秋の果物売り場に並ぶ、みずみずしい梨。「20世紀梨」は有名ですが、時折「21世紀梨」という名前を見かけて、どう違うのか迷ったことはありませんか?
名前が似ているだけに、どちらが新しくて美味しいのか気になりますよね。
結論から言うと、「20世紀梨」は明治時代に発見された伝統的な「青梨」であり、「21世紀梨」は、その「20世紀梨」を親に持つ「赤梨」の新品種です。
さらにややこしいことに、「ゴールド二十世紀」という、20世紀梨の弱点を克服した後継品種も存在します。
この記事を読めば、これら「20世紀」の名を冠する梨たちの複雑な関係性、味や見た目の具体的な違い、そしてどれを選ぶべきかがスッキリと理解できますよ。
それでは、まず両者の違いを比較表で見ていきましょう。
結論|「20世紀梨」と「21世紀梨」の違いが一目でわかる比較表
「20世紀梨」と「21世紀梨」は、どちらも鳥取県にゆかりのある梨ですが、異なる品種です。「20世紀梨」は伝統的な「青梨」で、甘みと酸味のバランスが良いのが特徴です。一方、「21世紀梨」は20世紀梨を親に持つ「赤梨」で、より糖度が高い品種です。また、20世紀梨の弱点(黒斑病)を克服した「ゴールド二十世紀」という品種も存在します。
まずは、それぞれの品種の特徴を一覧表にまとめました。
| 項目 | 20世紀梨(にじっせいきなし) | 21世紀梨(にじゅういっせいきなし) |
|---|---|---|
| 分類 | 青梨(偶発実生) | 赤梨(交配品種) |
| 親の組み合わせ | 不明(偶然発見された) | 二十世紀 × 新雪 |
| 発見・登録年 | 1888年(明治21年)発見 | 2000年(平成12年)品種登録 |
| 見た目(皮の色) | 美しい緑色(熟すと黄色みがかる) | 赤褐色(一般的な赤梨の色) |
| 味の特徴 | 上品な甘みと爽やかな酸味の調和 | 高糖度(12.6%程度)で甘みが強い |
| 食感 | シャリシャリとしたみずみずしい食感 | 多汁でシャリシャリ感が強い |
| 主な産地 | 鳥取県(全国シェア1位) | 鳥取県(育成地) |
| 黒斑病への耐性 | 弱い(有袋栽培が基本) | 不明(赤梨のため青梨ほど問題にならない) |
このように、名前は似ていますが「青梨」と「赤梨」という決定的な違いがあります。さらに、この関係を複雑にしている「ゴールド二十世紀」についても見ていきましょう。
「20世紀梨」と「21世紀梨」の定義と品種の違い
「20世紀梨」は、明治時代に千葉県松戸市で発見された奇跡の青梨です。一方、「21世紀梨」は、その「20世紀梨」と「新雪」という赤梨を交配して、2000年に鳥取県で品種登録された、全く別の赤梨品種です。
「20世紀梨(にじっせいきなし)」とは?(伝統の青梨)
「20世紀梨」は、1888年(明治21年)に千葉県松戸市で、当時13歳だった松戸覚之助(まつどかくのすけ)氏によって偶然発見された梨です。親が分からない「偶発実生(ぐうはつみしょう)」でありながら、その類まれな美味しさから「二十世紀」と名付けられました。
その後、鳥取県に導入されると、その気候風土にマッチして一大産地を形成。「鳥取なし」の代名詞的存在となり、青梨の王様として君臨しています。
「21世紀梨(にじゅういっせいきなし)」とは?(20世紀梨の子孫)
一方、「21世紀梨」は、鳥取県園芸試験場が「20世紀梨」を種子親(母親)に、大玉で貯蔵性の高い赤梨「新雪」を花粉親(父親)にして交配し、2000年(平成12年)に品種登録された赤梨です。
「20世紀」のシャリシャリ感と多汁性を受け継ぎつつ、「新雪」の甘さと貯蔵性をプラスした、まさに21世紀を担う品種として期待されて名付けられました。
よく似た名前:「ゴールド二十世紀」との違い
「21世紀梨」とよく混同されるのが「ゴールド二十世紀」です。これは「20世紀梨」の弱点であった「黒斑病」に耐性を持たせた品種です。病気に強いため袋をかけずに(無袋栽培)育てられ、太陽を浴びて皮が金色(ゴールド)になり、糖度も「20世紀梨」より高くなります。
ここで多くの人が混乱するのが「ゴールド二十世紀」の存在です。
「ゴールド二十世紀」は、「21世紀梨」とはまた別の品種です。これは、「20世紀梨」の最大の弱点であった「黒斑病(こくはんびょう)」という病気に強い耐性を持つように改良された品種です。
「20世紀梨」は黒斑病を防ぐために、一つひとつに袋をかけて育てる「有袋栽培」が必須でした。しかし、「ゴールド二十世紀」は袋をかけない「無袋栽培」が可能です。袋をかけずに太陽を浴びて育つため、皮が美しい金色(ゴールド)になり、糖度も「20世紀梨」より高くなる傾向があります。
