「ちゅーるごはん」と「ちゅーる」、どちらもいなばペットフードが誇る大人気商品ですが、実は「主食(ごはん)」と「おやつ(間食)」という根本的な違いがあります。
最も簡単な答えは、「ちゅーるごはん」はそれと水だけで健康を維持できる総合栄養食、「ちゅーる」はご褒美や水分補給に使う一般食(おやつ)だということ。
この「目的」の違いが、栄養バランス、与える量、そしてパッケージの形状にも大きな違いを生んでいます。この記事を読めば、なぜ「ちゅーる」だけではダメなのか、そして「ちゅーるごはん」がどのように主食としての役割を果たすのかがスッキリと理解できます。
まずは、両者の決定的な違いを比較表で押さえましょう。
| 項目 | ちゅーるごはん | ちゅーる(通常タイプ) |
|---|---|---|
| 分類・目的 | 総合栄養食(主食) | 一般食/間食(おやつ) |
| 主な役割 | 毎日の主食。これと水だけで健康を維持できる栄養バランス。 | ご褒美、水分補給、投薬補助、コミュニケーションツール。 |
| パッケージ | スティックタイプ(14g) や、袋タイプ(ちゅるビ〜ごはん 10g×7袋など) がある。 | スティックタイプ(14gが主流)。 |
| 栄養基準 | ペットフード公正取引協議会が定める総合栄養食の基準を満たしている。 | おやつ(間食)としての基準。これだけでは栄養が偏る。 |
| 与える量の目安 | 1日の必要カロリーに基づき、主食として計算された量を与える(例:体重5kgの犬で約25本/日)。 | 1日に必要なカロリーの10%〜20%以内が目安。 |
| 特徴的な成分 | 総合栄養食の基準を満たすため、ミネラル類(リン、ナトリウムなど)が添加されている。 | おやつとしての嗜好性を追求。腎臓に配慮した低リン・低ナトリウム版もある。 |
【3秒で押さえる要点】
- 目的:「ちゅーるごはん」は主食(総合栄養食)。「ちゅーる」はおやつ(一般食)です。
- 栄養:「ちゅーるごはん」は、それと水だけで猫や犬が生きていけるよう、ビタミンやミネラルがバランスよく調整されています。
- 与え方:「ちゅーるごはん」は主食として規定量を与えられますが、「ちゅーる」をおやつとして与えすぎると、栄養不足や肥満のリスクがあります。
最大の違い:「総合栄養食」か「一般食(おやつ)」か
「ちゅーるごはん」は、水と一緒にそれだけを与えていれば健康を維持できる「総合栄養食」です。「ちゅーる」は、ご褒美や水分補給のための「おやつ(間食)」であり、主食にはできません。
この2つの製品を見分ける上で、最も重要かつ決定的な違いが、ペットフードとしての「目的」の区分です。
「ちゅーるごはん」は、「総合栄養食」に分類されます。
ペットフード公正取引協議会によると、総合栄養食とは、「毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフード及び水のみで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養的にバランスのとれたもの」と定義されています。つまり、「ちゅーるごはん」は、猫や犬が毎日必要とするビタミンやミネラルなどの栄養素がバランスよく配合されており、主食として与えることができる製品なのです。
一方、私たちがよく知る「ちゅーる」は、「間食(おやつ)」または「その他の目的食(一般食)」に分類されます。
これらは、しつけのご褒美やコミュニケーション、水分補給、投薬補助などを目的とした嗜好品です。一般食(おかずタイプ)や間食は、総合栄養食のようにそれだけで栄養バランスが完結するようには設計されていません。
この違いは非常に重要です。もし「ちゅーる」の食いつきが良いからといって、そればかりを主食のように与えてしまうと、猫や犬は深刻な栄養不足に陥る可能性があります。
形状とパッケージ(袋)の違い
通常の「ちゅーる」は、14gのスティックが4本入りの小袋などで売られているのが一般的です。「ちゅーるごはん」もスティックタイプがありますが、主食として使いやすいよう40本や80本入りの大容量パック(紙袋容器入り)が主流です。
目的が違うため、販売されているパッケージの形状も異なります。
「ちゅーる」は、おやつ(間食)としての使いやすさを重視し、14g程度のスティックが4本入った小袋タイプが主流です。もちろん、大容量パックも存在しますが、基本的には「少しずつ与える」ことを前提としたパッケージングです。
一方、「ちゅーるごはん」は主食です。毎日ある程度の量を与える必要があるため、スティックタイプ(14g)であっても、20本、40本、80本といった大容量の紙袋容器入りで販売されているのが特徴です。
また、「ちゅーるごはん」には、「ちゅるビ〜ごはん」というラインナップもあり、これは外側がふっくら、中がとろっとした2層構造の粒タイプで、10gずつの個包装になっています。
どちらも、主食として管理・計量しやすいパッケージが採用されています。
成分とカロリー、与え方の違い
「ちゅーるごはん」は総合栄養食の基準を満たすため、ミネラル類(リン、ナトリウムなど)が添加されており、色味が濃い傾向があります。与える量は体重別に厳密に定められています(例:犬 体重5kgで約25本/日)。「ちゅーる」は嗜好性が高く、与えすぎは厳禁です。
「主食」と「おやつ」の違いは、当然ながら成分や与え方にも反映されます。
