「defeat」は「相手を打ち負かす(勝つ)」こと、「lose」は「勝負に負ける(失う)」ことです。
日本語ではどちらも勝敗に関連する言葉ですが、英語では「誰が主語か」「誰に勝ったのか、何に負けたのか」によって、真逆の意味になりかねません。
この記事を読めば、それぞれの単語が持つ「視点」と正しい文法ルールが分かり、スポーツやビジネスの勝ち負けを正確に伝えられるようになります。
それでは、まず最も重要な違いから一覧表で見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「defeat」と「lose」の最も重要な違い
基本的には、「勝った側」が主語なら「defeat」、「負けた側」が主語なら「lose」と覚えるのが簡単です。「defeat」は「相手を倒す」という他動詞で、「lose」は「勝利を失う」という意味合いで使われます。
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの単語の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。
これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリでしょう。
| 項目 | defeat(ディフィート) | lose(ルーズ) |
|---|---|---|
| 主語(S) | 勝者 | 敗者 |
| 主な意味 | (相手を)打ち負かす、倒す | (試合などに)負ける、失う |
| 目的語(O) | 対戦相手(人・チーム) | 試合、勝負(game, match) |
| 文法的な注意 | 「A defeat B」=AがBに勝つ | 「A lose to B」=AがBに負ける |
| ニュアンス | 相手を降参させる、打破する | 持っていたものをなくす(勝利を逃す) |
簡単に言うと、「AチームがBチームを倒した(勝った)」なら「Team A defeated Team B.」となり、「BチームがAチームに負けた」なら「Team B lost to Team A.」といった使い分けになります。
「defeat」は「勝つ」という意味の動詞ですが、日本語の「勝つ(win)」とは使い方が異なり、「(相手を)負かす」と訳す方が構造を理解しやすいですよ。
なぜ違う?英語の成り立ち(語源)からイメージを掴む
「defeat」は古フランス語の「desfait(元に戻す、壊す)」が語源で、相手の形成を崩して「倒す」イメージです。「lose」は古英語の「losian(滅びる、失う)」が語源で、勝利や所有物を「手放してしまう」イメージです。
なぜこの二つの言葉に視点の違いが生まれるのか、単語の成り立ちを紐解くと、その理由がよくわかりますよ。
「defeat」の成り立ち:「崩して」ダメにする
「defeat」は、「de(否定・離れる)」+「facere(作る・為す)」というラテン語由来の構成を持っています。
つまり、「作られたものを崩す」「相手の計画や形成をダメにする」というのが原義です。
そこから、敵を打ち破る、打ち負かすという意味になりました。
相手に対して「ダメージを与えて屈服させる」という、外向きのエネルギーを感じさせる言葉ですね。
「lose」の成り立ち:「失って」なくなる
一方、「lose」は、もっとシンプルに「何かを失う」「手元からなくなる」という意味が根本にあります。
試合で「lose」するということは、勝利(victory)や賞品を「失う」「逃す」ということです。
こちらは相手を倒すというよりも、自分から勝利が離れていってしまう、という内向きあるいは喪失のニュアンスが強い言葉です。
具体的な例文で使い方をマスターする
ビジネスやスポーツで「我々が勝った」と言いたいときは「defeat [相手]」を使い、「負けた」と言いたいときは「lose [試合]」または「lose to [相手]」を使います。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
スポーツやビジネス、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。
スポーツ・ビジネスでの使い分け
誰が勝者で誰が敗者かを意識すると、使い分けは簡単ですよ。
【OK例文:defeat(~を負かす=勝つ)】
- Our team defeated the champion.
(我々のチームはチャンピオンを打ち負かした。) - We must defeat the competition to survive.
(生き残るためには競争相手を倒さねばならない。) - The proposal was defeated by a narrow margin.
(その提案は僅差で否決された。※「提案を打ち負かす=否決する」という意味でも使われます)
【OK例文:lose(~に負ける=失う)】
- We lost the game yesterday.
(昨日の試合に負けました。) - She lost to her rival in the final.
(彼女は決勝でライバルに敗れました。) - Don’t lose hope.
(希望を捨てる(失う)な。)
これはNG!間違えやすい使い方
意味が通じなかったり、全く別の意味になったりする使い方を見てみましょう。
- 【NG】 I defeated the game.
- 【OK】 I won the game. / I defeated the opponent.
「defeat」の目的語は「倒すべき相手(人・チーム)」です。「試合(game)」自体を倒すことはできないので不自然です。「試合に勝つ」なら「win the game」を使います。
- 【NG】 I lost him.(彼に負けた、と言いたい場合)
- 【OK】 I lost to him.
「lose + 人」だと、「彼を失った(亡くした、または見失った)」という意味になってしまいます。「彼に負けた」と言いたい場合は、必ず「to」を入れて対象を示しましょう。
【応用編】似ている言葉「beat」との違いは?
