タイバジルとホーリーバジルの違い!ガパオに使うのはどっち?

タイ料理が好きで、自宅でグリーンカレーやガパオライスに挑戦する方も増えていますよね。

ですが、「タイバジル」と「ホーリーバジル」の違いを正確に説明できますか?

どちらも「タイのバジル」ですが、実はこれ、全く香りが異なる別物なんです。

一言でいうと、タイバジルはアニスのような甘く爽やかな香りで生食や料理の仕上げ向き、対するホーリーバジル(ガパオ)はクローブのようなスパイシーな香りで、強火の炒め物で真価を発揮します。

この記事を読めば、両者の決定的な違いから、本場のタイ料理における正しい使い分けまで、スッキリと理解できます。もうハーブ選びで迷うことはありません。

それでは、まず両者の違いを比較表で見ていきましょう。

結論|タイバジルとホーリーバジルの違いとは?早わかり比較表

【要点】

最大の違いは「香りの系統」と「最適な調理法」です。タイバジルはアニス系の甘い香りで、生食やカレーの仕上げに使います。一方、ホーリーバジルはクローブ(丁子)様の刺激的な香りで、「ガパオライス」のように強火で炒めることで香りが引き立ちます。

タイ料理に欠かせない二つのバジルですが、その特性は正反対とも言えるほど異なります。まずは一覧表でその違いを確認しましょう。

項目タイバジル(ホーラパー)ホーリーバジル(ガパオ)
別名(タイ語)ホーラパーガパオ
別名(和名)タイスウィートバジルカミメボウキ、トゥルシー
見た目茎が紫色、葉は緑色で光沢あり。茎は緑色(または赤紫)。葉の縁がギザギザで、表面に産毛がある。
香りの系統アニス系(甘く爽やか)クローブ系(スパイシー、刺激的)
最適な調理法生食、料理の仕上げ(香りが飛びやすい)強火での加熱(炒め物)
代表的な料理フォーの薬味、グリーンカレーガパオライス(パッガパオ)

このように、「ガパオライス」の「ガパオ」とは、実はホーリーバジルのことだったんですね。タイバジルを使っても、あの本場の香りにはなりません。

では、それぞれの定義や植物としての違いを詳しく見ていきましょう。

定義・分類・見た目の違い

【要点】

両者は植物の分類上、同じシソ科メボウキ属ですが「種」が異なります。タイバジルは一般的なスイートバジルの「変種」ですが、ホーリーバジルは「カミメボウキ(トゥルシー)」という全く別の植物です。

見た目も似ているので混同されがちですが、植物としては明確な違いがあります。

タイバジル(ホーラパー)とは

タイバジル(タイ語:โหระพา, ホーラパー)は、シソ科メボウキ属に分類されます。これはイタリア料理に使うスイートバジルと同じ属ですが、タイバジルはその「変種」の一つとされています。

見た目の大きな特徴は、茎が紫色であることです。葉は緑色で光沢があり、スイートバジルに比べてやや細長く、縁のギザギザが少ないのが特徴です。

ホーリーバジル(ガパオ)とは

ホーリーバジル(タイ語:กะเพรา, ガパオ)は、タイバジルと同じシソ科メボウキ属ですが、学名が異なり、和名を「カミメボウキ」という別の植物です。

インドでは「トゥルシー」と呼ばれ、ヒンドゥー教において神聖な(Holy)ハーブとして扱われることから「ホーリーバジル」の名が付きました。

見た目は、葉の縁がはっきりとしたギザギザ(鋸歯)になっており、葉の表面にうっすらと細かい産毛が生えているのが特徴です。

茎の色によって、茎が赤い「赤ガパオ(ガパオ・デーン)」と、茎が緑色の「白ガパオ(ガパオ・カウ)」の2種類があり、一般的に赤ガパオの方が香りが強いとされています。

味・香り・食感の決定的な違い

【要点】

香りが両者を見分ける最大のポイントです。タイバジルはアニスやリコリス(甘草)のような、甘く爽やかな香りがします。一方、ホーリーバジルはクローブ(丁子)や薬品にも似た、刺激的でスパイシーな香りが特徴です。

この二つのバジルは、料理の仕上がりを全く変えてしまうほど、香りの系統が異なります。

香り(最も重要な違い)

タイバジル(ホーラパー)
香りの主成分はアネトールなどで、八角(スターアニス)やフェンネル、リコリス(甘草)にも通じる、独特の甘く爽やかな香りがします。いわゆる「アニス系」の香りで、清涼感があります。

ホーリーバジル(ガパオ)
香りの主成分はオイゲノールやカリオフィレンです。これはクローブ(丁子)やオールスパイスにも含まれる成分で、歯医者さんの消毒液の匂いを連想させるような、薬品っぽさも伴う刺激的でスパイシーな香りがします。「クローブ系」の香りと表現されます。

