「製品」と「商品」の違い!工場から店頭へ変わる瞬間

「製品」と「商品」、同じモノを指しているはずなのに、なぜ呼び方が変わるのでしょうか?

結論から言うと、「製品」は製造者(メーカー)視点で“作られたモノ”、「商品」は販売者・消費者視点で“商い(あきない)の対象となるモノ”

この記事を読めば、企画書や会議の席で、今語るべきは「機能(製品)」なのか「価値(商品)」なのか、状況に合わせて的確な言葉を選べるようになります。

それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「製品」と「商品」の最も重要な違い

【要点】

作る側から見た完成品が「製品」、売る側・買う側から見た取引物が「商品」です。物理的な物体そのものを指すか、市場価値が付加された状態を指すかで使い分けます。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の決定的な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ頭に入れておけば、ビジネスにおける視点のズレを防ぐことができます。

項目製品 (Product)商品 (Merchandise / Goods)
中心的な意味原料を加工して製造したモノ商売(売買)の対象となるモノ
視点(誰の言葉?)製造者(メーカー)、作り手販売者(小売)、消費者、売り手
価値の源泉機能、品質、スペック価格、利便性、付加価値、物語
場所のイメージ工場、倉庫、研究所店頭、売り場、ECサイト

簡単に言えば、工場のラインから出てきた瞬間は「製品」です。

それがトラックに乗ってお店に並び、値札がついた瞬間に「商品」へと変わるのです。

なぜ違う?漢字の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

「製」は衣服を裁断して仕立てることから“作る”意味を持ち、「商」は“あきなう(売り買いする)”意味を持ちます。作る工程に焦点があるか、取引に焦点があるかの違いです。

なぜこのようなニュアンスの違いが生まれるのか、漢字の成り立ちを紐解いてみましょう。

そうすることで、言葉の持つコアなイメージが掴めますよ。

「製品」の成り立ち:「製」が表す“製造”のプライド

「製品」の「製」という字は、衣(ころも)に制(ととのえる)を組み合わせた文字です。

元々は布を裁って衣服を仕立てることを意味し、そこから「原料に手を加えてモノを作る」という意味になりました。

つまり、「製品」という言葉には、「我々が技術を駆使して作り上げた」という製造者のプライドや、モノとしての完成度への意識が込められています。

「商品」の成り立ち:「商」が表す“商い”のプロセス

一方、「商品」の「商」という字は、「あきなう」「売り買いする」という意味です。

「品」は品物を表します。

ここから、「商品」とは市場において交換される価値を持つモノというイメージになります。

単なる物体ではなく、パッケージやサービス、価格といった「売るための要素」がすべて含まれた状態を指すんですね。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

品質や機能を語る時は「製品」、売れ行きやラインナップを語る時は「商品」を使います。同じスマホでも、スペック表では「製品仕様」、チラシでは「人気商品」となります。

言葉の違いは、具体的なシチュエーションで確認するのが一番です。

ビジネスの現場でよく使われる例文を挙げてみましょう。

メーカー・製造現場での使い分け

モノづくりの現場では「製品」が主役ですが、営業現場では「商品」になります。

【OK例文:製品】

  • 工場のラインで製品検査を行う。(物理的なチェック)
  • この製品の耐久性は業界トップクラスだ。(スペックの自慢)
  • 欠陥のある製品を回収(リコール)する。(製造責任)

【OK例文:商品】

  • 商品のプロモーション戦略を練る。(売るための作戦)
  • この店では季節限定の商品を取り扱っている。(売り場目線)
  • お客様に愛されるヒット商品を開発したい。(市場目線)

これはNG!間違えやすい使い方

視点がズレていると、違和感を与えることがあります。

  • 【NG】(工場長が作業員に向かって)今日の商品製造ノルマを達成しよう!
  • 【OK】(工場長が作業員に向かって)今日の製品製造ノルマを達成しよう!

工場で作っているのは、まだ値札のついていない「製品」です。

作業員は「モノ」を作っているのであって、「商売」をしているわけではありません。

  • 【NG】(客が店員に向かって)この棚の製品を見せてください。
  • 【OK】(客が店員に向かって)この棚の商品を見せてください。

お客様にとっては、それは買う対象(商品)です。

あえて「製品」と言うと、そのモノのスペックや構造だけを詳しく知りたいエンジニアのような玄人感が漂います。

【応用編】「グッズ」や「アイテム」との違いは?

