「インフルエンサーマーケティング」という言葉はありますが、「アフェクターマーケティング」とは言いませんよね。
どちらも「影響」という意味なのに、なぜ使い分けられているのでしょうか?
結論から言うと、「affect」は直接的・物理的な変化を与えること、「influence」は人の心や考えにじわじわと働きかけて行動を変えさせることを指します。
この記事を読めば、広告が売上数値に「作用(affect)」したのか、それともブランドが顧客の心を「動かした(influence)」のか、マーケティングの成果を正確なニュアンスで語れるようになります。
それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「affect」と「influence」の最も重要な違い
対象に直接触れて変化させるのが「affect」、間接的に働きかけて考えや行動を変えるのが「influence」です。即効性のある物理的変化か、持続性のある心理的感化かで使い分けます。
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの単語の決定的な違いを、以下の表にまとめました。
これさえ頭に入れておけば、ビジネスレポートで誤解を招くことはなくなります。
| 項目 | affect | influence |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | (直接的に)作用する、変化させる | (間接的に)感化する、影響を及ぼす |
| 対象 | 物事、状態、身体(物理的) | 人の心、考え、行動、決定(心理的) |
| 時間の流れ | 短期的、一時的な変化 | 長期的、持続的な変化 |
| イメージ | 「ガツン」とぶつかって形を変える | 「じわじわ」と流れ込んで染み渡る |
| マーケティング例 | 天候が売上に影響する(affect) | 口コミが購買決定に影響する(influence) |
簡単に言えば、台風が来てイベントが中止になるのは「affect」、カリスマ店員のおすすめで服を買いたくなるのは「influence」です。
なぜ違う?語源(作用する vs 流れ込む)からイメージを掴む
「affect」は“〜へ作用する”という能動的な接触のイメージ。「influence」は“中に流れ込む”という浸透のイメージです。ここから、直接的な変化と間接的な感化という違いが生まれます。
なぜこのようなニュアンスの違いが生まれるのか、語源のイメージから紐解いてみましょう。
「affect」の語源:対象に働きかけて変える
「affect」は、ラテン語の「ad(〜へ)」+「facere(する、作る)」が語源です。
これは、「対象に向かって何かを行い、変化を生じさせる」という非常に直接的なイメージです。
「affection(愛情)」という言葉も同じ語源ですが、これは「心が強く動かされた状態」を指します。
ビジネスでは感情よりも、「外部要因が数字や状態を変化させる」という文脈でよく使われます。
「influence」の語源:心に流れ込む力
一方、「influence」は、ラテン語の「in(中へ)」+「fluere(流れる)」が語源です。
これは、「目に見えない力が相手の中に流れ込み、じわじわと支配する」というイメージです。
実は「インフルエンザ(Influenza)」も同じ語源で、昔は「星の影響(流れ込む力)で病気になる」と考えられていたことに由来します。
無理やり変えるのではなく、相手の内面に働きかけて、考え方や行動を自然に変えさせる力、それが「influence」です。
具体的な例文で使い方をマスターする
外部要因による数値の変化や物理的影響には「affect」、人の意思決定やブランドイメージへの影響には「influence」を使います。「インフルエンサー」はまさに人の行動に影響を与える存在です。
言葉の違いは、具体的なシチュエーションで確認するのが一番です。
マーケティングやビジネスの現場でよく使われる例文を挙げてみましょう。
マーケティング・ビジネスシーンでの使い分け
その影響が「物理的・直接的」か「心理的・間接的」かを意識してください。
【OK例文:affect】
- The price hike will affect our sales volume.
(値上げは販売数量に(直接的に)影響するだろう。) - Bad weather affected the event attendance.
(悪天候がイベントの参加者数に(悪)影響を及ぼした。) - The new policy affects all employees.
(新しい方針は全従業員に適用される(影響を与える)。)
「Aが起きるとBが変わる」という因果関係がはっきりしている場合に使います。
【OK例文:influence】
- Social media reviews influence consumer behavior.
(SNSの口コミは消費者の行動に影響を与える(感化する)。) - We want to influence the decision-makers.
(我々は意思決定者に働きかけたい。) - His speech had a great influence on the audience.
(彼のスピーチは聴衆に大きな影響(感銘)を与えた。)
相手の考えや判断プロセスに入り込んで、結果をコントロールしようとする場合に使います。
これはNG!間違えやすい使い方
文脈によっては不自然に聞こえる使い方を見てみましょう。
- 【NG】 This advertisement will affect your mind to buy the product.
- 【OK】 This advertisement will influence your decision to buy the product.
「affect your mind」と言うと、脳に物理的な衝撃を与えたり、病気にさせたりするような怖い響きになりかねません。
購買意欲をそそる場合は「influence」が適切です。
【応用編】似ている言葉「impact」や「effect」との違いは?
「impact」は衝撃的な強い影響、「effect」は原因に対する結果を指します。「affect」は動詞で「影響する」、「effect」は名詞で「影響・効果」と覚えるのが基本ですが、例外もあります。
「affect」「influence」と似た単語に「impact」や「effect」があります。
これらもビジネスでは頻出なので、整理しておきましょう。
「impact」:強い衝撃
単なる影響ではなく、「ガツン!」とくる強い衝撃や、劇的な変化を指します。
- The new technology had a huge impact on the market.
(新技術は市場に巨大な衝撃(インパクト)を与えた。)
「effect」:結果としての効果
「Cause and Effect(原因と結果)」と言うように、何かが起きた後の「結果」や「効果」を指す名詞として使われるのが一般的です。
- The marketing campaign had a positive effect.
(そのマーケティングキャンペーンは良い効果(結果)をもたらした。)
★ここがテストに出るポイント!
基本的に「affect」は動詞、「effect」は名詞です。
× The weather effected the sales.
〇 The weather affected the sales.
〇 The weather had an effect on the sales.
「affect」と「influence」の違いをマーケティング視点で解説
消費者行動論において、「affect」は感情的反応(Affect)として、「Influence」は社会的影響(Social Influence)として扱われます。感情が一瞬で動くのがAffect、社会的な関係性の中でじわじわ広がるのがInfluenceです。
少し専門的な視点から、この二つの違いを深掘りしてみましょう。
心理学や消費者行動論では、「Affect」は「感情(情動)」という名詞として使われることがあります。
「Cognition(認知)」「Affect(感情)」「Behavior(行動)」の3要素(CABモデル)の一つですね。
ここでの「Affect」は、好き・嫌い、快・不快といった、理屈抜きの瞬発的な感情反応を指します。
一方、「Influence」は「Social Influence(社会的影響)」として研究されています。
これは、集団規範や権威、同調圧力などが個人の態度変容をもたらすプロセスです。
マーケティングに置き換えると、パッケージを見て「あ、可愛い!」と手に取らせるのは「Affect」へのアプローチ。
「みんな使っているから安心だよ」「専門家も推奨しているよ」と説得して買わせるのは「Influence」へのアプローチと言えます。
より詳しいマーケティング用語については、マーケティング用語の使い分けまとめなども参照すると、戦略の幅が広がるでしょう。
海外クライアントへのレポートで「affect」を使いすぎた僕の失敗談
僕が外資系企業の日本市場担当だった頃の話です。
ブランド認知向上のためのキャンペーンレポートを英語で作成し、本国のマネージャーに提出しました。
僕は「このキャンペーンによって、顧客のブランドに対する意識を変えました」と言いたくて、こう書きました。
「This campaign affected the customers’ perception of our brand.」
すると、マネージャーからビデオ通話で指摘を受けました。
「Keita、『affect』だと、何かネガティブなハプニングや外部要因で、顧客の認識が『歪められた』ようなニュアンスにも取れるよ。ここはポジティブにリーダーシップを発揮して意識を変えたんだから、『influenced』を使うべきだね」
僕はハッとしました。
「affect」は単に「変化させる」という物理的な作用であり、そこには「意図的な説得」や「リーダーシップ」のニュアンスが欠けていたのです。
むしろ、病気や天災が「affect」するように、受動的な変化を連想させてしまっていました。
「インフルエンサー」がなぜ「アフェクター」ではないのか。
それは、彼らがフォロワーの人生にポジティブな流れ(Influence)を作り出し、導いている存在だからなんだと、その時深く理解しました。
それ以来、人の心や行動を変える施策については、自信を持って「influence」を使うようにしています。
「affect」と「influence」に関するよくある質問
「Under the influence」とはどういう意味ですか?
直訳すると「影響下にある」ですが、日常会話や法律用語では「(アルコールや薬物の)影響下にある」、つまり「酔っ払っている」という意味で使われます(DUI: Driving Under the Influence)。何かの力が体内に流れ込んで支配されているイメージですね。
「Affect」を名詞で使うことはありますか?
心理学や精神医学の専門用語として「感情、情動」という意味で使われることがありますが、一般的なビジネス会話ではまず使いません。「影響」という名詞を使いたい場合は「effect」か「influence」を使いましょう。
インフルエンサーマーケティングで「affect」を使う場面は?
「インフルエンサーの投稿が、サイトのトラフィック数に影響した(The post affected the traffic)」のように、数値的な結果やシステムへの負荷などを語る場合には「affect」が使えます。しかし、フォロワーの心への働きかけについては「influence」が適切です。
「affect」と「influence」の違いのまとめ
「affect」と「influence」の違い、スッキリ整理できましたか?
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 基本の違い:「affect」は直接的作用、「influence」は間接的感化。
- 対象の違い:「affect」は物・数値・状態、「influence」は心・行動・決定。
- イメージ:「affect」はぶつかって変える、「influence」は流れ込んで導く。
- マーケティング:数値を動かすなら「affect」、人を動かすなら「influence」。
数字を管理するときは「affect」の視点で冷静に。
顧客の心を動かすときは「influence」の視点で情熱的に。
この二つの「影響力」を使いこなせるマーケターこそが、真の成果を出せる人なのかもしれません。
マーケティング用語の使い分けについてさらに知りたい方は、マーケティング用語の使い分けまとめもぜひご覧ください。
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