「think of」と「think about」の違いとは?点と空間で使い分け

「アイデアを思いつく」と言いたいとき、あなたは think ofthink about のどちらを使いますか?

実はこの二つ、日本語訳ではどちらも「考える」となることが多いですが、ネイティブスピーカーの頭の中にあるイメージは全く異なります。

この記事を読めば、二つの言葉が持つ「距離感」や「思考の深さ」の違いが明確になり、ビジネスや英会話で自信を持って使い分けられるようになりますよ。

それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「think of」と「think about」の最も重要な違い

【要点】

「think of」は瞬間的に「点」で思いつくイメージで、アイデア出しや回想に使われます。一方、「think about」は時間をかけて「空間」で考えるイメージで、検討や熟考を表します。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つのフレーズの決定的な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、大まかな使い分けはバッチリです。

項目think of ~think about ~
中心的なイメージ点(Point)空間(Area)
思考の時間一瞬・瞬間的継続的・時間的幅がある
主な意味思いつく、思い出す、思う(慕う)考える、検討する、思いを巡らす
ニュアンス対象に直接アクセスする対象の周りをあれこれ考える
よくある文脈アイデア出し、回想、意見を求める時問題解決、悩み事、計画を立てる時

表を見てわかる通り、「of」は「点」、「about」は「空間」というイメージを持つことが、使い分けの最大の鍵です。

なぜこのような違いが生まれるのでしょうか?次は、その理由を「前置詞の語源」から紐解いていきましょう。

なぜ違う?「of」と「about」の語源的イメージから掴む

【要点】

前置詞「of」は「分離・起源」から転じて対象そのものを指す「点」のイメージを持ちます。対して「about」は「周辺・あたり」を指し、対象の周囲を含めた「面や空間」のイメージを持ちます。

英語のフレーズを丸暗記しようとすると大変ですが、前置詞の持つ「コアミーニング(中核となる意味)」を理解すると、驚くほどスッと頭に入ってきますよ。

「of」は「点」で直接タッチするイメージ

「of」という前置詞は、もともと「分離」や「起源」を表しますが、思考の文脈では「対象そのもの」に直接意識が向かうイメージがあります。

思考が対象物に「ポインッ」と当たる感覚です。

  • アイデアが「ポンッ」と浮かぶ(思いつく)
  • 記憶の引き出しから「パッ」と取り出す(思い出す)

このように、プロセスよりも「結果」や「対象への到達」に焦点が当たります。

「about」は「周辺」をぐるぐる回るイメージ

一方、「about」の語源的な意味は「~のあたり」「~の周辺」です。

対象物の周りをウロウロしたり、色々な角度から見たりするイメージを持ってください。そこから、「あれこれ考える」「検討する」という意味が生まれます。

  • メリットやデメリットを比較検討する
  • その人のことについて(様子や将来などを)思いを巡らす

つまり、思考が一点に留まらず、広がりを持って継続している状態を表すのが「about」なのです。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

「新しい案を思いついた」なら thought of、「その案について検討した」なら thought about です。文脈における「思考の瞬発力」か「思考の持続力」かで判断しましょう。

理屈がわかったところで、実際の会話やビジネスシーンでどう使われるかを見ていきましょう。

「think of」を使うシーン:瞬発的な思考

1. アイデアを思いつく時
「あ、いいこと考えた!」という瞬間的なひらめきです。

I just thought of a great idea for the project!
(プロジェクトのための素晴らしいアイデアをたった今思いついたよ!)

2. 過去のことを思い出す時
記憶の奥にある「点」にアクセスする感覚です。

I can’t think of his name right now.
(今、彼の名前が思い出せないんだ。)

3. 相手の意見や印象を聞く時
「どう思う?」と感想を求める定番フレーズです。

What do you think of this design?
(このデザインについてどう思う? ※直感的な感想や評価を求めている)

「think about」を使うシーン:継続的な思考

1. じっくり検討する時
ビジネスで提案を持ち帰って考える場合などは、こちらが適切です。

I’ll think about your proposal and let you know.
(ご提案について検討させていただき、後ほどご連絡します。)

2. 特定のトピックについて思いを巡らす時
内容について具体的に深く考えている状態です。

We need to think about the environmental impact.
(私たちは環境への影響について考える必要があります。)

3. 悩んでいる時
頭の中で考えがぐるぐると回っている状態にぴったりです。

He is thinking about quitting his job.
(彼は仕事を辞めようかと考えている。)

【応用編】似ている言葉「think on」「think over」との違いは?

【要点】

「think on」は思考の集中や継続を強調するやや古風な表現、「think over」は結論を出すために「熟考・再考する」という強い検討のニュアンスを持ちます。

英語学習が進むと、「think on」や「think over」といった表現にも出会うかもしれませんね。これらもあわせて整理しておきましょう。

think over(熟考する・再考する)
「over(~を覆って、くまなく)」のイメージ通り、何かを決定する前に、あらゆる側面からじっくりと考える場合に使います。「think about」よりもさらに慎重に検討するニュアンスが強くなります。

Please think it over before you decide.
(決断する前に、じっくり考えてください。)

think on(~について考え続ける)
現代英語ではあまり一般的ではありませんが、特定のテーマに思考を「乗せて(on)」離さない、というような継続や集中のニュアンスで使われることがあります。

「think of」と「think about」の違いを言語学的に解説

【要点】

言語学的な観点(認知言語学)では、ofは「構成要素・属性」へのアクセス、aboutは「関連性・従事」へのアクセスと定義されます。このため、ofは「評価・想起」、aboutは「プロセス・活動」という機能分担がなされています。

