胸肉ともも肉の違いとは?味・食感・カロリー・価格を徹底比較

鶏肉を買うとき、定番の「胸肉」と「もも肉」で、どちらを選ぶか迷うことはありませんか?

「胸肉は安いけどパサパサする」「もも肉はジューシーだけど脂質が気になる」…どちらも一長一短ですよね。

この二つの最大の違いは「筋肉の運動量」にあります。胸肉は翼を動かす筋肉で運動量が少なく、高タンパク・低脂質。一方、もも肉は体重を支え歩き回るため運動量が多く、脂質や旨味成分が豊富です。

この記事では、胸肉ともも肉の部位としての違いから、味、栄養価、価格、そしてそれぞれの魅力を最大限に引き出す調理法まで、専門的に徹底比較します。

それぞれの特徴を理解すれば、料理や目的に合わせて自信を持って選べるようになりますよ。

結論:胸肉ともも肉の違いが一目でわかる比較表

【要点】

鶏の胸肉ともも肉の決定的な違いは「脂質量と食感」です。胸肉は運動量が少ない部位のため、脂肪が少なく高タンパクですが、火を通しすぎるとパサつきやすいです。一方、もも肉はよく動かす部位のため、筋肉の間に脂肪が入りやすく、ジューシーで強いコクと旨味が特徴です。

まずは、食卓でおなじみの二つの部位の主な違いを、一覧表で比較してみましょう。

項目胸肉(むねにく)もも肉(ももにく)
部位翼を動かす胸の筋肉(大胸筋)脚の付け根から先の筋肉
見た目(色)白っぽいピンク色赤みが強い
脂肪量少ない(特に皮なし)多い(筋肉の間にも脂肪がある)
タンパク質非常に多い多い
食感きめ細かく、しっとり(火加減次第でパサつく)弾力があり、ジューシーで柔らかい
味わいあっさり、淡白濃厚な旨味とコクがある
カロリー(皮なし)低い(約105kcal/100g)やや低い(約113kcal/100g)
カロリー(皮つき)やや低い(約133kcal/100g)高い(約190kcal/100g)
価格(目安)安価胸肉より高価
おすすめ料理サラダチキン、棒棒鶏、チキンカツ、蒸し鶏唐揚げ、照り焼き、ローストチキン、親子丼

※カロリーは日本食品標準成分表2020年版(八訂)の「若どり・生」の数値を参照

胸肉ともも肉の「部位」と「筋肉繊維」の違い

【要点】

胸肉は、鶏が飛ぶために使う筋肉(大胸筋)ですが、現代の鶏はほとんど飛ばないため、運動量が少なく白っぽい色をしています。逆にもも肉は、常に体重を支え歩き回るためによく使われる筋肉で、赤みが強く、しっかりとした肉質になっています。

この二つの部位は、鶏の生態と直結した「筋肉の種類」が根本的に異なります。

鶏胸肉とは?(翼を動かす筋肉)

鶏の胸肉は、主に翼(手羽)を動かすための「大胸筋」です。渡り鳥であれば長距離を飛ぶためによく発達しますが、私たちが普段食べているブロイラーなどの鶏は、ほとんど飛ぶことがありません。

そのため、胸肉は運動量が非常に少なく、筋肉中のミオグロビン(酸素を蓄える色素タンパク質)の量が少ないため、白っぽいピンク色をしています。運動量が少ないからこそ、繊維は太く整っていますが、脂肪が少なくきめ細かい肉質になるのです。

鶏もも肉とは?(脚を動かす筋肉)

鶏のもも肉は、文字通り脚(もも)の筋肉です。鶏は常に二本足で体重を支え、歩き回っています。つまり、もも肉は鶏の体の中で最も運動量が多い筋肉の一つです。

常に動き続けているため、多くの酸素を必要とし、ミオグロビンの含有量が多くなります。これが、もも肉が胸肉に比べて鮮やかな赤色をしている理由です。

また、活発な運動を支えるエネルギー源として、筋肉の間に脂肪が蓄えられやすく、しっかりとした弾力のある肉質になります。

【徹底比較】味・食感・見た目の違い

【要点】

味わいは対照的です。胸肉は脂肪が少なく、あっさりとした淡白な味わいが特徴。食感はしっとりしていますが、加熱しすぎると硬くパサパサになります。もも肉は脂肪と肉汁が豊富で、ジューシーかつ濃厚なコクを楽しめます。

部位と運動量の違いが、そのまま味と食感の決定的な個性となっています。

胸肉:高タンパクで淡白、食感はパサつきやすい

胸肉の魅力は、そのあっさりとしてクセのない上品な味わいです。

脂肪分が極めて少ないため、肉自体の風味は淡白。そのため、ソースやドレッシング、スパイスの味を邪魔せず、鶏肉のたんぱく質感を加えたい料理に最適です。

食感は、きめ細かくしっとりしています。しかし、最大の注意点は「火の通しすぎ」です。脂肪が少ない分、加熱によって水分が失われやすく、65℃を超えたあたりから急激にパサパサとした硬い食感になってしまいます。このパサつきが「胸肉は美味しくない」というイメージの原因ですが、逆に言えば、火加減さえマスターすれば最高の食感を楽しめます。

