スーパーで「赤魚の粕漬け」を手頃な価格で買う一方、料亭では「メヌケの煮付け」が高級料理として提供されていますよね。
見た目がどちらも「赤い魚」なので、この二つの違いは非常に紛らわしいものです。
実は、スーパーで見かける「赤魚」も広い意味では「メヌケ」の仲間なのですが、市場ではその魚種と価格帯によって明確に区別されています。この記事を読めば、その複雑な関係性、味、価格、そして最適な使い分けまでスッキリと理解できますよ。
結論|メヌケと赤魚の違いが一目でわかる比較表
「メヌケ」と「赤魚」は、どちらもカサゴ目メバル科に属する赤い深海魚の「総称(市場名)」です。最大の違いは、「メヌケ」が主にアコウダイなどの国産高級魚を指すのに対し、「赤魚」は主にアラスカメヌケなどの安価な輸入品を指す点にあります。分類上は仲間ですが、市場価値と味が全く異なります。
まずは、市場で「メヌケ」と呼ばれる魚(代表:アコウダイ)と、スーパーで「赤魚」として売られる魚(代表:アラスカメヌケ)の違いを比較表にまとめます。
| 項目 | メヌケ(主にアコウダイなど) | 赤魚(主にアラスカメヌケなど) |
|---|---|---|
| 定義 | カサゴ目メバル科の深海魚の総称(国産高級魚を指すことが多い) | カサゴ目メバル科の赤い魚の市場名(輸入大衆魚を指すことが多い) |
| 主な魚種 | アコウダイ、バラメヌケ、サンコウメヌケなど | アラスカメヌケ、イスランドアカウオなど |
| 主な産地 | 日本近海(北海道、東北、伊豆など) | アラスカ湾、カナダ、北大西洋など |
| 見た目 | 鮮やかな赤色、大型(50cm〜1m超) | オレンジがかった赤色、中型(30〜50cm程度) |
| 味・食感 | 脂が非常に多い、ふっくら柔らかい、濃厚な旨味 | 脂が少なく淡白、やや水分が多い、クセがない |
| 価格 | 非常に高価(高級魚) | 安価(大衆魚) |
| 主な用途 | 煮付け、鍋物、刺身、しゃぶしゃぶ | 粕漬け、みりん漬け、ムニエル、フライ |
メヌケと赤魚の根本的な違い:「高級魚の総称」と「輸入魚の市場名」
どちらもカサゴ目メバル科に属する赤い深海魚の「市場名」です。「メヌケ」は目が飛び出るほどの深海に棲むアコウダイなどの高級魚グループを指します。一方、スーパーの「赤魚」は、同じメバル科ですがアラスカメヌケなどの輸入種を指し、安価に流通しています。
「メヌケ」は高級深海魚(アコウダイなど)の総称
まず、「メヌケ」というのは特定の魚の標準和名(生物学上の正式な日本語名)ではありません。
カサゴ目メバル科メバル属に属する深海魚のうち、体が赤く、釣り上げられた際の急激な水圧の変化で「目が抜け出る」ほど飛び出すことから付いた通称(市場名)です。
主に、標準和名で「アコウダイ」「バラメヌケ」「サンコウメヌケ」といった、日本近海で獲れる大型の高級魚を総称して「メヌケ」と呼びます。
「赤魚」は主に輸入されるアラスカメヌケ等の市場名
一方、「赤魚(あかうお)」も標準和名ではありません。これもまた、赤い魚の総称(市場名・流通名)として使われる言葉です。
非常に紛らわしいのですが、日本のスーパーマーケットなどで一般的に「赤魚」として切り身や粕漬けで販売されているのは、主にアラスカ湾(太平洋)で獲れる「アラスカメヌケ(*Sebastes alutus*)」や、北大西洋で獲れる「イスランドアカウオ(*Sebastes norvegicus*)」といった輸入品がほとんどです。
結論:「赤魚」は「メヌケ」の一種だが市場価値が全く異なる
分類学上、「赤魚」として売られているアラスカメヌケも、カサゴ目メバル科の魚です。そのため、広い意味では「メヌケ」の仲間の一種と言えます。
しかし、日本の市場や食文化においては、この二つは明確に区別されています。
- メヌケ:主に国内で獲れるアコウダイなどの高級魚を指す。
- 赤魚:主に輸入されるアラスカメヌケなどの大衆魚を指す。
この「育ち」と「価格帯」の違いが、二つの言葉を使い分ける最大の理由です。
見た目・産地・価格の違い
