猫用と犬用ペットシーツの違い!代用できる?吸収力と構造を比較

「猫用ペットシーツ」と「犬用ペットシーツ」、どちらもペットのおしっこを吸収するためのシートですが、実は「使用されるトイレの構造」と「求められる機能」が根本的に異なります

最も簡単な答えは、猫用シーツは主に「システムトイレ」のトレイに敷き、脱臭・抗菌効果を長持ちさせることを重視しているのに対し、犬用シーツは床に直接敷き、一回のおしっこを瞬時に吸収し、足濡れを防ぐことを重視している点。

この「使用目的」の違いが、シーツの吸収力、消臭力、交換頻度、そしてコストパフォーマンスに大きな差を生んでいます。この記事を読めば、それぞれのシーツの特性を理解し、なぜ代用が推奨されないのか、そして愛犬・愛猫に最適なシーツを選ぶ方法がスッキリとわかります。

まずは、両者の決定的な違いを比較表で押さえましょう。

「猫用ペットシーツ」と「犬用ペットシーツ」の主な違い
項目 猫用ペットシーツ(主にシステムトイレ用) 犬用ペットシーツ
主な使用方法 システムトイレの最下層トレイに敷く。猫砂(チップ)と併用。 トイレトレーや床に直接敷く。単体で使用。
主な機能 長期間(約1週間)の消臭・抗菌。複数回のおしっこを吸収・保持する。 瞬時の吸収力と足濡れ防止。おしっこの広がりを抑える。
交換頻度 1枚で数日〜1週間程度が主流。 おしっこ1回ごと(薄型)〜12時間程度(厚型)。
重視される性能 消臭力(特にアンモニア臭)、抗菌力、長期間の保持力。 吸収スピード吸収力(ポリマー量)、足濡れ防止(逆戻り防止)。
サイズ展開 各社システムトイレのトレイに合う専用サイズが主流。 レギュラー、ワイド、スーパーワイドなど犬の体格に合わせたサイズ展開が豊富。
耐久性 猫が直接触れないため、表面の耐久性は重視されない。 犬が乗ったり、爪で引っ掻いたりするため、破れにくさも考慮される。

【3秒で押さえる要点】

  • 使用場所:猫用は「システムトイレの中」が基本。犬用は「床やトレーに直接」敷く。
  • 機能:猫用は「長期間の消臭・抗菌」を重視。犬用は「瞬時の吸収と足濡れ防止」を重視。
  • 交換:猫用は「1週間交換不要」タイプが多い。犬用は「こまめな交換(薄型)」か「1日交換(厚型)」が主流。

最大の違い:「使用目的」と「設計思想」

【要点】

猫用と犬用のシーツは、ペットの「排泄行動」と「トイレの構造」という根本的な違いに基づき設計されています。猫は砂(猫砂)に排泄する本能があり、犬はシーツに直接排泄します。この違いが、シーツに求められる機能の差になっています。

なぜ、猫用と犬用でこれほどシーツの機能が異なるのでしょうか?それは、犬と猫の根本的な「トイレの習性」と、それに合わせて進化した「トイレの形状」が違うからです。

猫の習性とトイレ
猫は、遺伝的・本能的に「砂の上で排泄し、それを隠す」という習性を持っています。このため、猫のトイレは「猫砂」を使うのが基本です。
特に普及している「システムトイレ」は、スノコ状の上段に猫砂(チップ)を敷き、おしっこだけが下段のトレイに落ちる二層構造になっています。
猫用シーツは、この下段トレイに敷くために作られています。猫は直接シーツに触れないため、シーツに求められるのは「足濡れ防止」よりも、トレイに溜まったおしっこを「長期間(1週間など)にわたって強力に消臭・抗菌し続ける」能力なのです。

