チーズ売り場で、おなじみの赤い玉の「エダムチーズ」と、粉チーズの代名詞でもある「パルメザンチーズ」。
どちらも世界的に有名なチーズですが、いざ料理に使おうとすると「どう使い分けるのが正解?」と迷ってしまうことはありませんか。
見た目も硬さも全く異なりますが、実はこの二つ、チーズの分類(硬さ)と熟成期間、そして「旨味」の種類が決定的に違います。
この記事を読めば、それぞれの厳密な定義、オランダとイタリアという産地の違い、そして風味を最大限に活かす料理法まで、スッキリと理解できます。
もうお店でどちらのチーズを選ぶか迷わなくなりますよ。それでは、詳しく見ていきましょう。
結論|エダムチーズとパルメザンチーズの違いを一覧表で比較
最大の違いは「エダムチーズ」がオランダ産の「セミハードタイプ」で、マイルドな風味と溶けやすさが特徴であるのに対し、「パルメザンチーズ」はイタリア発祥の「ハードタイプ」で、長期熟成による強い旨味(アミノ酸)と香りが特徴である点です。
まずは、この二つのチーズの最も重要な違いを一覧表で比較します。
| 項目 | エダムチーズ | パルメザンチーズ |
|---|---|---|
| 主な産地 | オランダ(エダム地方) | イタリア(パルマ地方など) |
| チーズタイプ | セミハードタイプ | ハードタイプ(超硬質) |
| 原材料 | 牛乳(脱脂乳を使うことも) | 牛乳 |
| 熟成期間 | 比較的短い(数ヶ月〜1年程度) | 非常に長い(最低12ヶ月〜数年) |
| 味・風味 | マイルド、クリーミー、クセが少ない。熟成するとコクが出る。 | 旨味が非常に強い(アミノ酸)、芳醇な香り、ナッツ風味。 |
| 食感 | しっとり、弾力がある | 非常に硬い、もろい、ジャリジャリ感(アミノ酸の結晶) |
| 見た目 | 赤いワックスで覆われた球形 | 巨大な円盤状。切り出して販売。 |
| 主な用途 | 生食(スライス)、サンドイッチ、フォンデュ | すりおろし(粉チーズ)、パスタ、リゾット、おつまみ |
| 価格帯 | 比較的安価 | 高価(特に長期熟成品) |
エダムとパルメザン:産地・熟成・定義の根本的な違い
エダムチーズはオランダ・エダム地方発祥のセミハードチーズです。一方、「パルメザン」はイタリアの「パルミジャーノ・レッジャーノ」を模したハードチーズの総称です。本物のパルミジャーノ・レッジャーノはDOP認証を受け、最低12ヶ月の長期熟成が義務付けられています。
この二つのチーズ、実は「格」が少し異なります。その背景にある定義と産地を見てみましょう。
エダムチーズ(オランダ産・セミハード)とは?
エダムチーズは、オランダの北ホラント州にあるエダムという町が発祥のチーズです。ゴーダチーズと並ぶオランダの代表的なチーズですね。
分類は「セミハードタイプ」。牛乳(脱脂乳が使われることも多い)から作られ、熟成期間は数ヶ月から1年程度と比較的身近な存在です。
最大の特徴は、輸出用に赤いワックス(蝋)で球形にコーティングされていることです。この赤い玉の見た目で覚えている人も多いでしょう。(オランダ国内向けには黄色いワックスが使われることもあります)。
パルメザンチーズ(イタリア産・ハード)とは?
