料理やお菓子作りのレシピで見かける「小麦粉」と「薄力粉」。
「小麦粉と書いてあるけど、薄力粉のこと?」と混乱した経験はありませんか?
結論から言うと、「小麦粉」は小麦を粉にしたものの「総称」であり、「薄力粉」はその小麦粉を性質によって分類したうちの「一種」です。
小麦粉は、含まれるタンパク質(グルテン)の量によって「薄力粉」「中力粉」「強力粉」に分けられます。この違いを知らないと、料理がうまく仕上がらない原因にもなるんです。
この記事では、これら3種類の小麦粉の明確な違いと、料理ごとの正しい使い分けについて、スッキリと解説しますね。
まずは、最も重要な違いを一覧表で比較してみましょう。
結論|「薄力粉」と「小麦粉」の違いを一言でまとめる
「小麦粉」とは小麦を挽いた粉の総称です。一方、「薄力粉」は、その小麦粉をタンパク質(グルテン)の含有量で分類した際の一種です。小麦粉はタンパク質の量によって「薄力粉」「中力粉」「強力粉」に大別され、薄力粉は最もタンパク質が少なく、お菓子や天ぷらなどに適しています。
つまり、「薄力粉」は「小麦粉」という大きなカテゴリの中の一つ、ということですね。それぞれの特徴を比較表で見てみましょう。
| 項目 | 薄力粉(はくりきこ) | 中力粉(ちゅうりきこ) | 強力粉(きょうりきこ) |
|---|---|---|---|
| 分類 | すべて「小麦粉」の一種 | ||
| タンパク質(グルテン)量 | 少ない(約6.5〜8.5%) | 中間(約8.0〜10.5%) | 多い(約11.5〜13.0%) |
| 特徴(グルテンの粘弾性) | 弱い(ふんわり、サックリ) | 中間(適度な弾力と柔らかさ) | 強い(コシ、弾力、もっちり) |
| 主な用途 | お菓子(ケーキ、クッキー)、天ぷら | うどん、そうめん、お好み焼き、餃子の皮 | パン、ピザ生地、中華麺 |
「小麦粉」は総称、「薄力粉」はその一種
「小麦粉」は、私たちが食べる小麦製品の基本的な材料となる粉そのものを指す言葉です。この「小麦粉」という大きなグループの中に、タンパク質(グルテン)の質や量の違いによって、「薄力粉」「中力粉」「強力粉」といった種類が存在します。
ですから、「薄力粉=小麦粉」は間違いではありませんが、「小麦粉=薄力粉」とは限らない、ということです。
レシピで単に「小麦粉」と書かれている場合は、文脈や作る料理から判断する必要があります。例えば、お菓子のレシピなら「薄力粉」、パンのレシピなら「強力粉」、うどんやお好み焼きなら「中力粉」(または薄力粉)を指していることがほとんどです。
決定的な違い:タンパク質(グルテン)の含有量
小麦粉の性質を決定づける最大の違いは、タンパク質(たんぱくしつ)の含有量です。このタンパク質は、水を加えてこねることで「グルテン」という粘弾性(ねばりけと弾力)のある網目状の組織を作ります。タンパク質の量が多いほど、グルテンの力は強くなります。
このグルテンの性質の違いが、それぞれの粉の用途を分けています。
薄力粉:タンパク質が少なく、グルテン形成が弱い
薄力粉は、タンパク質(グルテン)の含有量が最も少ない小麦粉です(約6.5〜8.5%)。
水を加えても粘弾性が弱いため、グルテンをあまり形成しません。そのため、仕上がりが「ふんわり」したり「サックリ」としたりするのが特徴です。
強力粉:タンパク質が多く、グルテン形成が強い
強力粉は、タンパク質(グルテン)の含有量が最も多い小麦粉です(約11.5〜13.0%)。
水を加えてこねると、粘弾性が非常に強いグルテンを大量に形成します。このグルテンがパン生地の骨格となり、発酵で発生する炭酸ガスを閉じ込めることで、ふっくらと膨らみ、「もっちり」とした食感が生まれます。
中力粉:中間的な性質
中力粉は、薄力粉と強力粉の中間のタンパク質含有量(約8.0〜10.5%)を持ちます。
グルテンの強さも中間で、「適度な弾力」と「柔らかさ」を兼ね備えています。うどんやそうめんに使われる「日本めん用粉」の多くがこれにあたります。
見た目・手触りの違い
3種類の小麦粉は、見た目や手触りでも見分けることができます。「薄力粉」は粒子が細かく白っぽく、手で握ると指の跡がくっきり残るほど固まりやすいです。一方、「強力粉」は粒子が粗くクリーム色を帯びており、手で握っても固まりにくくサラサラしています。中力粉はその中間です。
もし袋から出してしまった場合でも、この手触りの違いで判別できることが多いです。
薄力粉:粒子が細かく、しっとりとした感触。ぎゅっと握ると、そのままの形で固まりやすいのが特徴です。
強力粉:粒子が粗く、手に付着しにくいサラサラとした感触。ぎゅっと握っても、すぐに崩れて固まりにくいのが特徴です。
料理での使い分け(用途の違い)
グルテンの性質の違いによって、作る料理の向き不向きが明確に決まります。「サクッ」「ふわっ」と仕上げたいお菓子や天ぷらには薄力粉。「もちもち」「しっかり」と膨らませたいパンやピザには強力粉。「ほどよい弾力」が欲しい麺類には中力粉が使われます。
薄力粉が適した料理(お菓子・天ぷら)
グルテンの形成を抑えたい料理に使われます。
