「改定」と「改正」の違いをスッキリ解説!文書作成で迷わない

「改定」と「改正」、どちらも何かを変更するときに使う言葉ですが、どう使い分けるのが正しいか迷うこと、ありますよね。

特にビジネス文書や公的な書類を作成する場面では、正確な言葉遣いが求められます。「料金改定のお知らせ」なのか「料金改正のお知らせ」なのか…一文字違うだけで、意味合いが変わってくるかもしれません。

実はこの二つの言葉、変更する内容の範囲や性質によって使い分けられるんです。簡単に言うと、「改定」は既存のものを部分的に新しく定めること、「改正」は既存のものを改めて正しくすること、というニュアンスの違いがあります。

この記事を読めば、「改定」と「改正」の根本的な意味の違いから、具体的な使い分け、さらには似た言葉「改訂」との違いまでスッキリ理解できます。もう迷わず、自信を持ってこれらの言葉を使いこなせるようになりますよ。

それではまず、一番大切な二つの言葉の違いから見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「改定」と「改正」の最も重要な違い

【要点】

基本的には、内容の一部を変更・更新する場合は「改定」、不適切・不備のある点を改めてより良くする場合は「改正」と覚えるのが簡単です。「改定」は主に規則や料金などに、「改正」は主に法律や条例などに使われます。

まず、結論からお伝えしますね。

「改定」と「改正」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目 改定 改正
中心的な意味 既に定められていることを、改めて新しく定めること。内容の一部変更・更新。 不適切・不備な点を改めて正しくすること。根本的な変更。
変更の範囲・性質 部分的な変更、見直し、更新。(例:料金プランの一部変更) 全体的・根本的な変更、より良いものへの変更。(例:法律の抜本的な見直し)
主な対象 規則、規定、料金、運賃、定価、計画など。 法律、条例、憲法、規則、契約など。(特に公的なもの)
ニュアンス 新しくする、アップデートする。 正しくする、改善する。
英語 revision (of rules, prices, etc.), update amendment, revision (especially of laws)

一番のポイントは、「改定」はアップデート、「改正」はより良く正すというイメージを持つことです。

例えば、電車の運賃が変わるのは「運賃改定」、消費税法が変わるのは「法律改正」といった具合ですね。変更する対象や、その変更が部分的か根本的か、という点に着目すると分かりやすいでしょう。

なぜ違う?漢字の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

「改定」の「定」は“定める”、「改正」の「正」は“正す”という意味を持っています。漢字の意味から、「改定」は新しく定め直すこと、「改正」は間違いや不備を正すこと、というニュアンスの違いが理解できます。

なぜこの二つの言葉に違いが生まれるのか、使われている漢字の成り立ちを探ると、その核心的なイメージが掴みやすくなりますよ。

「改定」の成り立ち:「定」が表す“定める”イメージ

「改定」の「改」は「あらためる、変える」という意味ですね。そして「定」は、「さだめる、決める」という意味を持ちます。

つまり、「改定」とは、既に定められている物事を、状況の変化などに合わせて、改めて新しく定め直すという意味合いが込められています。

物価の変動に合わせて料金を見直したり、運用上の都合で規則の一部を変更したりする際に使われるのは、この「定め直す」というニュアンスがあるからですね。

「改正」の成り立ち:「正」が表す“正しくする”イメージ

一方、「改正」の「正」は、「ただしい、ただす」という意味です。

このことから、「改正」には、既存の決まりごとなどについて、不適切だったり、現状に合わなくなったりした部分を改めて、より正しい、より良い状態にするという強い意志が感じられます。

特に法律や条例など、社会のルールを時代に合わせてより適切なものに変える際に「改正」が用いられるのは、この「正す」という語感によるところが大きいでしょう。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

ビジネスシーンでは、料金プランを見直す場合は「料金改定」、社内規定の不備を直す場合は「規定改正」のように使います。日常会話では、スポーツクラブの会費が変わるのは「会費改定」、PTA会則の古い部分を直すのは「会則改正」のように使い分けられます。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。どういう場面でどちらを使うのが適切なのか、ビジネスシーンと日常会話、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