味と食感

タイバジルは、生のまま食べることが多く、葉は比較的柔らかで、アニス系の甘い香りとともに、わずかな辛味や苦味を感じます。

ホーリーバジルは、生で食べると辛味と苦味が非常に強く、香りも刺激的すぎるため、生食にはあまり向きません。葉の食感も、産毛があるためかタイバジルに比べてやや硬く感じられます。

栄養・成分・効能の違い

【要点】

どちらもβ-カロテンやビタミンKなどを含みますが、ホーリーバジル(ガパオ)は特に注目されています。インドの伝統医学アーユルヴェーダでは「不老不死の霊薬」とも呼ばれ、抗酸化作用やリラックス効果が期待されるオイゲノールなどの成分を豊富に含みます。

どちらも緑黄色野菜に分類され、栄養価の高いハーブです。

一般的なバジルと同様に、体内でビタミンAに変わるβ-カロテンや、骨の健康を助けるビタミンK、ビタミンC、カルシウム、鉄分などを含みます。

特に違いとして注目されるのは、ホーリーバジル(ガパオ)の文化的・伝統的な側面です。

インドの伝統医学アーユルヴェーダでは「トゥルシー」と呼ばれ、その薬効の多さから「ハーブの女王」として珍重されてきました。香りの主成分でもあるオイゲノールをはじめとする多くのフェノール化合物を含み、これらが持つ抗酸化作用や抗菌作用、さらにはストレス軽減(アダプトゲン)の効果が期待され、ハーブティーとしても飲用されています。

料理での使い方・加熱による変化の違い

【要点】

調理法は正反対です。タイバジルは加熱に弱く香りが飛びやすいため、生食(薬味)や料理の仕上げ(香り付け)に最適です。一方、ホーリーバジルは加熱に強く、強火で油と炒めることで独特のスパイシーな香りが爆発的に引き立ちます。

それぞれの香りの特性を理解すれば、使い分けは簡単です。

タイバジルの最適な使い方(生・仕上げ)

タイバジルのアニス系の甘く爽やかな香りは、熱に弱いという特徴があります。長く加熱すると香りが飛んでしまうため、その風味を活かすには生食か、加熱を最小限に留めるのが鉄則です。

  • 薬味として(生):ベトナムのフォーやブン(米麺)に添えられるハーブとして定番です。生春巻きの具材としても使われます。
  • 料理の仕上げに:タイカレー(特にグリーンカレーやレッドカレー)では、煮込みの最後、火を止める直前に加えて香りを移します。
  • サラダに:葉をちぎってサラダに加えると、爽やかなアクセントになります。

ホーリーバジルの最適な使い方(加熱・炒め物)

ホーリーバジルのクローブ系のスパイシーな香りは、油で加熱することで最も引き立ちます。生のままでは辛く香りも強すぎるため、加熱調理、特に炒め物が基本です。

  • ガパオライス(パッガパオ):まさにこのハーブを使うための料理です。「パッ」は「炒める」という意味。ニンニクや唐辛子と油で炒め、ひき肉などを加えて強火で一気に仕上げることで、あの食欲をそそる香りが全体に行き渡ります。
  • その他の炒め物:シーフードや野菜との炒め物(パッチャー)にも使われ、肉や魚介の臭み消しとしても強力に機能します。

(注意) 日本のタイ料理店では、ホーリーバジル(ガパオ)が入手困難または高価であるため、タイバジルや、ひどい時には一般的なスイートバジルで「ガパオライス」を提供しているお店が少なくありません。しかし、本場タイで「パッガパオ」を注文してタイバジルが出てくることはまず無く、全く別の料理になってしまいます。

入手性・価格・保存方法の違い

【要点】

どちらも一般的なスイートバジルに比べると入手性は劣ります。タイバジルはエスニック食材店や一部のスーパーで生葉が見られます。ホーリーバジル(ガパオ)の生葉はさらに希少で、冷凍品が主流です。どちらも乾燥と低温に弱いため、保存には注意が必要です。

入手性と価格

タイバジルは、エスニック食材を扱うスーパーやデパート、通販などで生葉のパックが流通しています。価格はスイートバジルよりやや高めです。

ホーリーバジル(ガパオ)の生葉は、国内での生産量が非常に少なく、入手は困難です。タイ料理の業務用食材店や通販などで、冷凍品(葉と茎を刻んだもの)が販売されているのが一般的で、ガパオライスを作る際はこれを利用するのが最も現実的です。生葉は冷凍品よりもかなり高価になります。

正しい保存方法

どちらのハーブも熱帯原産のため、乾燥と低温(特に冷蔵庫の冷気)に非常に弱いです。

生葉で手に入れた場合の最適な保存方法は、湿らせたキッチンペーパーで根元(または全体)を優しく包み、ポリ袋や密閉容器に入れます。冷蔵庫の中でも温度が比較的高い「野菜室の上段(冷気の吹き出し口から遠い場所)」で、立てて保存するのが長持ちのコツです。それでも傷みやすいため、2〜3日中に使い切るのが理想です。

タイ料理における文化的背景

【要点】

タイ料理において、この二つは明確に区別されます。「ホーラパー(タイバジル)」は主にカレーやスープの「香り付け」に。「ガパオ(ホーリーバジル)」は「炒め物」専用のハーブとして、その刺激的な香りを料理の主役にします。

