秋が深まると、果物売り場に様々な「洋梨」が並び始めますよね。
中でも「マルゲリットマリーラ」と「ラフランス」は代表的な品種ですが、この二つの違い、ご存知ですか?
どちらもフランス生まれの洋梨ですが、その個性は「大きさと食感」に明確な違いがあります。
一言でいうと、「マルゲリットマリーラ」は非常に大玉で果汁が多く、さっぱりとした甘さと比較的しっかりした食感が特徴です。一方、「ラフランス」は芳醇な香りと濃厚な甘み、そして「とろけるような滑らかな食感」が魅力の品種です。
この記事を読めば、それぞれの品種の特徴から、食べ頃の見分け方、価格の違いまでスッキリと理解できます。贈答用や自分へのご褒美に、最適な一玉を選べるようになりますよ。
それでは、まず両者の違いを一覧表で比較してみましょう。
結論|マルゲリットマリーラとラフランスの違いとは?早わかり比較表
最大の違いは「食感」と「サイズ」です。「マルゲリットマリーラ」は400gを超える大玉になりやすく、果汁が多いながらも食感が比較的しっかりしています。一方、「ラフランス」はとろけるような滑らかな舌触りと濃厚な甘みが特徴です。
一見似ている二つの洋梨ですが、これだけの違いがあります。
| 項目 | マルゲリットマリーラ | ラフランス |
|---|---|---|
| 見た目・サイズ | 非常に大玉(400g〜1kg)、きれいな洋梨型、サビは少ない | 中玉(250g〜350g)、形が不揃い、サビが多い |
| 食感 | 果汁が滴るほど多い、比較的しっかりした肉質(シャリ感と滑らかさの中間) | とろけるように滑らか、緻密な肉質 |
| 味・香り | 酸味が穏やか、さっぱりとした上品な甘さ | 濃厚な甘みと適度な酸味のバランスが良い、芳醇な香り |
| 旬の時期 | 9月下旬〜10月下旬(早い) | 10月下旬〜12月頃(遅い) |
| 食べ頃のサイン | 皮が緑→黄色っぽくなる、軸周りが柔らかくなる | 皮の色はあまり変わらない、軸周りが柔らかくなり香りが立つ |
| 価格帯 | 比較的安価 | 比較的高価(贈答用にも人気) |
どちらも「追熟(ついじゅく)」が必要な点は共通していますが、旬の時期や食べ頃のサインが異なるのが面白いですよね。
定義・起源・品種の違い
どちらも19世紀にフランスで「偶発実生(偶然の交配で生まれた品種)」として発見されました。「マルゲリットマリーラ」は1872年頃、「ラフランス」は1864年に発見され、どちらも歴史ある洋梨です。
マルゲリットマリーラとは
マルゲリットマリーラ(Marguerite Marillat)は、1872年頃にフランスのリヨン近郊で発見された西洋梨の品種です。発見者のマリーラ氏が、妻マルグリット(マルゲリット)の名前を付けて発表したと言われています。
日本へは明治時代に導入されました。非常に大玉になることが最大の特徴で、大きいものだと1kgを超えることもあります。
ラフランスとは
ラフランス(La France)は、1864年にフランスで発見された西洋梨の品種です。その美味しさから「我が国(フランス)を代表するにふさわしい洋梨だ」として、「ラ・フランス(フランス)」と名付けられたと言われています。
日本へも明治時代に導入されましたが、栽培の難しさや不揃いな外見から、長らく注目されていませんでした。しかし、そのとろけるような食感と芳醇な香りが再評価され、現在では日本で最も人気のある洋梨の一つとして「果物の女王」とも称されています。
見た目・味・香り・食感の決定的な違い
「マルゲリットマリーラ」は大玉でさっぱりした甘さと溢れる果汁が特徴。「ラフランス」は、濃厚な甘みと酸味のバランス、そして特有のとろける舌触りが最大の違いです。
この二つの洋梨は、食感と味わいの方向性が明確に異なります。
見た目(大きさとサビ)
マルゲリットマリーラは、平均でも400g〜500g、大きいものは1kgにも達する圧倒的な大玉が特徴です。形は「洋梨」と聞いてイメージするような、くびれのある綺麗な「びん型」をしています。果皮は緑色で、熟すと黄色みを帯び、サビ(果皮の褐色の斑点)は比較的少ないです。
ラフランスは、250g〜350g程度の中玉サイズです。形はマルゲリットマリーラほど整っておらず、ゴツゴツと不揃いな形になりやすいのが特徴です。また、果皮には「サビ」が多く見られますが、これは病気ではなく、美味しく熟すための特徴の一つとされています。
味と香り(さっぱり vs 濃厚)