ビジネスシーンでの使い分け

何を対象に、どのような変更を加えるのかを意識すると、使い分けはスムーズになりますよ。

【OK例文:改定】

  • 来月より、一部サービスの料金を改定させていただきます。
  • 輸送コストの上昇に伴い、運賃を改定いたしました。
  • 人事評価制度の改定案について、役員会で承認されました。
  • ソフトウェアの利用規約が一部改定されましたのでご確認ください。

【OK例文:改正】

  • 働き方改革関連法の改正により、時間外労働の上限規制が導入されました。
  • 社内のハラスメント防止規定を全面的に改正し、相談窓口を設置した。
  • 契約書の不備な点を改正し、双方の合意を得て再締結した。
  • 株主総会において、定款の一部改正が承認されました。

このように、「改定」は既存の枠組みの中での変更、「改正」はより良くするための変更、というニュアンスの違いが見て取れますね。

日常会話での使い分け

日常会話でも、基本的な考え方は同じです。

【OK例文:改定】

  • スポーツクラブの月会費が来年から改定されるらしい。
  • 図書館の開館時間が利用者の要望を受けて改定された。
  • マンションの管理規約が一部改定され、ペット飼育に関するルールが変わった。

【OK例文:改正】

  • PTA会則の時代に合わない部分を改正する必要がある。
  • 地域のゴミ出しルールが、より分かりやすくなるよう改正された。
  • 少年野球チームの規則が、安全面に配慮して改正された。

これはNG!間違えやすい使い方

意味合いとして不自然になったり、誤解を招いたりする可能性のある使い方を見てみましょう。

  • 【NG】法律の内容を一部改定する。
  • 【OK】法律の内容を一部改正する。

法律や条例のような公的なルールを変更する場合は、たとえ一部であっても「正しくする」というニュアンスを持つ「改正」を使うのが一般的です。「改定」を使うと、単に新しく定め直しただけ、という軽い印象を与えてしまう可能性があります。

  • 【NG】商品の価格を改正する。
  • 【OK】商品の価格を改定する。

価格や料金を変更する場合は、通常「改定」を使います。「改正」を使うと、まるで以前の価格が「間違っていた」かのようなニュアンスになり、不自然に聞こえることが多いでしょう。

【応用編】似ている言葉「改訂」との違いは?

【要点】

「改定」「改正」と似た言葉に「改訂」がありますが、「改訂」は主に書籍や文書の内容の誤りや不備な点を調べ直し、訂正することを指します。「改定」が規則や料金などを新しく定めること、「改正」が法律や制度などを正しく改めることであるのに対し、「改訂」は文章や記述内容の修正に使われます。

「改定」「改正」とよく似ていて混同しやすい言葉に「改訂(かいてい)」があります。これも押さえておくと、言葉の使い分けマスターに一歩近づきますよ。

「改訂」の「訂」は、「文字の誤りを正す、訂正する」という意味を持ちます。

このことから、「改訂」は、主に書籍や文書、教科書などの内容について、記述の誤りや不十分な点を調べ直し、正しく直すことを指します。

例えば、「教科書が改訂された」「マニュアルの内容を改訂する」のように使います。第二版、第三版と版を重ねる際に行われる内容の修正が「改訂」にあたりますね。

「改定」が料金や規則など「定められた事柄」の新バージョンを意味し、「改正」が法律や制度など「ルール」をより良く正すことを意味するのに対し、「改訂」は文章や書物など「記述内容」の修正・訂正を意味する、と覚えておくと良いでしょう。読み方は「改定」と同じ「かいてい」なので、会話では文脈で判断する必要がありますね。

「改定」と「改正」の違いを公的な視点から解説

【要点】

公用文、特に法令(法律や条例)においては、「改正」という言葉が用いられるのが一般的です。これは、単なる変更ではなく、社会情勢の変化などに応じて内容をより適切なものに「正す」という意図が強いためです。一方、規則や料金など、法令以外の定めについては「改定」が使われることが多いです。

実は、「改定」と「改正」の使い分けは、公用文、特に法律の世界で非常に重要視されています。

一般的に、法律や条例、憲法といった法令の内容を変更する場合は「改正」という言葉が用いられます。これは、法令が社会の規範であり、その変更は単なるアップデートではなく、社会の実情に合わせて「正しくする」という重要な意味合いを持つためです。

