スーパーの缶詰コーナーで、「ツナ缶」を選ぼうとして「油漬け」と「ノンオイル」のどちらにすべきか迷った経験はありませんか。
どちらも同じツナ(マグロやカツオ)が原料ですが、その特徴は全く異なります。
結論から言うと、一般的な「ツナ缶」は油(オイル)で漬けた「油漬け」を指し、「ノンオイル」は油を使わずに水やスープで調理した「水煮」または「スープ漬け」を指します。この違いにより、カロリー、脂質、味、そして最適な料理が大きく変わってきます。
この記事を読めば、それぞれの缶詰の特性を深く理解し、料理や健康志向に合わせて自信を持って使い分けられるようになりますよ。
それでは、まず両者の最も重要な違いから見ていきましょう。
結論|「ツナ缶」と「ノンオイル」の違いを一覧表で確認
「ツナ缶」と「ノンオイル」の最大の違いは、調理・充填に使用される液体です。一般的な「ツナ缶(油漬け)」は大豆油や綿実油などの油を使用するのに対し、「ノンオイル」は水、野菜スープ、かつおだしなどを使用します。この結果、ノンオイルはカロリーと脂質が大幅に低くなります。
まずは、両者の核心的な違いを一覧表で比較します。一般的に「ツナ缶」と呼ばれるものは「油漬け」タイプを指すことが多いですね。
| 項目 | ツナ缶(油漬け) | ノンオイル(水煮・スープ漬け) |
|---|---|---|
| 分類 | 油漬け | 水煮、スープ漬け |
| 使用する液体 | 植物油(大豆油、綿実油など) | 水、野菜スープ、だし汁など |
| 味・風味 | 濃厚、まろやか、油のコクがある | あっさり、淡白、魚本来の風味 |
| 食感 | しっとり、ジューシー | さっぱり、ややパサつきやすい |
| カロリー(目安) | 高い(約250~300kcal/100g) | 低い(約70~80kcal/100g) |
| 脂質(目安) | 多い(約20~25g/100g) | 非常に少ない(約0.5~1g/100g) |
| おすすめの用途 | ツナマヨ、サラダ、パスタ、炒め物 | 和え物、サンドイッチ、スープ、煮物 |
※カロリーや脂質は、はごろもフーズ「シーチキンLフレーク(油漬)」と「シーチキンLフレーク(水煮)」の70g缶あたり栄養成分を100gに換算したおおよその目安です。
このように、カロリーと脂質に圧倒的な違いがあることがわかります。この違いが、味や用途にどう影響するのか、詳しく見ていきましょう。
「ツナ缶」と「ノンオイル」の定義と分類の違い
「ツナ缶」とは、マグロ類やカツオ類を原料とした缶詰の総称です。その中で、JAS規格(日本農林規格)などに基づき、調理液の種類によって「油漬け」と「水煮(ノンオイル)」などに分類されます。
一般的な「ツナ缶」(油漬け)とは
日本で「ツナ缶」と言えば、古くから「油漬け(オイル漬け)」タイプが主流でした。これは、蒸したマグロやカツオの身をほぐし(またはブロック状のまま)、大豆油や綿実油(めんじつゆ)といった植物油と調味液を加えて缶に詰め、加熱殺菌したものです。
油を加えることで魚のパサつきを抑え、しっとりとした食感と濃厚なコクを生み出すことができ、これがツナ缶のスタンダードな味として長年親しまれてきました。
「ノンオイル」ツナ缶(水煮・スープ漬け)とは
「ノンオイル」タイプのツナ缶は、その名の通り、油を一切使用しない(あるいはほとんど使用しない)ものです。JAS規格では「水煮」と呼ばれます。
蒸した魚の身を、水や野菜スープ、かつおだし、ホタテエキスといった液体とともに缶に詰めます。油を使わないため、カロリーや脂質を劇的に抑えることができるのが最大の特徴です。
食品表示基準では、脂質が100gあたり0.5g未満の場合に「ノンオイル」や「無脂肪」と表示できるとされています。
原材料と製造工程の違い
どちらも原料となる魚(マグロ、カツオ)を蒸して(あるいは茹でて)加熱処理する基本工程は同じです。最大の違いは、缶に詰める際に「油を加えるか」「水やスープを加えるか」という、最後の調味液の違いのみです。
基本的な製造工程は、油漬けもノンオイルも共通しています。
- 原料:冷凍されたマグロやカツオを解凍し、頭や内臓を取り除きます。
- 蒸煮:大きなカゴに入れ、蒸気で蒸し上げ(あるいは茹でて)火を通します。
- 放冷・除骨:火が通った身を冷まし、手作業で丁寧に皮、骨、血合いなどを取り除き、きれいな「ツナ肉」の状態にします。
- 充填:フレーク状にほぐしたり、ブロック状のまま缶に詰めます。
