「realize」は「ハッと気づく・実感する」こと、「understand」は「仕組みや意味を理解している」こと。
どちらも日本語では「わかる」と訳されることが多いですが、英語のネイティブスピーカーは、その「わかり方」のプロセスによって明確に使い分けています。
この記事を読めば、それぞれの単語が持つ核心的なイメージと正しい使い分けが分かり、微妙なニュアンスの違いで相手を困惑させることがなくなります。
それでは、まず最も重要な違いから一覧表で見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「realize」と「understand」の最も重要な違い
基本的には、瞬間的に「ハッ!」と気づくなら「realize」、頭で「なるほど」と理解しているなら「understand」と覚えるのが簡単です。「realize」は事実の認識や実感、「understand」は内容や理屈の把握を指します。
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの単語の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。
これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリでしょう。
| 項目 | realize(リアライズ) | understand(アンダースタンド) |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | (事実などに)ハッと気づく、実感する | (意味や仕組みを)理解している、わかる |
| プロセスの違い | 瞬間的(突然の気づき、発見) | 継続的・静的(知識として持っている) |
| 対象 | 事実、状況、重要性、夢(実現する) | 言葉、意味、ルール、人の気持ち、仕組み |
| ニュアンス | 「知らなかったことを知る」「現実になる」 | 「情報を受け入れて把握する」「共感する」 |
簡単に言うと、「自分の間違いに気づいた」なら「I realized my mistake.」となり、「君の言いたいことはわかるよ」なら「I understand what you mean.」といった使い分けになります。
なぜ違う?英語の成り立ち(語源)からイメージを掴む
「realize」は「real(現実)」にするという語源から「現実として感じる=実感する・気づく」という意味になりました。一方、「understand」は「under(間に)+stand(立つ)」などが由来で、物事の間に立って全体像を把握するというイメージから「理解する」となりました。
なぜこの二つの言葉にニュアンスの違いが生まれるのか、単語の成り立ちを紐解くと、その理由がよくわかりますよ。
「realize」の成り立ち:「real」が表す“現実化”のイメージ
「realize」の中心にあるのは形容詞の「real(現実の)」です。
これに動詞化する接尾辞「-ize」がついて、「現実にする」「現実化する」というのが本来の意味です。
ここから、「(頭の中にしかなかったことが)現実のものとなる=夢を実現する」という意味と、「(知らなかった事実を)現実のこととして認識する=ハッと気づく」という意味に派生しました。
今まで見えていなかったものが、急にリアル(現実)に感じられる瞬間、それが「realize」です。
「understand」の成り立ち:「stand」が表す“把握”のイメージ
一方、「understand」は古期英語に由来し、「under(~の間に、中に)」+「stand(立つ)」から成り立っていると言われています(諸説あり、「下に立つ」説もあります)。
物事の中に入り込んで立つことで、「その状況や仕組みを内側から完全に把握する」というイメージです。
単なる知識として知っているだけでなく、文脈や背景、理屈まで含めて「飲み込めている」状態を指します。
だからこそ、「言葉の意味がわかる」や「人の気持ちがわかる」といった、深い理解を表すのに使われるんですね。
具体的な例文で使い方をマスターする
ビジネスでは問題の深刻さを「痛感する(realize)」場面や、契約内容を「了承する(understand)」場面で使い分けます。日常会話でも、忘れ物に「気づく(realize)」のと、ジョークの意味が「わかる(understand)」のとでは選ぶ単語が異なります。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。
ビジネスシーンでの使い分け
状況を認識したのか、内容を把握したのかを意識すると、使い分けは簡単ですよ。
【OK例文:realize(気づく・実感する)】
- I didn’t realize the meeting had been canceled.
(会議が中止になったとは気づきませんでした。) - We need to realize the importance of cost reduction.
(私たちはコスト削減の重要性を痛感する(はっきり認識する)必要があります。) - They finally realized their goal of expanding overseas.
(彼らはついに海外進出という目標を実現しました。)
【OK例文:understand(理解する・把握する)】
- I understand your concerns regarding the budget.
(予算に関するご懸念は理解しております。) - Do you understand how this new system works?
(この新システムの仕組みを理解していますか?) - We understand that the delivery will be delayed.
(配送が遅れることは了承しております。)
「会議の中止を知らなかった状態から知った状態になった」のは「realize」、「予算の懸念の内容や理由を把握している」のは「understand」ですね。
日常会話での使い分け
日常会話でも、考え方は同じです。
【OK例文:realize】
- I suddenly realized I left my wallet at home!
(家に財布を忘れてきたことに、突然気づいた!) - She doesn’t realize how much I love her.
(僕がどれだけ彼女を愛しているか、彼女はわかっていない(気づいていない)。)
【OK例文:understand】
- I don’t understand French at all.
(フランス語は全くわかりません。) - I understand how you feel.
(あなたの気持ち、わかるよ。)
これはNG!間違えやすい使い方
意味は通じることもありますが、ニュアンスが不自然になる使い方を見てみましょう。
- 【NG】 I realized the math problem.
- 【OK】 I understood the math problem.
数学の問題の解き方や理屈が「わかった」場合は、「understand」を使います。「realize」を使うと、「あ、ここに数学の問題があったんだ!」と存在に気づいたような意味になりかねません(あるいは、解法を突然ひらめいた場合などは「I realized how to solve it.」なら可能です)。
- 【NG】 Do you realize English?
- 【OK】 Do you understand English?
言語やスキルとして「わかる・できる」場合は、「understand」です。「realize English」と言うと、「英語というものが現実に存在することに気づいていますか?」のような哲学的な問いかけに聞こえてしまいます。
【応用編】似ている言葉「notice」「recognize」との違いは?