もも肉:脂肪が多くジューシー、コクと旨味が強い

もも肉の魅力は、なんといってもジューシーさと濃厚なコクです。

筋肉繊維の間や皮下に脂肪が豊富に含まれており、加熱するとその脂が溶け出して肉汁となります。この脂が、もも肉特有の「鶏肉らしい旨味」とコクを生み出します。

運動量が多い筋肉のため、肉質はしっかりとして弾力がありますが、脂肪のおかげで硬さは感じず、プリプリとした食感が楽しめます。火を通しすぎても硬くなりにくいため、調理しやすいのも大きなメリットですね。

栄養・カロリー・健康面の違い

【要点】

「皮なし」で比較すると、胸肉(105kcal)ともも肉(113kcal)のカロリー差はわずかです。しかし「皮つき」になると、もも肉(190kcal)は胸肉(133kcal)より高カロリー・高脂質になります。ダイエットなら「皮なし胸肉」が最強ですが、鉄分はもも肉の方が豊富です。

ダイエットやトレーニングの観点から鶏肉を選ぶ方も多いでしょう。ここでは「皮の有無」が非常に重要なポイントになります。

(若どり・生・100gあたり)

項目胸肉(皮なし)胸肉(皮つき)もも肉(皮なし)もも肉(皮つき)
エネルギー105 kcal133 kcal113 kcal190 kcal
たんぱく質23.3 g21.3 g19.0 g16.6 g
脂質1.9 g5.9 g5.0 g14.2 g
0.2 mg0.2 mg0.6 mg0.6 mg

出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)

胸肉:高タンパク・低脂質・低カロリー

胸肉は、特に「皮なし」にすることで、圧倒的な高タンパク・低脂質・低カロリー食材となります。100gあたり脂質1.9gに対し、たんぱく質23.3gというバランスは、まさにアスリートやダイエッターの味方ですね。

また、疲労回復効果が期待される「イミダゾールジペプチド(アンセリン・カルノシン)」という成分が豊富なのも、胸肉(大胸筋)の特徴です。

もも肉:脂質・カロリーが高め、鉄分やビタミンB群が豊富

もも肉は、皮つきだと脂質が14.2gと多く、カロリーも高めです。ダイエット中は「皮なし」を選ぶのが賢明です。皮なしであれば、カロリーは113kcalと胸肉(皮なし)と大差ありません。

また、注目すべきは鉄分です。もも肉は胸肉の約3倍の鉄分を含んでいます。これは、運動量の多い筋肉(赤身)にミオグロビンやヘモグロビンといった鉄を含むタンパク質が多いためです。ビタミンB群も豊富で、貧血予防や代謝促進を意識するなら、もも肉も選択肢に入りますね。

料理での使い分け・おすすめの調理法

【要点】

パサつきやすい胸肉は、低温調理や蒸し料理、または衣で水分を閉じ込めるカツなどが向いています。ジューシーなもも肉は、唐揚げや照り焼き、煮物など、脂の旨味を活かすこってり系の料理に最適です。

それぞれの個性を活かすことで、料理の仕上がりが格段に変わります。

胸肉のおすすめ調理法(パサつきを抑える工夫)

淡白な味わいと、パサつきやすい性質をどうカバーするかが鍵です。

  • サラダチキン・棒棒鶏(バンバンジー):
    低温でじっくりと茹でる(または蒸す)ことで、水分を保ったまましっとりと仕上がります。沸騰させないことが最大のコツです。
  • チキンカツ・チキン南蛮:
    衣で肉をコーティングすることで、加熱による水分の蒸発を防ぎ、柔らかく仕上げることができます。
  • 親子丼(あっさり):
    薄くそぎ切りにして火を通しすぎなければ、あっさりとした上品な親子丼になります。
  • 調理前の下ごしらえ:
    調理前に酒や塩麹、ヨーグルトなどに漬け込んだり、片栗粉をまぶしたりすることで、保水力が高まり、パサつきを格段に抑えられます。

もも肉のおすすめ調理法(ジューシーさを活かす)

濃厚な旨味と脂を活かす、王道の鶏肉料理が向いています。

  • 唐揚げ:
    もも肉のジューシーさを最も楽しめる料理の代表格。脂が肉汁となり、衣の中で旨味が爆発します。
  • 照り焼き・ローストチキン:
    皮目をパリッと焼き、甘辛いタレやスパイスと合わせることで、脂の甘みと香ばしさが引き立ちます。
  • 親子丼(こってり):
    もも肉を使うと、脂と旨味がだし汁に溶け出し、濃厚でコクのある親子丼に仕上がります。
  • 煮物・シチュー:
    長く煮込んでも硬くなりにくく、肉から良いだしが出るため、筑前煮などの煮物やシチューにも最適です。

