「에게」と「한테」の違いとは?書き言葉か話し言葉かで使い分け

韓国語で「〜に」と誰かに何かを渡したり伝えたりするとき、「에게(エゲ)」と「한테(ハンテ)」のどちらを使えばいいか迷ったことはありませんか?

どちらも意味は同じですが、文章やフォーマルな場で使うのが「에게」、日常会話でカジュアルに使うのが「한테」という、シチュエーションによる明確な使い分けがあります。

この記事を読めば、教科書的な不自然さを卒業し、ネイティブのように場面に合わせた自然な韓国語を使えるようになります。

それでは、まず最も重要な違いを一覧表で見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「에게」と「한테」の最も重要な違い

【要点】

基本的には、手紙やスピーチ、書き言葉なら「에게」、友達との会話や日常的な話し言葉なら「한테」を使います。「에게」は少し硬い印象、「한테」は親しみやすい柔らかい印象を与えます。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリでしょう。

項目에게 (ege)한테 (hante)
主な用途書き言葉、硬い話し言葉話し言葉(口語)
ニュアンスフォーマル、的確、少し硬いカジュアル、親密、柔らかい
使われる場面手紙、メール、論文、ニュース日常会話、SNS、ドラマ
対象人、動物(有情名詞)人、動物(有情名詞)
日本語訳〜に〜に

一番大切なポイントは、意味は全く同じですが、「한테」は会話専用、「에게」は書き言葉メイン(会話でも使えるが硬い)ということです。

友達と話しているときに「에게」を連発すると、ちょっと堅苦しい、教科書を読んでいるような印象を与えてしまうかもしれません。

なぜ違う?使用シーン(書き言葉・話し言葉)からイメージを掴む

【要点】

「에게」は文学作品や公的な文書でも使われる伝統的で標準的な助詞です。「한테」はそこから派生した口語的な表現で、相手との距離が近い会話の中で自然に使われる言葉です。

なぜこの二つの言葉に使い分けが生まれるのか、それぞれの持つ言葉の響きやイメージから掴んでおきましょう。

「에게」のイメージ:整った文章

「에게」は、韓国語の基本となる助詞です。

小説、新聞記事、歌詞、そして公的なスピーチなど、形に残る言葉や、改まった場での発言で好んで使われます。

きっちりとした「正装」をしているイメージですね。

そのため、目上の人に対する丁寧語の文末(〜です、ます)と一緒に使っても違和感がありません。

「한테」のイメージ:親しいおしゃべり

一方、「한테」は会話の中で生まれた表現です。

家族、友人、恋人など、親しい間柄でのコミュニケーションで頻繁に使われます。

こちらはラフな「普段着」のイメージです。

書き言葉として使うことは少なく、SNSやカカオトークなどのメッセージではよく使われますが、レポートや論文で使うのは不適切とされています。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

ファンレターや目上の人へのメールには「에게」、友達に「ねえねえ」と話しかけるときや独り言には「한테」が似合います。文脈の「硬さ」に合わせて選ぶのがコツです。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

シーン別の使い分けと、間違いやすいNG例を見ていきましょう。

シーン別の使い分け

その場の空気が「フォーマル」か「カジュアル」かを意識すると、使い分けは簡単ですよ。

【OK例文:에게(書き言葉・フォーマル)】

  • 사랑하는 친구에게
    (愛する友 ※手紙の書き出し)
  • 모든 국민에게 알립니다.
    (全ての国民お知らせします。※ニュースやアナウンス)
  • 선생님은 학생에게 친절하다.
    (先生は生徒親切だ。※文章での記述)

【OK例文:한테(話し言葉・カジュアル)】

  • 친구한테 전화했어.
    (友達電話したよ。)
  • 한테 할 말이 있어.
    (君言いたいことがあるんだ。)
  • 한테 밥을 줬어?
    (犬ご飯あげた?)

これはNG!違和感のある使い方

意味は通じますが、ネイティブが聞くと「おや?」と思う例を見てみましょう。

  • 【△】 (友達との飲み会で)나에게 맡겨!
    (私任せて!)
  • 【OK】한테 맡겨!
    (私任せて!)

友達との会話で「에게」を使うと、急にドラマの決め台詞や演説のような、少し芝居がかった雰囲気になることがあります。

  • 【△】 (就職の志望動機書で)저는 귀사한테 큰 관심을 가지고 있습니다.
    (私は貴社大きな関心を持っています。)
  • 【OK】 저는 귀사 큰 관심을 가지고 있습니다.
    (私は貴社大きな関心を持っています。)

会社(無生物・組織)に対しては、後述しますが「에」を使うのが正式です。また、格式高い文章で「한테」を使うと幼い印象を与えてしまいます。

【応用編】似ている言葉「께(ッケ)」「에(エ)」との違いは?