「21世紀を担う梨」という意味では、「21世紀梨」よりも、この「ゴールド二十世紀」の方が「20世紀梨」の正統な後継者と言えるかもしれませんね。
味・香り・食感・見た目の違い
「20世紀梨」は緑色の皮(青梨)で、シャリシャリした食感と甘み・酸味のバランスが絶妙です。「21世紀梨」は茶色い皮(赤梨)で、同じくシャリシャリ感が強く、酸味が少なく甘みが強いのが特徴です。
見た目(色・形)
20世紀梨:
最大の特徴は、透き通るような美しい緑色(黄緑色)の皮です。形はきれいな球形をしています。「青梨」の代表格です。
21世紀梨:
こちらは親の「新雪」の血を引き継ぎ、皮の色は茶色っぽい赤褐色です。「幸水」や「豊水」と同じ「赤梨」に分類されます。
(ちなみに「ゴールド二十世紀」は、見た目は青梨ですが、熟すと黄色っぽく(ゴールド)なります。)
味・食感(甘みと酸味のバランス)
20世紀梨:
「シャリシャリ」とした独特の歯触り(石細胞)と、豊富な果汁が特徴です。味は、ただ甘いだけでなく、爽やかな酸味がしっかりと感じられ、この甘みと酸味の絶妙なバランスが、長年にわたり愛されてきた理由です。
21世紀梨:
「20世紀梨」のシャリシャリとした食感と多汁性を引き継いでいます。味は、親の「新雪」譲りの高糖度(12.6%程度)が特徴で、酸味は少なく、しっかりとした甘さを感じることができます。
栄養・成分・健康面の違い
「20世紀梨」「21世紀梨」ともに、栄養成分に大きな違いはありません。梨に共通する水分、食物繊維、カリウムが主な成分です。また、疲労回復を助ける「アスパラギン酸」や、お通じを良くする「ソルビトール」も含んでいます。
品種による栄養価の大きな違いは報告されていません。どちらも梨(日本なし)として共通の栄養素を含んでいます。
- 水分と食物繊維:約90%が水分で、シャリシャリ感の元である「石細胞(せきさいぼう)」は、食物繊維の一種(リグニン、ペントサン)です。腸の働きを助けます。
- カリウム:体内の余分なナトリウム(塩分)の排出を助ける働きがあります。(参考:厚生労働省 栄養・食生活)
- ソルビトール:糖アルコールの一種で、お通じを柔らかくする効果が期待できます。また、甘みがありますが、カロリーが低いのも特徴です。
- アスパラギン酸:アミノ酸の一種で、エネルギー代謝に関わり、疲労回復を助ける効果が期待できます。
梨は、のどの渇きを潤し、夏の疲れを癒やすのに適した果物と言えますね。
使い方・料理での扱い方の違い
「20世紀梨」「21世紀梨」ともに、そのみずみずしさとシャリシャリした食感を活かすため、加熱せず「生食」するのが一番です。食べる直前に冷蔵庫で冷やすと、より一層美味しくいただけます。
どちらの品種も、最大の特徴である「シャリシャリとした食感」と「豊富な果汁」は、加熱すると失われてしまいます。
そのため、アップルパイやコンポートのように加熱調理する西洋梨とは異なり、そのまま「生」で食べるのが最もおすすめです。
食べる1〜2時間前に冷蔵庫で冷やすと、甘みが引き締まり、のど越しも良くなります。(ただし、冷やしすぎると甘みを感じにくくなるので注意が必要です)
すりおろして焼肉のタレなどに使うと、タンパク質分解酵素が肉を柔らかくする効果も期待できます。
旬・産地・価格の違い
どちらも主な産地は鳥取県です。旬の時期もほぼ同じで、8月下旬から9月下旬頃にピークを迎えます。「21世紀梨」は新品種で生産量もまだ少ないため、「20世紀梨」よりも希少で、価格も高価な傾向にあります。
主な産地と旬の時期
20世紀梨:
最大の産地は鳥取県で、全国の生産量の約半分を占めます。次いで千葉県、長野県、福島県などでも栽培されています。旬は夏の終わりから秋にかけてで、8月下旬から9月下旬が最盛期です。(参考:農林水産省 統計情報)
21世紀梨:
育成地が鳥取県であり、現在も主な産地は鳥取県です。旬は「20世紀梨」とほぼ同じで、9月上旬から中旬頃です。生産量はまだ「20世紀梨」に比べて圧倒的に少ないため、希少な品種と言えます。
価格帯の傾向
20世紀梨:
長年の主力品種であり、生産量も多いため、比較的安定した価格で流通しています。贈答用の高級品から、家庭用の手頃なものまで幅広いです。
21世紀梨:
2000年に登録された新品種であり、生産量も限られています。そのため、「20世紀梨」よりも高価で取引されることが多く、主に贈答用や高級果物店で見かけることが多い希少な梨です。
起源・歴史・文化的背景
「20世紀梨」は、1888年に千葉県松戸市で発見された奇跡の梨です。鳥取県に導入されると一大産地となりましたが、最大の弱点「黒斑病」との戦いが続きました。この病気を克服し、21世紀も愛される梨を、という願いから鳥取県が開発した後継品種が「21世紀梨」や「ゴールド二十世紀」なのです。
