トマト缶とトマトジュースの違いとは?JAS規格、製法、使い方を徹底比較

トマト煮込みやパスタソースを作るとき、「トマト缶」の代わりに「トマトジュース」を使ってもいいのかな?と迷ったことはありませんか。

どちらも同じトマトからできていますが、実はこの二つ、「JAS規格(日本農林規格)」での定義が全く異なる、別物の加工品なんです。

「トマト缶」は料理用の「固形トマトのジュース漬け」であり、「トマトジュース」はそのまま飲む「飲料」です。この違いを知らないで代用すると、味が決まらなかったり、水っぽくなったりする原因になります。

この記事を読めば、それぞれの製法、味付け、そして料理に使う際の決定的な違いがスッキリと理解できます。

それでは、詳しく見ていきましょう。

結論|トマト缶とトマトジュースの違いを一覧表で比較

【要点】

最大の違いは、「トマト缶」が料理用の「固形トマト(ホール/カット)+トマトジュース」である(JAS規格:トマト・ジュースづけ)のに対し、「トマトジュース」は「飲料用」(JAS規格:トマトジュース)である点です。トマト缶はトマトの果肉感が主役ですが、飲料のジュースは果肉が少なく(または除去され)、そのまま飲めるように味が調整されています。

まずは、「トマト缶(ホール/カット)」と「トマトジュース(飲料)」の主な違いを一覧表にまとめました。

項目トマト缶(ホール/カット)トマトジュース(飲料)
主な用途料理用(煮込み、ソース)飲料用(そのまま飲む)
JAS規格上の名称トマト・ジュースづけトマトジュース
主な中身固形のトマト + トマトジュース液体(トマトジュース)
果肉感非常に多い(固形物がメイン)少ない(または、ない)
濃さ(可溶性固形分)4.0%以上4.5%以上8.0%未満
主な添加物クエン酸(酸味調整)、食塩食塩(無添加もあり)、香辛料、レモン果汁
味わいトマト本来の酸味と風味飲みやすく調整された味(塩味、甘み)
価格帯比較的安価(1缶100円〜)容量による(紙パック、缶など)

「トマト缶」と「トマトジュース」:定義とJAS規格の違い

【要点】

JAS規格において、トマト缶(ホール/カット)は「トマト・ジュースづけ」という固形物を含む分類です。一方、トマトジュースは「トマトジュース」という飲料の分類であり、製法も基準も全く異なります。

この二つは、農林水産省が定めるJAS規格(日本農林規格)において、全く別のカテゴリーに分類されています。

トマト缶(ホール/カット)とは?(JAS規格:トマト・ジュースづけ)

私たちが「トマト缶」と呼んでいるものの多くは、JAS規格では「トマト・ジュースづけ」に分類されます(出典:農林水産省「トマト加工品のJAS規格」)。

これは、加熱して皮をむいたトマトの「固形物」を、トマトジュース(またはトマトピューレーを薄めたもの)と一緒に缶に詰めた「料理用素材」です。

  • ホールトマト:皮をむいたトマトを「丸ごと(Whole)」漬けたもの。煮込むことで形が崩れ、自然なとろみと旨味が出ます。
  • カットトマト:皮をむいたトマトを「角切り(Cut)」にして漬けたもの。形が残るので、短時間の調理や食感を残したい場合に適しています。

充填されるジュースには、味を調えるために食塩やクエン酸(酸味)が加えられていることが一般的です。あくまで加熱調理の「素材」として扱われます。

トマトジュース(飲料)とは?(JAS規格:トマトジュース)

一方、「トマトジュース」は、JAS規格で「トマトジュース」または「トマトミックスジュース」として分類される「飲料」です。

トマトを破砕して搾汁し、皮や種、繊維質などを取り除いた液体を、殺菌して容器に詰めたものです。濃縮したトマトペーストを水で戻す「濃縮還元」タイプと、そのまま詰める「ストレート」タイプがあります。