【要点】

「グッズ」は特定ジャンルの関連用品やファン向け商品、「アイテム」は品目の一つひとつを指す単位として使われます。「商品」よりもカジュアルで、特定の文脈(ファン心理やゲームなど)を含みやすい言葉です。

「製品」「商品」以外にも、カタカナ語でモノを指す言葉がありますね。

「グッズ (Goods)」:愛着や関連性

元々は「商品」を意味する英語ですが、日本では「アーティストグッズ」「アウトドアグッズ」のように、特定のジャンルや趣味に関連する用品を指すことが多いです。

機能性だけでなく、ファンの愛着や楽しさが付加されています。

「アイテム (Item)」:品目、種目

「項目」という意味ですが、ファッションやゲームなどで構成要素の一つひとつを指す場合に使われます。

「必須アイテム」「レアアイテム」など、コレクションや装備の一部というニュアンスが強いですね。

「製品」と「商品」の違いをマーケティング視点で解説

【要点】

マーケティングの大家コトラーは、製品(Product)を中核・実体・付随機能の3層で捉えました。この「付随機能(アフターサービスや保証)」まで含めて顧客に提供される総体が、ビジネス上の「商品」の概念に近いと言えます。

少し専門的な視点から、この二つの違いを深掘りしてみましょう。

マーケティングにおいて「Product(製品)」は、4P分析の一つとして非常に重要な要素です。

フィリップ・コトラーは、製品を以下の3つのレベルで定義しました。

  1. 中核的製品:顧客が本当に買いたい便益(例:ドリルなら「穴」)
  2. 実体としての製品:品質、ブランド名、パッケージ、特徴(例:ドリルの機体そのもの)
  3. 付随機能:保証、配送、アフターサービス(例:修理保証)

メーカーが工場で作るのは「2. 実体としての製品」までですが、顧客が購入するのは「1」と「3」を含めた全体です。

つまり、「製品」に「意味(便益)」と「サービス」という衣を着せたものが「商品」になると考えられます。

「プロダクトアウト(製品を作ってから売る)」から「マーケットイン(売れる商品を作る)」への転換が叫ばれるのも、この視点の移動を意味しています。

マーケティング戦略について詳しく知りたい方は、マーケティング用語の使い分けまとめもぜひご覧ください。

メーカーから小売へ転職して言葉の重みに気づいた僕の体験談

僕は新卒で家電メーカーに入社し、製品開発部門にいました。

そこでは毎日、「製品スペック」「製品寿命」「製品コスト」といった言葉が飛び交っていました。

「いかに高性能な製品を作るか」が僕たちの正義でした。

数年後、僕は大手家電量販店の本部に転職し、バイヤーになりました。

最初の会議で、僕は「このメーカーの新製品はスペックが高いので…」と説明しました。

すると、上司であるマーチャンダイザーに遮られました。

「竹内くん、スペックが高いのは分かった。で、それは『売れる商品』なのか?」

「え?」

「お客様はスペック表を買うわけじゃない。その商品が生活をどう変えてくれるか、その『価値』を買うんだ。いくら高性能な製品でも、価格が見合わなかったり、売り場のポップで魅力が伝わらなかったりすれば、それはただの『在庫』だ。我々が扱うのは『商品』なんだよ」

その時、ガツンと頭を殴られたような気がしました。

僕はまだ、作り手の論理で「モノ」を見ていたのです。

「製品」を「商品」に変えるには、お客様にとっての価値への翻訳作業が必要なのだと痛感しました。

それ以来、僕は「これは素晴らしい製品だ。では、どうすれば魅力的な商品になるだろう?」と、二つの視点を行き来しながら考えるようになりました。

「製品」と「商品」に関するよくある質問

サービス業では「製品」と言わないのですか?

はい、形のないサービス(役務)を提供する場合は、一般的に「商品」や「サービス」と呼びます。「当行の金融商品」や「旅行商品」といった具合です。「製品」は物理的な製造工程を経たモノ(工業製品)を指すニュアンスが強いため、無形のものにはあまり使いません。

「商品開発」と「製品開発」の違いは?

「製品開発」は技術的な設計や製造プロセスの確立に重点があり、エンジニアが主役です。「商品開発」はコンセプト作り、ターゲティング、価格設定、パッケージングまで含めた「売れる仕組み作り」に重点があり、マーケターや企画職が主役になることが多いです。

農産物は「製品」ですか?「商品」ですか?

農家が出荷する野菜や果物は、工業的に製造されたものではないため、「農産物」や「作物」と呼ばれますが、流通の場では「商品」や「青果物」と呼ばれます。「農産製品」と言うと、ジャムやジュースなどの加工品を指すことが一般的です。

「製品」と「商品」の違いのまとめ

「製品」と「商品」の違い、スッキリ整理できましたか?

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 視点の違い:「製品」は作る側(メーカー)、「商品」は売る側・買う側。
  2. 価値の違い:「製品」は機能・品質、「商品」は付加価値・価格・物語。
  3. 場所の違い:「製品」は工場にある、「商品」はお店にある。
  4. 使い分けのコツ:スペックを語るなら「製品」、魅力を語るなら「商品」。

モノ自体は同じでも、どの立場から光を当てるかで呼び名が変わる。

この違いを理解していると、作り手へのリスペクトも、買い手への思いやりも、両方持ったビジネスができるはずです。

マーケティング用語の使い分けについてさらに知りたい方は、マーケティング用語の使い分けまとめもぜひご覧ください。

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