「around」と「about」の最大の違いは、「円を描くような動き・周囲」か「対象の周辺・関連」かというイメージの差にあります。
どちらも「およそ(約)」という意味で使われるときは似ていますが、「around」は「グルっと取り囲む(円)」イメージを持つのに対し、「about」は「そのあたりに散らばっている(点在)」や「~について(関連)」というイメージを持つため、場所や話題を示す際には明確な使い分けが必要。
この記事を読めば、それぞれの単語が持つ核心的なイメージや、アメリカ英語とイギリス英語での傾向の違い、さらにはビジネスで使える類似表現までスッキリ理解でき、英会話やメールで自信を持って使いこなせるようになります。
それでは、まず最も重要な違いを比較表で見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「around」と「about」の最も重要な違い
「around」は「円・周囲」のイメージで、動きや特定の範囲を囲む際に使います。「about」は「周辺・関連」のイメージで、「~について」や静的な位置関係に使います。「およそ」の意味では、アメリカは「around」、イギリスは「about」を好む傾向があります。
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。
| 項目 | around | about |
|---|---|---|
| 核心イメージ | 円・周囲・回転 (グルっと囲む) | 周辺・不特定・関連 (その辺りに・~について) |
| 「およそ」のニュアンス | 中心となる数字の前後(周り)にある。 ※アメリカ英語で好まれる。 | その数字の近く(約)にある。 ※イギリス英語で好まれる。 |
| 場所・動き | 何かの周りを回る、迂回する。 (動きを伴うことが多い) | あちこちに散らばっている。 (静的な状態が多い) |
| 独自の意味 | ~を回避する、~を囲んで | ~について(主題・関連) |
一番大切なポイントは、「~について」と話題にする時は「about」一択で、「~の周りを回る」時は「around」を使うということですね。
「およそ5時」と言いたい場合は、現代ではどちらを使っても通じますが、イメージとしては「5時を中心とした幅(around)」か「5時に近いあたり(about)」かという微差があります。
なぜ違う?言葉の成り立ち(語源)からイメージを掴む
「around」は「round(丸い)」を含み、円環状のイメージを持ちます。「about」は「on the outside of(~の外側に)」に由来し、対象の近くや周辺にある漠然としたイメージを持ちます。
なぜこの二つの言葉にニュアンスの違いが生まれるのか、語源を紐解くと、その理由がよくわかりますよ。
「around」の語源:「円」を描く動き
「around」は、「a-(~に)」+「round(丸い、円)」から来ています。
つまり、文字通り「円を描く」「丸く囲む」というイメージが根本にあります。
そのため、何かの周りを一周したり、障害物を避けて回り道をしたり、あるいは特定の地点を中心としてその「全方向」に存在する場合に使われます。
「およそ」の意味で使う時も、時計の針が数字の周りをウロウロしているような、「プラスマイナスの幅」を感じさせるニュアンスになります。
「about」の語源:「外側」に存在するもの
一方、「about」は、古英語の「onbūtan(on + by + out)」に由来し、「~の外側に」「~の周辺に」という意味を持っていました。
ここから、中心(対象物)の「近くにある」や「関わりがある(~について)」という意味に派生しました。
「around」のような綺麗な円ではなく、対象の周りに点在している、あるいは近くに漠然とあるというイメージです。
「This book is about dogs.(これは犬についての本です)」と言うとき、本の中心に「犬」というテーマがあり、その周辺事項が書かれているという感覚ですね。
具体的な例文で使い方をマスターする
場所を表す際、動き回るなら「around」、散らばっているなら「about」を使います。話題の「~について」は「about」が基本です。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
日常会話でよく使われるシーン別に見ていきましょう。
場所・動きでの使い分け
【OK例文:around(円・動き)】
- The earth goes around the sun.
(地球は太陽の周りを回る。)
※円を描く軌道運動には「around」が最適です。 - Let’s walk around the park.
(公園の周りを(あるいは中を歩き回って)歩こう。)
※公園を囲むように、あるいは園内をグルグルと動くイメージ。 - There is a convenience store around the corner.
(角を曲がったあたりにコンビニがある。)
※角という地点の周辺(曲がった先)にあるイメージ。
【OK例文:about(点在・周辺)】
- Books were scattered about the room.
(本が部屋のあちこちに散らばっていた。)
※「around the room」も使われますが、「about」は無秩序に点在しているニュアンスが出ます(やや文語的)。 - He is somewhere about here.
(彼はこの辺りのどこかにいる。)
※漠然とこのエリアにいる、という感じ。
話題・関連での使い分け
【OK例文:about(~について)】
- Tell me about yourself.
(あなたのことについて教えて。)
※自己紹介の定番フレーズ。「around」は使いません。 - I’m thinking about you.
(あなたのことを考えている。)
※思考の対象が「あなた」の周辺にあるイメージ。
数・時間での使い分け(およそ)
【OK例文:どちらも可】
- It cost about (or around) 100 dollars.
(およそ100ドルかかった。) - I’ll be there around (or about) 5 pm.
(午後5時ごろに着くよ。)
※数値に関しては、現代の日常会話ではほぼ同義で使われます。アメリカでは「around」、イギリスでは「about」が好まれる傾向がありますが、どちらを使っても誤解されることはありません。
【応用編】似ている言葉「approximately / roughly」との違いは?