最大の特徴は、「そのまま飲む」ことを前提に味が調整されている点です。
「食塩添加」タイプと「食塩無添加」タイプがあり、飲みやすくするために繊維質を減らしている製品も多くあります。

味・濃さ・添加物(塩分)の違い

【要点】

トマト缶はトマト本来の酸味や風味が強く、煮込むことで旨味が増すように設計されています。飲料のトマトジュースは、サラッとした飲み口で、塩分が添加されている製品も多くあります。

用途が違うため、味の方向性も異なります。

トマト缶(ホール/カット)は、料理のベースとなるため、トマト本来の酸味と風味が強く残っています。特にイタリア産のホールトマトは、加熱することで旨味成分(グルタミン酸)が引き立つように作られています。果肉がゴロゴロと入っており、液体部分も比較的濃厚です。

トマトジュース(飲料)は、ゴクゴク飲めるように、口当たりがサラッとしています。酸味は抑えられ、トマトの甘みが感じられる製品が多いです。

最も注意すべきは「塩分」です。トマト缶にも塩分が含まれることがありますが、飲料のトマトジュース(食塩添加タイプ)は、そのまま飲んで美味しく感じるように、しっかり塩味がついていることが多いです。これを料理に使うと、塩辛くなりすぎる可能性があります。

料理での使い分け(煮込み料理での違い)

【要点】

トマトの果肉感と濃厚な旨味が必要な「煮込み料理」や「パスタソース」には、絶対にトマト缶が適しています。飲料のトマトジュースは、あくまで「代用品」として、水分の多いあっさりしたスープなどに使うのが限界です。

「トマト缶の買い置きがないから、トマトジュースで代用できる?」これは多くの人が考えることですが、結論から言うと「料理によるが、推奨はしない」です。

トマト缶(ホール/カット)が向いている料理

固形トマトの果肉感と、煮込むことで出る濃厚な旨味が不可欠な料理には、トマト缶が必須です。

  • パスタソース:ミートソース、アラビアータ、アマトリチャーナなど。果肉が溶けてソースのベースとなります。
  • 煮込み料理:ラタトゥイユ、カポナータ、チキンのトマト煮込み、ミネストローネなど。
  • カレー・シチュー:隠し味ではなく、ベースとして使う場合。

トマトジュース(飲料)が向いている料理(代用)

飲料のトマトジュースは、果肉感がなく、水分が多いため、トマト缶の代用には向きません。もし代用する場合は、以下の点に注意が必要です。

  • 水分を飛ばす:非常に水っぽいため、長時間煮詰めて水分を飛ばす必要があります。
  • コクが足りない:トマトの旨味やコクが弱いため、コンソメや他の調味料で補う必要があります。
  • 塩分に注意:「食塩無添加」タイプを選ぶのが無難です。「食塩添加」タイプを使う場合は、他の塩加減を大幅に減らす必要があります。

代用が可能な料理としては、あっさりした「トマトスープ」や、「ハヤシライス」の水分の一部として使う程度でしょう。ミートソースなどを作ろうとすると、水っぽく味の薄い仕上がりになりがちです。

価格・保存性(日持ち)の違い

【要点】

トマト缶は1缶(約400g)100円程度からと非常に安価で、常温で長期保存が可能です。トマトジュースは容量(紙パックや缶)によりますが、飲料としては標準的な価格です。どちらも開封後は劣化が早いため、冷蔵保存し早めに使い切る必要があります。

価格:
トマト缶(ホール/カット)は、1缶(約400g)が100円前後から購入でき、非常にコストパフォーマンスが高い食材です。

トマトジュース(飲料)は、紙パック(1L)や小型の缶などで売られており、飲料としては標準的な価格帯です。料理に使う場合、トマト缶と同じ濃さまで煮詰めようとすると、大量に必要となり、結果的に割高になる可能性があります。

