スーパーの卵売り場で、「Mサイズ」と「Lサイズ」、どちらを買うかいつも迷ってしまう…そんな経験はありませんか？
SSからLLまで、様々なサイズで売られている卵。値段も違うけれど、一体何が決め手となってサイズが変わるのでしょうか。
結論から言うと、卵のサイズの違いは、主に「卵を産む鶏の年齢（日齢）」によって決まります。そして、サイズが違うと「黄身と白身の比率」が変わり、それが料理の仕上がりにも影響を与えるんです。
この記事を読めば、卵のサイズごとの正確な重さ、栄養価や味の違い、そして料理ごとに最適なサイズの選び方まで、スッキリと理解できます。もう卵選びで迷うことはありません。
それではまず、サイズごとの違いが一目でわかる比較表から見ていきましょう。
結論｜卵のサイズ（SS・S・M・L・LL）の違いが一目でわかる比較表
卵のサイズの違いは、主に「鶏の年齢（日齢）」によって生まれます。農林水産省の規格でSS〜LLまでの6段階に分けられており、若い鶏ほど小さな卵を、成長するにつれて大きな卵を産みます。サイズによる栄養価の差はほぼありませんが、小さい卵（Sなど）は黄身の比率が高く、大きい卵（Lなど）は白身の比率が高いという特徴があります。
卵のサイズは重量によって厳密に区分されています。それぞれの特徴を一覧表で比較してみましょう。
| サイズ | 重量（1個あたり） | 主な特徴（鶏の年齢） | 黄身の比率 | 白身の比率 |
|---|---|---|---|---|
| LL | 70g以上 76g未満 | 日齢を重ねた鶏 | 低い | 高い |
| L | 64g以上 70g未満 | 日齢を重ねた鶏 | ↓ | ↑ |
| M | 58g以上 64g未満 | 標準的（レシピの基準） | 標準 | 標準 |
| MS | 52g以上 58g未満 | 比較的若い鶏 | ↓ | ↑ |
| S | 46g以上 52g未満 | 若い鶏 | 高い | 低い |
| SS | 40g以上 46g未満 | 若い鶏 | 非常に高い | 低い |
卵のサイズ規格とは？SSからLLまでの重量の違い
卵のサイズは、農林水産省の「鶏卵規格取引要綱」に基づき、SS・S・MS・M・L・LLの6段階に分けられています。これは見た目の大きさではなく、パック詰めする際の「重量」で区分されています。
私たちが普段スーパーなどで目にする卵のサイズは、どのように決められているのでしょうか。
農林水産省による6段階の重量区分
卵のサイズは、農林水産省が定めた「鶏卵規格取引要綱」に基づいて、1個あたりの重量（殻を含む）で厳密に分類されています。
パックに「Mサイズ」と表示するには、58g以上64g未満の卵を集めなければならない、というルールですね。
- LLサイズ：70g以上 76g未満
- Lサイズ：64g以上 70g未満
- Mサイズ：58g以上 64g未満
- MSサイズ：52g以上 58g未満
- Sサイズ：46g以上 52g未満
- SSサイズ：40g以上 46g未満
スーパーで最も多く流通しているのは、MサイズとLサイズですね。
なぜ卵のサイズが変わるのか？鶏の年齢（日齢）との関係
「鶏の種類や大きさが違うから、卵のサイズも違うのでは？」と思うかもしれませんが、実は最も大きな要因は「鶏の年齢（日齢）」です。
人間と同じように、鶏も成長します。
- 若い鶏（産卵開始初期）：産み始めは体がまだ小さいため、SSサイズやSサイズといった小ぶりな卵を産みます。
- 成長した鶏（日齢を経る）：鶏が成長して体が大きくなるにつれて、産む卵もM、L、LLとだんだん大きくなっていきます。
つまり、卵のサイズの違いは、鶏の品種や健康状態の違いというよりは、主に鶏の成長（年齢）の違いによって生まれているのです。
サイズによる味・栄養価・黄身と白身の比率の違い
