「prefer」と「like」、どちらも「好き」という意味で使われますが、そのニュアンスには明確な違いがあります。
実は、単に「好き」という感情を表すのが「like」、複数を比較して「(こちらの方が)好き」と選ぶのが「prefer」という決定的な使い分けがあるのです。
この記事を読めば、日常会話やレストランでの注文、ビジネスシーンでも、自分の意思をより正確にスマートに伝えられるようになります。
それでは、まず最も重要な違いを一覧表で見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「prefer」と「like」の最も重要な違い
基本的には、対象そのものが好きなら「like」、何かと比較して「こっちの方がいい」と選ぶなら「prefer」を使います。「prefer」には「比較・選択」のニュアンスが強く含まれており、よりフォーマルで明確な意思表示になります。
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。
これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリでしょう。
| 項目 | prefer | like |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | (他よりも)好む、選ぶ | 好む、気に入っている |
| ニュアンス | 比較・選択・優先 | 感情・好意・肯定 |
| 日本語訳の例 | ~の方が好き、~の方を選ぶ | ~が好き、~が気に入っている |
| 比較対象 | 意識されている(暗にまたは明示) | 意識されていない(単独評価) |
| フォーマル度 | やや高い(丁寧、理性的) | 一般的(カジュアルから標準) |
一番大切なポイントは、「prefer」には自動的に「比較級(better)」の意味が含まれているということです。
「Do you like A?(Aは好き?)」と聞かれたら単に好みの話ですが、「Do you prefer A?(Aの方がいい?)」と聞かれたら、BやCと比較した上での選択を迫られている、と捉えると分かりやすいですね。
なぜ違う?言葉の成り立ち(語源)からイメージを掴む
「prefer」はラテン語で「前に運ぶ」を意味し、他のものより優先して前に出すイメージです。「like」は古英語で「似ている」「適している」を意味し、自分に合っている、心地よいという感情的な一致を表します。
なぜこの二つの言葉にニュアンスの違いが生まれるのか、語源を紐解くと、その理由がよくわかりますよ。
「prefer」の成り立ち:「前に」+「運ぶ」
「prefer」は、ラテン語の「prae(前に)」と「ferre(運ぶ)」が組み合わさった言葉です。
つまり、たくさんある選択肢の中から「一つを掴んで、他のものよりも前に出す」というイメージですね。
ここから、「優先する」「(他よりも)好む」という意味になりました。
単に好きという感情だけでなく、「選んで前に出す」という能動的な選択の意志が感じられる言葉です。
「like」の成り立ち:「似ている」から「適している」へ
一方、「like」は古英語の「lician」に由来し、もともとは「似ている」「同じような形をしている」という意味でした。
そこから「自分に似ている=相性がいい=気に入る」という意味に変化していきました。
「I like it.」は、対象と自分の波長が合っている、心がポジティブに反応している状態を表します。
比較して選ぶというよりは、その対象そのものに対する直接的な好意の感情が中心にあります。
具体的な例文で使い方をマスターする
単に好みを伝えるなら「I like coffee.」、コーヒーと紅茶どちらにするか聞かれて答えるなら「I prefer coffee.」が自然です。ビジネスシーンでは、意思決定や提案の際に「prefer」を使うと、理性的でスマートな印象を与えられます。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
日常会話とビジネスシーンでの使い分けを見ていきましょう。
日常会話での使い分け
友達との会話や、レストランでの注文シーンを想像してみてください。
【OK例文:like(単なる好み)】
- I like cats. They are cute.
(私は猫が好き。かわいいもん。) - Do you like Italian food?
(イタリア料理は好き?)
ここでは、犬と比較しているわけではなく、単に猫やイタリア料理に対する好意を述べています。
【OK例文:prefer(比較と選択)】
- I prefer dogs to cats.
(私は猫より犬の方が好き(犬派です)。) - Which do you prefer, coffee or tea?
(コーヒーと紅茶、どっちがいい?) - I prefer staying home today.
(今日は家にいる方がいいな(出かけたくない)。)
「prefer」を使うと、「AよりもBを選ぶ」というニュアンスが明確になります。
ビジネスシーンでの使い分け
ビジネスでは、相手の希望を聞いたり、こちらの要望を伝えたりする場面で「prefer」が役立ちます。
【OK例文:ビジネス】
- We would prefer to meet in the morning.
(私たちは午前中に会うことを希望します(の方が都合が良いです)。) - Which payment method do you prefer?
(どのお支払い方法がよろしいですか?) - I prefer not to discuss this right now.
(今はその議論はしたくありません(避けた方がいいと思います)。)
「I don’t want to…(したくない)」と言うよりも、「I prefer not to…」と言った方が、角が立たず、かつ断固とした意志を丁寧に伝えられます。
【応用編】似ている言葉「would like」「would prefer」との違いは?
