「ラブラドール・レトリバー」と「ゴールデン・レトリバー」。どちらも人懐っこく賢い大型犬の代表格ですが、いざ違いは?と聞かれると「毛の色くらい…?」と悩んでしまいませんか?実は、最大の違いは「毛の長さ(毛質)」と「毛色」にあります。
確かにどちらもレトリバー(獲物を回収する犬)という同じルーツを持つため非常に似ていますが、性格や得意なこと、かかりやすい病気にも微妙な違いがあるんです。この記事では、両者の決定的な違いから、意外な共通点、あなたのライフスタイルに合うのはどちらかまで、徹底的に比較解説します。
【主な違い3行まとめ】
- 毛質:ラブラドールは短く硬い毛、ゴールデンは長く柔らかい飾り毛がある。
- 毛色:ラブラドールは黒・黄・茶(チョコ)、ゴールデンはクリームからゴールド系のみ。
- 性格:ラブラドールはより陽気で遊び好き、ゴールデンはより穏やかで感受性が高い傾向。
まずは、両者の特徴が一目でわかる比較表から見ていきましょう。
結論:ひと目でわかる「ラブラドール」と「ゴールデン」の主な違い一覧
最大の違いはラブラドールが短毛であるのに対し、ゴールデンが長毛(豊かな飾り毛)である点です。また、ラブラドールには黒やチョコレート色が存在しますが、ゴールデンはクリームからゴールド系の色のみです。性格はラブラドールがよりエネルギッシュ、ゴールデンがより穏やかと言われることが多いです。
| 項目 | ラブラドール・レトリバー | ゴールデン・レトリバー | 
|---|---|---|
| 分類・系統 | 大型犬・鳥猟犬(レトリバー) | 大型犬・鳥猟犬(レトリバー) | 
| サイズ(体高) | オス:56〜57cm メス:54〜56cm | オス:56〜61cm メス:51〜56cm | 
| 形態的特徴 | 短く硬い被毛(ダブルコート)。 太く、根元に向かって細くなる「オッター・テール(カワウソの尾)」。 筋肉質でがっしりした体型。 | 長く柔らかい被毛(ダブルコート)。 耳、胸、四肢、尾に豊かな「飾り毛」がある。 優雅で均整の取れた体型。 | 
| 毛色 | ブラック、イエロー、チョコレート(レバー) | ゴールド、クリームの各色調 | 
| 行動・性質 | 非常に陽気、活発、遊び好き。 極めて人懐こく、順応性が高い。 賢く訓練性能が高い。 | 非常に穏やか、人懐っこい、甘えん坊。 感受性が豊かで、飼い主に忠実。 賢く訓練性能が高い。 | 
| 寿命(平均) | 約10〜14年 | 約10〜12年 | 
| 人との関わり | 盲導犬、警察犬、介助犬など使役犬として活躍。 家庭犬としても絶大な人気。 | セラピー犬などでも活躍。 家庭犬として絶大な人気。 | 
【3秒見分け法】
- 毛が短いか? → 短くてゴワッとしていたら「ラブラドール」。
- 毛が長いか? → 長くてフサフサしていたら「ゴールデン」。
- 黒い犬か? → 黒(または茶色)なら「ラブラドール」。
見た目とサイズの違い:決定的なのは「毛の長さ」と「毛色」
見た目の最大の違いは被毛です。ラブラドールは短く硬いダブルコートで、水辺での作業に適しています。ゴールデンもダブルコートですが、長く波状の毛と「飾り毛」を持ち、より優雅な印象を与えます。毛色もラブラドールは3色(黒・黄・茶)、ゴールデンはゴールド系の濃淡のみと明確に異なります。
街で見かけたとき、一瞬「どっちだ?」と迷うこの2犬種。実は、毛と色を見れば一発で見分けられます。
まず、ラブラドール・レトリバーは短毛種です。被毛は硬く、水をよく弾くダブルコート(上毛と下毛の二重構造)になっています。これは彼らのルーツが、冷たい水の中で作業する漁師の犬だったことに関係しています。尻尾も特徴的で、「オッター・テール」と呼ばれるカワウソの尾のように太く力強い形をしています。
一方、ゴールデン・レトリバーは長毛種です。同じくダブルコートですが、毛は長く、ウェーブがかっていたり、まっすぐだったりします。特に耳や胸、お腹、尻尾には「飾り毛」と呼ばれるフサフサした毛があり、全体的に優雅で気品のある印象を与えます。実は、僕も昔、このフサフサの毛並みに憧れていました。
