「事業」と「業務」の違いを徹底解説!全体像とプロセスの関係性

「事業」と「業務」、どちらも仕事に関係する言葉ですが、会社の中で「事業部長」と「業務部長」がいたら、どっちが偉いのか、何が違うのか、パッと答えられますか?

結論から言うと、この二つの違いは「社会に対して価値を提供する活動全体(事業)」と「その目的を達成するために行う個々の作業(業務)」という、視点の高さと範囲の違いにあります。

「事業」は会社が目指すゴールであり、「業務」はそのゴールにたどり着くための手段やプロセスと言えます。

この記事を読めば、経営者が語るビジョンと、現場で回すべきタスクの関係性がスッキリと理解でき、視座を高く持った仕事ができるようになります。

それでは、まず最も重要な違いから一覧表で詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「事業」と「業務」の最も重要な違い

【要点】

基本的には、利益や社会的価値を生み出す大きな枠組みが「事業」、その枠組みの中で日々繰り返される具体的な活動が「業務」です。事業は「目的(What/Why)」、業務は「手段(How)」の関係にあります。

まず、結論からお伝えしますね。

「事業」と「業務」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、組織図や経営計画書を見ても迷うことはありません。

項目事業 (Business / Project)業務 (Operation / Task)
定義一定の目的を持って行う経済的・社会的な活動全体事業を継続するために行う個々の仕事や手続き
視点経営視点(マクロ)現場視点(ミクロ)
目的と手段目的(何を成し遂げるか)手段(どうやって実行するか)
対外・対内主に対外的な価値提供主に対内的な処理・作業
通信事業、介護事業、新規事業受付業務、経理業務、配送業務

一番大切なポイントは、「業務が集まって事業が構成されている」という包含関係です。

「美味しい料理を提供してお客様を喜ばせること」が飲食事業なら、「食材の発注、調理、接客、レジ打ち」などが業務にあたります。

なぜ違う?漢字の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

「事業」の「事」は事柄、「業」はなりわいを指し、大きな構想や計画を実行することを意味します。「業務」の「務」はつとめ(義務・役割)を指し、果たすべき役割やタスクを遂行することを意味します。

なぜこの二つの言葉にスケール感の違いが生まれるのか、漢字の成り立ちから紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「事業」の成り立ち:「事」を成すイメージ

「事業」という言葉は、元々は「事を成し遂げる業(わざ)」という意味合いがあります。

ここでの「事」は、単なる作業ではなく、社会的な意義や大きな目的を持った事柄を指します。

つまり、「事業」とは「世のため人のために、計画して実行する大きなプロジェクトや商売」という、ダイナミックなイメージを持つ言葉です。

「慈善事業」や「国家事業」という言葉があるように、公益性や規模の大きさを感じさせます。

「業務」の成り立ち:「務」めを果たすイメージ

一方、「業務」の「務」は、「つとめ」「役目」という意味を持っています。

これは、与えられた役割や責任を継続的に、着実に実行するというニュアンスが強い言葉です。

「業(なりわい)」を維持するために「務(つと)める」べきこと。

このことから、「業務」には「ルーチンワーク」や「日々のタスク」、「事務処理」といった、実務的な側面が強調されます。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

会社の方向性や収益の柱を語るときは「事業」、個人の仕事内容や効率化を語るときは「業務」を使います。「事業拡大」と「業務効率化」というセットで覚えると、それぞれの役割がはっきりします。

言葉の違いは、具体的なビジネスシーンで確認するのが一番ですよね。

経営戦略から日常の仕事まで、使い分けを見ていきましょう。

「事業」を使うケース

会社の収益源や、社会的な活動を指す場合に使います。

【OK例文:事業】

  • わが社は、海外への事業展開(海外進出)を計画している。
  • 新規事業の立ち上げメンバーを社内で公募する。
  • このNPO法人は、環境保護事業に取り組んでいる。
  • 事業計画書を作成し、銀行から融資を受けた。

「業務」を使うケース

具体的な仕事の手順や、担当しているタスクを指す場合に使います。

【OK例文:業務】

  • 来週から、経理業務の一部をアウトソーシング(外部委託)する。
  • 日々の業務日報を書いて、上司に提出する。
  • 業務マニュアルを作成して、新人の教育コストを下げる。
  • 本来の業務に集中するために、無駄な会議を減らそう。

これはNG!間違えやすい使い方

意味は通じますが、ビジネスの視座として違和感のある使い方を確認しておきましょう。

  • 【NG】今日の私の事業は、伝票整理とメール対応です。
  • 【OK】今日の私の業務は、伝票整理とメール対応です。

個人の日々のタスクを「事業」と呼ぶと、壮大すぎて違和感があります。「事業」は組織単位やプロジェクト単位で使われる言葉です。

  • 【NG】わが社の主力業務は、自動車の製造販売です。
  • 【OK】わが社の主力事業は、自動車の製造販売です。

会社の看板となるビジネスの内容は「事業」と呼ぶのが適切です。「業務」と言うと、製造ラインの作業や販売手続きといった、部分的なプロセスを指しているように聞こえてしまいます。

【応用編】似ている言葉「職務」との違いは?

