「instead」と「instead of」の違い!文末か名詞の前か

「instead」と「instead of」、どちらも「代わりに」と訳されますが、たった「of」があるかないかで使い方が劇的に変わることをご存知でしょうか?

実はこの二つの言葉、単独で使う「副詞」か、名詞とセットで使う「前置詞」かという文法的な役割の違いで明確に区別されます。

この記事を読めば、文末に置くべきか、名詞の前に置くべきかを瞬時に判断できるようになり、ネイティブのような自然な英語のリズムで会話できるようになります。

それでは、まず二つの言葉の決定的な違いから詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「instead」と「instead of」の最も重要な違い

【要点】

基本的には、単独で「その代わりに」と言うなら「instead」、具体的な対象を挙げて「~の代わりに」と言うなら「instead of」と覚えるのが簡単です。文法的には「of」の有無が後ろに来る言葉を決定します。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目insteadinstead of
品詞副詞群前置詞(前置詞句)
意味(その)代わりに、そうせずに~の代わりに、~しないで
後ろに来るものなし(文末)、またはカンマ(文頭)名詞、代名詞、動名詞(-ing)
文中の位置主に文末、または文頭文頭、文中、文末どこでも可

一番大切なポイントは、「instead」は単独で完結し、「instead of」は必ず後ろに「何かの代わりなのか」を示す言葉が必要だということですね。

「of」は前置詞なので、後ろに名詞(ターゲット)を置くための接着剤の役割を果たしています。

なぜ違う?語源「stead」から「場所」と「代わり」を掴む

【要点】

「stead」は「場所(place)」を意味する古い言葉です。「instead」は「(その)場所で」という副詞、「instead of」は「~の場所で」という前置詞句としてイメージすると、使い分けが明確になります。

なぜこの二つの言葉に使い方の違いが生まれるのか、語源を紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「stead」のイメージ:場所・代理

この二つの言葉に共通する「stead」は、古英語やドイツ語に由来し、元々は「場所(place)」や「地位」を意味していました。

「homestead(家屋敷)」や「bedstead(ベッドの枠組み)」という単語にその名残があります。

つまり、「in stead」=「in place(その場所で)」というのが原義です。

「instead」と「instead of」の構造

この「場所」のイメージを当てはめてみましょう。

  • instead:in (that) place
    「(言及されたことの)場所で」→「(それの)代わりに」
    ※文脈の中に「代わりとなる対象」が含まれているため、言葉としては省略されます。
  • instead of A:in place of A
    「Aの場所で」→「Aの代わりに」
    ※「of」を使うことで、具体的な場所(対象A)を明示しています。

「of」があるかないかは、「何の代わりか」を言葉にするかしないかの違いなのです。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

文末に置いて「その代わりにね」と添えるのが「instead」、文中で「AではなくB」と比較するのが「instead of」です。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

ビジネスシーンでの使い分け

提案や変更を伝える場面で頻出します。

【OK例文:instead(副詞)】

  • The meeting was cancelled, so I worked on the report instead.
    (会議が中止になったので、(その代わりに)私はレポートに取り組みました。)
  • Plan A didn’t work. We should try Plan B instead.
    (プランAはうまくいきませんでした。(それなら)代わりにプランBを試すべきです。)

【OK例文:instead of(前置詞句)】

  • I will attend the conference instead of my boss.
    (上司の代わりに私が会議に出席します。)
  • We should focus on quality instead of quantity.
    (量ではなく質に集中すべきです。)

日常会話での使い分け

日常会話では、文末の「instead」がリズムを作るのに役立ちます。

【OK例文:instead】

  • I don’t have coffee. Would you like tea instead?
    (コーヒーがないんだ。(その代わりに)紅茶はいかが?)
  • He didn’t study. He played games instead.
    (彼は勉強しなかった。代わりにゲームをしてたよ。)

【OK例文:instead of】

  • Let’s go out instead of watching TV.
    (テレビを見る代わりに出かけようよ。)
  • I’ll have coffee instead of tea.
    (紅茶ではなくコーヒーにします。)

これはNG!間違えやすい使い方

「of」の有無が文法的な正誤を決定づけます。

  • 【NG】 I bought a pen instead of.
    (私はペンの代わりを買った。)
    ※「of」は前置詞なので、後ろに必ず名詞が必要です。文末で終わるなら「instead」を使います。
  • 【NG】 I bought a pen instead a pencil.
    (私は鉛筆の代わりにペンを買った。)
    ※「instead」は副詞なので、名詞(a pencil)を直接つなぐ力はありません。「instead of」が必要です。

【応用編】文頭の「Instead,」と文末の「instead」のニュアンス

【要点】

文頭の「Instead,」は前の文を強く否定して「そうではなくて、実は~」と展開転換を強調します。文末の「instead」は文全体を補足して「~の代わりとして行った」と軽く添えるニュアンスです。

「instead」は置く場所によって、文章の流れへの影響力が変わります。

文頭の Instead,(接続副詞的用法)

前の文の内容を受けて、「それをする代わりに(そうではなく)」と、対比を強調して新しい提案や事実を述べるときに使います。

例:He didn’t apologize. Instead, he blamed me.
(彼は謝らなかった。それどころか(代わりに)、私を責めた。)

ここでは「謝る」という行為の代わりに行われた「責める」という行為の意外性や対比が強調されています。

文末の instead

文の最後に置いて、単に「代わりの手段として」という意味を添えます。

例:He didn’t apologize. He blamed me instead.
(彼は謝らず、代わりに私を責めた。)

意味は同じですが、文頭に置くよりもフローが滑らかで、事実を淡々と述べている印象になります。

「instead」と「instead of」の違いを文法的に解説

【要点】

「instead」は副詞なので、動詞や文全体を修飾します。「instead of」は群前置詞なので、後ろの名詞とセットで形容詞句や副詞句を作ります。「of」の後ろは動名詞(-ing)も可能ですが、不定詞(to do)は不可です。

文法構造を整理すると、ミスの原因が見えてきます。

instead(副詞)

副詞は「名詞以外」を修飾します。文の要素(S, V, O, C)にはなりません。

  • I walked instead.(私は代わりに歩いた。)
    ※「instead」は動詞「walked」を修飾しています。

instead of(群前置詞)

「of」がつくことで前置詞の働きをします。前置詞の後ろ(目的語)には名詞相当語句が必要です。

  • instead of + 名詞(A pen)
  • instead of + 代名詞(him)
  • instead of + 動名詞(going)

重要なのは、「instead of」の後ろに「to do(不定詞)」や「that節(文章)」は置けないということです。

× instead of to go
○ instead of going

僕が「instead」の「of」を忘れて赤っ恥をかいた失敗談

僕も英語を習い始めた頃、この「of」の有無で恥ずかしい思いをしたことがあります。

留学生の友人とカフェに行ったときのことです。僕はコーヒーを注文したかったのですが、店員さんに「紅茶はあるけどコーヒーは切らしている」と言われました。

そこで僕は「じゃあ、コーヒーの代わりに紅茶をください」と言おうとして、自信満々にこう言いました。

「Okay, I’ll have tea instead coffee.」

友人は一瞬キョトンとして、すぐに笑いながら訂正してくれました。

「You mean, instead OF coffee? Or just ‘I’ll have tea instead‘?」

顔から火が出るかと思いました。

僕の頭の中では「instead」=「代わりに」という日本語訳しかなかったので、「代わりに(instead)」「コーヒー(coffee)」と単語を並べれば通じると思っていたのです。

しかし、英語の「instead」は副詞なので、名詞(coffee)と直接くっつくことはできません。名詞とつなげる接着剤「of」がなければ、文法的に崩壊してしまうのです。

この失敗から、「何かを指名して『~の代わりに』と言うときは必ず『of』セット」というルールを体に刻み込みました。

それ以来、文末で言い切るなら「instead」、対象を言うなら「instead of」と、意識して使い分けるようにしています。

「instead」と「instead of」に関するよくある質問

「instead of」の後ろに動詞の原形は置けますか?

いいえ、置けません。「of」は前置詞なので、後ろには名詞か動名詞(-ing)が来ます。「~する代わりに」と言いたい場合は、「instead of do」ではなく「instead of doing」と動名詞にしましょう。

「in place of」との違いは?

「instead of」と「in place of」はほぼ同じ意味(~の代わりに)で、置き換え可能な場合が多いです。ただし、「in place of」は物理的な「場所」や「地位」の交代というニュアンスがやや強く、人や物の入れ替えによく使われます。「instead of」は行動や選択の代替にも広く使われます。

「rather than」との違いは?

「instead of」は「AをやめてBをする(Aは除外)」というニュアンスが強いのに対し、「rather than」は「AよりむしろB(選好)」というニュアンスです。「instead of」は「代用」、「rather than」は「選択」に近いと言えますが、文脈によってはほぼ同じ意味で使われます。

「instead」と「instead of」の違いのまとめ

「instead」と「instead of」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本はofの有無:単独なら「instead」、対象があるなら「instead of」。
  2. 品詞の違い:「instead」は副詞、「instead of」は前置詞句。
  3. 位置の違い:「instead」は文末が多い。「instead of」は後ろに名詞を伴って文のどこでも。

言葉の背景にある「stead(場所)」のイメージを掴むと、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになります。

英語由来語の違いについてさらに知りたい方は、英語由来語の違いまとめの記事もぜひご覧ください。

これからは自信を持って、的確な言葉を選んでいきましょう。

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