赤から鍋とキムチ鍋、どちらも寒い季節に食べたくなる、赤くて辛い鍋の代表格ですよね。
見た目が似ているため、「何が違うの?」と疑問に思う方も多いかもしれません。僕も昔は、どちらも単に「辛い鍋」という認識でした。
しかし、実はこの二つ、発祥地、味のベース、辛さの質、そして定番の具材まで、全く異なる魅力を持つ料理なんです。
最大の違いを簡単に言えば、赤から鍋は名古屋発祥の「甘辛い味噌味」、キムチ鍋は韓国ルーツの「酸味のあるキムチ味」である点です。
この記事を読めば、二つの鍋の明確な違いがスッキリと理解でき、その日の気分で食べたい鍋を自信を持って選べるようになりますよ。まずは、その違いが一目でわかる比較表からご覧ください。
結論|「赤から鍋」と「キムチ鍋」の違いが一目でわかる比較表
赤から鍋とキムチ鍋の決定的な違いは、「発祥地」と「味のベース」です。赤から鍋は愛知県名古屋市発祥の和製鍋で、赤味噌や白味噌、唐辛子、ハチミツなどをブレンドした「甘辛い」味が特徴です。一方、キムチ鍋は朝鮮半島発祥で、白菜キムチが味の核となり、その発酵した「酸味と旨味」が特徴の鍋料理です。
二つの料理の主な違いを表にまとめました。
| 項目 | 赤から鍋 | キムチ鍋 |
|---|---|---|
| 発祥地 | 日本(愛知県名古屋市) | 朝鮮半島(キムチチゲがルーツ) |
| 味のベース | 味噌(赤味噌、白味噌など)、唐辛子、スパイス | 白菜キムチ |
| 味の決め手 | ハチミツなどによる「甘み」 | キムチの発酵による「酸味」 |
| 味わい | 甘辛い、味噌のコクが深い | 酸味と旨辛さ、スッキリした辛さ |
| 辛さの選択 | 0番~10番の11段階で選べる | キムチや唐辛子の量で調整(段階はない) |
| 定番の具材 | 国産牛ホルモン、つくね、油揚げ、白菜、もやし | 豚バラ肉、白菜キムチ、豆腐、白菜、ネギ |
「赤から鍋」と「キムチ鍋」定義と起源の違い
赤から鍋は、2003年に愛知県で誕生した外食店「赤から」のオリジナルメニューです。キムチ鍋は、朝鮮半島の伝統的な鍋料理「キムチチゲ」をルーツに持ち、日本で独自に進化した鍋料理です。
赤から鍋(赤から)とは?
「赤から鍋」とは、愛知県名古屋市発祥の外食チェーン店「赤から」の看板メニューです。
2003年に第一号店がオープンし、その独特の「やみつきになる旨辛さ」で全国的に人気が広がりました。
最大の特徴は、名古屋名物の赤味噌をベースにした秘伝のスープと、辛さを0番(全く辛くない)から10番(激辛)までの11段階から選べるシステムです。お店だけでなく、家庭用の鍋スープとしても広く市販されています。
キムチ鍋(キムチチゲ)とは?
「キムチ鍋」は、朝鮮半島の伝統的な家庭料理である「キムチチゲ(김치찌개)」をルーツに持つ鍋料理です。「チゲ」は韓国語で「鍋料理」を意味します。
本場韓国では、古漬け(発酵が進んだ酸っぱいキムチ)を使い、少量の具材(豚肉や豆腐など)と煮込む、スープ(汁物)やシチューに近い料理です。
一方、日本の「キムチ鍋」は、日本人の好みに合わせてアレンジされた和製料理としての側面が強いです。本場ほどの酸味や辛さは抑えられ、昆布や煮干しで出汁をとり、白菜やキノコ、魚介類など多様な具材を入れて楽しむ、日本の「寄せ鍋」に近いスタイルで発展しました。
【最大の違い】味のベースと辛さの質
味の核が全く異なります。赤から鍋は複数の味噌とハチミツが生み出す「コクのある甘辛さ」が特徴です。キムチ鍋はキムチの発酵による「爽やかな酸味と旨辛さ」が特徴です。
二つの鍋を「似ている」と感じさせる最大の要因は「赤くて辛い」ことですが、その「赤さ」と「辛さ」の源が全く違います。
赤から鍋:味噌と唐辛子、ハチミツの「甘辛さ」
赤から鍋のスープは、非常に複雑な材料で構成されています。
ベースとなるのは、名古屋名物の赤味噌(八丁味噌)だけでなく、甘みを出す白味噌、さらに韓国の辛味噌であるヤンニンジャンという3種類の味噌です。
これに複数の唐辛子やスパイスをブレンドし、さらに最大の秘密として「ハチミツ」が加えられています。
このハチミツが、ただ辛いだけではない、尾を引くような深い「甘み」と「コク」を生み出し、「甘辛い」という独特の味わいを作り出しています。辛さの質は、唐辛子とスパイスによる直接的な「ホット」な辛さと言えるでしょう。
キムチ鍋:キムチベースの「酸味と旨辛さ」
キムチ鍋の味の核は、言うまでもなく「白菜キムチ」です。
キムチは発酵食品であるため、唐辛子の辛さだけでなく、乳酸発酵による特有の「酸味」と「旨味」を持っています。この酸味が、キムチ鍋の味わいをスッキリとさせ、後を引く美味しさの源泉となっています。
