糖質と炭水化物の違い!「糖質オフ」の意味がわかる栄養学の基本

「炭水化物」と「糖質」、どちらも健康やダイエットの話題で必ず耳にする言葉ですよね。

ですが、この二つの違いを正確に説明できるかというと、少し自信がないかもしれません。

実は、この二つの関係は非常にシンプルです。「炭水化物」とは、「糖質」と「食物繊維」を合わせて呼ぶときの総称なのです。つまり、糖質は炭水化物という大きなグループの一員なんですね。

この記事を読めば、この根本的な違いから、なぜ「炭水化物オフ」ではなく「糖質オフ」や「糖質ゼロ」という言葉が使われるのか、その理由と栄養成分表示の見方までスッキリと理解できます。

それでは、詳しく見ていきましょう。

結論|炭水化物と糖質の違いを一覧表で比較

【要点】

最大の違いは、「炭水化物」が「糖質」と「食物繊維」の合計であるのに対し、「糖質」は炭水化物から食物繊維を除いた部分(主にエネルギー源となるもの)を指す点です。栄養学上、この二つは明確に区別されます。

「炭水化物」と「糖質」の違いについて、最も重要なポイントを一覧表にまとめました。

項目炭水化物(Tansuikabutsu)糖質(Tōshitsu)
定義糖質 + 食物繊維炭水化物 - 食物繊維
主な役割エネルギー源 + 腸内環境整備など主要なエネルギー源(1gあたり約4kcal)
分類栄養素の総称(三大栄養素の一つ)炭水化物の一部
多く含まれる食品穀類、いも類、砂糖、野菜類、豆類など穀類、いも類、砂糖、果物など
健康用語での使われ方(あまり使われない)糖質オフ、糖質制限、糖質ゼロ

この表の通り、「炭水化物 = 糖質 + 食物繊維」という関係性さえ覚えておけば、もう迷うことはありません。

炭水化物と糖質の関係性(「炭水化物=糖質+食物繊維」)

【要点】

栄養学上、炭水化物は「体内で消化・吸収されてエネルギーになるもの(糖質)」と「体内で消化・吸収されにくいもの(食物繊維)」の2つに大別されます。この分類が、二つの言葉を使い分ける基本となります。

二つの違いを理解する上で最も重要なのが、この関係性です。

食品に含まれる栄養素として「炭水化物」という大きなカテゴリーがあります。

厚生労働省のe-ヘルスネットによると、この「炭水化物」は、体の中でどのように働くかによって、さらに2つのグループに分けられます(出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「炭水化物 / 糖質」)。

  1. 糖質:体内で消化・吸収され、主にエネルギー源として使われるもの。(例:ご飯、パン、麺類、砂糖、いも類など)
  2. 食物繊維:体内の消化酵素では消化・吸収されにくく、エネルギー源にはなりにくいもの。(例:野菜、きのこ類、海藻類など)

つまり、私たちが食品から「炭水化物」を摂取すると、体内では「糖質」と「食物繊維」という二つの異なる働きをする成分を同時に取り入れていることになるのです。

炭水化物とは?(エネルギー源の総称)

【要点】

炭水化物は、「たんぱく質」「脂質」と並ぶ「三大栄養素」の一つです。これは「糖質」と「食物繊維」の両方を含んだ総称であり、日本人のエネルギー摂取源として最も重要な栄養素です。

「炭水化物」は、私たちが生きていく上で欠かせない「三大栄養素」(たんぱく質・脂質・炭水化物)の一つです。

前述の通り、「糖質」と「食物繊維」を両方含んだ呼び名であり、特に糖質部分は脳や体を動かすための最も主要なエネルギー源となります。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」でも、1日に摂取する総エネルギーのうち、50〜65%を炭水化物から摂ることが推奨されており、健康維持に不可欠な栄養素とされています。(出典:厚生労働省 栄養・食生活

糖質とは?(エネルギーになる部分)

【要点】

糖質は、炭水化物から食物繊維を除いた部分です。消化されるとブドウ糖などに分解され、血液に乗って全身に運ばれ、脳や筋肉を動かすための主要なエネルギー源(ガソリン)として利用されます。

「糖質」は、炭水化物の一部であり、私たちの体にとっての「ガソリン」です。

ご飯やパン、麺類などの主食や、砂糖、果物に含まれる糖質は、体内で消化酵素によってブドウ糖(グルコース)などの小さな単位に分解されます。

そして血液中に吸収され、脳、神経系、筋肉などが活動するための主要なエネルギー源として使われます。糖質は1gあたり約4kcalのエネルギーを生み出します。

この「エネルギーになる」という点が、食物繊維との決定的な違いですね。

食物繊維とは?(エネルギーになりにくい部分)

【要点】

食物繊維は、炭水化物の一部ですが、ヒトの消化酵素で消化できない成分です。エネルギー源にはなりにくい反面、腸内環境を整えたり、血糖値の急上昇を抑えたりするなど、健康維持に不可欠な働きをします。

「食物繊維」も炭水化物の一員ですが、糖質とは全く異なる働きをします。

食物繊維は、ヒトの消化酵素では分解・吸収されにくいため、エネルギー源(カロリー)にはなりにくい(または、ほとんどならない)とされています。

しかし、エネルギーにならないから不要というわけでは全くなく、むしろ健康のために非常に重要です。

  • 腸内環境の改善:善玉菌のエサとなり、お通じを良くする。
  • 血糖値上昇の抑制:糖質の吸収を緩やかにし、血糖値の急激な上昇を抑える。
  • コレステロールの排出:余分な脂質やコレステロールを吸着して体外に排出する。

このように、食物繊維は「第6の栄養素」とも呼ばれ、積極的に摂取することが推奨されています。

なぜ「糖質オフ」は「炭水化物オフ」ではないのか?

【要点】

健康法で「オフ」にしたいのは、過剰摂取すると肥満につながる「糖質(エネルギー源)」です。「食物繊維」はむしろ積極的に摂るべき栄養素です。そのため、両方を含む「炭水化物オフ」ではなく、的確に「糖質オフ」と呼ぶのが正しい表現なのです。

この違いを理解すると、なぜ世の中の健康食品やダイエット法が「炭水化物オフ」ではなく「糖質オフ」や「糖質制限」と呼ぶのか、その理由が明確になります。

もし「炭水化物オフ」をしてしまうと、エネルギー源である「糖質」と一緒に、体にとって非常に有益な「食物繊維」までまとめて排除してしまうことになりますよね。

健康やダイエットのために管理したいのは、あくまでエネルギー源であり、過剰摂取が肥満につながりやすい「糖質」です。

食物繊維はむしろ積極的に摂取すべきものです。

したがって、「炭水化物」という大きな括りではなく、その中身を区別し、「糖質」をピンポイントで管理する「糖質オフ」という表現が使われているのです。

栄養成分表示での見分け方

【要点】

食品の栄養成分表示では、「炭水化物」の内訳として「糖質」と「食物繊維」が分けて表示されていることが多いです。もし「炭水化物」と「食物繊維」の記載しかない場合は、「炭水化物 − 食物繊維 = 糖質量」として計算できます。

スーパーなどで食品を選ぶ際、パッケージの裏にある「栄養成分表示」で、炭水化物と糖質の量を確認できます。

表示パターンは主に2つあります。

パターン1:「糖質」と「食物繊維」が両方書かれている場合
これが一番わかりやすい表示です。「炭水化物」の内訳として記載されています。

(例)

炭水化物20.0g
 ー糖質15.0g
 ー食物繊維5.0g

(この場合、糖質15.0g + 食物繊維5.0g = 炭水化物20.0g となります)

パターン2:「食物繊維」しか書かれていない場合
この場合、自分で計算する必要があります。

(例)

炭水化物20.0g
 ー食物繊維5.0g

この場合、「炭水化物 20.0g」から「食物繊維 5.0g」を引いた残りが「糖質」になります。

20.0g (炭水化物) − 5.0g (食物繊維) = 15.0g (糖質)

もし「炭水化物」の記載しかなく、「糖質」も「食物繊維」も記載がない場合は、その炭水化物の数値のほとんどが糖質である可能性が高い(食物繊維が少ない)か、あるいは食物繊維が含まれていても表示が省略されているかのどちらかです。

体験談|私が「糖質」を意識するようになったきっかけ

僕も以前は、健康診断で「中性脂肪」や「血糖値」の項目に注意マークがつくことがありました。

その頃は、「炭水化物」という言葉は知っていても、「糖質」との違いは全く意識していませんでした。「健康のために野菜から食べよう」とは思いつつも、結局は丼物やラーメン、パスタといった「炭水化物」中心の食事で満腹になることが多かったんです。

転機となったのは、栄養士の方に相談する機会があった時です。

「炭水化物を減らそうと思うんです」と伝えたところ、「惜しいですね!減らすべきは『炭水化物』全体ではなく、その中の『糖質』ですよ」と教えられました。

「え、違うんですか?」

そこで初めて「炭水化物=糖質+食物繊維」という関係性を知りました。僕が良かれと思って減らそうとしていた「炭水化物」には、むしろ摂るべき「食物繊維」も含まれていたのです。

それ以来、僕の意識は変わりました。「炭水化物」を敵視するのをやめ、「糖質」を管理するようになったのです。

例えば、ご飯(糖質)の量を少し減らす代わりに、キノコや海藻(食物繊維)をたっぷり入れた味噌汁や副菜をプラスする。ラーメン(糖質)が食べたい時は、麺を半分にして野菜(食物繊維)を大盛りにトッピングする。

このように、「糖質」を意識しつつ「食物繊維」を積極的に摂るようにした結果、次の健康診断では数値が大きく改善しました。何より、食後の眠気やだるさが減り、体が軽くなった実感があります。

この違いを知っているだけで、日々の食事の選択が全く変わってくるんですよね。

炭水化物と糖質に関するよくある質問(FAQ)

質問1:「糖質」と「糖類」の違いは何ですか?

これはよくある質問ですね!さらに細かい分類になります。「糖質」が炭水化物から食物繊維を除いたもの(単糖類、二糖類、多糖類、糖アルコールなど全て)を指すのに対し、「糖類」は糖質の中のさらに一部、「単糖類(ブドウ糖、果糖など)」と「二糖類(砂糖、乳糖など)」だけを指します。ご飯やパンに含まれる「でんぷん(多糖類)」は「糖質」ですが、「糖類」には含まれません。「糖類ゼロ」と書かれていても、でんぷんなどの糖質は含まれている可能性があるので注意が必要ですよ。

質問2:食物繊維は本当にカロリーゼロなのですか?

厳密にはゼロではありません。かつては消化されないためゼロとされていましたが、現在では一部が腸内細菌によって発酵・分解され、エネルギー(1gあたり0〜2kcal程度)を生み出すことがわかっています。ただ、糖質(1gあたり約4kcal)に比べると非常に少ないため、栄養計算上は糖質と区別して扱われますね。

質問3:「炭水化物抜きダイエット」は「糖質制限」と同じですか?

意味合いは近いですが、厳密には違います。「炭水化物抜き」と言うと、言葉通り「糖質+食物繊維」の両方を抜いてしまうことになります。これでは必要な食物繊維まで不足してしまいますよね。健康的な食事制限として行う場合は、食物繊維はしっかり摂りつつ、エネルギー源である「糖質」の量を調整する「糖質制限(ローカーボ)」と呼ぶのが、栄養学的にはより正確な表現になります。

まとめ|炭水化物と糖質の違いを理解して健康管理に活かそう

「炭水化物」と「糖質」の違い、スッキリしましたでしょうか。

この二つの言葉の違いは、健康管理やダイエットにおいて非常に重要です。

  1. 炭水化物糖質(エネルギー源) + 食物繊維(お腹の調子を整える)
  2. 私たちが主にエネルギーとして利用し、過剰摂取を管理したいのは「糖質」
  3. 「食物繊維」はエネルギーになりにくいが、健康維持に不可欠なため、積極的に摂るべき。

この関係性を理解するだけで、「糖質オフ」製品の本当の意味がわかり、食品の栄養成分表示を見て、賢く食品を選べるようになります。

「炭水化物」という言葉に惑わされず、その中身である「糖質」と「食物繊維」のバランスを意識して、より健康的な食生活を送っていきましょう。

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