サケガシラとリュウグウノツカイの違い!「人魚伝説」の正体はどっち?

「サケガシラ」と「リュウグウノツカイ」。

どちらも銀色に輝く細長い体を持つ深海魚で、浜辺に打ち上げられると「人魚のモデル?」あるいは「地震の前兆か?」とニュースになることがありますよね。

しかし、この非常に似たイメージを持つ二種類の魚、実は全く別の魚だということをご存知でしたか?

結論から言うと、両者は同じ「アカマンボウ目」に属するものの、科が異なります「リュウグウノツカイ」はリュウグウノツカイ科で、全長10mを超えることもある巨大魚です。一方、「サケガシラ」はフリソデウオ科で、大きくても2m程度と、大きさが全く違います。

この記事では、サケガシラとリュウグウノツカイの決定的な違いについて、分類、見た目、生態、そして気になる「食べられるのか?」という点まで、詳しく比較解説します。

結論|サケガシラとリュウグウノツカイの違いを一覧表で確認

【要点】

サケガシラとリュウグウノツカイの最大の違いは、「科」「大きさ」「ヒレの形状」「墨袋の有無」「食用の可否」です。リュウグウノツカイは最大10m超と非常に巨大で、赤いヒレを持ちますが、水っぽく食用にはなりません。サケガシラは最大2mほどで、尾ビレが上を向き、墨袋を持ちますが、食べられる地域もあります。

まずは、両者の核心的な違いを一覧表で比較してみましょう。

項目サケガシラリュウグウノツカイ
分類アカマンボウ目 フリソデウオ科アカマンボウ目 リュウグウノツカイ科
大きさ最大約2m最大11mに達することも
見た目(体)タチウオに似て側扁、銀色非常に細長い、銀色に青い模様
見た目(ヒレ)背ビレ・腹ビレは赤いが短い。尾ビレは上を向く背ビレ・腹ビレが非常に長く、鮮やかな赤色
生態(特徴)危険を感じると墨袋から墨を吐く墨袋を持たない
生息水深深海200~1000m程度(中層)深海200~1000m程度(中層)
食用の可否食べられる(が、水っぽく淡白)食用には適さない(水っぽい)

同じ「アカマンボウ目」という大きなグループの親戚ではありますが、「科」が異なり、生態も見た目も大きく違うことがわかりますね。

サケガシラとリュウグウノツカイの定義と分類の違い

【要点】

両者は同じ「アカマンボウ目」に属する深海魚ですが、科が異なります。「サケガシラ」はフリソデウオ科に属し、「サケの群れの頭(カシラ)についてくる」ことから名付けられました。「リュウグウノツカイ」はリュウグウノツカイ科に属し、その姿から「竜宮城の使い」と名付けられました。

サケガシラ(鮭頭)とは

サケガシラ(学名:Trachipterus ishikawae)は、アカマンボウ目フリソデウオ科に属する深海魚です。

その名前の由来は、秋になるとサケ(鮭)の群れについて泳ぐ姿が目撃されたことから、「鮭の群れの頭(カシラ)にいる魚」という意味で「サケガシラ」と呼ばれるようになったと言われています(諸説あります)。

リュウグウノツカイ(竜宮の使い)とは

リュウグウノツカイ(学名:Regalecus glesne)は、アカマンボウ目リュウグウノツカイ科に属する深海魚です。

その名前は、鮮やかな赤いヒレと銀色に輝く長い体を持つ姿から、伝説上の「竜宮城」からの使いである、あるいは竜宮城に住む乙姫様の帯ではないか、といった空想から名付けられました。英語でも「King of Herrings(ニシンの王)」と呼ばれるなど、世界中で伝説的な存在として知られています。

見た目・大きさ・生態の決定的な違い

【要点】

リュウグウノツカイは最大10mを超える巨大な体と、頭部から伸びる鮮やかな赤い長いヒレが特徴です。一方、サケガシラは最大でも2m程度で、リュウグウノツカイほどヒレは長くありません。また、サケガシラは危険を感じると「墨を吐く」という決定的な違いがあります。

この二種を見分けるポイントは、大きさ、ヒレ、そして「墨」です。

サケガシラの特徴(タチウオ似・墨袋)

サケガシラは、体長1~2mほどで、タチウオのように体が平たく(側扁)、銀色に輝いています。背ビレや腹ビレは赤みがかっていますが、リュウグウノツカイほど長くはありません。

最大の特徴は2つあります。一つは、尾ビレが上向きに反っていること。もう一つは、イカやタコのように「墨袋」を持っていることです。危険を感じると、肛門から墨を吐いて敵の目をくらますと考えられています。深海魚で墨を吐く魚は非常に珍しいですね。

リュウグウノツカイの特徴(巨大・赤いヒレ)

リュウグウノツカイは、まず大きさが圧倒的に違います。平均でも3~5m、大きいものでは11mに達したという記録もある、世界最長の硬骨魚類の一つです。

見た目の最大の特徴は、鮮やかな赤いヒレです。頭部から伸びる背ビレの先端(6本)は特に長く、まるで冠のようです。また、腹ビレも2本だけが非常に長く伸び、オールのように使われるとも言われています。

尾ビレは退化しているか、糸状になっています。そして、サケガシラと違い、墨袋は持っていません。

生息水深と「地震の前兆」という噂について

【要点】

どちらも水深200m~1000m程度の深海の中層に生息し、普段は頭を上にして「立って」泳いでいると考えられています。浜辺に打ち上げられると「地震の前兆」と噂されますが、現在のところ科学的な根拠は確認されていません

