシー」と表現されます。じょうのう(果肉を包む薄皮)は、温州みかんよりはやや厚めですが、柔らかく、そのまま食べられます。ただし、品種によっては種が入っていることが多いです。
みかん(温州みかん):
じょうのうが非常に薄く、口に残らないのが最大の特徴です。また、現在の主流品種は種がほとんどないため、非常に食べやすいです。
栄養・成分・健康面の違い
どちらもビタミンCやカリウムを豊富に含みますが、栄養素に特徴的な違いがあります。「たんかん」はビタミンCの含有量がみかんよりやや豊富です。一方、「みかん」はβ-クリプトキサンチンの含有量が圧倒的に多いのが特徴です。
どちらも健康に良い柑橘類ですが、含まれる栄養素の量に違いがあります。(生・可食部100gあたり)
ビタミンCとカリウム(たんかんが豊富)
風邪予防や美容に役立つビタミンCは、「たんかん(35mg)」の方が「温州みかん(32mg)」よりもわずかに多く含まれています。
また、体内の余分な塩分を排出するのを助けるカリウムも、「たんかん(160mg)」の方が「温州みかん(130mg)」より豊富です。
β-クリプトキサンチン(みかんが豊富)
一方で、みかんのオレンジ色の色素成分である「β-クリプトキサンチン」は、「温州みかん(1700μg)」の方が「たんかん(140μg)」よりも圧倒的に多く含まれています。
β-クリプトキサンチンは、体内でビタミンAとして働くほか、そのものとしても強い抗酸化作用を持つことが知られています。(参考:日本食品標準成分表(八訂))
使い方・料理での扱い方の違い
どちらも生食が基本です。たんかんはその濃厚な甘みとオレンジのような香りを活かし、ジュースやゼリー、マーマレードにも向いています。みかんは薄皮ごと手軽に食べられるため、おやつや食後のデザートに最適です。
たんかん:
何と言っても、その濃厚な甘みとジューシーさを楽しむために生食するのが一番です。皮が厚めですが、みかんと同じように手で剥くことができます。香りが良いため、絞ってフレッシュジュースにしたり、果汁でゼリーを作るのもおすすめです。皮の香りが良いので、マーマレードにするのにも向いています。
みかん(温州みかん):
手軽に剥けて種もないため、そのまま生食するのが最も適しています。コタツでのお供、お弁当のデザート、風邪予防のビタミン補給など、日本の冬の食卓に欠かせませんね。缶詰やジュースにも加工されます。
旬・産地・保存・価格の違い
産地と旬が明確に異なります。みかん(温州みかん)は愛媛県や和歌山県などが主産地で、旬は秋から冬(10月〜1月)です。一方、たんかんは鹿児島県や沖縄県など南国が主産地で、旬は冬の終わりから春先(1月下旬〜3月)です。たんかんの方が生産量が少なく希少なため、価格は高価な傾向にあります。
主な産地(たんかんは南国)
たんかん:
亜熱帯性の気候を好むため、日本では鹿児島県(特に屋久島、奄美大島、徳之島など)と沖縄県が二大産地です。非常に産地が限定されています。
みかん(温州みかん):
日本の温暖な地域で広く栽培されています。主な産地は和歌山県、愛媛県、静岡県、熊本県などです。(参考:農林水産省 統計情報)
旬の時期(たんかんは冬の終わり〜春先)
旬の時期は、みかんが終わる頃にたんかんが始まります。
みかん(温州みかん):
早い品種(極早生)は9月頃から出始め、11月〜12月に最盛期を迎えます。貯蔵されたものが2月頃まで出回ります。
たんかん:
みかんが終わる1月下旬頃から収穫が始まり、2月〜3月上旬がピークです。旬が非常に短く、冬の終わりから春先にかけてしか味わえない貴重な柑橘です。
正しい保存方法と価格帯
保存方法:
どちらも風通しの良い、涼しい場所(5〜10℃程度)で保存するのが基本です。箱で購入した場合は、底にあるものから順番に食べ、時々上下を入れ替えて重みによる傷みを防ぎましょう。暖房の効いた部屋に置くのは厳禁です。冷蔵庫に入れる場合は、乾燥しないようポリ袋などに入れて野菜室で保存します。
価格帯:
たんかんは産地が限定され、生産量もみかんに比べて少なく、旬も短いため、希少価値が高く、みかんよりも高価な傾向があります。