ここでは少し専門的な視点から、この二つの違いを深掘りしてみましょう。認知言語学などの分野では、前置詞の空間認識が動詞の意味をどう変化させるかが研究されています。

専門家の視点では、以下のようにも説明されます。

  • Ofの「内部性」: 「think of」における「of」は、対象の本質や属性を抜き出す機能を持っています。そのため、「What do you think of…?(~をどう評価するか?)」という問いは、対象そのものの価値(中身)を問う質問になります。
  • Aboutの「従事性」: 「think about」における「about」は、対象に関わる活動(Mental Activity)に従事していることを示します。思考という「行為」そのものに焦点が当たるため、「What are you thinking about?(何を考えているの?)」と聞かれた場合、思考の内容やプロセスを答えることが期待されます。

つまり、「think of」は「対象の認識」に近く、「think about」は「知的活動」に近いと言えるでしょう。この視点を持つと、より論理的に使い分けができるようになります。

留学初日に「think of」の使い方を間違えて赤面した僕の体験談

これは僕がアメリカに語学留学した初日の話です。ホストファミリーとの夕食で、意気揚々と覚えたての英語を使おうと張り切っていました。

ホストマザーが週末の予定について話していた時、彼女は僕に優しくこう聞いてくれました。
“Do you have any plans for the weekend?”(週末の予定はある?)

僕は「特に何も考えていないよ(これから考えるよ)」と伝えたくて、自信満々にこう答えました。
“I haven’t thought of anything yet.”

すると、一瞬キョトンとした顔をされた後、笑いながら “Oh, you mean you haven’t decided yet?” と返されました。その時は「通じたからいいや」と思っていたのですが、後で語学学校の先生に聞いて顔から火が出る思いをしました。

僕が言った “I haven’t thought of anything” は、直訳すると「何も思いついていない(アイデアがゼロ)」というニュアンスになります。つまり、「週末何をするか」というアイデアすら頭に浮かばない、全くの白紙で空っぽの状態だと言ってしまったのです。

本当に言いたかったのは「検討中だよ」「いろいろ考えているけどまだ決まってないよ」ということでした。この場合は、
“I haven’t thought about it enough.”(まだ十分には考えていない=検討中)
と言えば、もっと知的な印象を与えられたはずでした。

「of」を使うと「ひらめきの有無」、「about」を使うと「検討のプロセス」
たった一つの前置詞の違いですが、相手に伝わる「思考の深さ」が全く違うことを痛感した出来事でした。

皆さんは、ビジネスの会議などで「まだ考え中です(検討中です)」と言うときに、うっかり “I haven’t thought of it.” と言って「何も思いつきません(思考停止)」と誤解されないように気をつけてくださいね。

「think of」と「think about」に関するよくある質問

【要点】

「I am thinking of you」は「あなたのことを慕っている(恋心)」、「thinking about you」は「あなたのことを心配している・考えている」というニュアンスの違いが生じることがあります。

ここでは、Google 検索の「他の人はこちらも質問」などでよく見られる疑問に、会話形式でお答えします。

Q. 「I am thinking of you」と「I am thinking about you」は、恋愛だとどう違うの?

これ、すごく重要な質問ですね!
Thinking of you は「君のことを心に想っているよ」というニュアンスで、遠くにいる恋人を慕うような、ロマンチックで感情的な響きがあります。「I love you」の手前くらいの甘い言葉ですね。
一方、Thinking about you は「君のことを(頭で)考えている」ので、文脈によっては「心配している」や、あるいは単に「君という存在について分析している」ようにも聞こえます。ラブレターやメッセージカードなら、断然 “Thinking of you” がおすすめです。

Q. 「考える」の英語で “Consider” との違いは?

“Consider” は “think about” よりもさらに硬く、フォーマルな言葉です。「熟考する」「考慮に入れる」という意味合いが強く、ビジネスでの意思決定や、選択肢の中から一つを選ぶような場面でよく使われます。「Think about」はもっと日常的で広い範囲の「考える」をカバーします。

Q. 文法的にどちらを使っても間違いではないケースはある?

はい、たくさんあります!
例えば、「故郷のことを考える」という場合、”I think of my hometown”(故郷を懐かしく思い出す)でも、”I think about my hometown”(故郷の現状などを考える)でも、文法的には正解です。ただ、これまで解説してきたように、伝えたい「心の動き」が違うだけです。間違いを恐れすぎず、伝えたいニュアンスに近い方を選んでみてください。

「think of」と「think about」の違いのまとめ

いかがでしたでしょうか。

最後に、ここまでの内容を整理して振り返ってみましょう。

  • Think of:「点」のイメージ。アイデアを思いつく、思い出す、評価する。瞬発的な思考。
  • Think about:「空間」のイメージ。あれこれ考える、検討する、悩む。継続的な思考。
  • 使い分けのコツ:「ひらめき」ならof、「プロセス」ならabout。

日本語の「考える」はとても便利な言葉ですが、英語ではその思考の「質」によって言葉を使い分ける必要があります。

もし次に、海外の同僚から “What do you think of this?” と聞かれたら、「あ、これは直感的な意見(of)を求められているんだな」と判断して、”I think it’s great!” と素早く返してみてください。それだけで、コミュニケーションのテンポが格段に良くなるはずです。

英語由来の言葉やフレーズの使い分けについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてみてくださいね。

英語由来語の違い:https://chigai-labo.com/words-guide/gairaigo/english/

言葉の持つ「イメージ」を大切にしながら、英語表現を楽しんでいきましょう!

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