サケガシラもリュウグウノツカイも、普段は水深200mから1000mほどの深海の中層(光がほとんど届かない領域)に生息しています。

どちらも、海底にいるのではなく、海の中層で頭を上にした「立ち泳ぎ」のような姿勢で漂っていると考えられています。サケガシラはその姿勢で、上から落ちてくるプランクトンや小型の甲殻類を食べているようです。

これら深海魚が浅い場所や浜辺に打ち上げられると、「地震や天変地異の前兆ではないか」と噂されることがよくあります。

しかし、これまでに地震とこれらの魚の出現との間に明確な科学的因果関係が証明されたことはありません。多くの専門家は、海流の変化(特に冬場の日本海)や、海水温の急激な変化、あるいは魚自体の体調不良によって弱った個体が、海面に押し上げられて打ち上げられる、と考えています。

食用の可否・味・食感の違い

【要点】

カテゴリは「食材・素材」ですが、この二種は食用にはあまり適していません。リュウグウノツカイは肉が非常に水っぽく、食用にはなりません。一方、サケガシラは食べられますが、こちらも水分が多く淡白な白身で、一部の地域で珍味として食べられる程度です。

この二種は、その希少性から「食べたらどうなる?」と興味を持たれますが、食用としての価値は大きく異なります。

サケガシラの食用と味

サケガシラは、食べられる地域があります。特に日本海側の富山県や新潟県、京都府伊根町などでは、まとまって水揚げされることがあり、市場に出ることもあります。

ただし、その肉質は水分が非常に多く、ゼラチン質で、脂はほとんどありません。非常に淡白な白身です。そのため、刺身(昆布締め)や塩焼き、煮付け、天ぷら、フライなどで食べられますが、「非常に美味しい」と絶賛されることは少なく、珍味として扱われることが多いようです。

リュウグウノツカイの食用と味

一方、リュウグウノツカイは、その巨体にもかかわらず、食用には適さないとされています。

肉はサケガシラ以上に水っぽく、ゼラチン状でブヨブヨしており、味がほとんどないと言われています。また、小骨が非常に多いことも食用に向かない理由です。漁獲されることも極めて稀であり、水族館での飼育も困難なため、そのほとんどは学術的な標本や研究用として扱われます。

サケガシラとリュウグウノツカイの体験談

僕は水族館で「リュウグウノツカイ」のホルマリン(または液浸)標本を見たことがあります。ニュースでは知っていましたが、実物(標本とはいえ)を目の前にすると、その非現実的なまでの「長さ」と「薄さ」に圧倒されました。タチウオを何倍にも引き伸ばしたような体に、色あせてはいましたが、確かに赤いヒレの痕跡があり、「これは確かに“使い”と呼ばれるだけのオーラがあるな」と感じました。

一方、「サケガシラ」は、数年前に地元の漁港で水揚げされたというニュース映像で見たことがあります。こちらはリュウグウノツカイに比べるとはるかに小さく、見た目もタチウオに近いため、まだ現実味のある姿でした。

漁師さんが「これは水っぽいけど、昆布締めにすりゃ食えるよ」と話していたのが印象的でしたね。同じ「竜宮」の仲間でも、片や神々しいまでの存在感を放つ「使い」であり、片や「なんとか食べられる」という少し身近(?)な存在であることに、二種のキャラクターの違いを感じました。

サケガシラとリュウグウノツカイのFAQ(よくある質問)

Q1. サケガシラやリュウグウノツカイは「サケ」の仲間ですか?

A1. いいえ、全く違います。サケは「サケ目サケ科」の魚です。サケガシラやリュウグウノツカイは「アカマンボウ目」に属する魚で、分類学上はマンボウやタチウオに近い仲間とされています。サケガシラという名前は、あくまで「サケの群れについてくる」という生態(と言われる伝説)に由来する通称ですね。

Q2. 地震の前兆というのは本当ですか?

A2. 科学的な根拠は確認されていません。深海魚が打ち上げられる現象と地震の発生に関連性を見出そうとする研究はありますが、現時点では「迷信」または「偶然の一致」の域を出ていない、というのが専門家の一致した見解のようです。

Q3. どちらも食べられないのですか?

A3. リュウグウノツカイは食用に適さないとされています。サケガシラは食べられますが、肉が水っぽく淡白なため、一般的な食用魚と比べると味は劣ると言われています。日本海側の一部地域で、珍味として刺身(昆布締め)や天ぷらなどで食されることがあります。

まとめ|サケガシラとリュウグウノツカイの違いと見分け方

サケガシラとリュウグウノツカイ、どちらもロマンあふれる深海魚ですが、その違いは明確でしたね。

  • リュウグウノツカイ最大10m超の巨大魚。鮮やかな赤い長いヒレが特徴。食用にはならない。
  • サケガシラ:最大2m程度。タチウオに似ている。墨を吐き、尾ビレが上を向く。食用にされる地域もある。

もし浜辺やニュースでこれらの魚を見かけたら、まずはその大きさとヒレの色、そして「墨を吐いた跡」があるかどうかで、どちらなのかを見分けてみてください。どちらも、深海からの珍しい「使い」であることには変わりありませんね。

これらの深海魚の生態については、水族館の解説や、海洋研究開発機構(JAMSTEC)などの研究機関のウェブサイトでも詳しく知ることができます。

当サイトでは、他にも様々な肉・魚介類の違いについても解説していますので、ぜひご覧ください。