「beat」は「defeat」とほぼ同じ「打ち負かす」という意味ですが、より口語的(カジュアル)で、「叩きのめす」「圧倒する」というニュアンスが含まれます。「defeat」はフォーマルな表現で、公式なニュースや記録で好まれます。
「defeat」と似ていて混同しやすい言葉に「beat(ビート)」があります。
これも押さえておくと、会話のレベルが上がりますよ。
「beat」も「A beat B(AがBを負かす)」という形で使いますが、日常会話やスポーツの実況などでは「beat」の方が圧倒的に多く使われます。
- We beat them!(あいつらを負かしてやったぞ!/勝ったぞ!)
- I can beat you at tennis.(テニスなら君に勝てるよ。)
一方、「defeat」は少し硬い言葉なので、ニュース記事や歴史的な記述などでよく見かけます。
- The army defeated the enemy forces.(軍は敵軍を撃破した。)
友達との会話で「I defeated him.」と言うと、ちょっと大げさで芝居がかった響きになるかもしれませんね。
「defeat」と「lose」の違いを文法・ニュアンスで深掘り
「defeat」は他動詞として「相手(O)」を直接取りますが、「lose」は他動詞なら「失うもの(O)」を取り、自動詞として「負ける」という意味で使う場合は前置詞「to」を伴って相手を示します。また、受動態の「be defeated」は「lose」と同じく「負ける」という意味になります。
少し専門的な視点から、文法構造における決定的な違いを解説します。
1. 能動態での使い分け
- defeat:S(勝者) defeats O(敗者)
- lose:S(敗者) loses O(試合) / S(敗者) loses to 対象(勝者)
2. 受動態(受け身)での逆転
「defeat」を受け身(be defeated)にすると、主語が入れ替わります。
- Team A defeated Team B.(AがBを負かした)
↓
Team B was defeated by Team A.(BはAに負かされた=BはAに負けた)
つまり、「be defeated by」=「lose to」という等式が成り立ちます。
ニュースなどでは「Team B was defeated.(Bチームが敗れました)」という表現もよく使われます。
さらに詳しい英語教育に関する情報は、文部科学省の外国語教育のページなども参考になります。
僕が「defeat」を使い間違えて友人を混乱させたゲームの体験談
僕も留学中に、この「defeat」と「lose」の使い分けで恥ずかしい思いをしたことがあります。
友人と対戦ゲームをしていて、僕がボロ負けしたときのこと。
悔し紛れに「ああ、負けた!」と言いたくて、とっさに知っている単語を使ってこう叫びました。
「I defeated!」
すると、勝ったはずの友人が「Huh?(え?)」と困惑した顔をしたんです。
「Wait, did you win?(待って、君が勝ったの?)」
僕は「負けた」つもりで言ったのですが、文法的には「私は(誰かを)打ち負かした=勝った」という意味になってしまっていたんですね。
しかも目的語がないので、文としても不完全でした。
「I was defeated!(負かされた!)」または素直に「I lost!(負けた!)」と言うべきでした。
友人は笑いながら、「You mean, I beat you, right?(僕が君を倒したってことだろ?)」と訂正してくれました。
「勝敗の言葉を間違えると、結果が真逆に伝わってしまう」と痛感した出来事です。
それ以来、自分が負けたときは潔く「I lost.」と言うようにしています。
「defeat」と「lose」に関するよくある質問
「win」と「defeat」の違いは何ですか?
どちらも「勝つ」という意味で使われますが、目的語が異なります。「win」は「試合や賞(game, prize)」を勝ち取るのに対し、「defeat」は「対戦相手(opponent, team)」を打ち負かします。「win the game」とは言えますが、「win the opponent」とは言えません(相手を賞品として勝ち取る意味になってしまいます)。
「lose a game」と「lose the game」の違いは?
「lose a game」は一般的な話として「(何らかの)試合に負ける」こと、「lose the game」は「(特定の、話題に上がっている)その試合に負ける」ことです。「私達は昨日、試合に負けた」と言うなら「We lost the game yesterday.」が自然です。
名詞の「defeat」と「loss」はどう違いますか?
名詞でも動詞と同じ視点の違いがあります。「defeat」は「敗北(負かされること)」や「打破(負かすこと)」を指し、「loss」は「喪失」や「損失」を指します。「suffer a defeat(敗北を喫する)」や「a big loss(大きな損失/痛手)」のように使われます。
「defeat」と「lose」の違いのまとめ
「defeat」と「lose」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 主語の違い:「defeat」は勝者が主語、「lose」は敗者が主語。
- 意味の違い:「defeat」は相手を倒す(他動詞)、「lose」は勝負を失う。
- 目的語の違い:「defeat」の後は「対戦相手」、「lose」の後は「試合」。
- 日常会話:カジュアルに「勝った」と言うなら「beat」、「負けた」なら「lose」。
言葉の背景にある「勝者」と「敗者」の視点を理解すると、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになりますね。
スポーツ観戦やビジネスの競争について話す際、これらの違いを意識することで、より正確に状況を伝えられるはずです。
これから自信を持って、適切な単語を選んでいきましょう。
英語の表現についてさらに詳しく知りたい方は、英語由来語の違いまとめのページもぜひご覧ください。より深い理解に役立つはずです。
スポンサーリンク