【要点】

「께(ッケ)」は「에게/한테」の尊敬語で、目上の人に使います。「에(エ)」は場所や物など、人・動物以外のものに対して「〜に」と言うときに使います。対象が誰(何)かによって、これら4つを使い分ける必要があります。

「〜に」にあたる韓国語は他にもあります。

「에게」「한테」とセットで覚えておくと、完璧な使い分けができますよ。

「께」:目上の人への尊敬語

相手が先生、上司、祖父母など、敬語を使うべき相手の場合は「께」を使います。

これは書き言葉でも話し言葉でも使えます。

  • 선생님 질문이 있습니다.
    (先生質問があります。)
  • 부모님 선물을 드렸어요.
    (両親プレゼントを差し上げました。)

「에」:無生物(場所・物・植物)

「에게/한테/께」はすべて「人や動物」に対して使います。

相手が会社、学校、植物、家具などの「無生物」の場合は、「에」を使います。

  • 회사 전화했다.
    (会社電話した。)
  • 화분 물을 주다.
    (植木鉢(植物)水をやる。)

※会社などの組織であっても、そこを「人の集まり」として擬人化して捉える場合は「에게」を使うこともありますが、基本は「에」と覚えておくと無難です。

「에게」と「한테」の違いを文法的に解説

【要点】

「에게/한테」は、動作の受け手(〜に)を表すだけでなく、受身文や使役文で動作主(〜に〜される)を表す場合にも使われます。また、「〜から」という意味の「에게서/한테서」の短縮形として使われることもあり、文脈判断が必要です。

ここでは少し専門的な視点から、文法的な特徴を解説します。

授与動詞の相手

「あげる(주다)」「送る(보내다)」「教える(가르치다)」など、何かのモノや情報を移動させる動詞と一緒に使われ、その到達点(相手)を示します。

  • 동생에게 편지를 썼다.
    (弟手紙を書いた。)

「〜から」という意味での使用

「もらう(받다)」「聞く(듣다)」「習う(배우다)」などの動詞と一緒に使われると、「〜に」ではなく「〜から(~人に)」という意味になります。

本来は「에게서/한테서」という形ですが、「서」が省略されて「에게/한테」だけで使われることが非常に多いです。

  • 친구한테(서) 들었어.
    (友達から(友達に)聞いたよ。)
  • 선생님에게(서) 한국어를 배워요.
    (先生から(先生に)韓国語を習います。)

「〜に」なのか「〜から」なのかは、後ろに来る動詞を見て判断する必要があります。

「에게」と「한테」に関する失敗体験談

僕も韓国語を勉強し始めた頃、このニュアンスの違いがわからず、恥ずかしい思いをしたことがあります。

韓国人の友達とメッセージアプリでやり取りをしていたときのことです。

もっと仲良くなりたくて、教科書で習ったばかりの文法を使ってこう送りました。

「다음에 너에게 맛있는 거 사 줄게!」
(今度、君に美味しいものをおごってあげるよ!)」

すると、友達から笑い泣きのスタンプと一緒にこんな返信が。

「いきなり詩人になったの?(笑) ラブレターみたいでちょっと恥ずかしいよ」

僕はカッコつけて言ったつもりはなかったのですが、親しい友達に対して「너에게(君へ…)」と書くのは、まるでポエムや歌詞のような、ちょっと気取った重たい雰囲気になってしまっていたんです。

そこは「너한테(君にさ〜)」と軽く言うべき場面でした。

逆に、韓国語のスピーチコンテストに出たときは、緊張して「審査員の皆様한테…」と言ってしまい、先生から後で「そこは(尊敬語)か、せめて에게を使わないと、品格が下がるよ」と注意されたこともあります。

この経験から、相手との距離感や、その場の雰囲気に合わせて助詞を着替えることが、自然なコミュニケーションには不可欠だと痛感しました。

「에게」と「한테」に関するよくある質問

目上の人にも「에게」を使っていいですか?

基本的には避けたほうが良いです。目上の人には尊敬語の「께」を使うのがマナーです。ただし、ニュース記事や論文など、客観的な事実を述べる文章内であれば、対象が目上の人であっても「에게」が使われることはあります。直接話しかける場合や手紙では必ず「께」を使いましょう。

動物にはどれを使いますか?

ペットなどの動物は「人」と同じ扱いをするため、「에게」や「한테」を使います。「강아지한테 밥을 줬어(子犬にご飯をあげた)」のように言います。しかし、感情移入していない実験動物や家畜、あるいは昆虫などに対しては、無生物扱いで「에」を使うこともあります。

「私に」と言うときはどうなりますか?

「私に」は「나(私)+한테/에게」で「나한테」「나에게」となります。「僕に(男性語・謙譲語)」の場合は「저(わたくし)+한테/에게」で「저한테」「저에게」です。口語では短縮されて「날(私を)」や「내게(私に)」のような形になることもありますが、基本形はこれらです。

「에게」と「한테」の違いのまとめ

「에게」と「한테」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本はシーンで使い分け:書き言葉・硬い表現なら「에게」、話し言葉・親しい間柄なら「한테」。
  2. 対象の確認:どちらも「人・動物」に使う。「物・場所」なら「에」、「目上の人」なら「께」。
  3. 文脈判断:動詞によっては「〜から」という意味になることもある。

この二つの違いを意識するだけで、あなたの韓国語は「教科書通り」から「ネイティブらしい自然な表現」へと一歩近づきます。

これからは自信を持って、相手や場面に合わせた「〜に」を選んでいきましょう。

さらに言葉の使い分けについて深く知りたい方は、日常会話の外来語の違いまとめの記事もぜひ参考にしてください。

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