「ディスプレイ広告」と「バナー広告」、この2つの言葉を同じ意味で使っていませんか?
実はこれ、「配信の仕組み」を指すか、「表現の形式」を指すかで明確に使い分けるべき言葉なんです。
この記事を読めば、Webマーケティングの現場で「どっちを使えばいいの?」と迷うことがなくなり、広告代理店や制作会社ともスムーズに連携できるようになります。
それでは、まず最も重要な違いの全体像から見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「ディスプレイ広告」と「バナー広告」の最も重要な違い
「ディスプレイ広告」はWebサイトの広告枠に配信する仕組み全体を指し、「バナー広告」はその中で使われる画像形式のクリエイティブを指します。つまり、ディスプレイ広告という大きな枠組みの中に、バナー広告が含まれています。
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの言葉の決定的な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な構造はバッチリです。
| 項目 | ディスプレイ広告 | バナー広告 |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | Webサイトやアプリの広告枠に表示される広告配信の仕組み | 画像やアニメーションを用いて表示される広告の表現形式 |
| 階層(包含関係) | 親カテゴリー(全体) | 子カテゴリー(一種) |
| 対義語・比較対象 | リスティング広告(検索連動型広告) | テキスト広告、動画広告 |
| 主な目的 | 潜在層への認知拡大、リターゲティング | 視覚的な訴求、クリックの誘引 |
| 使われる文脈 | 「ディスプレイ広告を運用する」(施策全体) | 「バナー広告を制作する」(素材作成) |
こうして見ると一目瞭然ですね。
「ディスプレイ広告」は、GoogleやYahoo!などの提携サイト(面)に広告を出す「場所やシステム」の話をしているのに対し、「バナー広告」はそこで表示される「画像(旗)」の話をしているのです。
なぜ違う?言葉の語源からイメージを掴む(Display vs Banner)
Displayは「展示・表示」という意味で、Web上のあらゆる場所に広告を並べるイメージ。一方、Bannerは「旗・のぼり」という意味で、お店の前に掲げて視覚的に目立たせる「物」そのものを指します。
言葉の成り立ちを知ると、さらに理解が深まります。
ディスプレイ(Display)=展示・陳列
「ディスプレイ」とは、商品を並べて見せる「展示」のことです。お店のショーウィンドウをディスプレイと言いますよね。
Webマーケティングにおいては、検索結果の文字だけの画面ではなく、Webサイトやアプリといった「コンテンツが表示されている場所(面)」に広告を陳列することから、「ディスプレイ広告」と呼ばれています。
これには「画像」だけでなく、「テキスト」や「動画」も含まれます。
バナー(Banner)=旗・のぼり
一方、「バナー」の語源は「旗」や「のぼり」です。
中世の戦場で掲げられた軍旗や、現代でもパレードやお店の前に掲げられる長細い布のことを指します。
Web上では、Webページという土地の上に掲げられた「長方形の画像」が旗のように見えることから「バナー」と呼ばれるようになりました。つまり、バナー広告と言うときは、その「形状やビジュアル」に焦点が当たっているのです。
具体的な例文で使い方をマスターする
戦略や予算の話をする時は「ディスプレイ広告」、制作やデザインの話をする時は「バナー広告」を使うのが適切です。文脈に合わせて使い分けることで、プロフェッショナルな印象を与えられます。
ここでは、ビジネスシーンでそのまま使える例文を紹介します。
「ディスプレイ広告」を使うべきシーン
マーケティング戦略や配信設計を語る場面ではこちらを使います。
- 「認知拡大のために、リスティング広告だけでなくディスプレイ広告の配信も検討しましょう。」
- 「今回のキャンペーンでは、GDN(Googleディスプレイネットワーク)を使ってディスプレイ広告のリターゲティングを行います。」
- 「ディスプレイ広告のCPM(表示回数単価)が高騰しているので、入札戦略を見直す必要があります。」
「バナー広告」を使うべきシーン
クリエイティブ制作や、具体的な表示物の話をする場面ではこちらを使います。
- 「来週のキャンペーン用に、新しいバナー広告のデザインを3パターン制作してください。」
- 「このバナー広告、文字が小さくてスマホだと読みづらいですね。」
- 「GIFアニメーションを使ったバナー広告を入稿規定に合わせてリサイズします。」
よくあるNG例
×「リスティング広告とバナー広告、どっちが効果ある?」
これだと、「配信手法(検索連動)」と「素材(画像)」を比較しており、階層がズレています。
正しくは、「リスティング広告(検索連動型)とディスプレイ広告(コンテンツ連動型)、どっちが効果ある?」、もしくは「テキスト広告とバナー広告、どっちがクリックされる?」という比較になります。
【応用編】似ている言葉「レスポンシブ広告」との違いは?