「メヌケ(アコウダイなど)」は鮮やかな赤色で1mを超える大型魚もおり、国産が主で非常に高価です。一方、スーパーの「赤魚(アラスカメヌケなど)」はややオレンジがかった赤色で中型、主に輸入品(アラスカ、カナダ、大西洋など)であり、価格は非常に安価です。
見た目と産地
メヌケ(アコウダイなど):
アコウダイは、その名の通り鮮やかな赤色(朱色)をしています。体高があり、大型のものは1mを超えることもあります。主な産地は北海道や東北の太平洋側、伊豆諸島などの水深200〜1000mの深海です。
赤魚(アラスカメヌケなど):
アラスカメヌケは、アコウダイほどの鮮やかさではなく、ややオレンジがかった赤色や灰色がかった赤色をしています。サイズは30〜50cm程度の中型魚です。主な産地はアラスカ湾、カナダ、ベーリング海など。また、大西洋で獲れるイスランドアカウオも「赤魚」として流通しています。
価格:メヌケは赤魚の数倍以上の高級魚
価格差は決定的です。
「メヌケ(アコウダイなど)」は漁獲量が少なく、釣り上げるのも難しいため、「幻の魚」とも呼ばれる最高級魚の一つです。料亭などで取引され、1匹数万円の値がつくことも珍しくありません。
「赤魚(アラスカメヌケなど)」は、トロール漁(底引き網)などで大量に漁獲されるため、非常に安価です。冷凍の切り身や、加工された漬け魚として、日常的にスーパーに並ぶ大衆魚です。
味・食感・脂乗りの違い
味は価格差を反映して大きく異なります。「メヌケ(アコウダイなど)」は脂が非常に濃厚で、身はふっくらと柔らかく、強い旨味と甘みがあります。一方、「赤魚(アラスカメヌケなど)」は脂が少なく、さっぱりとした淡白な味わいです。
メヌケ(アコウダイなど):濃厚な脂と旨味、ふっくらした身
高級魚である「メヌケ(アコウダイなど)」の最大の魅力は、その濃厚な脂です。白身魚ですが、非常に脂が乗っており、身はふっくらと柔らか。加熱しても硬くなりにくいのが特徴です。
脂の甘みと白身の上品な旨味が強く、特に皮と身の間のゼラチン質は絶品とされています。
赤魚(アラスカメヌケ):淡白でクセのないさっぱりした味わい
スーパーでおなじみの「赤魚(アラスカメヌケなど)」は、メヌケ(アコウダイなど)に比べると脂はかなり少なく、さっぱりとした淡白な味わいが特徴です。
身質はやや水分が多く、柔らかいですが、アコウダイのようなふっくらとした弾力や濃厚な旨味は少なめです。クセがないため、どのような味付けにも馴染みやすいのが利点です。
栄養・成分の違い
どちらも良質なタンパク質を含む白身魚です。「メヌケ(アコウダイなど)」は脂質が多めですが、DHAやEPA、ビタミンEを豊富に含みます。「赤魚(アラスカメヌケなど)」は低脂質・高タンパクで、ビタミンAやビタミンDが比較的多く含まれます。
どちらも白身魚として良質なタンパク質源です。
「メヌケ(アコウダイなど)」は脂質が多い分、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)といった不飽和脂肪酸も豊富です。また、抗酸化作用のあるビタミンEも多く含みます。
「赤魚(アラスカメヌケなど)」は、低脂質・高タンパクでヘルシーな食材と言えます。脂溶性のビタミンであるビタミンA(皮膚や粘膜の健康維持)やビタミンD(カルシウムの吸収促進)が比較的多く含まれているのが特徴です。
料理での使い分け・おすすめの食べ方
魚の個性を活かした使い分けが重要です。「メヌケ」はその濃厚な脂と旨味を活かし、シンプルな煮付けや鍋料理で主役にするのが最適です。一方、「赤魚」は淡白な味わいを補うため、粕漬けやみりん漬けなどの漬け魚や、油を使うムニエルやフライにするのが定番です。
メヌケ(アコウダイなど)は煮付けや鍋が絶品
「メヌケ(アコウダイなど)」は、その素材の味、特に脂の旨味とふっくらした食感を最大限に活かす料理が向いています。
- 煮付け:最もポピュラーな食べ方です。濃厚な脂が甘辛い煮汁と溶け合い、皮のゼラチン質も楽しめます。
- 鍋物(しゃぶしゃぶ):薄く引いた身を出汁にくぐらせるしゃぶしゃぶは、最高の贅沢とされます。アラからは絶品の出汁が出ます。
- 刺身:鮮度が良ければ刺身でも食べられますが、火を通した方が旨味が引き立つとも言われます。