「would like」は「want(欲しい)」の丁寧な表現、「would prefer」は「prefer(の方がいい)」の丁寧な表現です。「would」が付くことで、直接的な欲求ではなく、控えめで礼儀正しい希望になります。
「prefer」や「like」に「would」が付くと、意味合いが少し変わってきます。
これもセットで覚えておくと、表現の幅が広がりますよ。
「would like」:~したい(丁寧)
「I want to…」の大人版と考えればOKです。
お店で注文するときや、相手に何かをお願いするときに使います。
- I would like a cup of coffee.
(コーヒーを一杯いただけますか(欲しいです)。)
「would prefer」:~の方がいい(丁寧・仮定)
特定の状況下での選択や、控えめな提案をする際に使います。
「もし選べるなら、こちらがいいのですが」というニュアンスが含まれます。
- I would prefer to sit by the window.
(できれば窓側の席の方がいいのですが。)
「prefer」と「like」の違いを文法的に解説
「like」は「like A better than B」のように比較級を使って比較を表しますが、「prefer」は単体ですでに比較の意味を持つため、「prefer A to B」という形を使います。「than」ではなく「to」を使う点に注意が必要です。
ここでは、間違いやすい文法的なルールについて解説します。
「~より~が好き」の作り方
比較を表すとき、それぞれの単語で使う「相棒(前置詞など)」が異なります。
- like A better than B
(BよりAがもっと好き) - prefer A to B
(BよりAの方がいい)
「prefer」はラテン語由来の比較の意味を含んでいるため、「than(〜よりも)」ではなく、方向や到達点を表す「to(〜に対して)」を使います。
「AをBよりも優先して前に出す(to B)」という語源のイメージを思い出すと、なぜ「to」なのかが納得できるでしょう。
動詞を続ける場合
「~することが好き/の方がいい」と言いたい場合も、少し違いがあります。
- like doing / like to do
(~するのが好き)※大きな意味の差はないが、to doは習慣的、doingは楽しんでいるニュアンス。 - prefer doing (to doing) / prefer to do (rather than do)
(~する方がいい)
「prefer」で「AすることよりBすることの方がいい」と比較する場合、「prefer doing A to doing B」とするか、「prefer to do A rather than (to) do B」という形を使います。
「prefer to do A to do B」とは言わないので注意が必要ですね。
「prefer」と「like」に関する失敗体験談
僕も留学中、この「prefer」の使い方がわからず、恥ずかしい思いをしたことがあります。
ホームステイ先のホストマザーが、夕食のデザートにアイスクリームとケーキを用意してくれました。
「Which one would you like?(どっちがいい?)」と聞かれたので、僕はケーキを食べたかったのですが、丁寧に言おうとしてこう答えました。
「I prefer cake better.」
すると、ホストマザーは優しく微笑んで、「You mean, you prefer cake, or you like cake better?」と直してくれました。
そうなんです。「prefer」という言葉自体にすでに「better(より良い)」という意味が含まれているので、さらに「better」をつけるのは「頭痛が痛い」と言うような重複表現になってしまっていたんです。
正しくは「I prefer cake.」だけで十分だったんですね。
もしくは「I like cake better.」と言えばよかったのです。
この経験から、「prefer」は単体で強力な比較ワードなんだと痛感し、余計な言葉を足さないように気をつけるようになりました。
「prefer」と「like」に関するよくある質問
「I prefer A than B」は間違いですか?
文法的には「prefer A to B」が正解とされていますが、現代の口語、特にアメリカ英語では「prefer A than B」も使われることがあります。しかし、試験やフォーマルな場では「to」を使うのが無難で確実です。不定詞を使って「I prefer to stay home rather than go out.」と言う場合は「rather than」を使います。
「Don’t you like…?」と聞かれたらどう答える?
「好きじゃないの?」という否定疑問文ですが、英語では質問の形に関わらず、事実として好きなら「Yes, I do.」、嫌いなら「No, I don’t.」と答えます。日本語の「いいえ、好きです」という感覚で「No」と言ってしまうと、英語では「嫌いです」という意味になってしまうので注意が必要です。
「love」と「prefer」はどう違いますか?
「love」は「like」を強めた言葉で、「大好き」「愛している」という強い感情を表します。一方「prefer」は感情の強さではなく「選択」や「優先順位」を表します。「I love chocolate, but I prefer vanilla ice cream right now.(チョコは大好きだけど、今はバニラアイスの方がいい気分)」のように、一般的な好みと、その場の選択を区別して使うことができます。
「prefer」と「like」の違いのまとめ
「prefer」と「like」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 基本は「選択」か「感情」か:「prefer」は比較して選ぶ、「like」は好意を持つ。
- 文法の違い:「prefer A to B」と「like A better than B」の形を覚える。
- フォーマル度:ビジネスや丁寧な場面では「prefer」や「would like」が便利。
「どっちでもいいよ」と言いたいときでも、自分の意思を少し見せるために「I prefer…」を使ってみると、会話がスムーズに進むことも多いですよ。
これからは自信を持って、シチュエーションに合わせて「好き」や「こっちがいい」を使い分けていきましょう。
さらに日常英会話で役立つ言葉の使い分けを知りたい方は、日常会話の外来語の違いまとめの記事もぜひ参考にしてください。
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