そして、もう一つの決定的な違いが毛色です。
ラブラドールには「ブラック(黒)」「イエロー(クリーム色に近いものから狐色まで)」「チョコレートまたはレバー(茶色)」の3色が認められています。もし黒いレトリバーを見かけたら、それはラブラドール(または他の犬種とのミックス)です。
対して、ゴールデンは名前の通り「ゴールド」または「クリーム」の濃淡のみ。黒や茶色のゴールデンは存在しません。「ゴールデンなのに色が薄い」と感じるクリーム色の子もいますが、それもゴールデンの標準的な毛色の一つです。
サイズ感はどちらも大型犬に分類され、体高や体重は非常に似通っていますが、一般的にはラブラドールの方がより筋肉質でがっしりした印象、ゴールデンの方がやや優雅な体つきと言われることが多いです。
性格・行動特性としつけやすさの違い:「陽気な遊び好き」と「穏やかな甘えん坊」
どちらも極めて賢く、人懐っこい犬種です。ラブラドールは「永遠の3歳児」と例えられるほど陽気でエネルギッシュ、遊び好きな性格です。ゴールデンはより感受性が豊かで穏やか、飼い主に寄り添う「甘えん坊」な側面が強いと言われています。
どちらも「盲導犬」や「警察犬」として活躍することからわかるように、全犬種の中でもトップクラスの賢さと訓練性能を持っています。人間に対して非常に友好的で、攻撃性が低い点も共通しています。
では、性格の違いはどこにあるのでしょうか?
ラブラドールは、「超」がつくほど陽気でエネルギッシュです。成犬になっても子犬のような遊び好きが続くことが多く、「永遠の3歳児」と例えられることも。とにかく動くこと、人と一緒に作業することが大好きで、その体力は底なしです。しつけは入りやすいですが、その有り余るエネルギーをどう発散させるかが、飼い主の腕の見せ所です。
一方のゴールデンは、ラブラドールに比べるとやや穏やかで、感受性が豊かと言われます。もちろん彼らも遊び好きですが、ラブラドールのような「ハイテンション!」というよりは、飼い主に寄り添い、状況をよく観察する思慮深さがあります。飼い主の感情を敏感に察知し、喜ばせようとする「甘えん坊」な一面が強く、その点が多くの人を魅了します。
ただし、これはあくまで一般的な傾向です。個体差はもちろんありますし、ラブラドールにも穏やかな子はいますし、ゴールデンにも超ハイテンションな子はいますよ!
寿命・健康リスク・病気の違い:大型犬特有の注意点
平均寿命はラブラドールが約10〜14年、ゴールデンが約10〜12年と、ゴールデンの方がやや短い傾向にあります。どちらも大型犬特有の「股関節形成不全」に注意が必要です。また、ゴールデンは遺伝的に「腫瘍」の発生率が他の犬種より高いことが知られています。
どちらも大型犬であり、残念ながら中型犬や小型犬に比べると平均寿命は短い傾向にあります。
ラブラドールの平均寿命は約10〜14年、ゴールデンの平均寿命は約10〜12年とされています。ゴールデンの方がやや寿命が短い傾向にあるのは、遺伝的に「腫瘍(ガン)」にかかりやすい犬種であることが一因と考えられています。
どちらの犬種も、大型犬特有の「股関節形成不全」や「肘関節形成不全」といった関節の病気に注意が必要です。これは成長期に発症することが多く、体重管理や過度な運動を避けることが予防につながります。
また、食欲旺盛な両犬種は「肥満」になりやすい点も共通の注意点です。肥満は関節への負担を増やし、さまざまな病気のリスクを高めます。
特にゴールデンは、前述の通り「腫瘍」の発生率が比較的高い犬種です。体に異変がないか、日頃からスキンシップを取りながらチェックし、定期的な健康診断を受けることが非常に重要です。これは大型犬の飼い主として、知っておかなければならない現実です。
「ラブラドール」と「ゴールデン」の驚くほど多い共通点