日本の市販のキムチ鍋スープには、この酸味をマイルドにし、煮干しや昆布、魚介系の出汁や味噌、コチュジャンなどを加えて、より日本人の口に合うように「旨味」を強化しているものが多いですね。
辛さの質は、キムチと唐辛子(粉唐辛子やコチュジャン)による「発酵した」辛さです。
定番の具材とシメの違い
具材にも特徴が出ます。赤から鍋は「牛ホルモン」「つくね」「油揚げ」が定番で、こってりした具材が甘辛い味噌と合います。キムチ鍋は「豚バラ肉」「豆腐」が定番で、キムチの酸味と豚肉の脂の旨味が相性抜群です。
赤から鍋の具材とシメ
赤から鍋の基本具材は、国産牛ホルモン、名古屋コーチン入りつくね、豚バラ、油揚げ、豆腐、白菜、もやし、白ネギ、ニラなどです。
特に「牛ホルモン」と「油揚げ」が、甘辛い味噌スープを吸って非常に美味しくなるのが特徴です。トッピングも豊富で、「海老水餃子」や「マロニー」、「トッポギ」なども人気です。
シメの定番は、チーズリゾット、雑炊、ラーメン、そして名古屋ならではの「きしめん」から選ぶことができます。
キムチ鍋の具材とシメ
キムチ鍋の定番具材は、豚バラ肉、白菜キムチ、豆腐、白菜、長ネギ、ニラ、キノコ類(えのき、しめじなど)です。
豚バラ肉の脂の甘みとキムチの酸味の相性が抜群です。他にも、タラや牡蠣などの魚介類を入れたり、ソーセージやウインナーを入れたり(プデチゲ風)と、アレンジの幅が広いのも特徴です。
シメの定番は、やはりご飯と卵(とチーズ)を入れる「雑炊(クッパ)」や、「うどん」「ラーメン」ですね。
【体験談】「赤から」初体験で驚いた「選べる辛さ」と味の秘密
僕が初めて「赤から鍋」を食べたのは、名古屋への出張時でした。それまではキムチ鍋と同じようなものだろうと高をくくっていたんです。
お店に入ってまず驚いたのが、「辛さを11段階から選ぶ」というシステム。キムチ鍋にそんな選択肢はありませんからね。日和ってしまい、「一番人気」と書かれていた「赤3番」を注文しました。
運ばれてきた鍋は、確かに赤くて辛そう。具材には見慣れない「牛ホルモン」や「油揚げ」が入っています。
スープを一口飲んで、二度目の衝撃を受けました。「甘い!…いや、でもやっぱり辛い!」
僕が知っているキムチ鍋の「酸味」は全くなく、代わりに赤味噌の深いコクと、舌に残る明確な「甘み」を感じたんです。それが唐辛子の辛さと絶妙にマッチしていて、まさに「旨辛い」という言葉がぴったりでした。
ホルモンや油揚げが、その甘辛いスープを吸って、たまらなくご飯に合う。後で隠し味がハチミツだと知り、あの独特な甘さの正体が分かって深く納得しました。
キムチ鍋が「酸味と旨味でスッキリさせる辛さ」なら、赤から鍋は「甘みとコクで後を引かせる辛さ」なのだと、その明確な違いを舌で学んだ体験でしたね。
赤から鍋とキムチ鍋に関するよくある質問
赤から鍋とキムチ鍋、どっちが辛いですか?
一概には言えませんが、最大火力は「赤から鍋」の方が上かもしれません。
キムチ鍋の辛さはキムチや唐辛子の量によりますが、赤から鍋は「赤10番」という激辛レベル(“悲しくないのに涙が出ます”と表記されるほど)まで辛さを選べます。もちろん、赤0番や1番を選べば、キムチ鍋よりずっとマイルドにもできますよ。
赤から鍋の素にキムチを入れてもいいですか?
もちろん、アレンジとして加えるのは自由です。
ただし、赤から鍋の「味噌ベースの甘辛さ」と、キムチの「発酵した酸味」が混ざり合うことになるので、全く別の味わいになります。赤から鍋の独特の甘辛さを楽しみたい場合は、最初はキムチを入れずに味わうのがおすすめです。
赤から鍋にホルモンが入っているのはなぜですか?
名古屋の食文化と関係があると考えられます。名古屋には「とんちゃん(豚ホルモン焼き)」などのホルモン文化が根付いています。赤から鍋の甘辛い味噌ベースのスープは、ホルモンの脂の旨味と非常に相性が良いため、定番の具材として定着したのでしょう。
まとめ|甘辛い「赤から」と酸味のある「キムチ鍋」、今日はどっち?
赤から鍋とキムチ鍋の違い、これで明確にご理解いただけたでしょうか。
最後に、二つの鍋の決定的な違いをまとめておきます。
- 赤から鍋:名古屋発祥。味噌とハチミツがベースの「甘辛い」味。辛さを11段階から選べる。定番具材は牛ホルモン、つくね。
- キムチ鍋:朝鮮半島発祥。キムチがベースの「酸味と旨辛さ」が特徴。定番具材は豚バラ肉、豆腐。
どちらも体を温めてくれる美味しい鍋料理ですが、その日の気分で選ぶ基準が明確になりましたね。
コクのある甘さと辛さをガツンと楽しみたい日は「赤から鍋」、キムチの酸味でスッキリと温まりたい日は「キムチ鍋」。それぞれの魅力を、ぜひ食べ比べてみてください。
当サイトでは、このほかにも様々な料理・メニューの違いについて詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください。