回転寿司やスーパーの鮮魚コーナーで、「サーモン」と「とろサーモン」、どちらを選ぶか迷ったことはありませんか。
どちらも人気のネタですが、値段も見た目も違いますよね。
結論から言うと、「サーモン」がサケ・マス類の魚全般、あるいはその赤身(背身)を指すのに対し、「とろサーモン」はそのサーモンの中でも特に脂が乗った腹部の部位「ハラス」を指す、通称・商品名です。
つまり、「とろサーモン」は「サーモン」という魚の、特定の大トロ部分を切り出したものなんですね。この記事では、この二つの言葉の正確な定義から、味やカロリー、価格の違い、そして上手な使い分けまで、詳しく比較解説していきます。
これを読めば、あなたも今日から「サーモン通」です!
結論|とろサーモンとサーモンの違いを一覧表で確認
「とろサーモン」と「サーモン」の最大の違いは、「サーモン」がサケ・マス類の魚全般またはその赤身を指すのに対し、「とろサーモン」はそのサーモンの中でも特に脂が乗った腹部の部位「ハラス」を指す点です。そのため、とろサーモンは脂質とカロリーが非常に高いですが、とろける食感が楽しめます。
まずは、両者の核心的な違いを一覧表で比較してみましょう。
| 項目 | とろサーモン | サーモン(一般的な赤身・背身) |
|---|---|---|
| 指すもの | 部位の通称・商品名 | 魚の総称・部位名 |
| 主な部位 | ハラス(腹部の大トロ部分) | 背身、赤身など(腹部以外) |
| 脂(サシ) | 非常に多い(霜降り状) | 比較的少ない |
| 食感 | とろけるように柔らかい | しっかりとした歯ごたえがある |
| 味わい | 濃厚で強い脂の甘み | さっぱりとした魚本来の旨味 |
| カロリー(目安) | 高い(約300~400kcal/100g) | 低い(約130~200kcal/100g) |
| 価格 | 高い(希少部位のため) | 標準的 |
| 主な用途 | 寿司、刺身、炙り | 寿司、刺身、焼き魚、ムニエル、スモーク |
※カロリーや脂質は、使用されるサーモンの種類(アトランティックサーモン、トラウトサーモンなど)や養殖・天然によって大きく変動します。
とろサーモンとサーモンの定義・関係性の違い
「サーモン」は魚の種類(サケ・マス類)の総称です。一方、「とろサーモン」は、そのサーモンの特定部位(主に腹部のハラス)を、マグロの「トロ」になぞらえて呼ぶ「商品名」または「通称」です。
この二つの言葉、実は「魚の種類」と「部位の呼び名」という、全く違うカテゴリーの言葉なんです。
サーモンとは(サケ・マス類の総称)
「サーモン(Salmon)」とは、サケ科サケ属(Oncorhynchus)やタイセイヨウサケ属(Salmo)に分類される魚の英語名であり、日本語では「サケ(鮭)」や「マス(鱒)」と呼ばれる魚類の総称です。
日本では特に、生食(寿司や刺身)で食べられるアトランティックサーモン(タイセイヨウサケ)やトラウトサーモン(海面養殖ニジマス)などを指して「サーモン」と呼ぶのが一般的ですね。スーパーで売られている「サーモン」の切り身は、多くの場合、背中側の赤身部分や、腹側でもハラスを除いた部分を指します。
とろサーモンとは(特定の部位の通称)
一方、「とろサーモン」は生物学的な分類名ではありません。これは、サーモンの特定の部位を指す「通称」あるいは「商品名」です。
マグロの腹部の脂が乗った部分を「トロ」と呼びますよね。それと同じように、サーモンの中で最も脂が乗っている腹部の肉、すなわち「ハラス」と呼ばれる部位を、「サーモンのトロ」という意味合いで「とろサーモン」と呼ぶようになったのです。
結論:「とろサーモン」は「サーモン」の一部
つまり、関係性を整理すると以下のようになります。
- サーモン:サケ・マス類の魚そのもの。または、その赤身(背身)部分。
- とろサーモン:サーモンという魚の「お腹の一番脂が乗った部分(ハラス)」だけを切り出したもの。
「サーモン」という大きなカテゴリの中に、「とろサーモン(ハラス)」という希少な部位が含まれている、というわけですね。
とろサーモンの正体「ハラス」とは?
「ハラス」は、魚の腹部、特に内臓を囲んでいる筋肉の部分を指します。人間でいう「腹筋」や「肋骨」周りにあたり、非常に多くの脂肪を蓄えるため、魚一匹から取れる量が少ない希少部位です。
では、「とろサーモン」の正体である「ハラス」とは、具体的にどの部分なのでしょうか。
ハラス(腹簾)は、魚のお腹の部分、特に内臓を保護している腹筋(腹膜)にあたる部位です。マグロでいう「大トロ」や「中トロ」の腹側の部分に相当します。
この部分は、外敵や衝撃から内臓を守るために、また、冷たい水温で生き抜くためのエネルギー源として、大量の脂肪を蓄えています。そのため、魚一匹から取れる量は非常に少なく、希少な部位とされています。
このハラス部分だけを贅沢に切り出し、寿司ネタや刺身として提供する際に「とろサーモン」という魅力的な名前が付けられているのです。
とろサーモンとサーモン(赤身)の味・食感・見た目の違い
「とろサーモン(ハラス)」は、圧倒的な脂の量による、とろけるような食感と濃厚な甘みが最大の特徴です。一方、通常の「サーモン(赤身、背身)」は、脂は比較的少なく、しっかりとした食感と魚本来のさっぱりした旨味が特徴です。
両者の違いは、食べ比べてみれば一目瞭然です。
とろサーモン(ハラス)は、見た目からして真っ白な脂肪の筋(サシ)が赤身の間にびっしりと入っており、霜降り状になっています。口に入れると、その脂肪が体温で瞬時に溶け出し、まさに「とろける」ような滑らかな食感と、濃厚な脂の甘みが口いっぱいに広がります。
一方、サーモン(背身や赤身)は、見た目が鮮やかなオレンジ色(アスタキサンチンの色)で、脂の筋は少なく、赤身が主体です。食感はプリプリ、あるいはムッチリとした弾力があり、噛みしめるとサーモン本来のさっぱりとした旨味と風味を感じることができます。
栄養・カロリー・脂質の違い
最大の違いは脂質量とカロリーです。「とろサーモン(ハラス)」は脂質が非常に多いため、カロリーが赤身や背身の2倍以上になることもあります。EPAやDHAといった良質な脂質も豊富ですが、食べ過ぎには注意が必要です。
見た目や食感の違いは、そのまま栄養成分の違いに直結します。
サーモンの部位別カロリー(養殖・アトランティックサーモン、生・100gあたり)の目安を見てみましょう。
- とろサーモン(ハラス):約350~450 kcal(製品により差が大きい)
- サーモン(皮なし赤身):約138 kcal
※ハラスの正確なカロリーは製品により異なりますが、赤身の2倍以上になることが一般的です。文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」の「しろさけ(皮なし・生)」は約124kcal、「からふとます(生)」は約123kcalであり、養殖サーモンの赤身部分はこれらよりやや高めです。
このように、とろサーモン(ハラス)は、赤身部分に比べてカロリーが2倍から3倍近くになることもあります。これは、そのほとんどが脂質であるためです。
もちろん、この脂質にはEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった、体に良いとされるオメガ3系不飽和脂肪酸も豊富に含まれています。しかし、カロリーと脂質の総量が多いことは間違いありませんので、ダイエット中の方や脂質を制限している方は、量に注意が必要ですね。
使い方・料理での扱い方・価格の違い
「とろサーモン」は脂の旨味を活かすため、主に寿司ネタや刺身、炙りで食べられます。価格は希少部位のため高価です。「サーモン」は部位によって異なり、背身は刺身やムニエル、その他の部位は焼き魚やスモークサーモンなど幅広く使われます。
とろサーモンのおすすめの食べ方
とろサーモン(ハラス)は、そのとろける食感と脂の甘みをダイレクトに味わう食べ方がベストです。
- 寿司・刺身:王道です。わさび醤油が脂の甘みを引き立てます。
- 炙り:表面を軽く炙る(あぶる)ことで、余分な脂が落ち、香ばしさが加わります。脂が多すぎてくどいと感じる方にもおすすめです。
- ハラス焼き:塩を振ってシンプルに焼く「ハラス焼き」も人気です。ご飯のおかずや酒の肴に最高ですね。
サーモン(赤身など)のおすすめの食べ方
サーモン(背身や尾の部分など)は、用途が非常に広いです。
- 寿司・刺身・カルパッチョ:さっぱりとした旨味を楽しめます。
- ムニエル・ソテー:加熱しても身がパサつきにくく、バターやオイルとの相性が抜群です。
- 焼き魚(塩焼き・照り焼き):日本の食卓でもおなじみですね。
- スモークサーモン:サラダやマリネに使われます。
価格の違い
価格は、とろサーモン(ハラス)の方が高価です。ハラスは魚一匹から取れる量が限られている「希少部位」であるため、一般的なサーモンの切り身(背身など)よりも高値で取引されます。回転寿司でも、「とろサーモン」や「大トロサーモン」は、「サーモン」よりも高い価格設定になっていることが多いですよね。