ビジネスや論文などフォーマルな場では「approximately(約、概算で)」を使います。「roughly」は「ざっと、大まかに」という少しラフなニュアンスになります。
「around」や「about」以外にも、「およそ」を表す言葉はあります。TPOに合わせて使い分けましょう。
| 単語 | ニュアンス | 使われる場面 |
|---|---|---|
| about / around | およそ、~くらい | 日常会話、カジュアルなメール |
| approximately | 約、概ね (正確さに近い) | ビジネス、論文、アナウンス ※非常にフォーマル |
| roughly | ざっと、大雑把に (粗い見積もり) | 日常会話、ビジネスでの仮計算 ※正確ではないことを強調 |
例えば、フライトの到着アナウンスでは「The flight time is approximately 3 hours.」のように、正確性が求められるフォーマルな表現が使われます。
一方、「ざっと見積もって100万くらいかな」と言うときは「It’s roughly 1 million.」と言うと、あくまで概算であることが伝わります。
「around」と「about」の違いを言語学的・地域的に解説
アメリカ英語では「around」が「およそ」の意味で好まれ、「about」は「~について」の意味で主に使われる傾向があります。一方、イギリス英語では「about」が「およそ」の意味でも広く使われます。
少し専門的な視点から、この二つの違いを深掘りしてみましょう。
言語学的なコーパス(使用実態のデータベース)分析によると、地域による使い分けの傾向が見えてきます。
- アメリカ英語:
- 「およそ(約)」の意味では around が優勢。
- 「about」は主に「~について(regarding)」の意味で使われることが多い。
- イギリス英語:
- 「およそ(約)」の意味で about が伝統的に使われる。
- 近年はアメリカ英語の影響で「around」も増えている。
また、ビジネスシーンにおいては、「We need to have a discussion around this issue.(この問題周辺の議論をする必要がある)」のように、「about(~について)」の代わりに「around」を使うケースが増えています。
これは、単にその問題「そのもの」を話すだけでなく、問題を取り巻く「背景」や「周辺環境」も含めて包括的に議論するというニュアンス(バズワード的な響き)を出すためです。
詳しくは文部科学省の英語教育に関する資料や、各国の語学研究機関のレポートなどでも、英語の地域差や変遷について触れられています。
「around」と「about」の使い分けで方向音痴になった体験談
僕も海外旅行中、このニュアンスの違いで少し混乱した経験があります。
ロンドンで道に迷い、現地の紳士に「駅はどこですか?」と尋ねました。すると彼はこう言いました。
「Just walk about here, and you’ll find it.」
僕は「about here(このことについて?)」と一瞬頭がバグりましたが、すぐに「この辺りを歩けば」という意味だと理解しました。
しかし、次に訪れたニューヨークで同じように道を尋ねた時は、
「Walk around the block.」
と言われました。
ロンドンでは「この辺りを(漠然と)」という静的な「about」、ニューヨークでは「ブロックを(回るように)」という動的な「around」が使われていたんです。
僕の中では「about = ~について」「around = 周り」という固定観念があったので、現地の言葉の選び方のクセに触れて、「同じ英語でも、場所や文化によって好まれる単語の響きが違うんだな」と肌で感じました。
この経験から、「周り・動き」を感じたら「around」、「漠然とした周辺・およそ」なら「about」という基本イメージを持ちつつ、相手の英語に合わせて柔軟に聞き取る姿勢が身につきました。
「around」と「about」に関するよくある質問
「round」と「around」の違いは?
「round」も「円」や「回る」を意味しますが、主にイギリス英語で前置詞として「around」の代わりに使われることが多いです(例:turn round / turn around)。アメリカ英語では「around」が一般的です。また、「round」は形容詞(丸い)としても使われますが、「around」は形容詞にはなりません。
「about to」と「around to」の違いは?
「be about to」は「まさに~しようとしている」という直近の未来を表す熟語です(例:I was about to go out.)。一方、「get around to」は「(時間ができたら)~に取り掛かる、~する時間を見つける」という意味で使われます。「around」の「ぐるっと回ってようやくそこに着く」というイメージから来ています。
「Know about」と「Know of」の違いは?
「around」とは少し離れますが、「about」の重要な用法です。「Know about」は「~について(詳しく)知っている」というニュアンス。「Know of」は「~の存在を知っている(聞いたことはある)」という程度の知識を表します。「I know about him.」なら彼の詳細を知っていますが、「I know of him.」なら名前を知っている程度です。
「around」と「about」の違いのまとめ
「around」と「about」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 基本イメージ:「around」は円・動き・囲む。「about」は周辺・点在・関連。
- 「およそ」の使い分け:米語は「around」、英語は「about」を好むが、ほぼ同義。
- 「~について」:話題やテーマを表す時は「about」を使うのが原則。
- 動きの有無:動作を伴う「~のあちこちを」は「around」が現代的。
「およそ」と訳すときはどちらでも通じますが、「円」のイメージか、「点在」のイメージかを持つことで、よりネイティブらしい自然な英語表現ができるようになります。
これからは自信を持って、状況に合った前置詞を選んでいきましょう。さらに詳しい英語のニュアンスや外来語の使い分けについては、日常会話の外来語の違いをまとめたページもぜひ参考にしてくださいね。
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