厚揚げと油揚げの違い!煮物や味噌汁に合うのはどっち?

煮物やお味噌汁、おでんなど、日本の家庭料理に欠かせない「厚揚げ」と「油揚げ」。

どちらも大豆から作られた豆腐の加工品ですが、その違いを正確に説明できますか?

結論から言うと、この二つの決定的な違いは「豆腐の厚さ」と「揚げ方」にあります。

厚揚げは中が豆腐のままですが、油揚げは中まで火が通りスポンジ状になっています。この違いが、食感や最適な料理法を大きく分けているんです。

この記事を読めば、両者の製法から栄養価、そして料理での使い分けまでスッキリ理解でき、もうスーパーの売り場で迷うことはありません。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。

「厚揚げ」と「油揚げ」の違い早わかり比較表

まず、厚揚げと油揚げの最も重要な違いを、以下の表にまとめました。このポイントさえ押さえれば、使い分けは簡単です。

項目厚揚げ油揚げ
別名生揚げ(なまあげ)薄揚げ(うすあげ)
製法厚く切った豆腐を高温で揚げる薄く切った豆腐を二度揚げする(低温→高温)
食感外はカリッと、中は豆腐のまま(ふわふわ)ふんわり、サクッ。中までスポンジ状
味わい豆腐の風味とコクが強い油の香ばしさがあり、だしを良く吸う
油抜き推奨(必須ではないが味が染みやすくなる)ほぼ必須(油臭さを取り、味を染み込ませる)
主な用途食感を活かす料理(煮物、焼き物、炒め物)だしを吸わせる料理(味噌汁、いなり寿司)
カロリー(100g)約143 kcal約374 kcal

最大のポイントは、厚揚げは「厚い豆腐の表面だけを揚げた」もの、油揚げは「薄い豆腐を中まで揚げた」ものという点です。これにより、食感とカロリーが大きく異なります。

「厚揚げ」と「油揚げ」の定義と分類

どちらも「豆腐」を「油で揚げた」もの、つまり「油揚げ類」に分類されますが、その定義は明確に異なります。

【要点】

厚揚げ(生揚げ)は、厚い豆腐を揚げて内部が豆腐の状態を保っているものです。油揚げ(薄揚げ)は、薄い豆腐を揚げて内部までスポンジ状にしたものです。

「厚揚げ」とは?(生揚げ)

厚揚げは、厚く切った豆腐を油で揚げたものです。

その名の通り「厚い」のが特徴で、揚げることで表面のみに香ばしい皮ができ、内部は柔らかい豆腐の食感がそのまま残っています。

内部が「生の豆腐」に近い状態であることから、主に関東地方では「生揚げ(なまあげ)」とも呼ばれます。

「油揚げ」とは?(薄揚げ)

油揚げは、薄く切った豆腐を油で揚げたものです。

関西地方では「薄揚げ(うすあげ)」とも呼ばれる通り、その薄さが特徴です。厚揚げとは異なり、内部までしっかりと火が通り、水分が抜けてスポンジ状になっています。

決定的な違い:製造工程と「厚さ」

この二つの製品の食感を決定づけているのが、製造工程、特に「揚げ方」の違いです。

【要点】

厚揚げは「厚いまま一度揚げ」で中身は豆腐のままです。一方、油揚げは「薄く切って二度揚げ」することで、中まで火を通して膨らませます。

厚揚げの製法(厚いまま揚げる・中身は豆腐)

厚揚げは、まず水切りした豆腐を厚い四角形などにカットします。

それを比較的高温(約170℃〜180℃)の油で一度だけ揚げます

短時間で揚げることで、表面はきつね色に固まり香ばしさが出ますが、内部までは火が通りきらず、豆腐の柔らかさや水分が保たれます。

まさに「外側だけが揚がった、生の豆腐」というわけですね。

油揚げの製法(薄く切り、二度揚げ)