「とろ」という呼称の文化的背景
「とろサーモン」という呼び名は、もともとマグロの最も脂が乗った腹身を「トロ」と呼んだことに由来します。1980年代以降、サーモンの生食が普及する中で、同様に脂が乗ったハラス部分が「サーモンのトロ」=「とろサーモン」と呼ばれるようになり、人気の寿司ネタとして定着しました。
日本で「とろ」と言えば、もともとはマグロの脂が乗った腹身を指す言葉でした。脂が「とろっ」としていることから名付けられたと言われています。
一方、サーモン(サケ・マス類)は、日本では伝統的に「鮭(サケ)」として焼き魚で食べられる魚であり、寄生虫(アニサキス)のリスクから生食はされてきませんでした。
しかし、1980年代にノルウェー産の寄生虫のいない養殖アトランティックサーモンが生食用として輸入されるようになると、日本でもサーモンの寿司や刺身が一気に普及しました。
その過程で、マグロの「トロ」と同じように、サーモンの中で最も脂が乗っている「ハラス」部分が注目され、「サーモンのトロ」=「とろサーモン」という呼び名が生まれ、大人気メニューとして定着したのです。まさに、日本の食文化が生んだ呼び名と言えますね。
とろサーモンとサーモンの食べ比べ体験談
僕にとって、回転寿司は「サーモン」の美味しさを知った場所であり、「とろサーモン」の衝撃を受けた場所でもあります。
子どもの頃は、あの鮮やかなオレンジ色の「サーモン」の握りが大好きでした。適度な弾力と、さっぱりとした旨味がたまらなかったんです。しかし、ある日、父が「こっちも美味いぞ」と注文してくれたのが「大トロサーモン(とろサーモン)」でした。
見た目は白っぽく、脂の筋がびっしり。正直、最初は「脂っこそう…」と敬遠したんです。ところが、一口食べてびっくり。噛む必要がないくらい、口に入れた瞬間に脂が溶けて、甘みが広がりました。「サーモンって、こんなに柔らかい魚だったのか!」と衝撃を受けたのを覚えています。
それ以来、僕の中での一番人気は「とろサーモン」になりました。
…しかし、面白いもので、30代を過ぎた頃から、あれほど好きだった「とろサーモン」が、少し重く(くどく)感じるようになってきたんです。今では、回転寿司に行くと、まず「とろサーモン」を1皿だけ頼んで脂の甘みを堪能し、そのあとは昔のように「サーモン(赤身)」や「炙りサーモン」を注文して、さっぱりとした旨味を楽しむようになりました。
部位の違いを知ることで、その日の自分の体調や好みに合わせて、同じサーモンでも楽しみ方を選べるようになった。これもまた、食の面白さだなと感じています。
とろサーモンとサーモンに関するFAQ(よくある質問)
Q1. とろサーモンとハラスは全く同じものですか?
A1. ほぼ同じものを指します。「ハラス」が魚の腹部の「部位名」で、「とろサーモン」はそのハラスを寿司ネタや刺身として提供する際の「商品名・通称」ですね。スーパーでは「サーモンハラス」として売られていることもあります。
Q2. 「サーモン」と「トラウトサーモン」の違いは何ですか?
A2. 「サーモン」はサケ・マス類の総称ですが、一般的に寿司店などで「サーモン」として提供されるのは、アトランティックサーモン(タイセイヨウサケ)など、海で養殖された大型のサケを指すことが多いです。「トラウトサーモン」は、ニジマス(英語でRainbow Trout)を海で養殖したもので、サーモンよりもやや小ぶりで、さっぱりとした味わいが特徴です。
Q3. とろサーモンはなぜあんなに脂が乗っているのですか?
A3. 「ハラス(腹部)」は、内臓を守るために脂肪を蓄えやすく、また運動であまり使われない部位だからです。特に冷たい海で育つ養殖サーモンは、エネルギーを脂肪として蓄えるため、非常に脂乗りが良くなります。
まとめ|とろサーモンとサーモンの違いと選び方
「とろサーモン」と「サーモン」の違い、明確にご理解いただけたでしょうか。
最後にポイントを整理します。
- サーモン:サケ・マス類の魚の総称。または、その赤身・背身部分。
- とろサーモン:サーモンの腹部の最も脂が乗った「ハラス」という部位を指す通称・商品名。
- 特徴:とろサーモンは脂が多く、とろける食感で高カロリー。サーモンの赤身は脂が少なく、さっぱりした旨味と食感が特徴。
どちらも同じサーモンという魚ですが、部位によって全く異なる魅力を持っています。
濃厚な脂の甘みを堪能したい時は「とろサーモン」、魚本来のさっぱりした旨味や食感を楽しみたい時は「サーモン(赤身)」と、好みや気分に合わせて賢く使い分けてみてください。牛肉の格付けについては、農林水産省のウェブサイトなどで牛肉の部位や格付けに関する情報も公開されていますが、サーモンについても部位の違いを知ることで、食の楽しみが広がりますね。
当サイトでは、他にも肉・魚介類の違いについても解説していますので、ぜひご覧ください。