犬の習性とトイレ
一方、犬には猫のような「砂に隠す」本能はありません。しつけによって、トイレトレーや床に敷かれたペットシーツの上で排泄することを覚えます。
犬はシーツに直接乗って排泄するため、シーツがおしっこを瞬時に吸収しないと足が濡れてしまいます(足濡れ)。足が濡れると、部屋中に足跡がついて不衛生になるため、犬用シーツには何よりも「瞬間吸収力」と「逆戻り防止機能」が求められるのです。また、1回のおしっこの量も犬の方が猫より多い傾向があるため、高い吸収力が必要です。

「猫用シーツ」の特徴と選び方(システムトイレ用)

【要点】

猫用シーツは「システムトイレ」専用が主流です。猫のおしっこはニオイが強いため、消臭力と抗菌力を最重視して選びます。「1週間交換不要」など、交換頻度(吸収量)も重要な選択肢です。

猫用ペットシーツのほとんどは、システムトイレ(2層式トイレ)のトレイにセットして使用します。選ぶ際のポイントは以下の通りです。

1. 消臭力・抗菌力

猫のおしっこは、犬と比べても非常に強いアンモニア臭を放つ傾向があります。そのため、猫用シーツには強力な消臭・抗菌機能が搭載されています。「消臭マイクロカプセル配合」、「天然ひのきと銅系消臭抗菌剤のW配合」、「炭パワー」、「クエン酸配合」 など、各メーカーが消臭技術を競っています。

2. 交換頻度(吸収力)

猫用シーツは「1週間取り替え不要」を謳う厚手のタイプが人気です。これは、おしっこを数日分溜めておける高い吸収力(ポリマー)と、菌の繁殖を抑える抗菌機能によって実現されています。
一方で、多頭飼いの場合や、より清潔に保ちたい飼い主さん向けに、毎日交換する薄型のシーツも販売されており、こちらはコストパフォーマンスに優れています。

3. シーツの色とサイズ

おしっこの色で健康状態をチェックできるよう、シーツの吸収面が「白色」のものが主流です。また、各社のシステムトイレのトレイにぴったり合うよう、専用サイズや「各社共通サイズ」として販売されています。

「犬用シーツ」の特徴と選び方(交換頻度・吸収力)

【要点】

犬用シーツは「吸収力(厚さ)」と「サイズ」で選びます。こまめに交換するなら「薄型」、留守番が長いなら「厚型」。厚型は吸収ポリマーが多く、おしっこの逆戻りやニオイを抑える効果も高い傾向があります。

犬用ペットシーツは、犬が直接乗って使うため、猫用とは全く異なる視点で選びます。

1. 吸収力(厚型 vs 薄型)

犬用シーツは、吸収ポリマーの量によって「厚型」と「薄型」に大別されます。

  • 厚型(超吸収タイプ):ポリマーが多く、おしっこを瞬時に吸収・ゼリー化し、逆戻り(足濡れ)を防ぎます。吸収量も多いため、「小型犬のおしっこ3回分」や「約12時間交換不要」といった長時間使用に対応できる製品が多く、留守番がちな家庭に向いています。消臭効果も高い傾向にあります。
  • 薄型(こまめ交換タイプ):ポリマーが少なく吸収量は劣りますが、1回のおしっこはしっかり吸収します。何より1枚あたりの単価が安いため、在宅時間が長く、おしっこをするたびにシーツを交換できる飼い主さんに向いています。

2. サイズ展開

犬の体格やトイレの大きさに合わせて、サイズが豊富に用意されています。

  • レギュラー:小型犬用
  • ワイド:中型犬や、小型犬で複数回する場合
  • スーパーワイド:大型犬や、多頭飼い用

3. その他の機能

表面が破れにくい耐久性、おしっこのニオイを抑える消臭機能(炭入りなど)、人工的な香り付きタイプ など、様々な付加価値を持った製品があります。

「猫用」と「犬用」は代用できる?