油揚げの製法は、厚揚げよりも複雑です。

  1. まず、豆腐を薄くスライスします。(この時点で厚揚げとは厚さが全く違いますね)
  2. 低温(約110℃〜120℃)の油でじっくりと揚げます。 これにより、豆腐内部の水分が蒸発し、生地が大きく膨らみます。
  3. 高温(約170℃〜180℃)の油に移し、短時間で揚げます。 これにより、表面が色づき、余分な水分が飛んでカリッとした食感が生まれます。

この「二度揚げ」こそが、油揚げを中までスポンジ状にし、独特の食感を生み出す秘密なんです。

味・食感・油抜きの違い

製法が異なるため、食感や味わい、そして調理前の「油抜き」の必要性も変わってきます。

【要点】

厚揚げは豆腐の風味と食感が主役です。油揚げはだしを吸う食感が主役であり、油臭さを取るために「油抜き」がほぼ必須となります。

厚揚げ(食感:外カリ中ふわ、味:豆腐の風味)

厚揚げの最大の魅力は、「外側の香ばしさ」と「内側の豆腐の柔らかさ」のコントラストです。

味わいも、油のコクが加わった豆腐そのものの風味を強く感じられます。

油抜きについては、製造から時間が経っていなければ、油臭さはそれほどありません。油抜きをせずにそのまま焼いたり炒めたりしても美味しく食べられます。ただし、煮物などで味をしっかり染み込ませたい場合は、サッと湯通し(油抜き)すると良いでしょう。

油揚げ(食感:ふんわり・サクッ、味:だしを吸う)

油揚げは、中がスポンジ状になっているため、だしや煮汁をたっぷりと吸い込むのが最大の特徴です。

食感はふんわり、あるいは焼くとサクッとしており、豆腐の風味はあまり残りません。

油揚げは、製造工程で油を多く吸っており、時間が経つと油が酸化して特有の臭み(油臭さ)が出やすいです。そのため、調理前には熱湯をかけるか、短時間ゆでる「油抜き」をすることが強く推奨されます。これにより、油臭さが抜けるだけでなく、余分な油が落ちて味が格段に染み込みやすくなります。

栄養・成分・カロリーの違い

同じ大豆製品ですが、油で揚げる工程と水分量によって栄養価は大きく異なります。

【要点】

同じ重量(100g)で比較した場合、水分が少なく油を多く含む「油揚げ」の方が、「厚揚げ」よりもカロリーや脂質が2.5倍以上高くなります。

文部科学省の「日本食品標準成分表」で100gあたりの数値を比較してみましょう。

項目(100gあたり)厚揚げ(生揚げ)油揚げ
エネルギー143 kcal374 kcal
水分71.7 g16.5 g
たんぱく質10.7 g23.4 g
脂質11.4 g33.1 g
炭水化物0.4 g2.8 g

油揚げは、二度揚げする過程で水分が大幅に抜け(厚揚げの約4分の1)、その分、油を多く吸うため、カロリーと脂質が非常に高くなっています。

一方、厚揚げは内部に豆腐の水分が多く残っているため、比較的低カロリー・低脂質です。

ただし、どちらも大豆由来のたんぱく質やイソフラボンを含む、優れた食品であることに変わりはありません。

料理での使い分け・おすすめレシピ

食感と味の染み込み方が異なるため、料理の目的に合わせて使い分けることが大切です。

【要点】

「豆腐感」と食べ応えが欲しい料理には「厚揚げ」を、だしを「吸わせたい」料理には「油揚げ」を選びましょう。

厚揚げが合う料理(煮物、焼き物など)

豆腐の食感と風味を活かす料理、ボリューム感を出したい料理に最適です。

  • 煮物:大根や鶏肉との煮物、おでんの具材として。
  • 焼き物:フライパンやトースターで表面をカリッと焼き、ネギや生姜醤油で。
  • 炒め物:豚肉や野菜との炒め物(チャンプルーなど)。
  • その他:麻婆豆腐の豆腐の代わりに使ったり、肉詰めにしたりするのも良いですね。

油揚げが合う料理(味噌汁、いなり寿司など)