「パルメザンチーズ」という言葉は、実は非常に広義です。一般的には「パスタにかけるあの粉チーズ」の総称として使われていますよね。
このチーズの元祖であり、本物とされるのが、イタリアの「パルミジャーノ・レッジャーノ(Parmigiano-Reggiano)」です。
これはイタリアの特定地域(パルマ、レッジョ・エミリアなど)で、厳格な製法基準を守って作られる「ハードタイプ」チーズの王様とも呼ばれます。EUの原産地呼称保護(DOP)認証を受けており、最低でも12ヶ月、通常は24ヶ月や36ヶ月といった長期熟成を経て出荷されます。
つまり、「パルミジャーノ・レッジャーノ」は厳格な基準をクリアした最高級品であり、「パルメザンチーズ」はそのスタイルを模して作られた(アメリカなどで作られる粉チーズ製品なども含む)一般的な呼称、という関係性になります。
味・香り・食感・製法の違い
エダムは熟成が短いため、しっとりとしてマイルドな味わいです。パルメザンは長期熟成により水分が抜け、アミノ酸が凝縮されるため、非常に硬く、噛むと「旨味の結晶(ジャリジャリ感)」を感じるほど濃厚な風味が特徴です。
熟成期間の違いは、味と食感に最も大きな影響を与えます。
エダムチーズは、熟成が若いうちはしっとりとした弾力があり、非常にマイルドでクリーミー、クセのない味わいです。ほのかな酸味と塩味があり、誰にでも食べやすいのが特徴です。熟成が進む(1年以上)と、水分が抜けて硬くなり、風味もナッツのように香ばしくなります。
パルメザンチーズ(パルミジャーノ・レッジャーノ)は、最低でも1年以上の長期熟成が必須です。この間に水分が極限まで抜け、組織は非常に硬く、もろくなります。
最大の特徴は、圧倒的な「旨味」です。熟成過程でたんぱく質がアミノ酸に分解され、旨味成分の結晶(チロシン)が生まれます。食べた時に感じるシャリシャリ、ジャリジャリとした食感、あれこそが旨味の塊なんです。
香りは芳醇で、ナッツやフルーツのような複雑な香りがします。
栄養価・カロリー・価格の違い
パルメザンは水分が少なく栄養素が凝縮されているため、100gあたりの脂質、カロリー、塩分はエダムより高くなる傾向があります。価格も、希少で手間のかかる長期熟成が必要なパルメザンチーズの方が高価です。
どちらも牛乳を主原料とするため、たんぱく質やカルシウムが豊富です。
栄養価・カロリー:
パルメザンチーズは長期熟成で水分が非常に少ないため、100gあたりの栄養素が凝縮されています。その分、脂質やカロリー、塩分もエダムチーズ(セミハード)に比べると高くなる傾向があります。
価格:
価格は、製造にかかる手間と熟成期間が大きく影響します。エダムチーズは比較的安価で、日常的に購入しやすい価格帯です。
一方、パルメザンチーズ(特にDOP認証のパルミジャーノ・レッジャーノ)は、最低12ヶ月という長い熟成期間と厳格な管理が必要なため、価格は非常に高価になります。熟成期間が3年、5年と長くなるほど、希少価値も価格も上がっていきます。
料理での使い分け:最適な用途の違い
エダムチーズは、マイルドな風味と溶けやすさを活かし、スライスしてそのまま食べたり、サンドイッチやチーズフォンデュに使うのが最適です。パルメザンチーズは、「旨味の調味料」として、すりおろしてパスタやリゾットの仕上げに使うのが本領発揮です。
それぞれの個性を活かすことで、料理は格段に美味しくなります。
エダムチーズが向いている料理(テーブルチーズ・チーズフォンデュ)
マイルドでクセがなく、しっとりとしたエダムチーズは、「チーズそのもの」の食感や風味を楽しむ料理に向いています。
- テーブルチーズ(生食):スライスしてそのままおつまみに。クラッカーやフルーツ(リンゴなど)と相性抜群です。
- サンドイッチ・ハンバーガー:加熱しなくても美味しく、適度な塩味とコクを加えます。
- チーズフォンデュ・チーズソース:溶けやすく、クセがないため、フォンデュやソースのベースとしても使いやすいです。
ちなみに、あの赤いワックスは食べられませんので、必ず取り除いてくださいね。