レスポンシブ広告は、ディスプレイ広告の一種であり、現代の主流です。画像(バナー)とテキストを別々に入稿し、AIが自動で組み合わせて配信枠に最適化する形式です。
ここで少し応用的な話をしましょう。
最近のディスプレイ広告の主流は、純粋な「バナー広告(画像一枚もの)」から「レスポンシブディスプレイ広告」へとシフトしています。
従来の「バナー広告」は、300×250pxなどの決まったサイズの画像をデザイナーが完パケで作っていました。
一方、「レスポンシブディスプレイ広告」は、「画像」「見出し」「説明文」「ロゴ」といった素材(アセット)をバラバラに入稿します。すると、GoogleやYahoo!のシステムが、配信先の枠に合わせて自動的にサイズやレイアウトを調整して表示してくれるのです。
つまり、「ディスプレイ広告」という配信手法の中で、「固定のバナー広告」を使うか、「可変のレスポンシブ広告」を使うか、という選択肢があるわけですね。
「ディスプレイ広告」と「バナー広告」の違いを専門的視点で解説
マーケティングファネルにおいて、ディスプレイ広告は潜在層へのアプローチに優れています。バナーという「視覚情報」を用いることで、言語化されていないニーズを刺激できるからです。
専門的なマーケティングの視点から、この二つの関係性を深掘りしてみましょう。
マーケティングには「ダイレクトレスポンス(獲得)」と「ブランディング(認知)」という二つの大きな目的があります。
『デジタルマーケティングの定石』などの専門書でも触れられていますが、Web広告において重要なのは、ユーザーの検討フェーズに合わせたアプローチです。
- リスティング広告:「顕在層」向け。すでに検索している(欲しいものが明確な)ユーザーをテキストで刈り取る。
- ディスプレイ広告:「潜在層」向け。まだ検索行動を起こしていないユーザーに対し、Webサイト閲覧中にアプローチする。
この「ディスプレイ広告」の効果を最大化するための武器が「バナー(画像)」です。
人間は文字情報よりも視覚情報の方が処理速度が速く、記憶に残りやすいと言われています。バナー広告を用いることで、ユーザーが記事を読んでいる最中に「視覚的に割り込んで」興味を喚起することができます。
つまり、「ディスプレイ広告」という戦場で戦うための武器の一つが「バナー広告」であり、その武器の強さ(クリエイティブの質)が広告効果(CTRやCVR)を大きく左右する、という構造なのです。
僕が「バナー」と呼んで大恥をかいた代理店時代の体験談
僕も新人時代、この言葉の使い分けで恥ずかしい思いをしたことがあります。
Web専業の広告代理店に入社して間もない頃、先輩に連れられてクライアント先へ訪問しました。新商品のプロモーションについて熱く語る中で、僕は知ったかぶりをしてこう言ったんです。
「御社の商材なら、やっぱりバナー広告でガツンと集客するのが一番ですよ!」
すると、クライアントのマーケティング担当の方が、少し困った顔でこう返してきました。
「バナーで集客というのは、純広告(特定メディアの枠買い)のことですか? それとも運用型のディスプレイ広告(GDN/YDA)のことですか? DSPという選択肢もありますよね?」
僕は頭が真っ白になりました。「え? バナーって、あの画像のやつ全般のことじゃないの?」とパニックになり、しどろもどろになってしまいました。
帰り道、先輩にこっぴどく叱られました。
「お前が言った『バナー広告』は、ただの『画像の素材』のことだ。クライアントが知りたいのは、どういうロジックで、誰に、どこに配信するのかという『ディスプレイ広告の戦略』なんだよ。形式と戦略を混同するな」
顔から火が出るほど恥ずかしかったですが、この経験があったからこそ、「クリエイティブ(バナー)」と「メディアプランニング(ディスプレイ広告)」は別物として捉えるべきだと骨身に沁みて理解できました。
言葉一つで、プロとしての信頼度が大きく変わる。あの時の冷や汗は、今でも忘れられません。
「ディスプレイ広告」と「バナー広告」に関するよくある質問
Q. YouTubeに表示されるバナーもディスプレイ広告ですか?
- A. はい、そうです。YouTubeなどの動画サイト上に表示されるバナー画像も、GDN(Googleディスプレイネットワーク)などを通じて配信されるディスプレイ広告の一種です。
Q. テキストだけのディスプレイ広告もあるんですか?
- A. あります。ディスプレイ広告の枠には、画像(バナー)だけでなく、テキストのみで配信される形式もあります。この場合、「ディスプレイ広告のテキスト形式」となります。
Q. アフィリエイトのバナーはディスプレイ広告に入りますか?
- A. 広義にはディスプレイ(表示)される広告ですが、マーケティング用語としての「ディスプレイ広告」は通常、アドネットワークやDSPを通じた運用型広告(クリック課金やインプレッション課金)を指します。アフィリエイト(成果報酬型)とは課金形態や仕組みが区別されることが多いです。
「ディスプレイ広告」と「バナー広告」の違いのまとめ
今回は「ディスプレイ広告」と「バナー広告」の違いについて解説しました。
- ディスプレイ広告:Webサイトやアプリの広告枠に配信する「仕組み・場所」のこと。
- バナー広告:その枠に表示させる「画像形式」のこと。
- 使い分け:戦略や配信の話なら「ディスプレイ広告」、制作やデザインの話なら「バナー広告」。
この2つの言葉は、親子関係のようなものです。「ディスプレイ広告」という親の中に、「バナー広告」という子供がいるイメージを持つとわかりやすいですね。
Web広告の世界は専門用語が多くて大変ですが、一つひとつの言葉の定義を正しく理解することで、施策の解像度がグッと上がります。ぜひ、自信を持って使い分けてみてください。
さらに詳しいWebマーケティング用語やビジネス用語については、以下の記事も参考にしてみてくださいね。
また、Web広告の基礎知識については、Google広告の公式サイトなどの一次情報も非常に勉強になりますので、一度目を通してみることをおすすめします。
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