アメリカンスタッフォードシャーテリアとピットブルの違いとは?

「アメリカンスタッフォードシャーテリア」と「ピットブル」、どちらも筋肉質で力強い外見が印象的で、見分けるのが非常に難しいですよね。僕も最初は「まったく同じ犬じゃないの?」と思っていました。

結論から言うと、両者は「目指してきたゴールの違い」によって、体型や気質、そして公的な扱いに明確な差が生まれています。

アムスタッフは、アメリカンケネルクラブ(AKC)などの主要な畜犬団体に公認されており、主に「ショードッグ」としてスタンダード(犬種標準)に基づいた外見の均一性が追求されてきました。

一方の「ピットブル」は、ユナイテッドケネルクラブ(UKC)では「アメリカン・ピット・ブル・テリア」として公認されていますが、AKCなどでは公認されていません。こちらは「ワーキングドッグ(作業犬)」や闘犬としての能力が重視され、外見よりも性格や運動能力の多様性が大きいのが特徴です。

この記事を読めば、この2犬種(※厳密には「ピットブル」は犬種グループを指す俗称でもあります)の奥深い歴史的背景から、見た目、性格、そして飼育する上で絶対に知っておくべき法的な違いまで、すべてスッキリと理解できます。

アメリカンスタッフォードシャーテリアとピットブルの違い

【要点】

「アメリカンスタッフォードシャーテリア(アムスタッフ)」と「ピットブル(アメリカン・ピット・ブル・テリア)」は、ルーツを共有する非常に近しい犬種です。最大の違いは、アムスタッフがドッグショー基準(見た目)を重視して繁殖されてきたのに対し、ピットブルは作業能力や闘犬としての気質(性格・能力)を重視されてきた点にあります。

「アメリカンスタッフォードシャーテリア」と「ピットブル」、どちらも筋肉質で力強い外見が印象的で、見分けるのが非常に難しいですよね。僕も最初は「まったく同じ犬じゃないの?」と思っていました。

結論から言うと、両者は「目指してきたゴールの違い」によって、体型や気質、そして公的な扱いに明確な差が生まれています。

アムスタッフは、アメリカンケネルクラブ(AKC)などの主要な畜犬団体に公認されており、主に「ショードッグ」としてスタンダード(犬種標準)に基づいた外見の均一性が追求されてきました。

一方の「ピットブル」は、ユナイテッドケネルクラブ(UKC)では「アメリカン・ピット・ブル・テリア」として公認されていますが、AKCなどでは公認されていません。こちらは「ワーキングドッグ(作業犬)」や闘犬としての能力が重視され、外見よりも性格や運動能力の多様性が大きいのが特徴です。

この記事を読めば、この2犬種(※厳密には「ピットブル」は犬種グループを指す俗称でもあります)の奥深い歴史的背景から、見た目、性格、そして飼育する上で絶対に知っておくべき法的な違いまで、すべてスッキリと理解できます。

まずは、両者の核心的な違いをまとめた比較表をご覧ください。

「アメリカンスタッフォードシャーテリア」と「ピットブル」の比較表
項目アメリカンスタッフォードシャーテリア(アムスタッフ)ピットブル(アメリカン・ピット・ブル・テリア)
主な登録団体AKC(アメリカンケネルクラブ)、JKC(ジャパンケネルクラブ)などUKC(ユナイテッドケネルクラブ)、ADBAなど
繁殖の目的ショードッグ(外見・スタンダード重視)ワーキングドッグ(能力・気質重視)
体型筋肉質だが、よりがっしりとして重厚。体高に比べ体重が重い傾向。筋肉質だが、より機敏で引き締まったアスリート体型。外見の個体差が大きい。
平均体高オス:約46〜48cm、メス:約43〜46cmオス:約45〜53cm、メス:約43〜50cm(個体差大)
平均体重オス:約25〜32kg、メス:約18〜25kgオス:約16〜27kg、メス:約14〜23kg(個体差大)
気質(傾向)忠実、勇敢、人懐っこい。番犬適性も高い。非常に忠実、勇敢、高い闘争心(特に他犬に対して)、高い運動能力。
飼育の難易度極めて高い(初心者には非推奨)極めて高い(初心者には非推奨)
法規制(日本)自治体により「特定犬」に指定される可能性あり。多くの自治体で「特定犬」に指定され、飼育に制限(口輪義務など)がある。

3秒で見分けるポイント

  • ガッシリした「ショードッグ」体型なら、アメリカンスタッフォードシャーテリアの可能性が高い。
  • 引き締まった「アスリート」体型で、筋肉の筋が見えるようなら、ピットブルの可能性が高い。
  • (※ただし、個体差が非常に大きく、外見だけでの判断は極めて困難です)

見た目とサイズの違い

【要点】

アムスタッフはドッグショー基準(スタンダード)に沿って繁殖され、より重量感があり、頭部が大きくがっしりした体型をしています。一方、ピットブルは能力重視のため体型の個体差が非常に大きいですが、アムスタッフに比べるとやや細身で機敏なアスリート体型が多い傾向にあります。

正直に言って、この2犬種をパッと見で見分けるのはプロでも至難の業です。「街で見かけたけど、あれはどっち?」と聞かれても、僕は答えに窮するかもしれません。なぜなら、両者は共通の祖先を持ち、外見のスタンダード(犬種標準)も非常に似通っているからです。

しかし、繁殖の歴史が目指した方向性の違いから、いくつかの「傾向」の違いが生まれています。

アメリカンスタッフォードシャーテリア(アムスタッフ)は、主にアメリカンケネルクラブ(AKC)のスタンダードに基づいて繁殖されてきました。AKCはドッグショーを主催する団体であり、犬の外見的な美しさや均一性を重視します。その結果、アムスタッフはより「がっしり」とした、重量感のある体つきになるよう選別されてきました。

具体的には、体高(地面から肩までの高さ)に対して体重が重く、胸が深く、特に頭部が大きく幅広で、筋肉が隆々としているのが特徴です。JKC(ジャパンケネルクラブ)のスタンダードでも、その力強さが明記されています。

一方で、ピットブル(アメリカン・ピット・ブル・テリア)は、ワーキングドッグ(作業犬)や闘犬としての能力を重視するユナイテッドケネルクラブ(UKC)などで主に登録されてきました。こちらでは、外見の均一性よりも、その犬が持つ機敏さ、力強さ、持久力といった「能力」が優先されます。

そのため、ピットブルはアムスタッフに比べて体型のバリエーションが非常に豊かです。とはいえ、全体的な傾向としては、アムスタッフほどの重量感はなく、より機敏に動けるよう引き締まったアスリートのような体型をしており、体重も軽いことが多いです。

ただし、これはあくまで「傾向」です。飼育環境や血統によっては、ピットブルでもアムスタッフのようにがっしりした個体もいれば、その逆も存在するため、見た目だけで犬種を断定するのはほぼ不可能と言ってよいでしょう。

性格・行動特性としつけやすさの違い

【要点】

両犬種とも非常に忠実で勇敢ですが、ピットブルはより強い闘争心(特に他犬へ)と高い運動欲求を持つ傾向があります。アムスタッフはショードッグとして人との協調性がやや高められていますが、どちらも闘犬の血を引くため、飼育難易度は極めて高く、専門的な訓練と徹底した社会化が必須です。

「見た目が怖いけど、本当は優しい」という話を聞いたことがあるかもしれません。実際、アムスタッフもピットブルも、正しく飼育・訓練されれば、飼い主家族に対しては驚くほど愛情深く、忠実で、人懐っこい一面を持っています。両犬種とも、勇敢さ、知性、そして遊び好きな性格を兼ね備えています。

しかし、ここで絶対に見逃してはならないのが、彼らのルーツである「闘犬」としての性質です。

ピットブル(アメリカン・ピット・ブル・テリア)は、その歴史的背景から、特に他の犬や動物に対する闘争心(「ゲーム」と呼ばれることもあります)が強く残っている個体が多いとされています。これは「攻撃性」とは異なり、訓練によって抑制・管理されるべき本能的な特性です。また、非常にエネルギッシュで、生半可な運動量(例えば30分の散歩)では全く満足しません。有り余るエネルギーが満たされないと、破壊行動や問題行動につながりやすくなります。

アメリカンスタッフォードシャーテリア(アムスタッフ)は、ショードッグとしての歴史が長いため、ピットブルに比べると人との協調性や、他の犬への寛容性がやや高い傾向にあると言われることもあります。しかし、これも個体差が大きく、アムスタッフだからといって闘争心が無いわけでは決してありません。彼らもまた、強力な顎(あご)の力と高い運動能力を持っています。

結論として、どちらの犬種も「しつけがしやすい犬」では全くありません。むしろ、犬の飼育経験が豊富な人であっても、専門的な訓練士(トレーナー)の助けを借りなければ管理が難しい、最上級に難易度の高い犬種であると断言できます。

幼少期からの徹底した「社会化」(他の犬や人、物音などに慣れさせること)と、飼い主が犬を完璧にコントロールするための「服従訓練」が必須です。これを怠れば、その力強さが原因で、取り返しのつかない事故につながる危険性を常に孕んでいます。

寿命・健康リスク・病気の違い

【要点】

両犬種とも平均寿命は12〜16年程度と比較的長いですが、アムスタッフは股関節形成不全や皮膚疾患、心臓病に注意が必要です。ピットブルはアレルギー性皮膚炎や甲状腺機能低下症のリスクが指摘されることがありますが、個体差が大きいです。

アムスタッフもピットブルも、適切に管理されれば非常に頑健で、平均寿命は12年から16年程度と、中型〜大型犬としては比較的長寿な傾向があります。

ただし、それぞれ特定の健康リスクを抱えています。

アメリカンスタッフォードシャーテリアは、そのがっしりした体格ゆえに「股関節形成不全」や「肘関節形成不全」といった関節疾患のリスクが知られています。また、遺伝的な心臓疾患(特に大動脈弁狭窄症)や、アレルギー性皮膚炎を含む皮膚トラブルにも注意が必要です。

ピットブル(アメリカン・ピット・ブル・テリア)は、アムスタッフと同様にアレルギー性皮膚炎や皮膚疾患にかかりやすい傾向があります。また、甲状腺機能低下症や、一部の血統では膝蓋骨脱臼(パテラ)なども報告されています。

ただし、ピットブルは「犬種」としての均一性よりも「能力」で繁殖されてきた歴史があるため、遺伝的疾患はアムスタッフ(血統が固定化されているため)よりも少ないという見方もありますが、これは個体差に大きく左右されます。

どちらの犬種を迎えるにしても、その血統にどのような遺伝的リスクがあるかをブリーダーによく確認し、定期的な健康診断、そして日々の皮膚のチェックを欠かさないことが重要です。

「アメリカンスタッフォードシャーテリア」と「ピットブル」の共通点

【要点】

両者は19世紀のイギリスでブルドッグとテリアを交配して作られた闘犬「ブル・アンド・テリア」という共通の祖先を持っています。そのため、筋肉質で力強い体格、短い被毛、忠誠心、そして闘争本能といった多くの特徴を共有しています。

これまで違いを強調してきましたが、この2犬種が混同されるのには明確な理由があります。それは、彼らが「ブル・アンド・テリア」という共通の祖先を持つ、極めて近い親戚だからです。

19世紀のイギリスで、ブルドッグの力強さとテリアの機敏さ・闘争心を併せ持つ犬(闘犬)として作出されたのが始まりです。これらの犬がアメリカに渡り、さらに大型化・改良されたのが、アムスタッフとピットブルの原型となりました。

そのため、以下の点は両者に強く共通しています。

  • 筋肉質で力強い体格:一目でわかる強靭な肉体。
  • 短い被毛:手入れは楽ですが、皮膚の保護力が弱く、寒さにも強くありません。
  • 飼い主への忠誠心:家族と認めた相手には非常に愛情深く、命がけで守ろうとします。
  • 闘争本能:程度の差こそあれ、他の動物(特に犬)に対して強い闘争心を示す可能性があります。
  • 高い運動能力:毎日の十分な運動と、頭脳的なトレーニングが不可欠です。

この共通の背景こそが、両犬種を正しく理解し、安全に飼育するための鍵となります。

歴史・ルーツと性質の関係

【要点】

19世紀の闘犬「ブル・アンド・テリア」がアメリカに渡った後、ドッグショーでの公認と外見の標準化を目指したグループが「アメリカンスタッフォードシャーテリア」を確立しました(1936年AKC公認)。一方、闘犬や作業犬としての能力を維持・向上させることを選んだグループが「アメリカン・ピット・ブル・テリア」の血統を守りました(1898年UKC公認)。

「なぜ、こんなに似ているのに名前が違うの?」その答えは、100年以上にわたるアメリカでの歴史にあります。

イギリスから渡ってきた「ブル・アンド・テリア」は、アメリカで「ピット・ドッグ(闘技場の犬)」と呼ばれ、その名の通り闘犬として、また農場での作業犬や番犬として活躍しました。この時点では、彼らは主に「ピットブル」という総称で呼ばれていました。

しかし、19世紀末から20世紀初頭にかけて、愛好家たちの間で二つの大きな流れが生まれます。

一つは、「この犬たちをドッグショーに出せる、社会的に認められた犬種にしたい」という流れです。彼らは闘犬のイメージを払拭するため、犬種標準(スタンダード)を定め、より家庭犬向きの気質と均整の取れた外見を目指して繁殖改良を進めました。そして1936年、ついにアメリカンケネルクラブ(AKC)に「スタッフォードシャー・テリア」として公認されます(後に「アメリカンスタッフォードシャーテリア」に改名)。これがアムスタッフです。

もう一つは、「闘犬や作業犬としての本来の能力・気質を保存したい」という流れです。彼らは、AKCのスタンダード(外見重視)に迎合することを嫌い、犬の「能力」を最重要視するユナイテッドケネルクラブ(UKC)に1898年に犬種登録をしました。これがアメリカン・ピット・ブル・テリア(ピットブル)です。

つまり、アムスタッフは「ショードッグ」としての道を、ピットブルは「ワーキングドッグ(闘犬含む)」としての道を選んだのです。この歴史的な分岐点が、現代の2犬種の微妙な違いを生み出している最大の理由です。

どっちを選ぶべき?ライフスタイル別おすすめ(飼育の適性)

【要点】

両犬種とも飼育難易度が極めて高いため、初心者や集合住宅での飼育、多頭飼いを考えている人には絶対に推奨できません。飼育するには、専門的な訓練知識、莫大な運動量の確保、そして万が一の事故を防ぐための絶対的な管理能力が求められます。

「結局、うちにはどっちが向いているの?」と考えるかもしれませんが、その前に、この2犬種を迎えることの重大な責任についてお話しなければなりません。

アムスタッフもピットブルも、その力強さと闘争本能ゆえに、一度事故を起こせば重大な結果を招きかねません。そのため、多くの国や地域(日本の一部自治体を含む)で「特定犬」に指定され、飼育に厳しい制限(例:公道での口輪の装着義務、専用の檻での飼育義務など)が課されています。

これらの犬種を「おすすめする」ことは、僕はできません。むしろ、以下に該当する方は、飼育を諦めるべきだと強く進言します。

  • 犬の飼育が初めての人
  • 大型犬や力の強い犬の訓練経験がない人
  • 集合住宅(アパートやマンション)に住んでいる人
  • 毎日2時間以上の運動(散歩+トレーニング)を確保できない人
  • すでに他のペット(特に犬や猫)を飼っている人(多頭飼い)
  • 幼いお子さんがいる家庭(常に厳重な監督ができない場合)

もし、あなたがこれらの条件をすべてクリアし、さらに専門家の指導のもとで生涯にわたり犬を管理・訓練し続ける覚悟があり、お住まいの自治体の条例(特定犬に関する条例)を環境省のウェブサイトなどで確認し遵守できる場合にのみ、選択肢となり得ます。

その上で、あえて言うならば、「ショードッグ」としての歴史が長く、やや人との協調性が高い傾向にあるアムスタッフの方が、ピットブルに比べれば(あくまで比べれば、ですが)家庭犬としてのハードルはわずかに低いかもしれません。しかし、それは誤差の範囲内だと考えるべきです。

僕がドッグランで震え上がった、あの日の記憶

僕がまだライターになる前、愛犬(柴犬)を連れて近所のドッグランに行った時の話です。その日、ドッグランには数頭の犬がいましたが、ひときわ目を引く、全身筋肉の塊のような犬がいました。それがピットブルだったのかアムスタッフだったのか、当時の僕には見分けがつきません。

その犬は飼い主さんには非常に忠実で、楽しそうにボール遊びをしていました。しかし、他の犬がそのボールに近づいた瞬間、空気が変わりました。それまでの遊びの表情が一瞬で消え、低い唸り声とともに、相手の犬に飛びかかろうとしたのです。

幸い、飼い主さんが即座に犬を制止し、リードをつけてドッグランから退場させたため事なきを得ましたが、僕はその一瞬の豹変ぶりに背筋が凍りました。「これが闘犬の血か」と。

飼い主さんは非常に練度が高く、常に犬から目を離さず、完璧にコントロールしていました。その姿を見て、僕は「この犬種は、これほどの覚悟と技術を持つ人でなければ、絶対に飼ってはいけない」と痛感しました。

彼らは素晴らしい犬です。しかし、その素晴らしさは、飼い主の絶対的な責任と管理能力の上にのみ成り立つ、非常にデリケートなものなのです。

「アメリカンスタッフォードシャーテリア」と「ピットブル」に関するよくある質問

Q: 「ピットブル」という犬種は正式には存在しないって本当ですか?

A: 少し複雑です。「アメリカン・ピット・ブル・テリア(American Pit Bull Terrier)」という犬種は、UKC(ユナイテッドケネルクラブ)などによって正式に公認されています。しかし、一般的に「ピットブル」と呼ばれる場合、この犬種だけでなく、アメリカンスタッフォードシャーテリアやスタッフォードシャー・ブル・テリア、さらにはそれらのミックス犬まで含めた「外見が似た犬種グループ」の総称として使われることが多いです。この曖昧さが、誤解や偏見を生む一因にもなっています。

Q: アムスタッフやピットブルの飼育は法律で禁止されていますか?

A: 日本では、犬種を一律に禁止する法律はありません。しかし、多くの自治体(例:札幌市、茨城県、佐賀県など)が「特定犬」に関する条例を定めています。これに指定されると、「檻(おり)での飼育」「公道での口輪装着」「特定犬であることの標識掲示」などが義務付けられます。「ピットブル(アメリカン・ピット・ブル・テリア)」は多くの自治体で特定犬に指定されており、アムスタッフも対象となる場合があります。飼育を検討する前に、必ずお住まいの自治体に確認してください。

Q: どちらの犬種も、しつけは「噛む力」をコントロールすることが中心ですか?

A: 噛む力をコントロールする「バイト・コントロール」も重要ですが、それ以上に重要なのは「衝動のコントロール」と「飼い主への絶対的な服従」です。彼らは興奮しやすく、一度スイッチが入ると力を制御できなくなることがあります。そのため、「待て」「伏せ」「放せ」といった基本的な命令に、どんな状況でも(他の犬がいても、興奮していても)即座に従うよう、徹底的に訓練する必要があります。専門家の指導なしでの飼育は非常に危険です。

「アメリカンスタッフォードシャーテリア」と「ピットブル」の違いのまとめ

アメリカンスタッフォードシャーテリア(アムスタッフ)とピットブル(アメリカン・ピット・ブル・テリア)の違いについて解説してきました。ポイントをまとめると以下のようになります。

  1. 繁殖の目的が違う:アムスタッフは「ショードッグ(外見重視)」、ピットブルは「ワーキングドッグ(能力重視)」として発展した。
  2. 体型の傾向が違う:アムスタッフはより「がっしり・重厚」、ピットブルはより「機敏・アスリート体型」の傾向があるが、個体差が非常に大きい。
  3. 気質が違う(傾向):どちらも忠実だが、ピットブルの方がより闘争心(他犬への)が強く残っている個体が多いとされる。
  4. 法規制が違う:日本では「ピットブル」は多くの自治体で「特定犬」に指定されており、アムスタッフも対象となる場合がある。
  5. 飼育難易度は共通で「極めて高い」:両犬種とも闘犬のルーツを持ち、その力を制御するには専門的な訓練と飼い主の絶対的な管理能力が不可欠。

両者は似て非なる存在であり、その違いは血統と歴史に深く根ざしています。どちらの犬種も、飼い主を選ぶ犬です。その力強さと歴史的背景を深く理解し、生涯にわたって責任を持てる覚悟のある人にのみ、最高のパートナーとなってくれるでしょう。

他の犬種の違いについても興味があれば、ぜひペット・飼育のカテゴリもご覧ください。あなたの疑問を解決する記事がきっと見つかりますよ。