サイズが違っても、卵に含まれる栄養素の割合はほとんど変わりません。しかし、小さい卵（S・SS）ほど黄身の比率が高く、大きい卵（L・LL）ほど白身の比率が高くなります。この比率の違いが、味の感じ方や料理の適性につながります。
「大きい卵（L）の方が、小さい卵（S）より栄養がありそう」と感じるかもしれませんが、実はそうではありません。サイズによる違いを詳しく見ていきましょう。
栄養価はサイズによらずほぼ同じ
卵のサイズが違っても、含まれている栄養素の「割合」は、どのサイズでもほぼ同じです。
もちろん、LLサイズの卵1個とSSサイズの卵1個を比べれば、総量が多いLLサイズの方がタンパク質やビタミンの「絶対量」は多くなります。しかし、100gあたりで比較した場合の栄養価に、サイズによる大きな差はないとされています。
味の違いは「黄身と白身の比率」から
栄養価は同じでも、「味」の感じ方には違いが出ることがあります。その秘密は「黄身（卵黄）と白身（卵白）の比率」にあります。
卵が大きくなる（S→LL）時、黄身と白身は同じ割合で大きくなるわけではありません。黄身の大きさは比較的ゆるやかにしか変わりませんが、白身の量（水分）が大きく増えていきます。
- 小さい卵（S・SSサイズ）：全体に占める黄身の割合が高い。
- 大きい卵（L・LLサイズ）：全体に占める白身の割合が高い。
卵の味の濃さやコクは、主に脂質や旨味成分が豊富な黄身によって感じられます。そのため、Sサイズのように黄身の比率が高い卵は、味が濃く、濃厚に感じられることがあるのです。
逆に、Lサイズは白身が多いため、Sサイズと比べるとあっさりとした味わいに感じられるかもしれません。
料理での最適な使い分け｜レシピの基準はMサイズ
料理レシピで単に「卵1個」とある場合、一般的に「Mサイズ」（約60g）を基準にしています。味の濃厚さを出したいゆで卵や卵かけご飯には黄身の比率が高いSサイズ、卵白を泡立てるお菓子作り（メレンゲなど）には白身が多いL・LLサイズが向いています。
黄身と白身の比率が違うということは、料理の仕上がりにも影響が出ます。一般的な料理レシピでは、特に指定がない場合「Mサイズ」（殻付きで約60g、中身で約50g）を基準にしていることが多いです。
黄身の味を活かす料理（S・Mサイズ向き）
黄身の比率が高く、味が濃厚に感じられるSサイズやMサイズは、卵そのものの味をダイレクトに楽しむ料理に向いています。
- ゆで卵、半熟卵
- 卵かけご飯（TKG）
- 目玉焼き
- すき焼き（つける卵）
- カルボナーラ（卵黄のみを使う場合など）
卵白（白身）を多く使う料理（L・LLサイズ向き）
白身の比率が高いLサイズやLLサイズは、卵白の特性（泡立ちやすさ、固まりやすさ）を活かす料理や、全体のボリュームを出したい時に便利です。
- お菓子作り（メレンゲ、シフォンケーキ、マカロンなど）
- 茶碗蒸し（白身が多いと滑らかに固まりやすい）
- 天津飯、かに玉（ボリューム感が出やすい）
- オムレツ
レシピがMサイズ基準の場合、Lサイズを使うと卵白（水分）が多すぎて生地がゆるくなったり、逆にSサイズを使うと水分が足りず固くなったりすることがあるため、調整が必要です。
価格の違いと賢い選び方
価格は一般的に大きいサイズ（L、LL）ほど高く、小さいサイズ（S、SS）ほど安い傾向があります。ただし、Mサイズは需要が高く基準となるため、Lサイズの方がグラム単価で安くなることもあります。SやMSは特売の対象になりやすいです。
卵の価格は、基本的にはサイズが大きいほど高く設定されています。LLサイズが最も高く、SSサイズが最も安いのが一般的です。
ただし、最も流通量が多く需要も高いMサイズが価格の基準となることが多く、Lサイズの方がMサイズよりも割高に感じられることもあります。
