焼き鳥の串にも、煮浸しにも美味しいですよね。
万願寺とうがらしとししとう、どちらも食卓でおなじみの「甘とうがらし」の仲間ですが、その違いを正確に説明するのは意外と難しいものです。
結論から言うと、「ししとう」は辛くない(もしくは辛味の少ない)とうがらしの一般的な「総称」に近い呼び名ですが、「万願寺とうがらし」はその中の特定の「ブランド京野菜(品種)」を指します。
最大の違いは大きさで、万願寺とうがらしは15cm以上にもなる大型で肉厚、そして強い甘みが特徴です。
この記事を読めば、それぞれの定義、味や辛さ、栄養、そして料理における最適な使い分けまで、もう迷うことはありません。
それでは、まず両者の基本的な定義から詳しく見ていきましょう。
結論|万願寺とうがらしとししとうの違いを一言でまとめる
「ししとう(獅子唐)」は辛くない(もしくは辛味の少ない)とうがらしの総称的な呼び名です。一方、「万願寺とうがらし」は京都府舞鶴市が発祥の「京野菜」ブランド(品種)の一つです。最大の違いは大きさで、ししとうが5cm程度なのに対し、万願寺とうがらしは15cm以上と大型です。また、万願寺とうがらしは肉厚で強い甘みがあり、辛味はほとんどありませんが、ししとうは時折「当たり」と呼ばれる辛い個体に当たることがあります。
どちらもナス科トウガラシ属の野菜ですが、その「格」や特徴は大きく異なります。スーパーで並んでいると似ているように見えますが、その違いは明確です。
主な違いを一覧表にまとめました。
| 項目 | 万願寺とうがらし | ししとう |
|---|---|---|
| 分類 | 特定のブランド品種(京野菜) | 甘味とうがらしの一般的な名称(総称) |
| 見た目(大きさ) | 大型(15cm以上)、肉厚で大きい | 小型(5cm程度)、細い |
| 味・辛さ | 甘みが非常に強い。辛味はほぼ無い。 | ほのかな苦みと風味。時々辛い「当たり」がある。 |
| 食感 | 肉厚で柔らかく、ジューシー | 皮が薄く、火が通りやすい |
| 主な用途 | メインのおかず(素焼き、肉詰め、煮物) | 付け合わせ・薬味(串焼き、天ぷら、炒め物) |
| 価格帯 | ブランド野菜のため比較的高価 | 一般的で安価 |
このように、万願寺とうがらしは「とうがらしの王様」とも呼ばれるほど、サイズ、味、食感においてししとうとは一線を画す存在です。
「万願寺とうがらし」と「ししとう」の定義と分類上の違い
ししとうはナス科トウガラシ属の甘味種(甘とうがらし)の総称として使われることが多い言葉です。一方、万願寺とうがらしは、京都の伝統野菜である「伏見とうがらし」と、海外の大型ピーマン類が交雑して生まれたとされる、特定の地域ブランド品種です。
両者の関係性をもう少し深く掘り下げてみましょう。
万願寺とうがらしとは?
万願寺とうがらしは、京都府舞鶴市万願寺地区発祥とされる伝統野菜であり、「京のブランド産品」にも認証されている高級野菜です。
その大きさから「とうがらしの王様」とも呼ばれます。来歴ははっきりしていませんが、大正時代末期に、在来の「伏見とうがらし」と海外の大型ピーマン類(一説にはカリフォルニア・ワンダー)が自然交雑して誕生したと考えられています。
まさに、伝統野菜と外来種の良いところを受け継いだ品種と言えますね。
ししとう(獅子唐)とは?