だしをたっぷり吸わせる料理や、独特の食感をアクセントにしたい料理に向いています。

  • 汁物:味噌汁、うどん・そば(きつねうどん)、お吸い物。
  • ご飯もの:いなり寿司、炊き込みご飯の具。
  • 和え物:ほうれん草などのおひたし。
  • その他:袋状にして具材を詰める「信玄袋」や「巾着煮」など。

価格・入手性・保存方法の違い

価格や入手性については、どちらも日本全国のスーパーマーケットで手軽に入手でき、価格も安価で安定しています。

保存方法については、どちらも基本的には冷蔵保存です。

開封後は、豆腐と同様に傷みやすいため、その日のうちに使い切るのが理想です。使い切れない場合は、密閉容器に入れて冷蔵保存し、1〜2日以内に使い切りましょう。

また、どちらも冷凍保存が可能です。油揚げはそのまま、厚揚げは使いやすい大きさにカットしてからラップに包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。使う際は、凍ったまま煮物や味噌汁に入れるか、油抜きを兼ねて熱湯をかけて解凍すると便利ですよ。

【体験談】煮浸しで比較!味の染み込み方の違い

僕も以前、厚揚げと油揚げの違いを実感するために、同じ煮汁で「煮浸し」を作って比べたことがあります。

まず油揚げですが、油抜きをしてから煮汁に入れると、まさにスポンジのように煮汁を吸い込みました。噛むと、中からジュワ~ッとだしの旨味が溢れ出し、油揚げ自体が「だしの塊」のようになる感覚でしたね。

次に厚揚げです。こちらはサッと油抜きしてから煮汁で煮込みました。表面の揚げた部分には味が染み込みますが、中心部分はあくまでも「豆腐」です。

食べてみると、外側の衣に染みた「だしの味」と、中の「豆腐の風味」が口の中で合わさる感じでした。油揚げのように全体がだしを吸うのではなく、豆腐の味もしっかりと楽しめました。

この経験から、料理の主役として「豆腐感」も味わいたい時は厚揚げ、名脇役として「だしの旨味」を吸わせたい時は油揚げ、と明確に使い分けるようになりました。

「厚揚げ」と「油揚げ」に関するよくある質問

ここでは、「厚揚げ」と「油揚げ」に関するよくある疑問にお答えしますね。

厚揚げと油揚げは代用できますか?

食感や味が全く異なるため、代用はおすすめしません。

例えば、いなり寿司を厚揚げで作ることはできませんし、厚揚げステーキを油揚げで作っても同じ満足感は得られません。それぞれの特性に合った料理に使うのが一番です。

油抜きはどちらも必要ですか?

油揚げは、酸化した油の臭みを取り、味を染み込みやすくするために「ほぼ必須」です。

厚揚げは、油臭さが気にならなければそのままでも使えますが、煮物などで味を染み込ませたい場合は、サッと熱湯をかける(湯通しする)ことをおすすめします。

「生揚げ」と「厚揚げ」は同じものですか?

はい、基本的に同じものを指します。

「生揚げ(なまあげ)」は、中がまだ生の豆腐の状態であることから来た呼び名で、主に関東地方で使われることが多いです。「厚揚げ」は全国的に通じる呼び名ですね。

まとめ:「厚揚げ」「油揚げ」の違いと使い分け

「厚揚げ」と「油揚げ」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

どちらも日本の食文化を支える素晴らしい大豆製品ですが、その個性は全く異なります。

  • 厚揚げ:厚い豆腐を一度揚げ。外は香ばしく、中は豆腐のまま。豆腐の食感と風味を活かす煮物や焼き物に。
  • 油揚げ:薄い豆腐を二度揚げ。中までスポンジ状。だしをたっぷり吸わせる味噌汁やいなり寿司に。

この違いを理解して使い分けるだけで、いつもの料理がもっと美味しくなりますよ。

大豆製品や豆腐の栄養価について、さらに詳しくは農林水産省の食育に関するページなども参考になります。

他にも様々な食材・素材の違いがありますので、ぜひチェックしてみてくださいね。