スーパーの果物売り場に「ふじ」の名前がついたリンゴが並ぶ季節。
でも、よく見ると「早生(わせ)ふじ」と書かれていたり、「サンふじ」と書かれていたり。どちらも「ふじ」のようですが、一体何が違うのでしょうか?
結論から言うと、「早生ふじ」は早く収穫できるように改良された「品種の総称」であり、「サンふじ」は袋をかけずに太陽を当てて育てた「栽培方法の名称」です。
この違いは、単なる名前だけでなく、出回る時期、味の濃厚さ、そして「蜜が入るかどうか」に大きく関わっています。
この記事を読めば、二つのリンゴの決定的な違いがわかり、その時期に一番おいしいリンゴを迷わず選べるようになりますよ。
それでは、まず両者の違いを一目で比較してみましょう。
結論|早生ふじとサンふじの違いが一目でわかる比較表
最大の違いは「収穫時期」と「蜜入りのしやすさ」です。「早生ふじ」は9月下旬頃から出回る「品種」で、味はさっぱりめ。「サンふじ」は11月頃から出回る「栽培ブランド」で、味は濃厚で蜜が入りやすいのが特徴です。
「早生ふじ」と「サンふじ」の主な違いを比較表にまとめました。
| 項目 | 早生ふじ | サンふじ |
|---|---|---|
| 分類 | 品種の総称(枝変わり) | 栽培方法の名称(無袋栽培) |
| ベース品種 | ふじの突然変異種 | ふじ(本ふじ) |
| 旬の時期 | 9月下旬~10月下旬 | 11月上旬~冬 |
| 味の特徴 | 甘味と酸味のバランスが良い、さっぱり | 甘みが強く濃厚 |
| 食感 | やや柔らかめ、果汁が多い | 硬めでシャキシャキ |
| 蜜入り | 入りにくい(品種による) | 入りやすい |
| 保存性 | 常温で1ヶ月程度(ふじより短い) | 高い(冷蔵で春頃まで持つことも) |
早生ふじとサンふじの定義と分類の違い
「早生ふじ」は、ふじの枝が突然変異して早く熟すようになった「枝変わり品種」の総称です。一方、「サンふじ」は、通常のふじ(晩生種)に袋をかけずに太陽光を浴びせて育てた「無袋栽培のふじ」を指します。
早生ふじとは?(ふじの枝変わり品種群)
「早生(わせ)ふじ」とは、特定のひとつの品種名ではなく、「ふじ」から生まれた早熟系の品種グループの総称です。
リンゴの木は時々、特定の枝だけ性質が変わる「枝変わり(突然変異)」を起こします。「ふじ」の木の中で、通常より1ヶ月ほど早く実が熟す枝が見つかり、それを増やしたものが「早生ふじ」です。
代表的な品種には、「弘前(ひろさき)ふじ」「昂林(こうりん)」「涼香(りょうか)の季節」「やたか」などがあります。見た目や味は「ふじ」に似ていますが、ひと足早く収穫できるのが特徴です。
サンふじとは?(無袋栽培されたふじ)
「サンふじ」は、品種としては通常の「ふじ(本ふじ)」と同じです。違いは「育て方」にあります。
通常、リンゴは色づきを良くし、病害虫から守るために実が小さいうちに袋をかけます(有袋栽培)。しかし、「サンふじ」はあえて袋をかけずに(無袋栽培)、太陽の光をたっぷりと浴びさせて育てます。
「サンふじ」という名称はJA全農長野の登録商標ですが、現在では無袋栽培のふじ全般を指す言葉として広く定着しています。
【重要】品種が違うのか、育て方が違うのか
ここが最もややこしい点ですが、整理すると以下のようになります。
- 早生ふじ:遺伝子レベルで「早く熟す」ように変化した別の品種。
- サンふじ:遺伝子は「ふじ」と同じだが、育て方を変えて甘くしたもの。
つまり、9月~10月に売られているのは「品種が違う(早生ふじ)」からであり、11月以降に売られている「サンふじ」は「太陽を浴びて甘くなったふじ」ということになります。
味・食感・蜜入りの違い
早生ふじは、ふじの風味を持ちつつも水分が多くさっぱりとした甘さで、食感はやや柔らかめです。サンふじは、太陽を浴びた分だけ味が濃厚で甘みが強く、蜜が入りやすいのが最大の特徴です。
早生ふじの味(さっぱりした甘さと優しい食感)
早生ふじは、「ふじ」の子供だけあって、甘味と酸味のバランスが良い美味しいリンゴです。しかし、本家のふじに比べると、味はやや淡白でさっぱりしています。
食感は、果汁たっぷりでジューシーですが、貯蔵された本ふじやサンふじに比べると、やや果肉が柔らかい傾向があります。パリパリ感よりも、サクッとした軽い歯ざわりを楽しめます。
サンふじの味(濃厚な甘さとシャキシャキ食感)
サンふじは、袋をかけずに直射日光を浴びて育つため、光合成が活発に行われ、糖分がたっぷりと蓄えられます。そのため、有袋のふじや早生ふじに比べて甘みが強く、味が濃厚です。
食感は細胞が密で、シャキシャキとした硬めの歯ごたえがあります。日持ちも良く、冬のギフトとしても人気があります。
蜜が入るのはどっち?
「蜜入りリンゴ」を期待するなら、断然「サンふじ」です。
- サンふじ:寒さに当たり完熟することで、中心部にアメ色の蜜がたっぷり入りやすくなります。
- 早生ふじ:品種や年によっては蜜が入ることもありますが(ひろさきふじなど)、基本的には蜜は入りにくいか、入ってもわずかです。
「蜜入り」=「完熟の証」です。早生ふじの時期はまだ気温が高いため、蜜が生成される条件が揃いにくいのです。
旬の時期と出回り期間の違い
早生ふじは9月下旬~10月下旬が旬で、一足早くふじの味を楽しめます。サンふじは11月上旬から収穫が始まり、冬を通して出回ります。時期が明確に異なるため、スーパーで並ぶ時期も入れ替わりになります。
早生ふじの旬(秋の訪れ)
早生ふじは、「つがる」などの早生品種が終わる頃、9月下旬から10月いっぱいにかけて出回ります。「ふじが食べたいけど、まだ冬じゃないし…」という時期に、ふじの美味しさを先取りできるのが最大の魅力です。
収穫期間が短いため、旬の時期を逃すとすぐに店頭から姿を消してしまいます。
サンふじの旬(冬の始まり)
サンふじの収穫は、霜が降りるような寒さになる11月上旬頃から始まります。産地(長野や青森)によって多少前後しますが、年末年始の贈答用や冬のデザートとして定着しています。
貯蔵性が高いため、春先まで販売されることもありますが、蜜入りの美味しさを楽しむなら年内〜2月頃までがおすすめです。
見た目と保存性の違い
早生ふじは色づきが良い品種が多く、見た目が赤く綺麗です。サンふじは無袋栽培のため、表面がザラついたり色ムラがあったりしますが、味は濃厚です。保存性はサンふじの方が高いですが、早生ふじも冷蔵すればある程度持ちます。
見た目の特徴(着色の良さ vs ワイルドさ)
早生ふじ
早生ふじの品種群(昂林や紅将軍など)は、着色が良い(赤くなりやすい)のが特徴です。袋をかけなくても全体的に赤く色づきやすく、見た目が美しいものが多いです。
サンふじ
サンふじは、太陽の光を直接浴びるため、皮が厚くなり、表面がザラザラしたり、「サビ」と呼ばれる茶色い模様が出たりすることがあります。また、葉っぱの影になった部分は赤くならないため、色ムラができやすいです(これを防ぐために「葉とらずリンゴ」として売られることもあります)。見た目は少しワイルドですが、その分味は抜群です。
日持ちするのはどっち?