「20世紀梨」の発見と「黒斑病」との戦い
「20世紀梨」の歴史は、1888年(明治21年)に千葉県松戸市で、松戸覚之助氏がゴミ捨て場に生えていた梨の苗木を発見したことから始まります。この苗から成った実は、これまでにない美味しさで、「来たる20世紀を代表する梨になるだろう」との願いを込め「二十世紀」と名付けられました。
1904年(明治37年)に鳥取県に導入されると、その気候が栽培に適していたため、瞬く間に鳥取県を代表する特産品となりました。
しかし、「20世紀梨」には「黒斑病(こくはんびょう)」という病気に極めて弱いという致命的な弱点がありました。この病気を防ぐため、農家の人々は梨の実に一つひとつ袋をかける「有袋栽培」を徹底しなければならず、大変な労力を強いられてきました。
「21世紀梨」「ゴールド二十世紀」の誕生
この黒斑病との戦いに終止符を打ち、袋をかけない「無袋栽培」でも美味しい梨を作りたい、という長年の悲願から生まれたのが、新品種群です。
- ゴールド二十世紀:「おさ二十世紀」という品種から生まれ、黒斑病への耐性を獲得した品種。無袋栽培で育つため、太陽を浴びて皮が金色になり、糖度も増しました。
- 21世紀梨:「20世紀梨」の食感と「新雪」の甘さを併せ持つ、新しい赤梨として開発されました。
これらの品種は、まさに「20世紀梨」の弱点を克服し、次の100年を見据えた「21世紀の梨」として、鳥取県の梨農家の希望を乗せて誕生したのです。
【体験談】伝統の「20世紀」と進化した「ゴールド」の食べ比べ
僕は鳥取出身の祖父母がいた影響で、幼い頃から梨といえば「20世紀梨」でした。夏休みの終わりに届く、あの青くて美しい梨をシャリっとかじった時の、爽やかな酸味と溢れる果汁は、まさに「夏の終わり」の味でしたね。
数年前、その鳥取の親戚から「新しい梨だから食べてみて」と送られてきたのが「ゴールド二十世紀」でした。(※この記事のテーマである「21世紀梨」とは別の品種ですが、まさに20世紀梨の後継者です)
見た目は、20世紀梨よりも黄色みが強く、まさに「ゴールド」。切ってみると、20世紀梨特有の「蜜」は入っていませんでしたが、香りは確かに20世紀梨の系譜を感じさせます。
食べてみると、その違いに驚きました。「シャリシャリ」という食感は、まさしく20世紀梨。しかし、あの特徴的だった酸味がぐっと抑えられ、代わりに強い甘みが口に広がります。
「これはこれで、すごく甘くて美味しい!」と感動しました。伝統的な「20世紀梨」の甘酸っぱいバランスも大好きですが、時代のニーズに合わせて「より甘く、より栽培しやすく」進化した「ゴールド二十世紀」の味わいも、また格別でした。
伝統を守る味と、進化する味。どちらも楽しめるのは、梨好きにとって最高の贅沢だと感じた体験でした。
20世紀梨と21世紀梨の違いに関するよくある質問(FAQ)
Q1. 「20世紀梨」と「21世紀梨」は、結局どっちが美味しいですか?
A. これは完全に好みの問題です。爽やかな酸味と甘みのバランスが取れた伝統的な味が好きなら「20世紀梨」がおすすめです。酸味は控えめで、とにかく甘みが強い梨が好きなら「21世紀梨」が向いています。
Q2. 「ゴールド二十世紀」とは何ですか?
A. 「20世紀梨」の弱点だった「黒斑病」に強く、袋をかけない「無袋栽培」ができるように改良された品種です。太陽を浴びるため皮が金色(ゴールド)になり、20世紀梨よりも糖度が高くなる傾向があります。
Q3. 20世紀梨はなぜ「20世紀」という名前なのですか?
A. 1888年(明治21年)に千葉県松戸市で発見された際、そのあまりの美味しさに、専門家が「これは来たる20世紀を代表する梨になるだろう」と絶賛し、命名されたと言われています。その名の通り、日本の梨の王様となりました。
まとめ|伝統の青梨「20世紀」と、その後継品種たち
「20世紀梨」と「21世紀梨」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
名前は似ていますが、この二つは明確に異なる品種でした。
- 20世紀梨:
伝統的な「青梨」の王様。爽やかな酸味と甘みのバランスが絶妙で、シャリシャリ感が特徴。 - 21世紀梨:
20世紀梨を親に持つ「赤梨」。甘みが非常に強く、酸味は穏やか。
また、20世紀梨の弱点を克服した後継品種として「ゴールド二十世紀」という「青梨(黄梨)」も存在します。
どの品種も鳥取県の誇る美味しい梨であることに変わりはありません。伝統の味を求めるか、進化した甘さを求めるか、ぜひ好みに合わせて選んでみてくださいね。
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