マルゲリットマリーラは、酸味が穏やかで、さっぱりとした上品な甘さが特徴です。香りは強すぎず、上品です。
ラフランスは、糖度が非常に高くなる一方で、適度な酸味も持ち合わせています。この甘みと酸味のバランスが非常に良く、濃厚な味わいを生み出しています。香りも非常に芳醇で、洋梨特有の甘い香りが強く立ち上ります。
食感(比較的しっかり vs とろける)
ここが両者の最も大きな違いと言えるでしょう。
マルゲリットマリーラは、滴るほどの豊富な果汁が特徴ですが、果肉は比較的しっかりしています。滑らかさの中に、わずかにシャリ感も残るような、バランスの取れた食感です。
ラフランスの最大の魅力は、「とろけるような滑らかな舌触り」です。追熟が完了した果肉は非常に緻密で柔らかく、バターのように滑らかに口の中で溶けていきます。
食べ頃の見分け方と追熟の違い
どちらも「追熟」が必須ですが、見分け方が異なります。「マルゲリットマリーラ」は皮が黄色っぽく変化しますが、「ラフランス」は皮の色がほとんど変わりません。どちらも軸(ヘタ)の周りを軽く押して、柔らかさを感じるのが食べ頃のサインです。
洋梨は、収穫後に一定期間置いて熟させる「追熟(ついじゅく)」という工程が絶対に必要です。買ったばかりの硬い状態では、甘みも香りもほとんどありません。
マルゲリットマリーラ
追熟のサインが比較的わかりやすい品種です。果皮の色が緑色から黄色っぽく変化し、香りが立ってきます。最終的には、軸(ヘタ)の周りを指で軽く押してみて、耳たぶくらいの柔らかさを感じたら食べ頃です。
ラフランス
食べ頃の見分けが非常に難しい品種として有名です。なぜなら、追熟しても果皮の色がほとんど変わらない(緑色のまま)からです。
見分けるポイントはただ一つ、軸(ヘタ)の周り(肩の部分)です。ここを指で軽く押し、柔らかさを感じたら(耳たぶより少し柔らかいくらい)、それが食べ頃のサインです。また、香りも追熟前より格段に強くなります。
(注意) 食べ頃かどうかを確かめるために、果実の側面(お腹の部分)を押してはいけません。そこが柔らかくなっている場合は、熟しすぎている可能性が高く、また傷みの原因にもなります。
栄養・成分・健康面の違い
どちらも栄養成分に大きな差はありません。洋梨に共通するソルビトール(糖アルコール)やカリウム、食物繊維を含みます。ソルビトールは便通を良くする効果も期待されます。
マルゲリットマリーラとラフランスの栄養成分に、特筆すべき大きな差はありません。
どちらも洋梨に共通する栄養素を含んでいます。
- ソルビトール:糖アルコールの一種で、すっきりとした甘みの元となります。水分を保持する性質があり、便を柔らかくする働きが期待できるため、便秘解消に役立つとされています。
- カリウム:体内の余分なナトリウム(塩分)を排出するのを助けるミネラルです。
- 食物繊維:腸内環境を整えるのに役立ちます。
また、皮や皮の近くにはポリフェノールも含まれていますが、洋梨は基本的に皮を剥いて食べるため、摂取は限定的です。
旬・産地・価格の違い
旬は「マルゲリットマリーラ」が9月下旬からと早く、「ラフランス」は10月下旬からと遅れて始まります。価格は、生産量の多さや栽培の歴史から「マルゲリットマリーラ」の方が手頃で、「ラフランス」は贈答用にもなるため高価な傾向があります。
旬の時期(マルゲリットマリーラが先)
旬の時期は明確にずれています。
マルゲリットマリーラは比較的早く、9月下旬から10月下旬頃に旬を迎えます。秋の始まりを感じさせてくれる洋梨ですね。
ラフランスは晩生(おくて)の品種で、10月下旬から収穫が始まり、11月から12月にかけて食べ頃の最盛期を迎えます。まさにお歳暮シーズンにぴったりの果物です。
主な産地
どちらも主な産地は山形県です。特にラフランスは全国生産量の約80%を山形県が占めており、まさに「洋梨王国」です。その他、マルゲリットマリーラは青森県など、ラフランスは長野県や青森県でも栽培されています。
価格と入手性
価格は品種のブランド力と流通量によって差が出ます。
マルゲリットマリーラは、大玉で見栄えがしますが、ラフランスほどの知名度はないため、比較的手頃な価格で販売されていることが多いです。スーパーなどでも見かける機会があります。
ラフランスは、日本で最も人気のある洋梨の品種であり、「果物の女王」としてのブランドが確立しています。そのため、マルゲリットマリーラよりも高価な傾向にあり、贈答用の高級品としても広く扱われています。