価格と使い勝手の違い

【要点】

価格は、一般的に胸肉の方がもも肉よりも安価です。需要がもも肉に偏りがちな一方で、胸肉も1羽から2枚取れるため、供給が安定し価格が安くなる傾向があります。

スーパーでの価格を見ると、特売などを除けば、100gあたりの単価は胸肉の方がもも肉よりも数十円安いことがほとんどです。

日本では伝統的に、唐揚げや照り焼きなどジューシーな料理が好まれるため、もも肉の需要が高い傾向にあります。一方で、胸肉は鶏1羽から2枚(もも肉も2枚)取れる主要な部位です。

この需要と供給のバランスから、胸肉の方が家計に優しい価格設定になっていることが多いですね。近年は健康志向の高まりで胸肉の需要も増えていますが、依然として安価で手に入る優良な食材です。

体験談:ダイエット中の胸肉ともも肉の賢い使い分け

僕も数年前、本格的に体作りをしていた時期があり、当時は「鶏肉=胸肉(皮なし)一択!」と信じ込んでいました。

毎日ひたすらサラダチキンや蒸し鶏を食べていたのですが、正直、2週間を過ぎたあたりから、そのパサつきと淡白な味に飽きてしまったんです。ドレッシングでごまかしても、肉自体の旨味が恋しくなってしまいました。

そんな時、栄養成分表を改めて見直して驚きました。「あれ?皮なしなら、もも肉も胸肉もカロリー大差ないじゃないか」と。

それからは、僕の鶏肉ライフは一変しました。

基本は皮なし胸肉ですが、味に飽きたら「皮なしもも肉」を買い、ノンフライヤーで唐揚げ風にしたり、野菜と炒めたりして、ジューシーな旨味を楽しむようにしたんです。もも肉の方が鉄分も多いので、むしろ体調も良くなった気がしましたね。

胸肉を調理する日も、ただ茹でるのではなく、60℃の低温調理でじっくり加熱して「世界一しっとりしたサラダチキン」を目指すなど、調理法を工夫するようになりました。

「胸肉=パサパサ」「もも肉=太る」という単純な二択ではなく、皮の有無や調理法次第で、どちらもダイエットの味方になると学んだ貴重な体験でした。

胸肉ともも肉の違いに関するよくある質問(FAQ)

Q1. ダイエット中なら、絶対「胸肉」を選んだ方がいいですか?

A1. 「皮なしの胸肉」が最も高タンパク・低脂質なので最適です。しかし、もし胸肉のパサパサ感に飽きてしまうようなら、「皮なしのもも肉」を選ぶのも賢い選択です。皮なし同士ならカロリーに大差はなく、もも肉の方が鉄分も豊富です。大切なのは「皮」を取り除くことですね。

Q2. 鶏胸肉がどうしてもパサパサになります。しっとりさせるコツは?

A2. 「加熱しすぎないこと」が最大のコツです。65℃以上で急速に水分が抜けるため、低温でじっくり火を通す(例:沸騰したお湯の火を止め、余熱で火を通す)のがおすすめです。また、調理前に片栗粉や酒、塩麹などに漬け込んで保水力を高める下ごしらえも非常に効果的ですよ。

Q3. 「ささみ」は胸肉ともも肉、どちらに近いですか?

A3. 「胸肉」に非常に近い部位です。ささみは胸肉の内側にある、竜骨に沿った部位で、胸肉以上に脂肪が少なく、最も高タンパクな部位の一つです。食感も胸肉と同様に淡白ですが、繊維が細かいため、胸肉よりもさらに柔らかく、ほぐれやすいのが特徴です。

まとめ|胸肉ともも肉、どちらを選ぶべきか?

鶏の胸肉ともも肉は、どちらも素晴らしい食材ですが、その個性は全く異なります。

  • 胸肉を選ぶべき時
    ダイエット中やトレーニング後で、高タンパク・低脂質を最優先したい時。サラダチキンや蒸し鶏など、あっさり上品に食べたい時。
  • もも肉を選ぶべき時
    唐揚げや照り焼きなど、ジューシーな脂の旨味と濃厚なコクを味わいたい時。煮物などで肉の旨味をだしにも活かしたい時。

この違いは、胸肉が「あまり動かない白い筋肉」で、もも肉が「よく動かす赤い筋肉」であることに由来します。

それぞれの長所と短所を理解し、調理法やその日の気分に合わせて賢く使い分けることで、あなたの鶏肉料理はもっと美味しく、豊かになるはずです。

当サイト「違いラボ」では、他にも様々な肉・魚介類の違いについて詳しく解説しています。ぜひご覧ください。