起源・歴史・文化的背景
「みかん(温州みかん)」は、中国から伝わった柑橘が日本(鹿児島県)で偶然変異して誕生したとされ、日本生まれの品種として広まりました。「たんかん」は台湾が原産とされ、明治時代に日本に伝来し、鹿児島や沖縄などの南の島々で栽培が定着しました。
「温州みかん」のルーツは、約500年前に中国から鹿児島県(旧長島町)に伝わった柑橘の種子から、偶然優れた品種が生まれたものだとされています。「温州」という名前は、柑橘の名産地であった中国の「温州(Wenzhou)」にあやかって名付けられました。
一方、「たんかん」は台湾北部が原産とされています。「(台湾)北部の桶(タン)で栽培・出荷されていた柑橘」という意味で「桶柑(タンカン)」と呼ばれるようになったという説があります。これが明治時代に鹿児島県や沖縄県に導入され、その気候風土に適したため、特産品として定着していきました。
【体験談】初めての「たんかん」で驚いた濃厚なオレンジ香
僕は和歌山県出身なので、冬といえばコタツと「温州みかん」が当たり前の環境で育ちました。みかんのあの甘酸っぱいバランスが、日本の冬の味だと思っています。
数年前、2月に鹿児島県の屋久島を訪れる機会がありました。そこで「今が旬だから」と地元の方に勧められたのが「たんかん」でした。
見た目は、みかんより色が濃くて、皮がゴツゴツしていて、「本当に美味しいのかな?」と半信半疑でした。皮は厚そうに見えましたが、手で剥いてみると、意外と簡単に剥けます。
そして一口食べて、衝撃を受けました。みかんの「甘酸っぱさ」とは全く違う、ガツンとくる「濃厚な甘み」と、口いっぱいに広がる「オレンジのような芳醇な香り」。果汁もすごくて、手がベトベトになるほどジューシーでした。
見た目は「みかん」なのに、味と香りは「オレンジ」のよう。これが「たんかん」なのか!と。それ以来、みかんの旬が終わる2月頃になると、今度は「たんかん」の濃厚な甘みが恋しくなり、スーパーで探すようになりましたね。
たんかんとみかんの違いに関するよくある質問(FAQ)
Q1. たんかんとみかん、結局どっちが甘いですか?
A. 一般的に「たんかん」の方が甘みが強いです。たんかんは糖度が12〜14度と高く、酸味が少ないのが特徴です。みかん(温州みかん)は糖度11度前後に加え、適度な酸味があるため、バランス型の甘酸っぱさと言えます。
Q2. たんかんの皮は食べられますか?
A. 皮は厚めですが、香り高いのでマーマレードやジャム、ピール(砂糖漬け)にして食べることができます。生食には向きません。
Q3. 「デコポン」や「ポンカン」とはどう違いますか?
A. どちらも「たんかん」と同じ「タンゴール類」の仲間です。「ポンカン」は独特の甘い香りが特徴で、「たんかん」の親の一つです。「デコポン(不知火)」は、「清見」と「ポンカン」の交配種で、頭のデコ(凸)が特徴的な、濃厚な甘みが人気の品種ですね。
まとめ|たんかんとみかん、目的別おすすめの選び方
「たんかん」と「みかん」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
どちらも美味しい柑橘ですが、その個性は全く異なります。
- たんかん(タンゴール類):
旬は1月下旬〜3月。濃厚な甘みとオレンジの香り、豊富な果汁が特徴。ビタミンCもやや豊富。産地は鹿児島・沖縄が中心。 - みかん(温州みかん):
旬は10月〜1月。甘みと酸味のバランスが良く、皮が薄く種なしで食べやすい。β-クリプトキサンチンが豊富。産地は全国の温暖な地域。
「手軽に甘酸っぱい味を楽しみたい」「β-クリプトキサンチンを摂りたい」なら、秋から冬にかけて「みかん」を。
「みかんの旬が終わる頃に、もっと濃厚な甘みとオレンジの香りを楽しみたい」「ビタミンCを補給したい」なら、冬の終わりから春先に「たんかん」を。
ぜひ、旬の時期に合わせて、二つの柑橘の味の違いを楽しんでみてくださいね。
当サイト「違いラボ」では、他にも様々な食材・素材の違いについて詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください。