デキストリンと難消化性デキストリンの違い!「とろみ」と「食物繊維」の秘密

「デキストリン」と「難消化性デキストリン」、名前がとてもよく似ていますが、この二つが全く異なる役割を持っていることをご存知ですか?

どちらもトウモロコシなどのデンプンから作られますが、その性質と用途は大きく異なります。片方は食品にとろみや安定性を与える「糖質」であり、もう片方は健康機能が注目される「食物繊維」です。

結論から言うと、大きな違いは「消化されるかどうか」です。通常のデキストリンは消化酵素で分解されエネルギー源になりますが、難消化性デキストリンは消化されにくく、食物繊維としての働きを持ちます。

この記事を読めば、二つのデキストリンの明確な違いから、具体的な用途、健康への影響までスッキリと理解できます。食品の裏側を見る目が変わるかもしれませんよ。

それではまず、二つの違いが一目でわかる比較表から見ていきましょう。

結論|デキストリンと難消化性デキストリンの違いが一目でわかる比較表

【要点】

「デキストリン」と「難消化性デキストリン」の最大の違いは「消化性」です。通常のデキストリンは消化・吸収される「糖質(炭水化物)」であり、食品の粘度調整や粉末化の基材として使われます。一方、難消化性デキストリンは消化・吸収されにくい「水溶性食物繊維」として働き、食後の血糖値上昇抑制などの機能性表示食品(トクホなど)に利用されます。

どちらも原料はデンプンですが、製造工程と体への作用が全く異なります。

項目デキストリン(消化性)難消化性デキストリン
分類食品(炭水化物・糖質)食品(水溶性食物繊維)
消化性消化・吸収される(エネルギー源になる)消化・吸収されにくい(大腸まで届く)
主な製造方法デンプンを加熱・酵素分解デンプンを焙焼・酵素分解(消化しにくい結合を増やす)
主な目的・用途食品の粘度調整(とろみ)、粉末化基材、安定剤食物繊維の補給、機能性表示(トクホなど)
主な機能(健康面)エネルギー補給①食後の血糖値上昇抑制
②食後の血中中性脂肪上昇抑制
③整腸作用(便通改善)
主な使用食品例粉末スープ、インスタント飲料、錠剤、タレ類特定保健用食品(トクホ)のお茶、炭酸飲料、健康食品

デキストリンと難消化性デキストリンとは?定義と製造方法の違い

【要点】

どちらもトウモロコシやジャガイモのデンプンを原料として作られる「食品」です。「デキストリン」はデンプンを小さく分解し、水に溶けやすくしたものです。「難消化性デキストリン」は、さらに特殊な処理を加え、消化酵素では分解されにくい「食物繊維」としての性質を強めたものを指します。

名前が似ている通り、この二つは「親戚」のような関係ですが、その「性格(=性質)」は大きく異なります。

デキストリン:消化される「炭水化物(糖質)」

「デキストリン(Dextrin)」とは、トウモロコシやジャガイモ、タピオカなどに含まれるデンプンを、アミラーゼという酵素や酸で分解(加水分解)して作られる炭水化物(糖質)の一種です。

デンプンはブドウ糖(グルコース)がたくさん繋がったものですが、デキストリンはそれよりも分子が小さくなっています。デンプンと砂糖の中間のようなイメージですね。

デンプンよりも水に溶けやすく、程よい粘性(とろみ)を持つため、様々な加工食品の品質を安定させるために利用されます。体内で消化酵素によって分解され、エネルギー源となります。

難消化性デキストリン:消化されにくい「水溶性食物繊維」

一方、「難消化性デキストリン(Indigestible Dextrin)」は、その名の通り「消化しにくい(難消化性)」デキストリンです。

製造工程はさらに複雑です。焙焼(高温で焼く)したデンプンに酵素を作用させ、あえて人間の消化酵素では分解されにくい結合(α-1,6結合など)を増やし、消化されやすい部分を取り除いて作られます。