ししとう(獅子唐)は、ナス科トウガラシ属の甘味種(あまみしゅ)、いわゆる「甘とうがらし」の一種です。特定の品種名というよりは、辛味が少ない小型のとうがらしの一般的な呼び名として広く使われています。
その名前は、先端の部分がくびれており、その形が「獅子(しし)の口」に似ていることに由来します。ちなみに、ピーマンやパプリカも同じトウガラシ属の仲間なんですよ。
最大の違いは「ブランド品種」か「一般的な名称」か
つまり、スーパーで「ししとう」として売られているものの中には、実は「京みどり」や「伏見甘」といった様々な品種が含まれている可能性があります。
それに対して、「万願寺とうがらし」は、特定の産地(主に京都府北部)で栽培され、一定の基準を満たした高品質なブランド品種だけが名乗ることを許された名前なのです。
見た目・味・辛さ・食感の違い
見た目の違いは明らかです。ししとうは小さく(5cm程度)細いですが、万願寺とうがらしは大型(15cm以上)で、ピーマンのように肉厚です。味は、万願寺とうがらしの方が甘みが強く、辛味はほぼありません。ししとうも基本は甘いですが、栽培環境のストレス(水分不足など)により、カプサイシンが増加し、時々「当たり」と呼ばれる辛い個体が出現します。
食材としての使い勝手を左右する、見た目や味、そして気になる「辛さ」の違いを比較します。
見た目の違い:大型で肉厚か、小型で細いか
まず、大きさの違いは一目瞭然です。
- 万願寺とうがらし:長さが15cm以上になることも珍しくなく、大型です。形は太く、肩の部分が盛り上がり、少し湾曲しているのが特徴です。色は濃い緑色をしています。
- ししとう:長さは5cm程度と小型です。細長い円錐形で、先端が獅子の口のようにくびれています。
味と辛さの違い:確実な甘みと、時折の辛味
これが最も重要なポイントかもしれませんね。
万願寺とうがらしは、糖度が高く、ピーマンのような青臭さや苦みが少ないのが特徴です。加熱するとさらに甘みが増し、非常にフルーティーな味わいになります。そして何より、辛味はほとんどありません。
一方、ししとうも基本的には辛くない甘とうがらしです。しかし、皆さんも経験があるかもしれませんが、時々「当たり」と呼ばれる、非常に辛い個体に当たることがあります。
これは、栽培中に水不足や高温などのストレスがかかると、辛味成分である「カプサイシン」が生成されやすくなるためです。万願寺とうがらしは品種改良により、こうしたストレス下でもカプサイシンが生成されにくい性質を持っています。
食感の違い:ジューシーな食べ応えと手軽さ
見た目からも想像がつきますが、食感も大きく異なります。
万願寺とうがらしはピーマンのように肉厚で、非常にジューシーです。加熱すると皮も柔らかくなり、食べ応えがあります。
ししとうは皮が薄く、火の通りが早いため、短時間の加熱で香ばしさと柔らかい食感を楽しめます。
栄養成分と期待できる効果の違い
どちらも同じトウガラシ属であり、栄養成分に大きな差はありません。ピーマンと同様にビタミンCやβ-カロテン(ビタミンA)が豊富です。特にβ-カロテンは油と一緒に摂取すると吸収率が上がるため、炒め物や揚げ浸しは理にかなった調理法です。
万願寺とうがらしも、ししとうも、栄養価の高い緑黄色野菜です。基本的な栄養成分に大きな差はありません。
- β-カロテン(ビタミンA):皮膚や粘膜の健康を維持し、免疫力を高める効果が期待できます。油と一緒に摂ると吸収率がアップするため、炒め物や天ぷらは非常に合理的な調理法です。
- ビタミンC:抗酸化作用があり、風邪の予防や美肌効果が期待できます。
- カプサイシン:辛味成分です。ししとうの「当たり」に多く含まれ、血行を促進し、新陳代謝を高める効果があるとされています。万願寺とうがらしにはほとんど含まれません。
- ビタミンP(ヘスペリジン):ビタミンCの吸収を助ける働きがあります。
どちらも栄養豊富ですが、辛味による代謝促進効果(カプサイシン)を期待するなら「ししとう」、辛味を気にせずβ-カロテンやビタミンCをたっぷり摂りたいなら「万願寺とうがらし」と言えるかもしれません。
料理での使い分け・おすすめの調理法
大きさ・食感・価格の違いで使い分けます。大型で肉厚、甘みが強い万願寺とうがらしは、焼いたり煮たりして「メインのおかず」になります。一方、小ぶりで手軽なししとうは、焼き鳥の串や天ぷらなど、料理の「付け合わせ」や「彩り」として最適です。
これまでの違いを踏まえると、料理での使い分けは非常に明確です。
万願寺とうがらし:ボリュームと甘みを活かす
その大きさと肉厚さ、そして甘みを活かし、料理の「主役」として使うのがおすすめです。
- 素焼き:網やフライパンでシンプルに焼き、鰹節と醤油をかけるだけで立派な一品になります。甘みが際立ちます。
- 肉詰め:ピーマンの代わりに使うと、より柔らかくジューシーに仕上がります。
- 煮浸し・揚げ浸し:油で揚げてからだし汁に浸すと、とろけるような食感になります。
- 天ぷら:大型なので、一本揚げにすると非常に見栄えがします。
ししとう:手軽な付け合わせ・彩り
小ぶりで火の通りが早いししとうは、料理の「名脇役」として活躍します。
- 串焼き:焼き鳥の「ねぎま」ならぬ「ししま」など、串のアクセントに最適です。
- 天ぷら:定番の天だね。ほのかな苦味が良いアクセントになります。
- じゃこ炒め:ちりめんじゃこと甘辛く炒めれば、常備菜やご飯のお供にぴったりです。