「サンふじ(晩生種)」の方が日持ちします。
早生ふじは、収穫時の気温がまだ高いため、常温だとボケる(柔らかくなる)のが早いです。購入後はビニール袋に入れて冷蔵庫(野菜室)で保存し、早めに食べ切るのがおすすめです。
サンふじは実が締まっており、涼しい場所や冷蔵庫で保存すれば、数ヶ月持つこともあります。ただし、蜜入りのリンゴは、蜜の部分から褐変(茶色くなる)しやすいので、やはり早めに食べるのが一番美味しくいただけます。
体験談|時期を間違えて「蜜」を期待してしまった話
僕がまだリンゴの品種に詳しくなかった頃、10月の初めにスーパーで「早生ふじ」を見かけました。「おっ、もうふじが出てる!ふじと言えば蜜入りだよね」と思い込み、蜜たっぷりのシャキシャキリンゴを期待して購入しました。
家に帰ってワクワクしながら包丁を入れると……蜜がない。食べてみると、確かにふじの味はするけれど、少し食感が柔らかく、味もあっさりしていました。「あれ?ハズレを引いたかな?」とその時は思いました。
後で調べて知ったのですが、それはハズレではなく「早生ふじ」の特徴そのものだったんです。10月に蜜入りを期待するのがそもそも間違いで、あの時期にあの味を楽しめること自体が「早生ふじ」の価値だったんですね。
それ以来、10月は「さっぱりとした秋の味覚」として早生ふじを楽しみ、11月に入って寒くなってからは「濃厚な蜜入り」を求めてサンふじを買う、という使い分けができるようになりました。時期による味の違いを知ると、リンゴのリレーがもっと楽しくなりますよ。
早生ふじとサンふじの違いに関するよくある質問
早生ふじとサンふじの違いについて、特によくある質問をまとめました。
質問1:「葉とらずふじ」と「サンふじ」は違うのですか?
回答:基本的には同じ「無袋栽培のふじ」です。「サンふじ」はJA全農長野の商標ですが、全国的に無袋ふじを指す言葉として使われています。「葉とらず」は、色づきを良くするための「葉摘み」作業をせず、葉の養分を最後まで実に送って甘くした栽培方法を強調した呼び方です。どちらも太陽を浴びて育った美味しいリンゴです。
質問2:早生ふじの中で一番美味しい品種はどれですか?
回答:好みによりますが、「ひろさきふじ」や「昂林(こうりん)」、「トキ」などが人気です。「ひろさきふじ」は早生ふじの中でも特にふじに近い食味で、蜜が入ることもあります。食べ比べてみるのも楽しいですよ。
質問3:贈答用に送るならどちらが良いですか?
回答:時期によります。10月中旬までなら「早生ふじ」、11月以降なら「サンふじ」が旬です。お歳暮(12月)として送るなら、蜜入りが期待でき、日持ちも良い「サンふじ」が鉄板です。相手が柔らかめのリンゴが好きなら早生ふじも喜ばれます。
まとめ|時期と好みで賢く使い分けよう
「早生ふじ」と「サンふじ」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
- 早生ふじ:9月~10月の秋の味覚。ふじの味を一足早く楽しめ、さっぱりとした甘さと優しい食感が魅力。
- サンふじ:11月~冬の本格シーズンの味。太陽を浴びて育ち、濃厚な甘さと蜜入り、シャキシャキ食感が魅力。
どちらも美味しい「ふじ」の仲間です。秋口には早生ふじで季節の移ろいを感じ、寒くなったらサンふじでこたつに入りながら蜜入りを楽しむ。
そんな風に、時期に合わせてリンゴのリレーを楽しんでみてはいかがでしょうか。当サイトでは、他にも様々な食材・素材の違いについて解説していますので、ぜひご覧ください。