【要点】

「職務」は、個人が担当する仕事の責任や役割を指します。「業務」が組織的な活動の流れ(フロー)を指すのに対し、「職務」はその人個人のポジション(ポスト)に紐づく義務を指す、より属人的な言葉です。

「事業」「業務」と並んで、人事評価などでよく聞くのが「職務(しょくむ)」ですよね。

これはどう違うのでしょうか?

職務は、「その人が担当すべき役目」にフォーカスした言葉です。

「職務経歴書」や「職務質問」という言葉があるように、「あなたは何をする人ですか?」という問いに対する答えになります。

  • 事業:会社がやること(例:ITサービス事業)
  • 業務:組織として回すこと(例:プログラミング業務、保守業務)
  • 職務:個人が果たすべき責任(例:システム設計、チームマネジメント)

つまり、「私は〇〇事業部で、〇〇業務を通じて、〇〇という職務を全うしています」というように、視点のレベルが異なるのです。

「事業」と「業務」の違いを経営戦略・オペレーションの視点から解説

【要点】

経営戦略において、「事業」は「ドメイン(戦う場所)」を定義するものであり、誰に・何を・どう提供するかという枠組みです。「業務」は「オペレーション(戦い方)」であり、その枠組みの中でいかに効率よく、高品質に実行するかという活動です。

ここでは少し専門的に、MBAや経営学の視点から深掘りしてみましょう。

企業の活動は、大きく「戦略(Strategy)」「作戦・戦術(Operation)」に分かれます。

「事業」は、戦略レベルの話です。

「どの市場に参入するか」「どんな価値を提供して利益を上げるか」というビジネスモデルそのものを指します。

これを見直すことを「事業再構築」や「ピボット(事業転換)」と言います。

一方、「業務」は、オペレーションレベルの話です。

戦略に基づいて、「いかに安く、速く、正確に行うか」という実行プロセスを指します。

これを見直すことを「業務改善」や「BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)」と言います。

優れた事業(戦略)があっても、業務(実行)がボロボロなら失敗しますし、逆に業務が完璧でも、事業の方向性が間違っていれば成果は出ません。

詳しくは中小企業庁の経営支援ガイドラインなどで、事業計画と業務計画の違いを確認してみるのも勉強になりますよ。

僕が「業務改善」ばかりに目を向けて「事業」の目的を見失った体験談

僕もチームリーダーになりたての頃、この「事業」と「業務」の視点の違いに気づかず、失敗した経験があります。

当時、僕はWebメディアの運営チームを任されていました。アクセス数を増やすことがミッション(事業目的)です。

僕は張り切って、「記事作成の業務効率化」に取り組みました。

マニュアルを整備し、チェックリストを作り、ライターさんへの連絡フローを自動化しました。

「これで記事が量産できるぞ!」と意気込んでいたのですが、半年後、アクセス数は全く伸びていませんでした。

なぜなら、効率化にこだわりすぎて、「読者が本当に読みたい面白い記事(事業の価値)」を作るという視点が抜け落ちてしまっていたからです。

スタッフは「マニュアル通りに業務をこなすこと」が目的になり、面白い企画を考える余裕を失っていました。

上司から「君は『業務』は回しているけど、『事業』を伸ばしてはいないね」と言われ、ハッとしました。

手段であるはずの業務を磨くことに夢中で、目的である事業の成長を忘れていたのです。

この経験から、「業務はあくまで事業を成功させるための手段に過ぎない」ということを痛感しました。

それ以来、「この業務は、事業のどの部分に貢献しているのか?」を常に問いかけるようにしています。

「事業」と「業務」に関するよくある質問

「業務提携」と「事業提携」の違いは何ですか?

厳密な定義はありませんが、「業務提携」は特定の作業や技術分野で協力し合うこと(例:物流の共同化、技術供与)を指し、「事業提携(資本提携を含むことが多い)」はより深く、お互いのビジネスモデルや収益基盤を共有して一体的にビジネスを行うことを指す傾向があります。

個人事業主は「事業」ですか「業務」ですか?

個人であっても、ビジネスとして行っている活動全体は「事業」です。税務署に出すのも「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」です。その事業の中で日々行う作業が「業務」となります。

「事業部」と「業務部」の違いは?

会社によりますが、一般的に「事業部」はプロフィットセンター(利益を生み出す部門、営業や製造など)を指し、「業務部」はバックオフィス(事務処理や管理を行う部門、総務や営業事務など)を指すことが多いです。

「事業」と「業務」の違いのまとめ

「事業」と「業務」の違い、スッキリ整理できたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本は階層の違い:全体像・目的が「事業」、構成要素・手段が「業務」。
  2. 視点の違い:経営視点・対外的なのが事業、現場視点・対内的なのが業務。
  3. 使い分け:新規立ち上げや撤退は「事業」、効率化や委託は「業務」。
  4. 関係性:優れた業務の積み重ねが、良い事業を作る。

言葉の意味だけでなく、今自分が向き合っている仕事が「単なる作業(業務)」なのか、「価値を生み出す活動(事業)」に繋がっているのかを意識できれば、働き方の質が一段上がります。

これからは自信を持って、視座を使い分けていってくださいね。

もし、他にも専門用語の使い分けで迷うことがあれば、業界用語の違いまとめなども参考にしてみてください。

スポンサーリンク