その結果、摂取しても小腸で消化・吸収されにくく、大腸まで届く「水溶性食物繊維」としての性質を持ちます。この性質が、様々な健康機能をもたらすことが分かっています。

役割と特性の違い|「とろみ付け」と「健康機能」

【要点】

デキストリンは「食品の物性を変える」役割を担います。とろみを付けたり、粉末を水に溶けやすくしたり、味のバランスを整えたりします。一方、難消化性デキストリンは「体の調子を整える」役割を担い、特定保健用食品(トクホ)などの関与成分として健康価値を付与します。

二つの最大の違いは、食品に添加される「目的」にあります。

デキストリンの主な特性と用途

通常のデキストリンは、食品の「食感」や「安定性」を向上させるために使われます。

  • 粘度調整:ソースやタレ、スープ類に程よい「とろみ」を付けます。
  • 粉末化基材:粉末スープやインスタントコーヒー、粉薬などがダマにならず、水やお湯にサッと溶けるようにするために使われます。
  • 安定剤・増量剤:食品の分離を防いだり、風味を安定させたり、錠剤(サプリメントなど)の形を保つためのかさ増し(賦形剤)として使われます。
  • 風味調整:甘味が少ないため、食品本来の風味を邪魔せずにコクやボディ感を足す目的でも使われます。

難消化性デキストリンの主な特性と機能性

難消化性デキストリンは、その健康機能を目的に「食物繊維」として添加されます。

消費者庁に多くの研究データが提出されており、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品の関与成分として、以下の3つの機能が認められています。

  1. 食後の血糖値の上昇をおだやかにする:小腸での糖の吸収を遅らせる働きがあります。
  2. 食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにする:脂肪の吸収を遅らせる働きがあります。
  3. おなかの調子を整える(便通を改善する):大腸まで届き、ビフィズス菌などの善玉菌のエサとなり、腸内環境を改善します。

どちらも「食品添加物」ではなく、「食品(食品素材)」に分類されます。

栄養・成分・健康面の違い

【要点】

栄養学上、デキストリンは「糖質」に分類され、1gあたり約4kcalのエネルギーを持ちます。一方、難消化性デキストリンは「食物繊維」に分類され、エネルギーは1gあたり約1kcalと低カロリーです。

栄養成分表示を見ると、二つの違いは明確です。

デキストリン(消化性)は、栄養成分表示では「炭水化物」の中の「糖質」に分類されます。エネルギー(カロリー)も、砂糖やデンプンと同じく、1gあたり約4kcalとして計算されます。

難消化性デキストリンは、栄養成分表示では「炭水化物」の中の「食物繊維」に分類されます。消化されにくいため、エネルギーは1gあたり約1kcal(諸説あり)と非常に低カロリーです。

健康への影響も正反対です。デキストリンは消化されて血糖値を上げますが、難消化性デキストリンは血糖値の上昇を「おだやかに」します。

料理・食品での具体的な使われ方の違い

【要点】

デキストリンは、粉末スープやインスタントコーヒー、タレ、ドレッシングなど、食感や溶けやすさを調整する「縁の下の力持ち」として広く使われています。難消化性デキストリンは、「食物繊維たっぷり」や「特保」を謳うお茶、炭酸飲料、ゼリーなどに添加されます。

皆さんの身近にある食品にも、この二つは使い分けられています。

デキストリンが使われる食品例

「とろみ」「溶けやすさ」「安定性」が求められる、あらゆる加工食品に使われています。

  • 粉末スープ、粉末だし
  • インスタントコーヒー、粉末ココア
  • ドレッシング、ソース、タレ類
  • 錠剤タイプのサプリメント(賦形剤として)
  • スナック菓子(食感改良)

難消化性デキストリンが使われる食品例

「食物繊維」の健康価値を付与したい食品に使われます。パッケージに「トクホ」や「機能性表示食品」と書かれていることが多いですね。

  • トクホや機能性表示食品のお茶、コーヒー
  • トクホの炭酸飲料
  • 食物繊維入りゼリー、ヨーグルト
  • 健康志向のシリアル、クッキー

価格・入手性・安全性の違い

【要点】

通常のデキストリンは食品素材として安価で、主に業務用として流通しています。難消化性デキストリンは、健康機能を持つ素材として付加価値が高く、個人向けにも「食物繊維パウダー」として販売されており、価格はデキストリンより高価です。どちらも適切に摂取する限り、安全性に問題はありません。