両犬種は「レトリバー(回収犬)」という共通のルーツを持ちます。そのため、「賢さがトップクラス」「人間が大好きで友好的」「しつけや訓練が入りやすい」「運動量が非常に多い」「水遊びが大好き」といった多くの共通点を持っています。
ここまで違いを解説してきましたが、この2犬種が世界中で愛されている理由は、その素晴らしい「共通点」にあります。
最大の共通点は、どちらも「レトリバー(Retrieve=回収する)」という名前の通り、狩猟犬(鳥猟犬)として人間のパートナーを務めてきたことです。撃ち落とした獲物(水鳥など)を傷つけずに回収してくるのが彼らの仕事でした。
このルーツにより、以下の特徴が共通して見られます。
- とにかく賢い: 人間の指示を理解し、複雑な作業をこなす知能を持っています。
- 人間が大好き: パートナーとして働くために改良されてきたため、人間に対して非常に友好的で協調性が高いです。
- 訓練が大好き: 飼い主と一緒に何かを成し遂げることに喜びを感じるため、しつけや訓練が非常に入りやすいです。
- 運動量が豊富: 猟犬としてのスタミナを受け継いでいるため、毎日の十分な運動(散歩や遊び)が不可欠です。
- 水遊び大好き: 水鳥の回収を得意としていたため、水を見ると飛び込まずにはいられない個体が多いです(特にラブラドール)。
- 口に物を運ぶのが好き: 「回収」の本能から、スリッパやおもちゃなど、色々なものを口にくわえて運びたがります。
この「人間の良きパートナー」としての性質こそが、彼らが家庭犬としても使役犬としても活躍する理由なのです。
歴史・ルーツと性質の関係:水辺の仕事犬と陸の狩猟犬
ラブラドールのルーツは、カナダの冷たい海で漁網や魚を回収した「セント・ジョンズ・ウォーター・ドッグ」です。そのため、水を弾く短毛が発達しました。ゴールデンは、スコットランドで貴族が陸地の鳥猟のために、より穏やかで美しい犬を目指して作出されました。
毛質や性格の微妙な違いは、彼らがどのようにして誕生したか、その歴史に隠されています。
ラブラドール・レトリバーの祖先は、カナダのニューファンドランド島で、漁師たちが冷たい海から漁網やこぼれた魚を回収するのを手伝っていた「セント・ジョンズ・ウォーター・ドッグ」だとされています。まさに水辺のタフな仕事犬でした。彼らがイギリスに渡り、猟犬として改良されて現在のラブラドールになりました。そのルーツ故に、彼らは水を弾く短く硬い毛と、舵取りに適した太い尾(オッター・テール)を持つのです。
一方、ゴールデン・レトリバーは、19世紀のスコットランドで、貴族(ツイードマス卿)によって計画的に作出された犬種です。当時のレトリバーは黒が主流でしたが、彼はイエローのレトリバーと、現在は絶滅したツイード・ウォーター・スパニエルなどを交配させ、陸地での鳥猟に適し、かつ家庭犬としても穏やかで美しい、金色の犬を生み出そうとしました。ラブラドールよりも穏やかで感受性が豊かと言われるのは、こうした作出の経緯が影響しているのかもしれません。
どっちを選ぶべき?ライフスタイル別おすすめ比較
どちらも多くの運動と飼い主との時間が必要です。その上で、よりアクティブな遊びやドッグスポーツを楽しみたい家庭には「ラブラドール」。家の中で穏やかに触れ合い、家族に寄り添うことを重視する家庭には「ゴールデン」が向いている傾向があります。
「じゃあ、結局、うちにはどっちが合うの?」と悩みますよね。あなたがペットとどう過ごしたいか、想像してみてください。
大前提として、どちらも大型犬であり、毎日1〜2時間程度の散歩や運動が絶対に必要です。また、人と一緒にいることが大好きな犬種なので、室内で家族として飼育し、十分なコミュニケーション時間を確保できることが必須条件です。
その上で、あえて選ぶなら、以下のような傾向があります。
ラブラドール・レトリバーがおすすめな人
- アウトドアやドッグスポーツが大好きで、犬とアクティブに遊びたい人。
- 犬の有り余るエネルギー(やんちゃさ)も「個性」として笑って付き合える人。
- お手入れのしやすさ(短毛)を重視する人。(ただし、抜け毛は非常に多いです!)
