薄力粉と薄力小麦粉の違いとは?「小麦粉」の分類と強力粉との差を解説

お菓子作りのレシピで「薄力粉」と書かれていたり、スーパーの商品で「薄力小麦粉」と表記されていたり…。

「薄力粉」と「薄力小麦粉」、この二つに何か違いはあるのでしょうか?

結論から言うと、「薄力粉」と「薄力小麦粉」は、まったく同じものを指しています。

「薄力粉」は「薄力小麦粉」の一般的な「略称(呼び名)」にすぎません。
では、なぜこんなにややこしいのか?それは、「小麦粉」という言葉が持つ広い意味と、その「分類」が関係しています。

この記事を読めば、「薄力粉」の正しい立ち位置、そして「強力粉」や「中力粉」との明確な違いと使い分けが、スッキリと理解できますよ。

まずは、最も重要な小麦粉の分類を一覧表で比較してみましょう。

結論|「薄力粉」と「薄力小麦粉」の違いを一言でまとめる

【要点】

「薄力粉」と「薄力小麦粉」は、呼び名が違うだけで、同じものを指します。「薄力小麦粉」がより正式な表記で、「薄力粉」はその一般的な略称です。重要なのは、これらが「小麦粉」という大きな総称の中で、タンパク質(グルテン)の含有量によって分類されたうちの一つである、という点です。

「小麦粉」は、タンパク質の量によって、大きく以下の3種類に分けられます。この違いこそが、料理の仕上がりを決定づける最も重要なポイントです。

種類タンパク質量(目安)グルテンの強さ主な用途
強力粉多い(約11.5%〜)強い(もちもち)パン、ピザ生地、餃子の皮
中力粉中間(約8.0%〜)中間(ほどよい弾力)うどん、お好み焼き、たこ焼き
薄力粉(薄力小麦粉)少ない(約8.5%以下)弱い(サクサク・ふんわり)お菓子、天ぷら

「薄力粉」と「薄力小麦粉」は同じ?「小麦粉」との関係性

【要点】

「小麦粉」は小麦を粉にしたものの「総称」です。「薄力小麦粉」とは、その総称である「小麦粉」のうち、「薄力」タイプであることを明記した丁寧な表記です。そして「薄力粉」は、その「薄力小麦粉」を日常的に短く呼ぶための「略称」です。

この関係性を理解するのがスタートラインですね。

「小麦粉」は全体の総称

まず、「小麦粉」という言葉が、パン用の強力粉も、うどん用の中力粉も、お菓子用の薄力粉も、すべてを含む一番大きなカテゴリ名(総称)であることを理解しましょう。

「薄力粉(薄力小麦粉)」はタンパク質量による分類の一つ

その「小麦粉」を、性質の違い(主にタンパク質の量)で分類したのが「強力粉」「中力粉」「薄力粉」です。

ですから、「薄力小麦粉」という表記は、「これは(小麦粉という大きなカテゴリの中の)薄力タイプの小麦粉ですよ」と、非常に丁寧に説明してくれている表記と言えます。

日常生活では「薄力粉」という略称が定着しているため、どちらの表記であっても「お菓子や天ぷらに使う、タンパク質が少ない粉」と理解して全く問題ありません。

なぜ「薄力」?強力粉・中力粉との決定的な違い

【要点】

小麦粉の性質を決定づける最大の違いは、タンパク質(たんぱくしつ)の含有量です。このタンパク質は、水を加えてこねることで「グルテン」という粘弾性(ねばりけと弾力)のある網目状の組織を作ります。タンパク質の量が多いほど、グルテンの力は強くなります。

「薄力」や「強力」という名前は、まさにこの「グルテン」の力の強弱を表しています。

タンパク質(グルテン)の含有量

小麦粉は、含まれるタンパク質(グルテン)の量によって、その使い道がほぼ決まります。

  • 強力粉:タンパク質が多い
  • 中力粉:タンパク質が中間
  • 薄力粉:タンパク質が少ない

薄力粉:グルテンが弱く「サクサク・ふんわり」

薄力粉(薄力小麦粉)は、タンパク質(グルテン)の含有量が約8.5%以下と、最も少ない小麦粉です。

水を加えても粘弾性が弱いため、グルテンはあまり形成されません。グルテンが少ない(=生地の骨格が弱い)ため、焼き上がりは「ふんわり」「しっとり」、あるいは「サクサク」とした、もろく(口どけが良く)仕上がります。

強力粉:グルテンが強く「もちもち・しっかり」

強力粉は、タンパク質(グルテン)の含有量が約11.5%以上と、最も多い小麦粉です。

水を加えてこねると、粘弾性が非常に強いグルテンが大量に形成されます。このグルテンがパン生地の骨格となり、発酵で発生する炭酸ガスをしっかりと抱き込むことで、ふっくらと大きく膨らみ、「もっちり」とした食感が生まれます。

見た目・手触りでも見分けられる?