入手性と価格:
通常のデキストリンは、食品メーカー向けの原料として大袋で取引されるのが主で、個人がスーパーなどで購入することは稀です。業務用としては非常に安価です。

一方、難消化性デキストリンは、その健康機能から付加価値が高く、デキストリンよりも高価です。最近では、個人向けにも「水溶性食物繊維パウダー」としてドラッグストアやインターネット通販で広く販売されています。

安全性:
どちらもデンプンから作られた「食品」であり、適切に摂取する上での安全性は確立されています。ただし、難消化性デキストリンは食物繊維であるため、一度に大量に摂取するとお腹が緩くなる(下痢をする)ことがあります。パッケージに記載されている一日摂取目安量を守ることが大切です。

【体験談】粉末スープと特保のお茶、「デキストリン」の正体

僕がこの二つの違いに明確に気づいたのは、食品の原材料表示を見比べるようになってからです。

ある日、大好きな粉末コーンスープの素の袋を裏返すと、原材料名の先頭近くに「デキストリン」とありました。「これが、あのお湯を注いだ時のとろみと、粉っぽさがなくサッと溶ける秘密なんだな」と納得しました。

その直後、食後の血糖値が気になって手に取った「特保(トクホ)のお茶」のペットボトルにも、原材料名に「難消化性デキストリン(食物繊維として)」と書かれていました。

「あれ?どっちもデキストリン?でも、片方はとろみ(糖質)で、片方は食物繊維?」

その時はじめて、名前に「難消化性」と付くだけで、役割が全く逆になることに衝撃を受けました。粉末スープのデキストリンは、言わば「食品をおいしく仕上げる技術」のデキストリン。特保のお茶のデキストリンは、「体に働きかける機能」のデキストリン。

同じ「デンプン」という原料から、ここまで性質の違うものが作られる食品化学の奥深さを感じた瞬間でしたね。それ以来、原材料表示を見るのが一層楽しくなりました。

デキストリンと難消化性デキストリンに関するよくある質問

Q1. デキストリンは太りますか?

A1. 一般的な「デキストリン」は消化されて糖質(1gあたり約4kcal)となるため、エネルギー源になります。そのため、摂り過ぎれば太る原因の一つにはなります。一方、「難消化性デキストリン」は消化されにくい食物繊維(1gあたり約1kcal)であり、むしろ食後の血糖値や中性脂肪の上昇を抑える働きが報告されています。

Q2. デキストリンは食品添加物ですか?

A2. いいえ、どちらも食品添加物ではなく「食品」に分類されます。デキストリンは「糖質(炭水化物)」、難消化性デキストリンは「食物繊維」として扱われます。

Q3. 難消化性デキストリンに危険性や副作用はありますか?

A3. 適切に摂取する限り、安全性に問題はありません。ただし、水溶性食物繊維であるため、体質や体調によって、一度に大量に摂取するとお腹が緩くなる(下痢や軟便)可能性があります。製品に記載されている摂取目安量を守ることが大切です。

まとめ|デキストリンと難消化性デキストリン、目的に応じた正しい理解を

「デキストリン」と「難消化性デキストリン」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

この二つの最大の違いは「消化されるかどうか」です。

  • デキストリン(消化性)
    「糖質」。食品に「とろみ」や「溶けやすさ」を与える縁の下の力持ち。粉末スープやタレに使われる。
  • 難消化性デキストリン
    「食物繊維」。消化されにくく、体に「健康機能」をもたらす。トクホ飲料や健康食品に使われる。

名前は似ていますが、役割は全く異なります。食品の原材料表示を見るときに、この違いを知っていると、その食品がどのような目的で作られているかが見えてきますね。

食品の成分について正しく知ることは、健康的な食生活を送るための第一歩です。農林水産省の食育に関するページなども参考にしながら、様々な食材・素材への理解を深めていきましょう。