タイの食文化において、この二つのハーブは全くの別物として扱われ、代用することは基本的にありません。

ホーラパー(タイバジル)は、その甘く爽やかな香りを活かし、ゲーン(タイカレー)やトムヤムクンなどのスープ料理に「香り」と「彩り」を加える役割を担います。また、生春巻きや麺料理に添えられる薬味(ハーブ盛り合わせ)の定番でもあります。

ガパオ(ホーリーバジル)は、何よりも「炒める(パッ)」ためのハーブです。タイの屋台や食堂で「パッガパオ(ガパオ炒め)」を注文すれば、ニンニク、唐辛子、そしてこのガパオが油と一緒になって生み出す、強烈でスパイシーな香りが立ち込めます。この香りこそが料理の主役であり、ガパオライスの魂とも言えます。

体験談|ガパオライスで使い間違えた苦い記憶

僕がタイ料理に本格的にハマりだした頃、自宅でどうしても本場のガパオライスが作りたくなった時期がありました。

近所のスーパーを巡り、エスニック食材コーナーで「タイバジル」のパックを見つけたんです。「タイのバジルだから、これでOKだろう!」と意気揚々と購入しました。茎が紫で、確かにタイ料理店で見たことがある気もしましたし…。

家に帰り、YouTubeで見た通り、ニンニクと唐辛子を油で熱し、鶏ひき肉を強火で炒め、ナンプラーやオイスターソースで味付け。最後に、満を持してその「タイバジル」を大量に投入しました。

しかし、期待していた香りが全くしません。僕が求めていたのは、タイの屋台で感じるような、あのクローブのようなスパイシーで焦げたような刺激的な香りです。代わりにキッチンに広がったのは、アニス系の、どこか甘ったるい爽やかな香りでした。

出来上がった「ガパオ(風)ライス」は、決して不味くはないものの、何か物足りない、全く別の料理…。グリーンカレーの残り香で作った炒飯、とでも言うような、ぼんやりした味になってしまったんです。

後日、タイ料理に詳しい友人にその話をすると、「あ、それホーラパー(タイバジル)だね。ガパオライスは『ガパオ(ホーリーバジル)』じゃないと、あの味は絶対に出ないよ」と笑われてしまいました。

その足で業務用スーパーへ行き、冷凍の「ガパオ(ホーリーバジル)」を手に入れてリベンジしました。冷凍の葉を油に入れた瞬間、あの強烈なスパイシーな香りが爆発し、「これだ!」と叫びましたね。

見た目が似ていても、料理における「役割」が全く違うこと。特にホーリーバジル(ガパオ)は、その食材自体が料理名になるほど代用がきかないハーブなのだと、身をもって学んだ苦い記憶です。

タイバジルとホーリーバジルの違いに関するFAQ(よくある質問)

日本のガパオライスは、なぜタイバジルやスイートバジルで代用することが多いのですか?

はい、それはホーリーバジル(ガパオ)の生葉が、日本国内では非常に流通量が少なく、高価だからです。また、本場の香りが刺激的すぎるため、日本人向けに食べやすくマイルドなタイバジルや、より入手しやすいスイートバジルでアレンジ(代用)しているお店が多いのが実情ですね。

タイバジルはスイートバジル(普通のバジル)とは違うのですか?

はい、違います。タイバジルはスイートバジルの変種の一つですが、香りの系統が明確に異なります。スイートバジル(ジェノベーゼなどに使う)は爽やかですがアニス香は弱く、タイバジルはアニス系の甘い香りが特徴です。料理の仕上がりが変わってしまうため、代用は難しいですね。

ホーリーバジル(ガパオ)はハーブティーにも使えますか?

使えます。インドでは「トゥルシーティー」として古くから飲まれており、リラックス効果や抗酸化作用が期待されています。ただし、ガパオライスに使うのと同じクローブ系のスパイシーな香りがするため、ハーブティーとしては好みが分かれるかもしれません。

まとめ|タイバジルとホーリーバジル、目的別おすすめの使い方

タイバジルとホーリーバジルの違い、これでスッキリしましたでしょうか。

どちらもタイ料理には欠かせないハーブですが、その個性は全く異なります。

タイバジル(ホーラパー)は、アニス系の「甘く爽やかな香り」が特徴です。香りが飛びやすいため、生食(フォーの薬味など)や、料理の仕上げ(グリーンカレーなど)に加えるのが最適です。

ホーリーバジル(ガパオ)は、クローブ系の「刺激的でスパイシーな香り」が命。強火の油で炒めることで香りが爆発的に引き立ち、「ガパオライス」には絶対に欠かせないハーブです。

もし日本のお店でガパオライスを頼んで、タイバジルの甘い香りがしたら、「これはホーラパー(タイバジル)を使ってるな」と違いが分かるはずです。

それぞれの香りと調理法をマスターして、ぜひご自宅で本場のタイ料理を楽しんでみてくださいね。

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