赤魚(アラスカメヌケ)は漬け魚やムニエルに最適
「赤魚(アラスカメヌケなど)」は淡白な味わいを補う調理法が適しています。
- 漬け魚:粕漬け、西京漬け、みりん漬けなど。味噌や酒粕の風味を染み込ませることで、淡白な身に旨味とコクが加わります。スーパーで加工済みのものが多く売られていますね。
- ムニエル・フライ:バターや油でソテーしたり、衣をつけて揚げることで、淡白な身に油分とコクを補えます。
- 煮付け:メヌケほどの濃厚さはありませんが、クセがないため家庭の煮魚としても食べやすいです。
「メヌケ(目抜け)」の名前の由来と文化的背景
「メヌケ」という名前は、釣り上げられる際の急激な水圧変化で「目が抜け出る(飛び出す)」様子に由来します。これは深海魚であることの証であり、古くから漁師たちの間で使われてきた呼称です。
「メヌケ」という少し変わった名前は、その生態と漁獲方法に深く関連しています。
アコウダイなどのメヌケ類は、水深200mを超える深海に生息しています。そこから釣り上げられると、急激な水圧の変化に体が耐えられず、目が飛び出してしまうことがあります。
この「目が抜け出る」様子から、「メヌケ(目抜け)」という通称が生まれました。これは、この魚がどれほど深い場所に生息しているかを示す、漁師たちの間の言葉が由来となっているんですね。
体験談|スーパーの赤魚と専門店のメヌケ煮付け
僕も、この二つの違いを「価格」と「味」で痛感した経験があります。
スーパーでよく見かける「赤魚の粕漬け」は、僕の食卓の定番です。手頃な価格で、焼くだけで美味しく、クセのない白身がご飯によく合います。ただ、身はどちらかというと水分が多く、淡白な印象ですよね。
ある時、旅行先の老舗の和食店で「メヌケ(アコウダイ)の煮付け」というメニューを見つけました。値段を見て驚きました。スーパーの赤魚の何倍もする価格です。
思い切って注文してみると、運ばれてきたのは真っ赤な皮が美しい、見るからに肉厚な切り身でした。一口食べて、その違いにさらに驚きました。身がふっくらしているのに、口の中に入れるとトロリと溶けるような濃厚な脂。皮はプルプルで、ゼラチン質の塊です。スーパーの赤魚とは、もはや別の食べ物でした。
この経験から、「赤魚」と「メヌケ」は、同じメバル科の仲間であっても、料理の世界では全く別の食材として扱われていることを実感しました。
メヌケと赤魚に関するよくある質問
アコウダイとメヌケの違いは何ですか?
アコウダイは「メヌケ」と呼ばれる魚のグループの中で、最も代表的な一種(標準和名)です。「メヌケ」が通称(総称)で、「アコウダイ」がその中の一つの魚の名前、という関係です。
スーパーの「赤魚」は、なぜあんなに安いのですか?
主に、アラスカメヌケ(Pacific Ocean Perch)など、海外で大量に漁獲される安価な輸入魚を原料にしているためです。冷凍技術や加工技術の進歩により、低価格で安定的に供給されています。
キンメダイ(金目鯛)もメヌケの仲間ですか?
いいえ、全く別の魚です。キンメダイは「キンメダイ目キンメダイ科」の魚です。一方、メヌケや赤魚は「カサゴ目メバル科」の魚です。どちらも深海に住む赤い魚で、目が大きいという共通点があるため混同されやすいですが、分類上は異なります。
まとめ|メヌケと赤魚の違いを理解して使い分けよう
「メヌケ」と「赤魚」の違い、スッキリしましたでしょうか。
- メヌケ:アコウダイなど、主に国産の高級魚を指す総称(市場名)。脂が非常に多く、濃厚な旨味が特徴。
- 赤魚:アラスカメヌケなど、主に輸入の大衆魚を指す市場名(流通名)。脂が少なく、淡白な味わいが特徴。
分類上はどちらも同じメバル科の仲間ですが、市場での価値、価格、そして味わいは全く異なります。
日常の食卓には手頃な「赤魚」を、特別な日のごちそうには「メヌケ」を、といった形で、それぞれの個性を理解して使い分けてみてくださいね。
日本の水産物や魚の分類についてさらに詳しく知りたい場合は、農林水産省の統計情報や水産庁のウェブサイトも参考になります。同じ肉・魚介類の違いとして、ハタとクエの違いなども併せて読むと、より理解が深まるでしょう。