例えば、「〇〇法の一部を改正する法律」のように、法律の名称自体に「改正」が使われます。皆さんもニュースなどで耳にしたことがあるのではないでしょうか。

一方で、省令や告示、通達、あるいは内部の規則、料金表など、法令以外の定められた事柄を変更する場合は、「改定」が使われることが多いです。これは、法令ほどの強い規範力を持つものではなく、状況に応じて内容を「新しく定め直す」というニュアンスが適切だからと考えられます。

もちろん例外もあり、規則などでも「改正」が使われる場合もありますが、特に法律に関連する文書では「改正」が基本、と覚えておくと良いでしょう。この使い分けは、法令の性質や重みを反映したものと言えますね。

より詳しく知りたい方は、文化庁の国語施策に関するページなどを確認してみると、公用文における言葉遣いのルールについて理解が深まるでしょう。

僕が「改正」すべき箇所で「改定」と書き赤面した体験談

僕も新人時代、この「改定」と「改正」の使い分けで冷や汗をかいた経験があります。

初めて社内規定の変更に関する通知文を作成したときのことです。それは、経費精算に関する規定の一部を見直す、という内容でした。新しい申請フォーマットの導入と、申請期限の変更が主なポイントでした。

僕は、規定の「内容を新しくする」のだから、これは「改定」だろうと考え、「経費精算規定の一部改定について」という件名で通知文を作成し、上司に提出しました。

自信満々でレビューをお願いした僕に、上司は少し困ったような顔でこう言いました。

「うーん、確かに内容的には『改定』でも間違いじゃないんだけどね。でも、今回の変更は、以前の規定だと申請漏れや期限超過が多発していて、それを『是正する』、つまり『正しく直す』っていう目的が強いんだよ。だから、ここは『改定』じゃなくて『改正』を使った方が、変更の意図がより明確に伝わると思うな。特に社内規定のようなルール変更の場合は、『改正』の方がしっくりくることが多いんだ」

僕はハッとしました。単に内容が変わるだけでなく、その変更にどんな背景や目的があるのかまで考えて言葉を選ぶ必要があるのだと、その時初めて気づいたのです。表面的な意味だけで判断してしまった自分が恥ずかしく、顔が熱くなるのを感じました。

言葉の選択一つで、その変更が持つ重みや意図の伝わり方が変わる。この経験を通して、言葉の背景を深く考えることの大切さを学びました。それ以来、何かを変更する際には、その変更の本質は何かを自問自答するようになりましたね。

「改定」と「改正」に関するよくある質問

法律や条例の場合は必ず「改正」ですか?

はい、一般的に法律、条例、憲法などの法令の内容を変更する場合は「改正」を用います。これは、法令をより良いものに「正す」というニュアンスが強いためです。

料金が変わるときは必ず「改定」ですか?

基本的には「改定」を使います。料金や運賃、定価などを新しく定め直す場合に用いられます。「改正」を使うと、以前の価格設定が不適切だったかのような誤解を与える可能性があります。

「改訂」も含めて、どう覚えたらいいですか?

「改定」は料金や規則のアップデート「改正」は法律やルールの改善「改訂」は書籍や文章の修正、と対象物と変更の性質で覚えるのがおすすめです。迷ったら、漢字の意味(定=定める、正=正す、訂=訂正する)に立ち返ると判断しやすくなります。

「改定」と「改正」の違いのまとめ

「改定」と「改正」の違い、しっかり掴んでいただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本は変更の性質で使い分け:内容の一部変更・更新なら「改定」、不適切・不備な点を改めてより良くする根本的な変更なら「改正」。
  2. 対象物もヒント:「改定」は主に規則や料金、「改正」は主に法律や条例に使われる。
  3. 漢字のイメージが鍵:「定」は“定める”、「正」は“正しくする”イメージ。
  4. 「改訂」との違い:「改訂」は書籍や文書など、記述内容の誤りや不備を修正すること。
  5. 公用文では特に注意:法令の変更は基本的に「改正」を用いる。

言葉の持つニュアンスや背景を理解することで、より的確な表現ができるようになりますよね。特にビジネスシーンや公的な文書では、この使い分けが重要になる場面も多いはずです。

これからは自信を持って、「改定」と「改正」を使い分けていきましょう。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、漢字の使い分けに関する他の記事もぜひご覧ください。