- 盲導犬のような、キリッとした賢さに憧れる人。
ゴールデン・レトリバーがおすすめな人
- 家の中で犬と穏やかに触れ合う時間を大切にしたい人。
- 感受性が豊かで、飼い主に寄り添う「パートナー」を求めている人。
- 優雅な長毛の美しさに魅力を感じる人。
- 毎日のブラッシングなど、長毛のお手入れを(抜け毛対策も含め)楽しめる人。
(体験談)僕がラブラドールと暮らして感じた「永遠の少年」のような魅力
僕の親戚が、黒いラブラドール(通称「黒ラブ」)と暮らしていました。彼が5歳の頃に遊びに行ったのですが、そのエネルギーには本当に圧倒されました。
「こんにちは!」と挨拶する間もなく、全身で喜びを表現して飛びついてきて(もちろん、しつけはされていましたが、喜びが勝るタイプでした)、すぐに「おもちゃ!おもちゃ!」と持ってくるのです。大雨の日の散歩の後だったらしく、びしょ濡れのまま大はしゃぎで家中を駆け回り、家族は「こらー!」と笑いながら追いかけていました。
その姿は、まさに「永遠の少年」。賢いのに、どこかお調子者で、人間が大好きでたまらない。その純粋な陽気さが、ラブラドールの最大の魅力なんだと実感しました。もし僕が大型犬と暮らすなら、この底抜けの明るさと一緒にアウトドアを楽しみたいと強く感じたのを覚えています。
「ラブラドール」と「ゴールデン」に関するよくある質問
Q: ラブラドールとゴールデンのミックス犬はいますか?
A: はい、「ラブラドール・レトリバー」と「ゴールデン・レトリバー」のミックス犬は存在し、非常に人気があります。両親の素晴らしい賢さや人懐っこさを受け継ぐことが多いですが、毛の長さや色、性格は個体によって様々です。
Q: 結局、どっちが賢いですか?
A: どちらも全犬種の中でトップクラスに賢い犬種です。優劣をつけるのは難しく、得意分野が少し違うイメージです。ラブラドールは作業意欲が高く、使役犬としての適性が際立っています。ゴールデンも同様に賢いですが、加えて人の感情を察する感受性の高さが特徴です。
Q: 毛が抜けるのはどっちですか?
A: どちらも、ものすごく抜けます。両犬種ともダブルコート(二重毛)であり、特に春と秋の換毛期には、驚くほどの量の下毛(アンダーコート)が抜けます。ゴールデンは毛が長いので目立ちますが、ラブラドールも毛が短いだけで、抜ける毛の「量」は凄まじいです。お手入れの楽さ(ブラッシングの手間)ではラブラドールに軍配が上がりますが、抜け毛の量自体は互角だと思ってください。
Q: 初心者でも飼えますか?
A: どちらも人懐っこく賢いため、しつけが入りやすいという点では初心者向きと言えます。しかし、大型犬の有り余る運動量を毎日満たせる体力と時間、しっかりとしつけを行う知識と根気、そして大型犬の医療費や食費を賄える経済力が絶対に必要です。「可愛いから」という理由だけで安易に飼い始めると、お互いに不幸になる可能性が高い犬種でもあります。
「ラブラドール」と「ゴールデン」の違いのまとめ
「ラブラドール・レトリバー」と「ゴールデン・レトリバー」。彼らの違い、そして深い魅力を感じていただけたでしょうか。
見た目の決定的な違いは、「短毛で3色(黒・黄・茶)」のラブラドールと、「長毛でゴールド系のみ」のゴールデンという点にあります。
そして性格は、どちらも非常に賢く友好的という共通点を持ちながら、ラブラドールはより「陽気・活発」、ゴールデンはより「穏やか・感受性豊か」という傾向があります。
どちらの犬種も、人間の最良のパートナーとなる素晴らしい資質を持っています。もし家族として迎えることを検討されるなら、その犬種の歴史や特性、そして大型犬を飼育する責任を深く理解した上で、生涯の相棒を選んでくださいね。
他のペットや飼育に関する違いについてもっと知りたい方は、ぜひペット・飼育のカテゴリまとめページもご覧ください。
参考文献(公的・公式情報)
- 一般社団法人 ジャパンケネルクラブ(JKC):https://www.jkc.or.jp/ (犬種標準等の情報)