- お菓子類:ケーキ(スポンジ)、クッキー、スコーン、パウンドケーキなど。サクサク感やふんわり感が命です。
- 天ぷら:衣が重くならないよう、グルテンの少ない薄力粉が使われます。
- ホワイトソース:ダマになりにくく、なめらかに仕上がります。
強力粉が適した料理(パン・ピザ)
強いグルテンの骨格が必要な料理に使われます。
- パン類:食パン、菓子パン、ベーグルなど。生地を膨らませる骨格(グルテン)が必須です。
- ピザ生地:もちもちとした食感を出すために使われます。
- 中華麺(ラーメン):独特のコシを出すために使われます(かん水も加えます)。
- 餃子の皮:もちもちとした食感を重視する場合に使われます。
中力粉が適した料理(うどん・餃子の皮)
適度な弾力とコシが必要な料理に使われます。
- 日本麺:うどん、そうめん、ひやむぎなど。
- お好み焼き・たこ焼き:ダマになりにくく、ふっくらと仕上がります。
- 餃子の皮:程よい弾力と柔らかさを出すために使われることもあります。
栄養・カロリーの違い
主成分はどれも炭水化物ですが、タンパク質の含有量に応じてカロリーもわずかに異なります。文部科学省のデータによれば、100gあたりでは、薄力粉(368kcal)、中力粉(368kcal)、強力粉(366kcal)となり、カロリー自体に大きな差はありません。
一般的にタンパク質の量が多い強力粉の方がカロリーが高いと思われがちですが、文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によると、実際には大きな差はありません。
タンパク質量は、強力粉(1等)が11.7g、中力粉(1等)が9.0g、薄力粉(1等)が8.3gと、定義通りの差があります。
カロリーを気にするよりも、料理によって使い分けることが重要ですね。
体験談|お菓子作りで知った「ふるう」理由
僕がまだ料理に慣れていなかった頃、クッキーを作ろうとした時の失敗談です。
レシピには「薄力粉をふるう」と書いてありましたが、棚にあったのは「強力粉」。僕は「同じ小麦粉だろう」と安易に考え、強力粉を使い、しかも「ふるう」という面倒な作業を省略してしまいました。
バターや砂糖と混ぜている時から、なんだか生地がネバネバと重たい…。不安を抱えつつ焼き上げましたが、完成したのはクッキーとは呼べない、カチカチで岩のような物体でした。
あの時の絶望感は忘れられません。強力粉を使ったことで、混ぜるうちにグルテンが過剰に発生し、ガチガチの生地になってしまったのです。
さらに、お菓子作りのレシピで「ふるう」と指示があるのは、単にダマをなくすためだけではありません。粒子が細かい薄力粉は、握ると固まりやすい性質があるため、一度ふるって空気を含ませないと、生地が均一に混ざらず、重たい仕上がりになってしまうのです。
料理は科学。サクサクのクッキーには「グルテンの弱い薄力粉」が、もちもちのパンには「グルテンの強い強力粉」が必要なのだと、あのカチカチのクッキーが教えてくれました。
「薄力粉」と「小麦粉」に関するよくある質問
ここでは、小麦粉の種類に関するよくある疑問にお答えしますね。
Q: レシピに「小麦粉」とだけ書かれている場合、どれを使えばいいですか?
A: 作る料理によって判断します。クッキーやケーキなどのお菓子、天ぷらの場合は「薄力粉」を指します。パンやピザの場合は「強力粉」、うどんやお好み焼きの場合は「中力粉」(なければ薄力粉でも可)を指すのが一般的です。
Q: 薄力粉がない時、強力粉で代用できますか?
A: 原則としておすすめしません。タンパク質(グルテン)の量が全く異なるため、仕上がりが大きく変わってしまいます。薄力粉で作るケーキに強力粉を使うと、グルテンが出過ぎて硬く重たい食感になります。逆に強力粉で作るパンに薄力粉を使うと、グルテンが足りず、うまく膨らみません。
Q: 「天ぷら粉」と「薄力粉」の違いは何ですか?
A: 「天ぷら粉」は、薄力粉をベースに、グルテンの発生を抑えるためのデンプン(コーンスターチなど)や、衣をサクサクにするためのベーキングパウダー、卵粉などが予め配合されている「調整品」です。薄力粉だけで揚げるよりも、失敗なく軽くサクッと揚がるように設計されています。
まとめ|薄力粉・中力粉・強力粉の使い分け
「薄力粉」と「小麦粉」の違い、スッキリ整理できたでしょうか。
「小麦粉」は総称であり、その中に含まれるタンパク質(グルテン)の量によって、3種類に大別されることが分かりました。
- 薄力粉(タンパク質:少):グルテンが弱い。お菓子、天ぷらに最適。
- 中力粉(タンパク質:中):適度な弾力。うどん、お好み焼きに最適。
- 強力粉(タンパク質:多):グルテンが強い。パン、ピザ生地に最適。
この違いを知れば、もうレシピの前で迷うことはありませんね。
作りたい料理の「食感(サクサクか、もちもちか)」をイメージして、適切な種類の小麦粉を選ぶことが、料理上達への一番の近道です。
当サイト「違いラボ」では、他にも様々な食材・素材の違いについて詳しく解説しています。ぜひ他の記事も参考にしてみてください。