ボタンインコとコザクラインコの違い!見分け方は「目のフチ」

「ボタンインコ」と「コザクラインコ」、どちらも色鮮やかで「ラブバード」と呼ばれるほど愛情深いインコです。

ペットショップでも隣同士で並んでいることが多く、「どっちがどう違うの?」と迷ってしまいますよね。実はこの2種類、見た目の決定的な見分け方があり、性格の傾向も正反対なんです。

最も簡単な見分け方は、目の周りに「白い輪(アイリング)」があるのがボタンインコ、ないのがコザクラインコです。そして性格は、ボタンインコが比較的臆病で穏やかな一方、コザクラインコは情熱的で飼い主への独占欲が強い傾向があります。

この記事を読めば、単純な見分け方から、飼いやすさ、懐き方の違い、飼育上の重要な注意点までスッキリと理解できます。

【3秒で押さえる要点】

  • 見た目(目の周り):ボタンインコはくっきりとした白い目のフチ(アイリングがある。コザクラインコにはない。
  • 性格:ボタンインコは比較的臆病で穏やか、ペアや仲間と仲良くしやすい。コザクラインコは好奇心旺盛で情熱的、飼い主(または特定の相手)への独占欲が強い。
  • 飼いやすさ:どちらも初心者向けだが、コザクラインコは愛情が深いぶん、噛み癖や攻撃性(アグレッシブ)が出ることがあり、根気強いしつけが必要。
「ボタンインコ」と「コザクラインコ」の主な違い
項目ボタンインココザクラインコ
分類・系統オウム目 インコ科 ボタンインコ属(Agapornis
サイズ(全長)約13〜17cm約15〜17cm
サイズ(体重)約40〜60g約40〜60g
見た目の違い目の周りに白い輪(アイリング)がある目の周りに白い輪(アイリング)がない
行動・性質比較的臆病、穏やか。社会性があり、ペアや仲間と仲良くしやすい。好奇心旺盛、活発、情熱的。飼い主への独占欲が強い。攻撃的な一面も。
人へのなつきやすさ人にも慣れるが、コザクラに比べると臆病さが先に立つことも。非常になつきやすい(ベタ慣れ)。飼い主をパートナーと認識する。
飼育難易度易しい(初心者向け)。易しい(初心者向けだが、噛み癖のしつけと発情管理に根気が必要)。
寿命約10〜15年(飼育下)
原産地アフリカ(タンザニア北部、ケニア南西部など)アフリカ(ナミビア、南アフリカ共和国北西部など)
かかりやすい病気卵詰まり(メス)、そのう炎、毛引き症、PBFD(オウム類嘴・羽毛病)、肝臓疾患

見た目とサイズの違い

【要点】

最大かつ最も確実な見分け方は「目の周りの白い輪(アイリング)」です。くっきりと白いフチがあるのがボタンインコ(ルリゴシボタンインコやキエリクロボタンインコなど)、目のフチが肌色で白い輪がないのがコザクラインコです。体格や体重はほぼ同じです。

「ボタンインコとコザクラインコ、色が違うだけじゃないの?」と思うかもしれませんが、実は決定的な違いがあります。

それは、目の周りです。
ボタンインコ(Agapornis fischeriAgapornis personatus など)は、目の周りにくっきりとした白い皮膚の輪(裸眼輪=アイリング)があります。これが「ボタン」という名前の由来(目がボタンのように見えるから)という説もあるほど特徴的です。

一方、コザクラインコ(Agapornis roseicollis)は、この白いアイリングがありません。目のすぐそばまで羽毛が生えており、目のフチは肌色に見えます。

このアイリングの有無さえ知っていれば、たとえカラーバリエーションが豊富でも、ほぼ100%見分けることができます。

「えっ、でもボタンインコって青いのとか黄色いのもいるし、コザクラインコも青いのとかいるじゃん!」
その通りです。どちらも品種改良が盛んで、カラーバリエーションは非常に豊富です。
ボタンインコは、原種の「ルリゴシボタンインコ」(緑の体に赤いくちばし)や「キエリクロボタンインコ」(緑の体に黒い頭、赤いくちばし)のほか、「ブルーボタン」や「シロボタン」などが有名です。
コザクラインコも、原種の「ノーマル」(緑の体に顔がピンク)のほか、「ルチノー」(黄色に顔が赤)や「ブルーチェリー」「シーグリーン」など、数えきれないほどの品種がいます。

