和風顆粒だしとほんだしの違いとは?同じ?代用する時の注意点も解説

料理のレシピを見ていると、「和風顆粒だし」と書かれていたり、「ほんだし」と書かれていたりして、迷ったことはありませんか?

「これって同じものなの?」「家にある『だしの素』を使ってもいいの?」と、スーパーのだし売り場で立ち止まってしまうこともあるでしょう。

結論から言えば、この2つは「総称」か「特定の商品名」かという違いになります。

この記事を読めば、両者の関係性がスッキリと理解でき、レシピに「ほんだし」とあっても、自信を持って手持ちの調味料で対応できるようになりますよ。

それでは、まず最も基本的な違いから見ていきましょう。

結論|和風顆粒だしとほんだしの違いを一言でまとめる

【要点】

「和風顆粒だし」は、かつお節や昆布などを原料とした顆粒状のだしの素の「総称(カテゴリー名)」です。一方、「ほんだし」は味の素株式会社が販売している特定の「商品名」です。つまり、「ほんだし」は「和風顆粒だし」の中の一つであり、基本的には同じ役割の調味料として使えます。

「和風顆粒だし」と「ほんだし」の違いは、例えるなら「スマートフォン」と「iPhone」の違いと同じです。

「和風顆粒だし」という大きなグループの中に、味の素の「ほんだし」、ヤマキの「だしの素」、シマヤの「だしの素」などが含まれています。

項目和風顆粒だしほんだし
分類調味料のカテゴリー名(総称)特定の商品名(固有名詞)
メーカー様々なメーカーが製造味の素株式会社
主な原料かつお、昆布、いりこ、あご等かつお節(3種)、昆布など
レシピでの扱いどのメーカーのものを使ってもOK味の素の製品を指定しているが、他で代用可

レシピ本や料理サイトで「ほんだし」と書かれている場合は、「味の素のほんだしを使って味付けを確認しました」という意味合いが強いです。

ですが、基本的には他のメーカーの「かつお風味の顆粒だし」で代用しても、料理が失敗することはありません。

ただし、商品によって塩分量や風味の強さが異なるため、味見をしながら調整することは大切ですね。

定義の違い|カテゴリー名と商品名

【要点】

「和風顆粒だし」は、天然素材(かつお節や昆布など)から抽出したエキスを顆粒状にし、塩や砂糖、化学調味料などを加えて使いやすくした調味料全般を指します。「ほんだし」は1970年に発売されたロングセラー商品で、その圧倒的な知名度から、顆粒だし全般を指す代名詞のように使われることもあります。

もう少し詳しく定義を見ていきましょう。

「和風顆粒だし」とは、お湯に溶かすだけで簡単にだし汁が作れる便利な調味料の総称です。

原料によって「かつおだし」「昆布だし」「いりこだし」「あごだし」など様々な種類がありますが、これら全てが「和風顆粒だし」に含まれます。

一方、「ほんだし」は、味の素株式会社の登録商標です。

「香り、コク・味わい」に特化した3種類のかつお節を使用し、職人の技を再現した製法で作られているのが特徴です。

料理の現場では、バンドエイド(絆創膏の商品名)や宅急便(宅配便の商品名)のように、商品名がカテゴリーそのものを指す言葉として定着してしまっているケースですね。

味・香り・原材料の違い|ほんだしの特徴

【要点】

一般的な和風顆粒だしは、各メーカーが独自のブレンドで製造しており、塩味の強さや甘み、だしの濃さに差があります。「ほんだし」は、深燻し、極深燻し、浅燻しという3種の焙乾度合いの異なるかつお節粉末をブレンドしており、香りの高さとコクのバランスが優れているのが最大の特徴です。

すべての「和風顆粒だし」が同じ味かというと、そうではありません。

「ほんだし」には、他にはない独自のこだわりがあります。

味の素の公式サイトによると、「ほんだし」は産地や製造方法にこだわった3種類のかつお節をブレンドしています。

  • 深燻し:力強い香りとコク
  • 極深燻し:さらに深いコク
  • 浅燻し:華やかな香り

これらを組み合わせることで、お椀に入れた瞬間に立ち上る豊かな香りと、口に含んだ時の深い味わいを実現しています。

一方、他のメーカーの「だしの素」などは、昆布の旨味を強調したものや、塩味を強めにして調味の手間を省いたもの、化学調味料無添加で素材の味を活かしたものなど、それぞれに個性があります。

「ほんだし」は比較的バランスが良く、多くの人が「これぞ日本のだしの味」と感じるスタンダードな風味を持っていると言えるでしょう。

料理での使い分け・代用は可能?

【要点】

レシピに「ほんだし」とあっても、他社製の「かつお風味の顆粒だし」で代用可能です。ただし、製品ごとに塩分濃度(塩味)が異なるため、醤油や塩の量を加減する必要があります。「昆布だし」や「いりこだし」で代用すると風味が大きく変わるため、料理の相性(肉・魚・野菜など)を考慮して使い分けるのがベストです。

「レシピに『ほんだし 小さじ1』って書いてあるけど、うちは『〇〇だしの素』しかない…」

そんな時も、焦る必要はありません。

基本的には同量で代用してOKです。

ただし、注意点が一つだけあります。

それは「塩加減」です。

「ほんだし」は、だし自体の風味を重視しており、塩分も含まれていますが、メーカーによっては「だしの素」の方が塩味が強い場合や、逆に「食塩無添加」の製品もあります。

代用する際は、まず指定の量を入れてみて、味見をしてから醤油や塩を追加するようにしましょう。

また、「かつおだし(ほんだし)」の代わりに「昆布だし」を使うと、動物性の旨味から植物性の旨味に変わるため、味噌汁や煮物の味わいが優しく、あっさりとした仕上がりになります。

これは「間違い」ではなく「好み」の問題ですので、自由にアレンジを楽しんでみてください。

他の主な「和風顆粒だし」との比較

【要点】

市場には多くの和風顆粒だしが存在します。ヤマキ「だしの素」はかつお節の風味が豊か、シマヤ「だしの素」は粉末タイプで溶けやすい、理研「素材力だし」は化学調味料・食塩無添加で素材の味を引き立てるなど、それぞれに強みがあります。用途や健康志向に合わせて選びましょう。

スーパーでよく見かける他の「和風顆粒だし」と「ほんだし」の特徴を比較してみましょう。

  • ヤマキ「だしの素」:かつお節メーカーならではの、豊かな香りと旨味が特徴。ほんだしと同様に広く使われています。
  • シマヤ「だしの素」:顆粒タイプだけでなく粉末タイプもあり、冷たい水にも溶けやすいのが特徴。西日本で特にシェアが高い傾向にあります。
  • 理研「素材力だし」:食塩や化学調味料を使用していないシリーズ。離乳食や減塩を心がけている方、素材本来の味を大切にしたい方におすすめです。

「ほんだし」はバランス型、「素材力だし」は健康・素材重視型、「ヤマキ」や「シマヤ」はコスパや地域ごとの味の好みで選ばれることが多いですね。

なぜ「ほんだし」が代名詞になったのか

【要点】

1970年の発売以来、家庭で手間のかかる「だし取り」を簡略化する革命的な商品として普及しました。テレビCMや料理番組での積極的なプロモーションにより、「和風だし=ほんだし」というイメージが定着。多くの家庭やレシピ本で採用され続けることで、カテゴリーを代表するブランドとしての地位を確立しました。

なぜこれほどまでに「ほんだし」という名前が浸透しているのでしょうか。

それは、日本の食卓の歴史と深く関わっています。

かつて、味噌汁を作るには毎日かつお節を削り、鍋で煮出してだしを取るのが当たり前でした。

そんな中、1970年に登場した「ほんだし」は、「お湯にサッと溶かすだけ」という劇的な手軽さで、主婦たちの支持を一気に集めました。

「かつお節を削らなくていい」「煮出さなくていい」という時短のメリットは計り知れません。

さらに、長年にわたるテレビCMや、「ほんだし活用術」などのレシピ提案により、「お母さんの味」「家庭の味」として深く記憶に刻まれました。

レシピサイトや料理本を作る料理研究家たちにとっても、最も普及している「ほんだし」を基準に分量を記載するのが、読者にとって一番親切で再現性が高い方法だったのです。

体験談・実際に使い比べてみた印象

僕も料理を始めたばかりの頃は、レシピに「ほんだし」と書いてあると、「味の素のあれを買わなきゃいけないんだ」と思い込んでいました。

ある時、スーパーで特売になっていた他メーカーの「かつおだしの素」を買ってみたんです。

「味が全然違ったらどうしよう」と少し不安になりながら、いつもの味噌汁を作ってみました。

結果は、「言われなければ気づかないレベル」でした。

もちろん、お湯に溶いてだし汁だけで飲み比べれば、香りの立ち方や塩味の強さに違いを感じます。

「ほんだし」の方が、封を開けた瞬間の香ばしいかつおの香りが強いように感じました。

でも、味噌を溶き入れ、具材を煮込んでしまえば、どちらも十分に美味しい「家庭の味噌汁」になったのです。

一方で、あえて「素材力だし(食塩無添加)」を使った時は、いつもの量だと味が薄く感じてしまい、味噌や醤油を足す必要がありました。

この経験から、僕は「銘柄は何でもいいけれど、塩分が入っているかどうかだけは確認しよう」と学びました。

今では、しっかり味を決めたい炒め物には「ほんだし」、塩分を控えたい離乳食や煮物には「無添加だし」という風に、名前ではなく「特徴」で使い分けるようにしています。

あなたも、冷蔵庫にある「だしの素」を信じて、まずは料理に使ってみてください。

きっと、美味しい一品が出来上がるはずですよ。

よくある質問

Q. レシピの「ほんだし」を「昆布だし」や「鶏ガラスープ」で代用できますか?

A. 「昆布だし」は和食同士なので代用可能ですが、あっさりした味になります。「鶏ガラスープ」は中華風や洋風の味になるため、全く別の料理(和風スープ→中華スープ)になってしまいます。肉じゃがや味噌汁に鶏ガラスープを入れると、和食の味ではなくなるので注意しましょう。

Q. 「ほんだし」は体に悪いという噂を聞きましたが本当ですか?

A. 通常の摂取量であれば健康への悪影響はありません。うま味調味料(アミノ酸等)が含まれていることに対する誤解が元になっていることが多いですが、これらは食品衛生法で安全性が認められています。ただし、塩分が含まれているため、使いすぎによる塩分過多には注意が必要です。

Q. 開封後の「和風顆粒だし」はどう保存すればいいですか?

A. 湿気に弱いため、密封容器に入れて冷蔵庫で保存するのがおすすめです。湿気を吸うと固まったり、風味が落ちたりします。袋の口をしっかり閉じるか、密閉できる瓶などに移し替えましょう。

まとめ|用途や好みに合わせて選ぼう

ここまで見てきたように、「ほんだし」は「和風顆粒だし」というカテゴリーの中の、代表的な商品名です。

  • 和風顆粒だし:かつお節などを顆粒状にした調味料の総称
  • ほんだし:味の素が販売する、香り・コクにこだわった商品
  • 使い分け:レシピの「ほんだし」は、他の「かつお風味の顆粒だし」で代用OK(塩分調整は必要)

「ほんだし」を使えば、長年愛されてきた安定の美味しさが手に入ります。

一方で、他のメーカーのものを使っても、美味しい和食は作れます。

これからは、レシピの文字に縛られず、スーパーの棚で「今日は香りを重視しようかな」「無添加にしてみようかな」と、自分の好みでだしを選んでみてください。

その自由さが、あなたの料理をもっと楽しく、美味しくしてくれるはずです。

さらに詳しいだしの種類や、他の調味料との違いについて知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。