保存性:
どちらも未開封であれば、常温で長期間(1年〜2年程度)の保存が可能です。

ただし、開封後はどちらも急速に劣化します。特にトマト缶は、缶の内側が空気に触れるとスズが溶け出す可能性があるため、開封後は必ずガラスやプラスチックの密閉容器に移し替え、冷蔵庫で保存し、2〜3日中に使い切るようにしましょう。トマトジュースも同様に、開封後は冷蔵保存が必要です。

体験談|トマトジュースでミートソースを作ってみた結果

何を隠そう、僕も「トマトジュースで代用できるのでは?」と試した一人です。

ある週末、ミートソースを作ろうとしたら、トマト缶を切らしていました。買いに行くのが面倒で、冷蔵庫にあった「食塩無添加」のトマトジュース(飲料)で代用してみることにしました。

ひき肉と野菜を炒め、そこにトマトジュースを投入。……その瞬間、後悔が始まりました。

「水っぽい!シャバシャバだ!」

いつものトマト缶なら、すでにトロリとしたソース状になるはずが、まるで「ひき肉入りのトマトスープ」です。そこからが格闘でした。水分を飛ばすために、ひたすら煮詰めること30分以上。ようやく少しとろみが付きましたが、量が半分以下になってしまいました。

味見をすると、第二の衝撃が。「コクと酸味が全然ない……」。トマトの旨味が凝縮されたトマト缶とは違い、どこかぼんやりとした味。慌ててコンソメやケチャップ、ウスターソースを大量に追加して、なんとか味を調えました。

一番残念だったのは、トマトの「果肉感」がゼロだったことです。いつものゴロゴロとしたトマトの食感がなく、ただの「トマト風味のそぼろ」のようになってしまいました。

この失敗から、「料理には料理用のトマト缶が必須。飲料は飲むもの」という当たり前の真理を痛感しましたね。

トマト缶とトマトジュースに関するよくある質問(FAQ)

質問1:トマト缶の汁(ジュース部分)は捨ててもいいですか?

絶対に捨てないでください! あの液体部分は、トマトの旨味(グルタミン酸)や栄養が溶け出した「トマトジュース(またはピューレー)」そのものです。あの汁ごと煮込むことで、料理に深いコクと旨味が生まれます。ホールトマトの場合は、手やヘラで固形トマトを潰しながら、汁ごと使うのが正しい使い方ですよ。

質問2:トマトジュース(飲料)で煮込むメリットはありますか?

あえてメリットを挙げるとすれば、「最初から液体なので、トマトを潰す手間がない」ことと、「あっさりした仕上がりにしやすい」ことでしょうか。固形物が不要な、ごく短時間で仕上げるあっさり系のスープなどには向いているかもしれません。

質問3:トマト缶の「クエン酸」は何のために入っているのですか?

主に2つの目的があります。一つは「pH調整剤」として、缶詰の品質を安定させ、雑菌の繁殖を防ぐためです。もう一つは、トマトの「酸味」を補うためです。特にイタリア産のトマト缶は、加熱調理で旨味が出る品種(酸味が穏やかなもの)を使うことが多いため、酸味を補強するためにクエン酸が添加されていることが多いですね。

まとめ|トマト缶とトマトジュース、料理に使うならどちら?

「トマト缶」と「トマトジュース」の違い、明確にご理解いただけたでしょうか。

ユーザーが検索する「トマトジュース漬け」とは、JAS規格でいう「トマト・ジュースづけ」、すなわちホールトマト缶やカットトマト缶のことでした。

最後に、あなたが料理に使う際、どちらを選ぶべきかまとめます。

  • トマト缶(ホール/カット)を選ぶべき人
    パスタソース、煮込み料理、カレーなど、トマトの果肉感と濃厚な旨味・コクが欲しい人。(ほぼ全ての加熱料理はこちらが正解です)
  • トマトジュース(飲料)を選ぶべき人
    トマト缶の買い置きがなく、どうしても代用したい人。(「食塩無添加」を選び、長時間煮詰める覚悟が必要です)。または、ごくあっさりしたトマトスープを作りたい人。

基本は「料理にはトマト缶、飲むならトマトジュース」と覚えておけば間違いありません。

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