- 炒め物の彩り:野菜炒めなどに加えると、緑色が鮮やかです。
旬の時期・主な産地・価格の違い
どちらも旬は6月~9月頃の夏野菜です。ししとうは高知県などでハウス栽培も盛んなため通年流通しています。万願寺とうがらしは「京野菜」ブランドとして京都府(特に舞鶴市や福知山市)が主な産地です。価格は、一般的なししとうに比べ、ブランド野菜である万願寺とうがらしの方が高価になる傾向があります。
万願寺とうがらしは「京野菜」ということもあり、産地や価格にも違いがあります。
旬の時期は、どちらもナス科の夏野菜であり、6月頃から9月頃が最も美味しく、多く出回る時期です。ただし、ししとうは高知県などを中心にハウス栽培が盛んで、一年中スーパーで見かけることができます。
主な産地は、ししとうが全国(特に高知県、千葉県、高知県など)で栽培されているのに対し、万願寺とうがらしは「京のブランド産品」として、そのほとんどが京都府北部(舞鶴市、福知山市、綾部市など)で生産されています。
価格については、栽培に手間がかかり、ブランド野菜として確立されている万願寺とうがらしの方が、一般的なししとうよりも高価になる傾向があります。
万願寺とうがらしとししとうの起源と歴史
ししとうの原産は中南米ですが、日本には16世紀頃に伝わりました。万願寺とうがらしの歴史は比較的新しく、大正時代末期~昭和初期に京都府舞鶴市万願寺地区で、在来の「伏見とうがらし」と海外の大型種が自然交雑して誕生したと考えられています。
とうがらし類の原産地は中南米で、15世紀末にコロンブスによってヨーロッパに伝えられました。日本には16世紀頃にポルトガル人によって伝来したとされています。辛味のある「鷹の爪」のような品種が先に伝わり、辛味のない「甘とうがらし」であるししとうは、その後日本で品種改良されて定着したと考えられています。
一方、万願寺とうがらしの歴史はそれほど古くありません。大正時代末期から昭和初期にかけて、京都府舞鶴市の万願寺地区で、古くから栽培されていた在来品種「伏見とうがらし」と、海外から導入された大型のピーマン類(カリフォルニア・ワンダー系)が自然交雑して偶然誕生したと伝えられています。
伏見とうがらしの風味と、外国種の大きさ・肉厚さを兼ね備えた奇跡の品種として、地元で大切に栽培され続け、今や「京野菜」を代表する人気食材となりました。
体験談|万願寺とうがらしの肉詰めは「主役」の味
僕も以前は、万願寺とうがらしを「ちょっと大きくて立派なししとう」くらいに思っていました。ししとうと同じ感覚で、網で焼いてお酒のつまみにする程度でした。
ですが、その認識が大きく変わったのが、知人宅でご馳走になった「万願寺とうがらしの肉詰め」です。
見た目はピーマンの肉詰めのようですが、一口食べて驚きました。まず、ピーマン特有の青臭さや苦みが全くありません。そして、皮が驚くほど柔らかく、加熱されてトロリとした果肉から、ジュワッと甘い汁が溢れ出してきます。これがひき肉の旨味と合わさって、ピーマンの肉詰めとはまったく別次元の料理になっていました。
ししとうは、天ぷらや炒め物で「脇役」としての美味しさがありますが、万願寺とうがらしは、その甘みとボリューム感で、完全に食卓の「主役」になれる食材だと実感しましたね。
それ以来、スーパーで万願寺とうがらしを見かけると、ついつい肉詰めや素焼き用に買ってしまいます。ししとうでは決して味わえない、あのジューシーな食べ応えは格別です。
万願寺とうがらしとししとうの違いに関するよくある質問(FAQ)
万願寺とうがらしとししとうの違いについて、よくある質問をまとめました。
Q1. 万願寺とうがらしは本当に辛くないのですか?
A. はい、ほとんど辛くありません。品種改良により、カプサイシン(辛味成分)が生成されにくい性質を持っています。ししとうのように「当たり」が出ることはまず無いため、お子様でも安心して食べられます。
Q2. ししとうが辛くなる「当たり」の見分け方はありますか?
A. 残念ながら、見た目で確実に見分ける方法はありません。一般的に「タネが少ない」「形がいびつ」「色が薄い」ものは辛い可能性があると言われますが、確実ではありません。栽培中に水分不足などのストレスがかかると辛くなりやすいと言われています。
Q3. 万願寺とうがらしの代わりにピーマンを使えますか?
A. はい、肉詰めや炒め物など、多くの料理で代用可能です。ただし、ピーマンの方が苦みや青臭さが強く、皮も硬めです。万願寺とうがらしを使うと、より甘く、柔らかく仕上がります。
まとめ|万願寺とうがらしとししとう、目的別のおすすめは?
万願寺とうがらしとししとうの違い、ご理解いただけたでしょうか。
どちらも美味しい甘とうがらしですが、その個性は全く異なります。
最後に、目的別の選び方をまとめます。
- メインのおかずとして、甘みと食べ応えを楽しみたい時 → 万願寺とうがらし
- 料理の付け合わせや彩り、手軽な一品として使いたい時 → ししとう
万願寺とうがらしは「京のブランド産品」でもある、大型で肉厚・甘みが強い品種です。一方、ししとうは小型で手軽ですが、時々辛い「当たり」があるのがご愛嬌ですね。
それぞれの特徴を活かして、日々の食卓に取り入れてみてください。
当サイト「違いラボ」では、万願寺とうがらしやししとう以外にも、様々な「野菜・果物の違い」について詳しく解説しています。ぜひ他の記事も参考にしてみてください。