- 注液・密封:ここで違いが生まれます。
- 油漬け:大豆油や綿実油などの油と、少量の調味液(野菜スープなど)を注入します。
- ノンオイル(水煮):水や野菜スープ、だし汁などの調味液のみを注入します。
- 殺菌:缶を密封した後、高温高圧で加熱殺菌(レトルト殺菌)します。
原料魚や加熱処理、身をほぐす工程は同じで、最後に加える液体が油か水(スープ)か、という点が製造上の唯一の大きな違いなんですね。
味・食感・風味の決定的な違い
油漬けは、油がツナの旨味を閉じ込めるため、味が濃厚でまろやか、食感はしっとりしています。ノンオイルは、油のコクがない分、あっさり淡白で、魚本来の風味やだしの味を直接感じられますが、ややパサつきやすい傾向があります。
調理液の違いは、味と食感に決定的な差をもたらします。
油漬け(オイルタイプ)の味と食感
油漬けタイプは、油のコクと旨味が最大の特徴です。油がツナの身をコーティングし、魚の旨味(イノシン酸など)が外に逃げるのを防ぐと同時に、油自体にも旨味が溶け出しています。
食感は油のおかげで非常にしっとり、ジューシーに仕上がります。ノンオイルタイプに比べて魚の風味は油によってマスキングされますが、その分「ツナ缶らしい」まろやかで濃厚な味わいになります。
ノンオイル(水煮・スープ漬け)の味と食感
ノンオイルタイプは、油のコクがないため、非常にあっさりとして淡白な味わいです。その分、マグロやカツオといった魚本来の風味や、一緒に詰められている野菜スープ、かつおだしの味を強く感じることができます。
食感は、油のコーティングがないため、油漬けに比べるとパサパサしやすい、またはホロホロと崩れやすい傾向があります。このさっぱりとした口当たりが、ヘルシー志向の方に好まれます。
栄養・カロリー・脂質の違い
最大の栄養的な違いは「脂質」と「カロリー」です。ノンオイルタイプは、油漬けタイプに比べて、脂質が約95%以上カットされており、カロリーも約1/3~1/4程度に抑えられています。タンパク質はどちらも豊富に含まれます。
ツナ缶を選ぶ上で、健康面やダイエットを意識する方にとって最も重要なのが栄養成分の違いでしょう。
はごろもフーズの代表的な商品「シーチキンLフレーク(70g缶)」を例に比較してみましょう。
- 油漬け(シーチキンLフレーク)
- エネルギー:203kcal
- たんぱく質:12.8g
- 脂質:17.1g
- ノンオイル(シーチキンLフレーク 水煮)
- エネルギー:49kcal
- たんぱく質:11.6g
- 脂質:0.2g
※出典:はごろもフーズ公式サイト 商品情報(2025年11月時点)
ご覧の通り、タンパク質の量に大きな差はありませんが、カロリーは約1/4、脂質に至ってはほぼゼロに近い数値です。ノンオイルがいかにヘルシーな食品であるかが分かりますね。
料理での使い分け・おすすめの用途
コクと旨味を活かしたい「ツナマヨ」「パスタ」「炒め物」には油漬けが適しています。一方、油切り不要であっさりと仕上げたい「和え物」「サンドイッチ」「スープの具」にはノンオイルが最適です。
この味と栄養の違いから、それぞれ得意な料理が異なります。
油漬け(オイルタイプ)が向いている料理
油のコクと、油に溶け出した旨味を活かす料理に最適です。
- ツナマヨネーズ:油のコクがマヨネーズと合わさり、濃厚でクリーミーな味わいになります。おにぎりの具やサラダの定番ですね。
- パスタ:缶の油ごとフライパンに入れ、ニンニクや鷹の爪と一緒に炒めることで、最高のパスタソースになります。
- 炒め物:ゴーヤチャンプルーや野菜炒めなど、油ごと使うことで全体のコクと旨味がアップします。
- サラダ:ドレッシング代わりに、油ごと野菜と和える使い方もできます。
ノンオイル(水煮・スープ漬け)が向いている料理
あっさりとした風味を活かす料理や、カロリーを抑えたい場合に最適です。
- 和え物:油切りが不要(または軽く汁気を切るだけ)なので、大根おろしやキュウリ、ワカメなどと和える際に非常に手軽です。
- サンドイッチ:油っぽくならないため、パンがベチャッとせず、ヘルシーなサンドイッチが作れます。
- スープ・煮物:野菜スープや味噌汁、煮物に入れると、ツナのタンパク質とスープの旨味が手軽に加わります。
- ヘルシーサラダ:カロリーを気にする場合のサラダのトッピングに最適です。
ノンオイルツナ缶が生まれた背景(歴史)