一方で、SサイズやMSサイズは、若い鶏が産むため供給量が安定しにくいことなどから、特売（セール）の対象になることも多いです。
賢い選び方：
「いつもMサイズを買う」と決めてしまうのではなく、その日の用途と価格を見比べて選ぶのが賢い選び方です。
- グラム単価（コストパフォーマンス）で選ぶ：MサイズとLサイズ、どちらが1gあたり安いかを計算してみる。
- 用途で選ぶ：お菓子作りで白身がたくさん必要な日はLサイズを、卵かけご飯用にSサイズを、と使い分ける。
【体験談】Lサイズの卵でシフォンケーキ作りに失敗した理由
僕も以前は「卵なんてどれも同じだろう」と、サイズを気にせず使っていました。
ある週末、シフォンケーキを焼こうと思い立ち、レシピを見ました。そこには「卵（Mサイズ） 4個」とありました。しかし、その日たまたま特売だったLサイズの卵しか冷蔵庫になかったのです。
「まあ、大きい分には問題ないだろう」と、Mサイズ4個の代わりにLサイズ4個を使って生地を作りました。その時、すでに生地がいつもより「水っぽい」気はしていました。
結果は大失敗。オーブンの中では膨らんだものの、取り出した途端にしぼんでしまい、底上げしたベチャッとした食感の、シフォンケーキとは呼べないものが出来上がりました。
後で調べてわかったのですが、LサイズはMサイズよりも卵白（水分）の比率が非常に高いのです。Mサイズ4個分のレシピに対してLサイズ4個を使ったことで、生地の水分量が大幅に増え、メレンゲの泡も弱くなり、結果として膨らみを支えきれずに失敗したのでした。
この失敗から、卵のサイズは「黄身と白身のバランス」が全く違うことを痛感しました。それ以来、お菓子作りの時は必ずレシピ指定のサイズを守るか、Lサイズしか無い場合は個数を減らしたり、他の水分量を調整したりするようになりましたね。
卵のサイズに関するよくある質問
Q1. 卵のサイズで一番お得なのはどれですか？
A1. 一概には言えませんが、Mサイズが価格の基準となることが多いため、Lサイズの方がグラム単価（重さあたり）で比較するとお得になる場合があります。また、SサイズやMSサイズが特売で安くなっている場合は、黄身の味を濃厚に楽しみたい（TKGやゆで卵）用途であれば、非常にお得と言えるでしょう。
Q2. 鶏の体が大きいと、卵も大きいのですか？
A2. 鶏の体の大きさよりも、「鶏の年齢（日齢）」がサイズに大きく関係します。産卵を開始したばかりの若い鶏はSサイズなどの小さな卵を産み、鶏が成長するにつれて卵のサイズも大きくなっていきます。
Q3. レシピに「卵1個」とだけ書いてあったら、どのサイズを使えばいいですか？
A3. 料理やお菓子のレシピで、特にサイズの指定がなく「卵1個」と書かれている場合は、一般的に「Mサイズ」（殻付き約60g、中身約50g）を指すのが通例です。LサイズやSサイズを使うと、水分量や黄身の比率が変わり、仕上がりに影響が出ることがあるので注意しましょう。
まとめ｜卵のサイズは「黄身の比率」と「用途」で使い分けよう
卵のSS・S・M・L・LLというサイズの違いは、鶏の年齢（日齢）によって生まれる重量の違いでした。
重要なポイントは、栄養価はほぼ同じでも、黄身と白身の比率が異なることです。
- S・SSサイズ（小さい卵）：黄身の比率が高く、味が濃く感じられる。ゆで卵や卵かけご飯に最適。
- L・LLサイズ（大きい卵）：白身の比率が高く、ボリュームがある。メレンゲなどお菓子作りや茶碗蒸しに最適。
- M・MSサイズ：バランスが良く、レシピの基準。あらゆる料理に万能。
これからは、「いつもMサイズ」と決めてしまうのではなく、その日の料理の目的や価格を見比べて、最適なサイズの卵を選んでみてください。
卵は私たちにとって最も身近な食材・素材の一つです。その小さな違いを知るだけで、毎日の食事がもっと豊かになるはずですよ。