しかし、どんな色変わり品種であっても、「アイリングがあるのがボタン」「ないのがコザクラ」というルールは変わりません。

サイズや体重はほぼ同じ(全長約15cm前後、体重40〜60g)で、この点で見分けるのは困難です。

性格・行動特性としつけやすさの違い

【要点】

ラブバード」と呼ばれる愛情深さは共通ですが、その方向性が違います。ボタンインコは比較的臆病で、仲間同士の協調性を大切にする「平和主義」。コザクラインコは情熱的で、飼い主さん一人をパートナーと定めると、強烈な独占欲を示す「情熱家」です。

見た目以上に性格の違いがはっきりしているのが、この2種類です。どちらもボタンインコ属(Agapornis)に分類され、「ラブバード」と呼ばれるほど愛情深い鳥ですが、その愛情の示し方(性質)が異なります。

ボタンインコは、比較的臆病で穏やかな性格をしていると言われます。もちろん個体差はありますが、コザクラインコに比べると神経質で、物音に驚きやすい一面があります。
その代わり、社会性が高く、仲間(ペアや群れ)と非常に仲良く過ごすことができます。飼い主さんにも慣れますが、ベタベタに甘えるというよりは、一定の距離感を保ちつつ、仲間として認識してくれるイメージです。

一方、コザクラインコは、好奇心旺盛で非常に活発、そして「情熱的」です。
ヒナから育てた場合、飼い主のことを「唯一無二のパートナー」と認識することが多く、文字通り「ベタ慣れ」になります。飼い主の肩から離れず、服の中に潜り込み、常にそばにいようとします。

しかし、この愛情は「独占欲」と表裏一体です。
パートナーと認めた飼い主以外の人(家族であっても!)や、他のペット、さらにはおもちゃに対しても嫉妬し、攻撃的になる(アグレッシブになる)ことがあります。このため、コザクラインコは基本的に1羽飼いが推奨されます。

しつけの面では、この性格の違いが重要になります。
コザクラインコは愛情が深いぶん、気に入らないことがあると本気で噛みつく「噛み癖」が出やすい鳥です。その噛む力は小型インコの中でもトップクラスに強く、流血することも珍しくありません。なぜ噛むのか(嫉妬、恐怖、発情など)を理解し、根気強く「噛んでも無駄」と教える必要があります。

寿命・健康リスク・病気の違い

【要点】

ボタンインコもコザクラインコも、飼育下での平均寿命は約10年~15年ほどで、大きな差はありません。どちらも小型鳥類特有の病気に注意が必要ですが、特にコザクラインコは愛情深い性格ゆえのストレス性毛引き症にも気を配る必要があります。

適切な飼育環境(温度管理、栄養バランス、十分な放鳥)のもとであれば、ボタンインコもコザクラインコも10年以上にわたり、中には15年を超えるご長寿さんもいます。寿命に大きな差はありません。

かかりやすい病気も、小型インコとして共通するものが多いです。
メスは「卵詰まり」(卵が体内で詰まる)の危険性が常にあります。これは命に関わるため、過度な発情をさせないための体重管理や温度管理が非常に重要です。
また、ヒナの時期のそのう炎(食べたものを一時的に溜める “そのう” が炎症を起こす)や、ウイルス性疾患であるPBFD(オウム類嘴・羽毛病)」、栄養バランスの偏りによる肝臓疾患などにも注意が必要です。

コザクラインコ特有というわけではありませんが、その情熱的な性格ゆえに注意したいのが「毛引き症(自咬症」です。飼い主さんへの愛情が満たされないストレス、発情が満たされないストレス、環境の変化など、精神的な要因で自分の羽を抜いてしまうことがあります。

「ボタンインコ」と「コザクラインコ」の共通点

【要点】

最大の違いは「アイリング」ですが、共通点はそれ以外すべて、と言ってもいいほど多くあります。どちらもアフリカ原産の「ラブバード(ボタンインコ属)」の仲間であり、基本的な飼育方法や知能の高さ、活発さは非常に似通っています。

見た目や性格に違いはあれど、生物学的には非常に近い仲間です。

  1. 分類(ラブバード):どちらも「ボタンインコ属(Agapornis)」に属するインコであり、「ラブバード」という愛称で呼ばれます。これは、ペアの絆が非常に強く、いつも寄り添っている姿から名付けられました。
  2. 原産地:どちらもアフリカ大陸が原産です(ただし、生息する地域は異なります)。
  3. 知能と活発さ:どちらも非常に賢く、活発に遊びます。おもちゃで遊んだり、簡単な芸を覚えたりする能力も持っています。
  4. 食性:主食はシードミックスやペレットフードで、基本的な飼育方法は共通しています。
  5. 鳴き声:どちらも「チッチッ」「キュルキュル」といった甲高い鳴き声を出し、おしゃべり(人語を真似る)は苦手です。

歴史・ルーツと性質の関係

【要点】

ボタンインコ(ルリゴシ、キエリクロなど)とコザクラインコは、同じアフリカ原産のラブバードですが、生息する地域は異なります。ボタンインコがタンザニアやケニアなど赤道付近に生息するのに対し、コザクラインコはナミビアなどアフリカ南西部の乾燥地帯に生息しています。

ボタンインコとコザクラインコは、どちらもアフリカ大陸にルーツを持ちますが、生息地は分かれています。

ボタンインコ(アイリングを持つグループ)は、主にタンザニアやケニア、ザンビアなど、アフリカ大陸の東部から中南部の比較的湿潤なサバンナ地帯に生息しています。
一方、コザクラインコ(アイリングを持たないグループ)は、ナミビアや南アフリカ共和国の北西部など、アフリカ南西部の乾燥・半乾燥地帯に生息しています。

このように、元々生息する環境が異なるため、野生下でこの2種が交雑することはありません。
(飼育下では交雑可能ですが、生まれる雑種(ハイブリッド)は繁殖能力を持たないことが多く、また、どちらの種の純粋性も失うため、意図的な交配は避けるべきとされています。)

どちらも19世紀後半から20世紀初頭にかけてヨーロッパにもたらされ、その美しさからペットバードとして人気を博し、世界中で品種改良が進みました。

どっちを選ぶべき?ライフスタイル別おすすめ

【要点】

「鳥とベッタリ触れ合いたい、1対1の深い関係を築きたい」と強く願うならコザクラインコがおすすめです。ただし、その情熱(噛み癖や攻撃性)も受け止める覚悟が必要です。「複数の鳥が仲良くする姿を眺めたい、または穏やかな関係を望む」ならボタンインコが良いでしょう。

「どっちも可愛いから選べない!」というあなたの心の声が聞こえてきます。飼育環境や鳥に求める関わり方で判断するのが一番です。

【ボタンインコがおすすめな人】

  • 複数のインコを同じカゴで飼育したい(ペアや群れでの飼育)
  • 鳥が仲睦まじくしている姿を「観賞」するのが主な楽しみな人
  • コザクラインコの情熱的な攻撃性(噛み癖)をコントロールできる自信があまりない人
  • やや臆病で繊細な性格を、優しく見守ってあげられる人

【コザクラインコがおすすめな人】

  • 1羽の鳥とじっくり向き合い、深い絆(ベタ慣れ)を築きたい人
  • 鳥に「パートナー」としての役割を求めている人
  • 飼い主の後をついて回るような、情熱的な愛情表現を歓迎できる人
  • 愛情表現としての「噛み癖」や「攻撃性」が出ても、根気強く向き合い、しつけられる自信がある人
  • 基本的に1羽飼育を徹底できる人(他の鳥への嫉妬が強いため)

どちらも「ラブバード」ですが、ボタンインコは「博愛主義(仲間みんな好き)」、コザクラインコは「一途(あなただけが好き)」とイメージすると分かりやすいかもしれません。

僕が出会った「ボタンインコ」の警戒心と「コザクラインコ」の独占欲

僕の友人がそれぞれボタンインコとコザクラインコを飼っていたので、その違いを間近で体験したことがあります。

ボタンインコ(ブルーボタン)はペアで飼われていました。カゴに近づくと、2羽がサッと隅に寄り添い、同じ方向を見て僕を警戒します。まさに「二人でいれば怖くない」といった様子。おやつを差し出しても、なかなか手からは食べず、一度床に置いたものを安全確認してから持っていく、そんな臆病さがありました。彼らの世界は2羽で完結していて、僕は「たまに来るおやつをくれる巨人」くらいの認識だったのでしょう。

一方、コザクラインコ(ノーマル)は1羽飼いでした。彼は飼い主(友人)の肩の上が定位置。友人が僕とお茶を飲んでいる間も、ずっと肩の上から僕を鋭い目つきで監視しています。そして僕が友人に近づいたり、大きな声で笑ったりすると、「ジージー!」と威嚇の声を上げ、あろうことか僕に向かって飛びかかってこようとしました(友人が制止しましたが)。

友人が「ごめん、嫉妬してるわ」と笑っていましたが、あれはまさに「私のパートナー(友人)に気安く触るな!」という強烈な独占欲の表れでした。ボタンインコが仲間との「平和」を望むのに対し、コザクラインコはパートナーとの「絆」を何よりも優先するのだと、その痛いほどの視線で実感しました。

「ボタンインコ」と「コザクラインコ」に関するよくある質問

Q: ボタンインコとコザクラインコ、鳴き声が大きいのはどっちですか?

A: どちらも甲高い「チッチッ」「キュルキュル」といった鳴き声(呼び鳴き)を発し、どちらも声量があります。集合住宅では、個体によっては防音対策が必要になるレベルです。鳴き声の大きさ自体に大差はありませんが、コザクラインコの方が感情表現が豊かなぶん、要求鳴きや威嚇鳴きが多いと感じる飼い主さんもいるようです。

Q: オスとメスの見分け方はありますか?

A: 外見での雌雄判別は非常に困難です。どちらの種も、オス・メスで羽色やアイリングの有無に違いはありません。一般的に「メスの方が骨盤(恥骨)が開いている」「メスの方がクチバシや頭が大きい」などと言われますが、個体差が大きく不確実です。確実なのは動物病院でのDNA鑑定(羽毛や血液)です。

Q: ボタンインコとコザクラインコを一緒に飼う(同居させる)ことはできますか?

A: 絶対にやめてください。同じラブバードの仲間ですが、気性(特にコザクラの攻撃性)や生息地が異なるため、激しく喧嘩をします。体格がほぼ同じでも、コザクラインコの方が攻撃的であることが多く、ボタンインコが怪我をさせられたり、最悪の場合、命を落としたりする危険性があります。カゴは必ず別々にしてください。

Q: 日本で野生化したラブバードがいると聞きました。

A: はい。主にコザクラインコ(ボタンインコも一部含まれる可能性あり)が、ペットとして飼われていた個体が逃げ出すなどして、東京都の都市部などで野生化し、外来種として定着している例が報告されています。日本の生態系への影響が懸念されており、飼い鳥は絶対に逃がさない(逸走させない)管理が求められます。(参考:環境省 日本の外来種対策

「ボタンインコ」と「コザクラインコ」の違いのまとめ

ボタンインコとコザクラインコ、どちらも「ラブバード」の名にふさわしい魅力的なインコですが、その個性は大きく異なります。

  1. 見た目の違い(最重要):目の周りにくっきり白い輪(アイリング)があるのがボタンインコ白い輪がないのがコザクラインコ
  2. 性格の違い:ボタンインコは臆病で穏やか、仲間と協調する「平和主義」。コザクラインコは活発で情熱的、飼い主(パートナー)への愛が強烈な「情熱家」
  3. 飼育スタイルの違い:複数の鳥を眺めて楽しみたいならボタンインコ。1羽と深く触れ合い、ベタ慣れの関係を築きたいならコザクラインコ。
  4. 注意点の違い:コザクラインコは愛情が深いぶん、噛み癖や攻撃性が出やすいため、根気強いしつけ(愛情をもった対応)が必要です。

どちらを選ぶにしても、10年以上の長い時間を共にする家族になります。彼らの基本的な習性や必要な飼育環境(適切な餌など)をしっかり学び、愛情を持って迎えてあげてくださいね。

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