【要点】

「薄力粉」と「強力粉」は、手で触った感触でも簡単に見分けることができます。「薄力粉」は粒子が非常に細かくしっとりしており、手で握ると指の跡がくっきり残るほど固まりやすいです。一方、「強力粉」は粒子が粗くサラサラしており、手で握っても固まりにくく崩れやすいです。

もし袋から出してしまって、どちらか分からなくなっても安心してください。

薄力粉(薄力小麦粉)
原料となる「軟質小麦」が柔らかいため、粒子は非常に細かく、白っぽいです。粒子が細かいので水分を含みやすく、手触りもしっとりしています。ぎゅっと握ると、そのままの形でカチッと固まります。

強力粉
原料となる「硬質小麦」が硬いため、粒子は粗めです。色はわずかにクリーム色を帯びています。手で握っても、指の間からサラサラとこぼれ落ち、固まりにくいのが特徴です。

料理での正しい使い分け(用途の違い)

【要点】

グルテンの性質の違いによって、作る料理の向き不向きが明確に決まります。「サクッ」「ふわっ」と仕上げたいお菓子や天ぷらには薄力粉「もちもち」「しっかり」と膨らませたいパンやピザには強力粉を使います。

「薄力粉(薄力小麦粉)」が適した料理

グルテンの形成をできるだけ抑えたい(=粘り気を出したくない)料理に使われます。

  • お菓子類:ケーキ(スポンジ)、クッキー、スコーン、パウンドケーキなど。サクサク感やふんわり感、口どけの良さが求められます。
  • 天ぷら:衣がグルテンで硬くならないよう、薄力粉が使われます。冷水で溶くのもグルテンの発生を抑えるためです。
  • ホワイトソース(ベシャメルソース):ダマになりにくく、なめらかに仕上がります。
  • お好み焼き・たこ焼き:ふんわりと仕上げたい場合に使われます。

強力粉・中力粉が適した料理

強いグルテンの骨格(粘弾性)が必要な料理に使われます。

  • 強力粉:パン、ピザ生地、中華麺(ラーメン)、餃子の皮(もちもち系)
  • 中力粉:うどん、そうめん、ひやむぎ、餃子の皮(標準)

栄養・カロリーに違いはある?

【要点】

「薄力粉」も「強力粉」も、主成分は炭水化物です。タンパク質の含有量に差はありますが、100gあたりのカロリー自体に大きな差はありません。(薄力粉:約368kcal、強力粉:約366kcal)

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によると、100gあたりのカロリーは、薄力粉(1等)が368kcal、強力粉(1等)が366kcalと、ほとんど差がないことがわかります。

タンパク質量は、強力粉が11.7g、薄力粉が8.3gと、定義通りの差があります。

カロリーを気にして使い分けるほどの違いはなく、あくまで「料理の仕上がり」で使い分けるべき食材ですね。

体験談|「小麦粉」表記の罠とクッキー失敗談

僕が料理に慣れていない頃、海外のレシピサイトを見てクッキーを作ろうとした時の話です。

そのレシピには、材料としてただ「Flour(小麦粉)」とだけ書かれていました。僕は深く考えず、家にあったパン用の「強力粉」を「小麦粉」として使ってしまいました。

レシピ通りにバターや砂糖と混ぜ、生地をこね(今思えば、この「こねる」が最悪でした)、焼き上げました。完成したのは、クッキーとは似ても似つかない、カチカチでゴムのような食感の「何か」でした。

サクサク感はゼロ。あるのは、噛み切れないほどの強い弾力…。

お菓子作りの「サクサク」は、グルテンの発生をいかに抑えるかにかかっています。だからこそ、タンパク質の少ない「薄力粉」を使い、さらに「ふるう」ことでダマをなくし、「練らない(こねない)」ようにさっくり混ぜる必要があります。

「薄力粉」も「強力粉」も同じ「小麦粉」ですが、その性質は正反対。あのカチカチのクッキー以来、僕は「薄力」と「強力」の使い分けを心に誓いました。

「薄力粉(小麦粉)」に関するよくある質問

最後に、小麦粉の分類に関するよくある疑問にお答えしますね。

Q: 結局、「薄力粉」と「薄力小麦粉」は違うものですか?

A: いいえ、まったく同じものです。「薄力小麦粉」が正式な表記で、「薄力粉」はその一般的な略称(呼び名)です。どちらも、お菓子や天ぷらに適した、タンパク質が少ない小麦粉を指します。

Q: レシピに「小麦粉」とだけ書かれている場合、どれを使えばいいですか?

A: 作る料理によって判断します。クッキーやケーキなどのお菓子、天ぷらの場合は「薄力粉」を指します。パンやピザの場合は「強力粉」を指します。うどんやお好み焼きの場合は「中力粉」または「薄力粉」を指すのが一般的です。

Q: 「天ぷら粉」と「薄力粉」の違いは何ですか?

A: 「天ぷら粉」は、薄力粉をベースに、グルテンの発生を抑えるためのデンプン(コーンスターチなど)や、衣をサクサクにするためのベーキングパウダー、卵粉などが予め配合されている「調整品」です。薄力粉だけで揚げるよりも、失敗なく軽くサクッと揚がるように設計されています。

まとめ|「薄力粉」と「薄力小麦粉」は同じ!重要なのはグルテン

「薄力粉」と「薄力小麦粉」の違い、スッキリ整理できたでしょうか。

この二つは呼び名が違うだけで、全く同じ「タンパク質が少ない小麦粉」を指していました。

本当に重要なのは、「小麦粉」という大きな枠組みの中で、タンパク質(グルテン)の量によって分類される3種類の違いを理解することです。

  • 薄力粉(薄力小麦粉):タンパク質が少ないサクサク・ふんわり → お菓子・天ぷら用
  • 強力粉:タンパク質が多いもちもち・しっかり → パン・ピザ用
  • 中力粉:タンパク質が中間ほどよい弾力 → うどん用

作りたい料理が「サクサク」なのか「もちもち」なのかをイメージして、適切な種類の小麦粉を選ぶことが、料理上達への一番の近道です。

当サイト「違いラボ」では、類似テーマで以下の違いについても紹介しています。

他にも様々な食材・素材の違いについて詳しく解説しています。ぜひ他の記事も参考にしてみてくださいね。

(参考情報:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」)