おすすめの食べ方・保存方法
どちらも追熟が必須です。常温(15〜20℃)で保存し、食べ頃になったら冷蔵庫で2〜3時間冷やして生で食べるのが一番です。追熟前の冷蔵保存は厳禁です。
マルゲリットマリーラのおすすめ
その溢れる果汁とさっぱりした甘さを活かし、生で食べるのが一番です。大玉なので、半分にカットしてスプーンですくって食べるのも贅沢ですね。コンポート(砂糖煮)にしても煮崩れしにくいのでおすすめです。
ラフランスのおすすめ
何といっても、とろける食感を最大限に楽しむために、追熟させてから冷やして生で食べるのが最高です。濃厚な味わいは、タルトやパフェの主役にもぴったりです。
正しい追熟と保存方法
洋梨の美味しさは「追熟」で決まります。買ったばかりの硬い洋梨は、まだ美味しくありません。
- 常温で追熟:直射日光の当たらない、涼しい場所(15〜20℃が理想)に置きます。(注意)絶対に冷蔵庫に入れないでください。追熟が止まってしまいます。
- 食べ頃をチェック:毎日、軸(ヘタ)の周りを優しく押します。
- 食べる前に冷やす:柔らかくなったら食べ頃です。食べる2〜3時間前に冷蔵庫に移して冷やします。
- 保存:食べ頃になったものは、それ以上熟さないよう乾燥を防いで冷蔵庫の野菜室で保存し、早めに食べきりましょう。
体験談|待ちきれずに失敗した洋梨の「追熟」
僕が洋梨の「追熟」の重要性を痛感したのは、数年前にマルゲリットマリーラを初めて自分で買った時のことです。
スーパーで立派な大玉が安く売られていたので、嬉々として持ち帰りました。見た目は立派な黄色で、いかにも美味しそう。僕はその日の夜、早速冷やして切ってみたのです。
…ところが、一口食べて愕然としました。「ガリッ」という硬い食感。リンゴとも違う、繊維質で味のない野菜のような感覚でした。甘みも香りもほとんどなく、「これが洋梨?美味しくない…」とがっかりしたのを覚えています。
残りの半分をどうしようかと思い、常温で数日間放置していました。すると、部屋に甘い香りが漂い始めたのです。ふと軸の周りを押してみると、指が少し入るくらい柔らかくなっていました。
「もしかして?」と思い、それを冷やして食べてみると…全くの別物でした。
あれほど硬かった果肉は滑らかになり、噛むとさっぱりとした甘い果汁が口いっぱいに溢れ出たのです。あの最初の「ガリッ」とした食感は、単に僕が「追熟」という洋梨のルールを知らず、フライングして食べた結果だったのです。
ラフランスは色が変わらないので更に難しいですが、あの「待つ時間」こそが洋梨を最高のご馳走にしてくれるのだと学んだ体験でした。スーパーで硬い洋梨を見ても、今では「これから美味しくなるんだな」と楽しみに待てるようになりました。
マルゲリットマリーラとラフランスの違いに関するFAQ(よくある質問)
マルゲリットマリーラとラフランス、どっちが甘いですか?
どちらも糖度は非常に高くなります。ラフランスの方が「濃厚な甘み」を感じやすく、マルゲリットマリーラは「さっぱりとした上品な甘さ」が特徴です。甘みの質が異なると言えますね。
マルゲリットマリーラも皮ごと食べられますか?
いいえ、洋梨は基本的に皮を剥いて食べます。マルゲリットマリーラの皮も、ラフランス同様に口に残るため、皮は剥いて食べるのが一般的です。
見分け方の簡単なコツはありますか?
店頭で見分けるなら、「大きくて形が綺麗でサビが少ない」のがマルゲリットマリーラ、「中くらいでゴツゴツしていてサビが多い」のがラフランス、と覚えておくと分かりやすいですよ。
まとめ|マルゲリットマリーラとラフランス、どちらを選ぶべきか?
マルゲリットマリーラとラフランスの違い、お分かりいただけたでしょうか。
マルゲリットマリーラは、「大玉で、果汁が多く、さっぱりとした甘さ」が特徴です。比較的安価で、秋の早い時期から楽しめます。
ラフランスは、「とろけるような滑らかな食感と、濃厚な甘みと酸味のバランス」が魅力の「果物の女王」です。旬は遅めで価格も高めですが、その味わいは格別です。
どちらも、必ず「追熟」させてから食べるのが美味しくいただく最大のコツです。
さっぱりとした味わいをたっぷり楽しみたい時は「マルゲリットマリーラ」を、濃厚でとろけるような食感をじっくり味わいたい時は「ラフランス」を。ぜひ、好みに合わせて選んでみてくださいね。
当サイト「違いラボ」では、他にも様々な野菜・果物の違いについて詳しく解説しています。ぜひご覧ください。