料理で使う「make」と「cook」の違い!火を使うかどうかが分かれ道

「make」と「cook」、どちらも料理をするときに使う英語ですが、この二つの違いに迷ったことはありませんか?

「料理する=cook」と覚えがちですが、実はサラダやサンドイッチを作るときに「cook」と言うと、ネイティブには「えっ、それを加熱するの?」と奇妙に聞こえてしまうことがあるのです。

この記事を読めば、料理の種類や工程に合わせた正しい動詞の選び方が分かり、英語でのコミュニケーションがもっと自然でスムーズになります。

それでは、まず二つの言葉の決定的な違いから詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「make」と「cook」の最も重要な違い

【要点】

基本的には火を使わないものも含めて広く作るなら「make」、加熱調理をするなら「cook」と覚えるのが簡単です。「make」は食事の用意全般に使えますが、「cook」は「煮る・焼く・茹でる」などの熱を加える工程に焦点があります。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目makecook
中心的な意味(材料を組み合わせて)作り出す(熱を加えて)調理する
加熱の有無問わない(非加熱もOK)必須(加熱する)
対象の料理例サラダ、サンドイッチ、ケーキ、食事全体カレー、ステーキ、スープ、パスタ
ニュアンス完成品を生み出す、用意する食材を熱で変化させる

一番大切なポイントは、「cook」には「火(熱)を使う」という強い条件があるということですね。

したがって、火を使わないサラダや、パンに具を挟むだけのサンドイッチには「cook」は使わず、「make」を使うのが正解です。

なぜ違う?言葉のイメージと中心的な意味を掴む

【要点】

「make」は「無から有を生み出す」「材料を組み立てて形にする」という創造のイメージです。一方、「cook」はラテン語の「coquere(煮る、熟す)」に由来し、「熱を加えて食材の状態を変える」というプロセスのイメージを持っています。

なぜこの二つの言葉に「加熱の有無」という違いが生まれるのか、言葉の持つ本来のイメージを紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「make」のイメージ:材料をまとめて形にする

「make」という単語は、料理に限らず「作る」全般に使われますよね。

この言葉の核にあるイメージは、バラバラの材料や要素を組み合わせて、一つのまとまり(完成品)を作り出すという点にあります。

料理で言えば、野菜を切って盛り付けたり、パンにハムを挟んだりして、「一品の料理として完成させる」行為全体を指します。

そこに火を使うかどうかは関係なく、「食事を用意する(make dinner)」という広い意味でも使われる万能選手です。

「cook」のイメージ:熱を加えて変化させる

一方、「cook」は、もともと「煮る」「焼く」といった調理法を指す言葉から来ています。

その核にあるイメージは、熱を加えることで、食材の質や状態を変化させるという点です。

生肉を焼いてステーキにしたり、野菜を煮込んでスープにしたりと、「火(熱)」の力が加わることが前提となります。

ですから、単に切ったり混ぜたりするだけの行為には「cook」は馴染まないのです。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

「朝食を作る」のように食事全体を指す場合は「make」が自然です。「魚を煮る」のように具体的な調理行為を指す場合は「cook」を使います。サラダやカクテルなど冷たいものには必ず「make」を選びましょう。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

日常の料理シーンで、どのように使い分けるべきかを見ていきましょう。

「make」を使うべきシーン

火を使わない料理や、食事の準備全体を指すときは「make」ですよ。

【OK例文:make】

  • I will make a salad.(サラダを作るよ。)
  • Let’s make sandwiches for lunch.(ランチにサンドイッチを作ろう。)
  • I have to make dinner tonight.(今夜は夕食を作らなきゃ。)※食事の用意全般
  • Can you make some coffee?(コーヒーを淹れてくれる?)

「cook」を使うべきシーン

ガスコンロやオーブンを使って、熱を加える料理には「cook」がぴったりです。

【OK例文:cook】

  • She is cooking stew in the kitchen.(彼女はキッチンでシチューを煮込んでいる。)
  • I love to cook pasta.(パスタを作るのが大好きだ。)
  • The chef cooked the steak perfectly.(シェフはステーキを完璧に焼き上げた。)
  • Don’t cook the vegetables too long.(野菜を長く火にかけすぎないで。)

これはNG!間違いやすい使い方

意味は通じるかもしれませんが、ネイティブが違和感を覚える使い方を見てみましょう。

  • 【NG】I cooked a fresh salad.(新鮮なサラダを“加熱調理”した。)
  • 【OK】I made a fresh salad.(新鮮なサラダを作った。)

サラダを「cook」すると言うと、炒めたり茹でたりした温野菜サラダのイメージになってしまいます。生のサラダなら「make」ですね。

  • 【NG】Can you cook sushi?(お寿司を“加熱調理”できる?)
  • 【OK】Can you make sushi?(お寿司を握れる?/作れる?)

お寿司(握り寿司)は基本的に火を使いません。「cook sushi」と言うと、魚を焼いたり煮たりしてしまいそうで、お寿司ではなくなってしまいます。

【応用編】似ている言葉「prepare」との違いは?

【要点】

「prepare」は「準備する」「下ごしらえする」という意味で、makeよりも少し硬く、手順を踏んで整えるニュアンスがあります。料理だけでなく、食材の下準備(皮をむく、切るなど)にも使われます。

「make」「cook」と似た言葉に「prepare」があります。これも料理の場面でよく使われますよ。

  • make:作る、用意する(一般的、結果重視)
  • cook:加熱調理する(プロセス重視)
  • prepare:準備する、下ごしらえする(計画性、工程重視)

例えば、「食事の支度をする」と言うとき、“prepare a meal” と言うと、単に作るだけでなく、献立を考えたり、材料を揃えたりする「段取り」を含んだ丁寧な響きになります。

また、“prepare the vegetables” と言えば、野菜を洗ったり切ったりして「調理前の準備をする」という意味になりますね。

「make」と「cook」の違いを言語学的に解説

【要点】

言語学の「コロケーション(語の結びつき)」の観点から見ると、「make」は「Creation(創造)」の動詞であり、結果として何ができるかに焦点があります。「cook」は「Process(過程)」の動詞であり、どのように変化させるかに焦点があります。このため、目的語に来る料理の性質によって自然な動詞が決まるのです。

少し専門的な視点から、この二つの動詞の性質を深掘りしてみましょう。

英語には、単語同士の相性や自然な結びつきである「コロケーション」という概念があります。

「make」は、基本的に「無から有を生み出す」「材料A、B、Cを組み合わせてD(完成品)にする」という創造(Creation)のプロセスを表す動詞です。

そのため、目的語(料理名)が「完成した形」として意識される場合、特に「加熱」という手段に限定されない場合に広く使われます(例:make a cake, make tea)。

一方、「cook」は、食材に対して「熱を加える」という物理的・化学的な変化の過程(Process)に焦点が当たっています。

そのため、目的語には「肉(meat)」「魚(fish)」などの食材そのものや、「スープ(soup)」のように加熱が不可欠な料理が来やすい傾向があります。

また、「自炊する」という意味で「I cook every day.」のように自動詞として使う場合、そこには「きちんとした食事を作る(加熱調理を含む)」というニュアンスが含まれます。

「I make every day.」とは言いません(何を作るのか目的語が必要になるため)。

このように、文法的な振る舞いや焦点の当たり方にも違いがあるんですね。

ホームステイ先で「cook salad」と言って笑われた僕の体験談

僕が学生時代、アメリカにホームステイしていた時のことです。

ホストファミリーに日本食を振る舞おうと張り切っていたある日、僕は副菜として大根サラダを作ろうと計画しました。

キッチンでホストマザーに「何を作るの?」と聞かれ、自信満々にこう答えました。

「I’m going to cook a Daikon salad!」

すると、マザーは目を丸くして笑い出しました。

「Oh, really? You’re going to cook salad? Are you going to fry it or boil it?(あら、サラダをcookするの? 炒めるの? それとも茹でるの?)」

僕は一瞬何のことかわかりませんでしたが、すぐに気づきました。

サラダは「生の野菜」を切ってドレッシングで和えるだけのもの。そこに「火」の要素はないのです。

「cook」という単語を使ったせいで、マザーの頭の中には、フライパンでジュージューと炒められるレタスや大根の姿が浮かんでしまったのでしょう。

「No, no! I mean, I’m going to make a salad!」と言い直すと、「Right! Make salad!」と納得してくれました。

この失敗で、「料理する=cook」という学校で習った等式が、必ずしも正しくないことを身をもって学びました。

それ以来、火を使わない料理には意識して「make」を使うようになり、英語の感覚が一つ磨かれたような気がします。

皆さんも、サラダやサンドイッチを作る時は、ぜひ胸を張って「I made this!」と言ってみてくださいね。

「make」と「cook」に関するよくある質問

Q. コーヒーやお茶を入れるときはどっち?

A. 基本的には「make」を使います(例:make coffee, make tea)。お湯を沸かす工程で熱は使いますが、飲み物として「用意する・作る」というニュアンスが強いためです。ただし、茶葉を煮出すような場合は「brew」を使うこともあります。

Q. ご飯(お米)を炊くときは?

A. 「cook rice」と言います。お米に熱を加えて食べられる状態にするので「cook」が適しています。ちなみに、炊飯器は「rice cooker」と呼ばれます。

Q. 「私は料理が苦手です」と言いたいときは?

A. 「I’m not good at cooking.」と言うのが自然です。ここでは「調理全般」を指す名詞的な意味合いで「cooking」を使います。「making」とは言いません。

「make」と「cook」の違いのまとめ

「make」と「cook」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本は熱の有無:火を使わない料理も含めるなら「make」、加熱するなら「cook」。
  2. 食事全体の準備:「夕食を作る(用意する)」など、食事全体を指すときは「make」が万能。
  3. 言葉のイメージ:「make」は完成させること、「cook」は熱で変化させること。

言葉の背景にある「プロセス」を理解すると、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになります。

これからは自信を持って、料理に合わせた動詞を選んでいきましょう。

言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、日常会話の外来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。英語由来の言葉の意外なニュアンスを発見できるかもしれませんよ。

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