「ちゅーるごはん」は、総合栄養食の基準を満たすために、猫や犬に必要なミネラル類(カルシウム、リン、ナトリウムなど)がバランスよく添加されています。いなばペットフード株式会社のQ&Aによると、このミネラル類の影響で、通常のちゅーるよりも「ちゅーるごはん」の方が色味が濃く見えることがあるそうです。
カロリーは1本(14g)あたり約13kcal(犬用・猫用共通) で、これを主食として与える場合、例えば体重5kgの成犬で1日あたり約25本、体重8kgの成犬で約35本が給与目安となります。
一方、「ちゅーる」はあくまでおやつです。嗜好性が非常に高く作られているため、「ちゅーるばかり欲しがり、主食(総合栄養食)のフードを食べなくなる」というリスクがあります。
おやつ(間食)として与える量は、1日に必要な総カロリーの10%〜20%以内に抑えるのが原則です。与えすぎは栄養不足や肥満に直結するため、厳格な管理が求められます。
「いなば」ブランドとしての共通点
目的は違いますが、どちらも「いなばペットフード」が製造する製品であり、高い嗜好性や、国産であること(一部製品を除く)、緑茶消臭成分の配合など、共通する品質基準を持っています。
もちろん、多くの共通点もあります。
- 高い嗜好性:どちらも猫や犬の食欲を強く刺激するよう作られており、食いつきが非常に良いのが最大の特徴です。
- 製造元:どちらも「いなばペットフード株式会社」が製造・販売する製品です。
- 国産:多くが国産品(または自社工場製)であり、品質管理へのこだわりが見られます。
- 緑茶消臭成分:多くの製品に、糞・尿臭を和らげる緑茶消臭成分が配合されています。
犬用「Wanちゅーるごはん」と猫用「CIAOちゅーるごはん」の違い
犬用と猫用では、必要な栄養バランスが異なるため、配合が異なります。猫用は「まぐろ・かつお」ベース、犬用は「とりささみ」ベースのレシピが多い傾向があります。
「ちゅーるごはん」にも「ちゅーる」にも、犬用(Wan)と猫用(CIAO)が存在します。これらは、それぞれ犬と猫に必要な栄養基準(総合栄養食として)を満たすよう、成分が調整されています。
また、嗜好性にも違いがあります。いなばペットフード株式会社によると、猫用の「CIAOちゅーる」は「まぐろ」や「かつお」などの魚ベースの製品が多く、犬用の「Wanちゅーる」は「とりささみ」などのお肉ベースの商品が多い傾向があるとのことです。
犬に猫用のちゅーるごはんを、あるいは猫に犬用のちゅーるごはんを主食として与えることは、栄養バランスが崩れるため絶対に避けてください。
「ちゅーるごはん」と「ちゅーる」に関するよくある質問
Q: 「ちゅーるごはん」はカリカリ(ドライフード)と混ぜてもいいですか?
A: はい、問題ありません。ペースト状でドライフードと絡みやすいため、食欲が落ちた時や、ドライフードだけでは食べてくれない時のトッピングとしても非常に優秀です。ただし、その場合はカロリーオーバーにならないよう、ドライフードの量を適切に減らして調整してください。
Q: 「ちゅーるごはん」だけで本当に健康を維持できますか?
A: はい。「ちゅーるごはん」は「総合栄養食」の基準を満たしているため、理論上は「ちゅーるごはん」と「水」だけで健康を維持できます。実際に、いなばペットフードの公式サイトでも「液状のごはん」と明記されています。ただし、ウェットフード全般に言えることですが、歯石が付きやすい可能性はあるため、デンタルケアは別途必要です。
Q: 「ちゅーる」には「総合栄養食」タイプのものもあるのですか?
A: はい、あります。ややこしいのですが、「ちゅーる」というブランド名の中にも「総合栄養食」と記載された製品が存在します。一方で「ちゅーるごはん」という名前の製品も「総合栄養食」です。購入の際は、製品名だけでなく、パッケージの「総合栄養食」という表記を必ず確認してください。
Q: 投薬用のちゅーるとは違いますか?
A: 違います。動物病院専用で販売されている「投薬用ちゅーる(ちゅ~るポケットなど)」は、薬を包み込みやすいよう、通常のちゅーるよりも粘度を高く調整してある製品です。また、腎臓に配慮してリンやナトリウムが低減されているものもあります。「ちゅーるごはん」は投薬用には作られていません。
「ちゅーるごはん」と「ちゅーる」の違いのまとめ
「ちゅーるごはん」と「ちゅーる」の根本的な違いは、ペットフードとしての「目的」です。
- 目的が違う:「ちゅーるごはん」は「主食(総合栄養食)」、「ちゅーる」は「おやつ(一般食)」。
- 栄養が違う:「ちゅーるごはん」は主食として必要な栄養素(ミネラルなど)がバランスよく配合されている。
- 与え方が違う:「ちゅーる」を与えすぎると栄養が偏り、主食を食べなくなるリスクがある。
- パッケージが違う:「ちゅーるごはん」は主食として使いやすい大容量パックが主流。
どちらも愛犬・愛猫の生活を豊かにしてくれる素晴らしい製品ですが、その役割は全く異なります。パッケージの「総合栄養食」という表記をしっかり確認し、それぞれの目的に合わせて正しく使い分けることが、愛犬・愛猫の健康を守る上で最も重要です。ぜひ、他のペット・飼育に関する違いについても、他の記事をご覧ください。
参考文献(公的一次情報)
- いなばペットフード株式会社(https://www.inaba-petfood.co.jp/)
- ペットフード公正取引協議会(https://pffta.org/)