日本では長らく「油漬け」ツナ缶が主流でしたが、1980年代から1990年代にかけての健康志向やダイエットブームの高まりを背景に、「ノンオイル(水煮)」タイプが登場しました。低カロリー・低脂質・高タンパクな食材として人気を博し、現在では定番商品の一つとなっています。
日本でツナ缶の製造が始まったのは1929年(昭和4年)とされていますが、長らく主流は油漬けタイプでした。
風向きが変わったのは、1980年代後半から1990年代にかけてです。世の中全体で健康志向が高まり、カロリーや脂質を抑えた食品が求められるようになりました。
このニーズに応える形で、油を使わない「水煮(ノンオイル)」タイプのツナ缶が開発・発売されました。高タンパクでありながら、圧倒的に低カロリー・低脂質であるノンオイルツナ缶は、ダイエット中や健康管理中の方々を中心に爆発的な支持を集め、それまでの「ツナ缶=油っぽい」というイメージを覆しました。
現在では、油漬けと並ぶツナ缶の二大勢力として、スーパーの棚に必ず置かれる定番商品となっています。
ツナ缶とノンオイルの使い分け体験談
僕にとって、ツナ缶といえば長らく「油漬け」一択でした。子どもの頃から慣れ親しんだ、あの油のコクとツナマヨの味が「ツナ缶の味」だと思い込んでいたんですね。ノンオイルタイプは、一度試したものの「味が薄くてパサパサする」と感じ、敬遠していました。
その考えが変わったのは、数年前に健康診断で脂質の数値を指摘されてからです。食生活を見直す中で、大好きなツナマヨを我慢すべきか悩んでいた時、改めてノンオイルタイプに手を伸ばしました。
確かにそのまま食べると油漬けに比べて物足りなさを感じます。しかし、「これは油漬けの代用品ではなく、別の食材だ」と考え方を変えてみたんです。
まず驚いたのが、調理の手軽さ。油漬けだとベトベトになる「油切り」の作業が一切不要です。汁気を軽く切るだけで、すぐに和え物やサラダに使えます。キュウリとワカメと和え、ポン酢をかけると、油の邪魔が入らない分、ツナとだしの風味が際立ち、非常においしい一品になりました。
今では、僕の家には油漬けとノンオイルの両方が常備されています。濃厚なパスタやツナマヨおにぎりが食べたい時は「油漬け」、ヘルシーな和え物やスープの具が欲しい時は「ノンオイル」。目的によって使い分けることで、どちらの良さも最大限に活かせるようになりました。
ツナ缶とノンオイルに関するFAQ(よくある質問)
Q1. ノンオイルツナ缶は、本当に油ゼロ(脂質0g)ですか?
A1. 完全にゼロとは限りません。マグロやカツオといった魚自体にも、わずかながら脂質が含まれているためです。食品表示基準では、100gあたりの脂質が0.5g未満であれば「ノンオイル」「無脂肪」「脂肪ゼロ」と表示することが認められています。製品の栄養成分表示を見ると「脂質 0.2g」などと記載されていることが多いですね。
Q2. 油漬けツナ缶の油は、捨てた方がいいですか?
A2. 料理によりますね。カロリーや脂質を抑えたい場合は、しっかりと油を切ってから使うのがおすすめです。一方で、その油にはツナの旨味(イノシン酸など)が溶け込んでいます。ペペロンチーノのようなパスタや、チャーハン、野菜炒めなどに油ごと使うと、調味料の一部として非常に美味しく仕上がりますよ。
Q3. 「水煮」と「スープ漬け」は違うものですか?
A3. どちらも「ノンオイル」タイプですが、調味液が異なります。「水煮」は文字通り、水(または塩水)で煮たものです。「スープ漬け」は、野菜スープやかつおだし、ホタテエキスなどで調味した液体に漬けてあります。スープ漬けの方が、水煮よりも旨味や風味が強く感じられる製品が多いですね。
まとめ|目的別おすすめの選び方
「ツナ缶(油漬け)」と「ノンオイル」の違い、スッキリ整理できたでしょうか。
どちらも同じツナを原料としながら、調理液が「油」か「水・スープ」かによって、味わいも栄養価も全く異なる食品になることが分かりました。
どちらが良い・悪いではなく、あなたの目的によって使い分けるのが正解です。
- コクと濃厚な旨味、しっとり食感を求めるなら:「油漬け」(ツナマヨ、パスタ、炒め物向き)
- カロリーと脂質を抑え、あっさり食べたいなら:「ノンオイル」(和え物、サンドイッチ、スープ向き)
缶詰の規格や表示については、消費者庁の食品表示基準や、日本缶詰びん詰レトルト食品協会のサイトで詳しい情報を確認できます。
それぞれの特性を理解して、日々の食生活に上手にツナ缶を取り入れてみてください。当サイトでは、他にも様々な食材・素材の違いについて解説しています。