「notice」は五感を使って「変化や存在に気づく」こと、「recognize」は以前知っていたものを「再認識する・見覚えがある」ことです。「realize」は頭の中で事実関係を悟る「認識」である点が異なります。
「realize」と似ていて混同しやすい言葉に「notice」や「recognize」があります。
これも押さえておくと、表現の幅がグッと広がりますよ。
「notice」は、「目で見たり耳で聞いたりして(五感で)気づく」というニュアンスが強い言葉です。
例えば、「彼の髪型が変わったことに気づいた(I noticed his new hairstyle.)」のように使います。
「realize」は頭の中で事実を悟ることなので、目で見てわかる変化には「notice」の方が適しています。
一方、「recognize」は、「以前に見聞きしたことがあるので、それが誰(何)だかわかる」という「再認識」です。
例えば、「街で彼女を見かけたけど、誰だかわからなかった(I didn’t recognize her.)」のように使います。
これは「理解(understand)」とも「悟る(realize)」とも違う、「見覚えがある」という感覚ですね。
「realize」と「understand」の違いを文法・ニュアンスで深掘り
「understand」は状態動詞として扱われることが多く、基本的に進行形にはしません(「I am understanding」とは言わない)。一方、「realize」は瞬間的な動作を表すことが多いため、その瞬間を強調する文脈などで使われますが、「わかっている状態」を表すときは「understand」を選びましょう。
少し専門的な視点から、文法的な特徴や深いニュアンスの違いを解説します。
「understand」は、基本的に「状態動詞」です。
「理解している」という状態が継続していることを表すため、「I am understanding」のように進行形にすることは稀です(相手への共感を強調する場合などを除く)。
「わかった!(理解した)」と言うときも、過去形の「I understood.」や現在形の「I understand.」を使います。
一方、「realize」は、「変化(知らなかった→知った)」に焦点が当たる動詞です。
「I realized that…」と言えば、「(その時)~だということに気がついた」という事実認識の瞬間を切り取っています。
したがって、「ずっと前からわかっているよ」と言いたいときに「I have realized…」と言うと、「ずっと前から(ハッとする状態が)完了している」という少し不自然な響きになることがあります。「I have understood…」や「I have known…」の方が自然でしょう。
さらに詳しい英語学習に関する情報は、文部科学省の外国語教育のページなども参考になります。
僕が「realize」を使って誤解された英語会議の体験談
僕も海外との仕事を始めたばかりの頃、この「realize」と「understand」で冷や汗をかいた経験があります。
あるプロジェクトでトラブルが発生し、現地のマネージャーから長文のメールで状況説明を受けました。
僕は「事情はよくわかりました(把握しました)」と伝えたくて、自信満々にこう返信したんです。
「I realized the situation.(状況に気づきました)」
自分としては「了解です!」くらいの軽い気持ちでした。
ところが、相手からの返信は予想外に冷ややかなものでした。
「We have been reporting this for weeks. Why did you just realize it now?(数週間前から報告していたはずですが、なぜ今ごろ気づいたのですか?)」
顔から火が出るかと思いました。
「realize」を使ったことで、まるで「今まで全く知らなかったけれど、あなたのメールを見て初めてハッと気づきました」と言ってしまったことになったのです。
相手からすれば、「報告書を読んでいなかったのか?」と不信感を抱くのも当然ですよね。
ここは素直に「I understand the situation.(状況は理解しています=把握しました)」と書くべきでした。
「単語一つで、仕事への姿勢まで誤解されてしまうことがある」と痛感した出来事です。
それ以来、メールでの「わかった」には、細心の注意を払うようになりました。
「realize」と「understand」に関するよくある質問
「Make sense」とはどう違うのですか?
「Make sense」は「(話の筋が通っていて)なるほど、理解できる」という意味です。「It makes sense.」のように主語を「話の内容(It)」にするのが特徴です。「Understand」は「(私が)理解する」と人を主語にしますが、「Make sense」は「(話が)理にかなっている」という客観的なニュアンスで「わかった」を表現します。
「夢が叶う」はなぜ「dream comes true」と言うのですか?「realize」ではダメ?
「Realize my dream」も「夢を実現する(叶える)」という意味で正しく使えます。ただ、「Dreams come true」の方がより詩的で、自然発生的に「叶う」というニュアンスがあります。「Realize」は「(努力して)現実のものにする」という能動的な響きが強くなります。
「I got it.」はどちらに近いですか?
「I got it.」は「understand」に近いです。「相手の話を理解した」「把握した」という意味で、日常会話で非常によく使われます。「realize」のような「ハッとする」ニュアンスよりも、「情報を受け取った」という完了の感覚ですね。
「realize」と「understand」の違いのまとめ
「realize」と「understand」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 基本のイメージ:「realize」は「ハッとする気づき」、「understand」は「頭での理解」。
- 時間の感覚:「realize」は瞬間的な変化、「understand」は継続的な把握。
- 対象の違い:「realize」は事実や現実、「understand」は意味や仕組み。
- ビジネスでの注意:報告を受けたときは「understand」を使う(「realize」だと「今知った」になる)。
言葉の背景にある「実感」と「把握」の違いを理解すると、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになりますね。
英語でのコミュニケーションで、これらの違いを意識することで、より的確に自分の状況や認識を伝えられるはずです。
これから自信を持って、適切な単語を選んでいきましょう。
英語の表現についてさらに詳しく知りたい方は、英語由来語の違いまとめのページもぜひご覧ください。より深い理解に役立つはずです。
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