パルメザンチーズが向いている料理(粉チーズ・パスタ・リゾット)
旨味と香りが非常に強いパルメザнズは、もはや食材というよりも「旨味調味料」として使うのが最適です。
- すりおろし(粉チーズ):これ以上の使い方はありません。パスタ(カルボナーラ、ミートソース)、リゾット、ミネストローネなどの仕上げに振りかけるだけで、一気にプロの味になります。
- おつまみ:塊を小さく砕き、バルサミコ酢やハチミツを垂らすだけで、高級なおつまみになります。
- シーザーサラダ:スライス(削り節状)にしてサラダのトッピングにすると、食感と旨味のアクセントになります。
体験談|パルメザンチーズを塊で買って変わった食卓
僕も昔は、パスタにかける粉チーズといえば、緑色の筒に入った製品しか知りませんでした。それはそれで便利で美味しかったのですが、ある時、イタリアンレストランで食べたカルボナーラが衝撃的だったんです。
シェフが目の前で塊のチーズをすりおろしてかけてくれたのですが、その瞬間に立ち上る芳醇な香りと、食べた時の圧倒的な旨味。「いつも家で食べている粉チーズと、名前は同じでも全くの別物だ!」と感動しました。
その帰り、思い切ってデパ地下で「パルミジャーノ・レッジャーノ」の小さな塊を買ってみました。
家で市販のミートソースパスタを作り、最後におろし金でパルミジャーノを振りかけた瞬間、あの日レストランで嗅いだ香りそのものが広がりました。食べてみると、いつものパスタが、嘘みたいに濃厚で深い味わいに変わったんです。
あの独特の「ジャリジャリ感」が旨味の結晶だと知ったのは、もう少し後のことですが、この体験から「パルメザンは調味料なんだ」と強く認識しました。エダムチーズをサンドイッチに挟んで「食感」を楽しむのとは、全く違う役割があるんですね。それ以来、我が家ではパルメザンチーズの塊が欠かせなくなりました。
エダムチーズとパルメザンチーズに関するよくある質問(FAQ)
質問1:エダムチーズの赤いワックス(皮)は食べられますか?
いいえ、食べられません。あれはチーズを保護し、乾燥を防ぐためのワックス(蝋)です。必ず取り除いてから食べてくださいね。熟成期間が長いエダムには、黒いワックスが使われることもあります。
質問2:「パルメザンチーズ」と「パルミジャーノ・レッジャーノ」は同じものですか?
厳密には違います。「パルミジャーノ・レッジャーノ」は、イタリアの法律(DOP認証)で定められた地域・製法・熟成期間を守って作られた本物のチーズを指します。一方、「パルメザンチーズ」は、それを模して作られたハードチーズ全般(特に北米産の粉チーズなど)を指す一般的な名称として使われることが多いです。
質問3:ゴーダチーズとエダムチーズの違いは何ですか?
どちらもオランダを代表するセミハードチーズですが、違いはありますよ。一般的に、ゴーダチーズの方が乳脂肪分が高く、よりクリーミーで濃厚な味わいです。エダムチーズは(特に脱脂乳を使った場合)ゴーダよりもあっさりしていて、マイルドな風味が特徴とされています。
まとめ|エダムチーズとパルメザンチーズ、目的別おすすめの選び方
「エダムチーズ」と「パルメザンチーズ」の違い、明確になりましたでしょうか。
オランダのマイルドな「エダム」と、イタリアの濃厚な旨味の「パルメザン」。二つは全く異なる個性を持つチーズです。
最後に、あなたがどちらを選ぶべきか、目的別にまとめます。
- エダムチーズを選ぶべき人
スライスしてそのまま食べたい人。サンドイッチや朝食用のチーズが欲しい人。クセのないマイルドな味が好みの人。チーズフォンデュなどで手軽に溶かしたい人。 - パルメザンチーズを選ぶべき人
パスタやリゾットの「仕上げの旨味」が欲しい人。「粉チーズ」にこだわりたい人。塊を砕いて、ワインのお供(おつまみ)として濃厚な旨味を楽しみたい人。
どちらも素晴らしいチーズです。ぜひシーンに合わせて使い分けて、豊かなチーズライフを楽しんでくださいね。
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