【要点】

緊急時の代用は可能ですが、日常的な代用は推奨されません。犬用シーツは猫のシステムトイレに使うには消臭力が不足し、猫用シーツは犬が直接使うには吸収スピードが遅く足が濡れる可能性があります。

「犬用シーツが余っているから、猫のシステムトイレに使えない?」「緊急時に猫用シーツを犬に使ってもいい?」と考える飼い主さんもいるでしょう。

結論から言うと、日常的な代用はおすすめできませんが、緊急時の短期間の代用は可能です。

犬用シーツを「猫」のシステムトイレに使う場合:
サイズさえ合えば、トレイに敷くこと自体は可能です。しかし、犬用シーツは「瞬時吸収」重視で、「長期間の消臭・抗菌」は想定されていません。猫のおしっこはニオイが強いため、犬用シーツではすぐに強烈なニオイが発生してしまい、こまめな交換が必要になります。結果的に「1週間交換不要」の猫用シーツよりコストがかかる可能性もあります。

猫用シーツを「犬」のトイレに使う場合:
猫用シーツは「長期間の保持」を重視しており、犬用シーツほどの「瞬時吸収スピード」や「逆戻り防止機能」を持たない場合があります。犬が直接乗っておしっこをした場合、吸収が間に合わずに足が濡れてしまう可能性が高くなります。

「ペットシーツ」に関するよくある質問

Q: 猫は犬用ペットシーツ(普通の平置きトイレ)でしつけられませんか?

A: 非常に困難です。猫には「砂に排泄物を隠す」という強い本能があります。子猫の頃から教えれば覚える個体もいるかもしれませんが、猫の本能的な習性を満たせないため、猫にとって大きなストレスとなり、トイレ以外での粗相の原因になる可能性があります。猫には猫砂(システムトイレまたは固まる砂トイレ)を用意するのが基本です。

Q: 犬猫共用シーツとは何ですか?

A: 「犬猫共用」として販売されているペットシーツもありますが、その多くは実質的に「犬用シーツ」と同じタイプ(床に直接敷く、都度交換型)です。猫のシステムトイレ用として作られているわけではないことが多いので、購入時には注意が必要です。

Q: ペットシーツの「厚型」と「薄型」はどちらが良いですか?

A: 飼い主さんのライフスタイルによります。留守番時間が長い場合や交換の手間を減らしたい場合は、吸収力と消臭力が高い「厚型」がおすすめです。こまめに交換できる環境で、コストを抑えたい場合は「薄型」が経済的です。

Q: シーツの裏表がわかりません。

A: 一般的に、ツルツルした面(防水フィルム)が裏(床側)で、フワフワした不織布の面が表(吸収面)です。中には裏表が分かりにくい製品もありますが、逆にしてしまうと全く吸収せず大惨事になるので注意しましょう。

「猫用ペットシーツ」と「犬用ペットシーツ」の違いのまとめ

猫用ペットシーツと犬用ペットシーツは、見た目が似ていても、その設計思想は全く異なります。

  1. 使用環境が違う:猫用は「システムトイレ」のトレイ内部、犬用は「床やトレー」に直接。
  2. 機能が違う:猫用は「長期間の消臭・抗菌」重視。犬用は「瞬時の吸収と足濡れ防止」重視。
  3. 交換頻度が違う:猫用は数日〜1週間ごと、犬用は1回ごと〜1日ごとが基本。
  4. 習性が違う:猫は「砂に隠す」本能、犬は「シーツの上にする」しつけ。

それぞれのペットの習性とトイレの構造に最適化された専用のシーツを使うことが、ペットにとっても飼い主にとっても快適なトイレ環境を維持する秘訣です。ぜひ、他のペット・飼育に関する違いについても、他の記事をご覧ください。

参考文献(公的一次情報)

  • ペットフード公正取引協議会(https://pffta.org/) – 「総合栄養食」「一般食(間食)」の定義について
  • いなばペットフード株式会社(https://www.inaba-petfood.co.jp/) – 「ちゅーるごはん」等の製品情報