スーパーの野菜売り場で、鮮やかな赤色の「赤ピーマン」と「パプリカ(赤)」を見て、どちらを買うべきか迷ったことはありませんか?
見た目は似ていますが、実はこの二つ、使い道や味わいが大きく異なります。
赤ピーマンは緑ピーマンが熟したもので、パプリカは元々大型で甘い別の品種。
この記事を読めば、それぞれの定義、味、栄養価、そして料理での最適な使い分けが明確になり、もう二度と売り場で迷うことはありません。
それでは、二つの違いを詳しく見ていきましょう。
結論|赤ピーマンとパプリカの最も重要な違い
赤ピーマンとパプリカは、どちらもナス科トウガラシ属の野菜で植物分類上は同じ仲間です。最大の違いは「品種」と「収穫のタイミング」にあります。赤ピーマンは、私たちがよく知る緑色のピーマンを収穫せずに樹上で完熟させたものです。一方、パプリカはピーマンとは異なる品種で、大型で肉厚、完熟させてから収穫されるため苦みが少なく甘みが強いのが特徴です。
赤ピーマンとパプリカの定義と植物学的な関係
赤ピーマンもパプリカも、中南米原産のナス科トウガラシ属の植物で、辛みのない「甘とうがらし」の仲間です。植物分類上は同じですが、園芸上は異なる品種群として扱われています。
まず、赤ピーマンとパプリカがどのような野菜なのか、その基本的な定義から確認していきましょう。
驚くかもしれませんが、植物分類学上、ピーマンとパプリカはどちらも同じナス科トウガラシ属に分類されます。中南米が原産で、辛みを持たない「甘とうがらし」の仲間なんですね。
しかし、スーパーで私たちが手に取る「野菜」としては、異なる特徴を持つように品種改良されてきた経緯があります。
赤ピーマンとは?
赤ピーマンとは、緑色のピーマンを収穫せず、樹になったまま完熟させたものです。
私たちが普段「ピーマン」として食べている緑色のものは、実は未熟な状態で収穫されたものです。そのまま育て続けると、光合成によって糖分が蓄積され、赤く色づき、甘みが増します。
緑ピーマン特有の青臭さや苦みが和らぎ、栄養価(特にビタミンCやβ-カロテン)も増加するのが特徴です。
パプリカとは?
パプリカは、ピーマンとは異なる品種です。ハンガリーなどで品種改良が進み、大型で果肉が厚く、苦みが少なく強い甘みを持つように栽培されてきました。
ピーマンが未熟な緑色の状態で収穫されることが多いのに対し、パプリカは基本的に完熟させてから収穫されます。そのため、赤色や黄色、オレンジ色など鮮やかな色合いをしています。(緑色のパプリカも存在しますが、市場では完熟品が主流です)。
味・香り・食感・見た目の違い
最も分かりやすい違いは「味」と「食感」です。パプリカは肉厚でジューシー、かつ甘みが非常に強いのが特徴。一方、赤ピーマンは緑ピーマン時代の苦みや香りが少し残りつつ、甘みが増した味わいです。
赤ピーマンとパプリカは、料理の仕上がりを左右する「味」「香り」「食感」が明確に異なります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
味と香り(甘みと苦み)
赤ピーマン
緑ピーマンを完熟させているため、緑ピーマン特有の青臭い香りや苦みは残っています。しかし、熟成によって糖度(甘み)は緑ピーマンよりも格段に増しています。苦みと甘みの両方を感じる、やや複雑な味わいです。
パプリカ(赤)
品種改良によって、苦みや青臭さの原因となる成分(ピーマン臭の元であるピラジン類)が少ないのが特徴です。苦みはほとんどなく、非常に強い甘みとフルーティーな香りを持っています。
食感と見た目(肉厚さ)
赤ピーマン
見た目は緑ピーマンと同じか、少し大きいくらいのサイズ感です。果肉は比較的薄く、加熱するとすぐに柔らかくなります。シャキシャキ感というよりは、しなやかな食感です。
パプリカ(赤)
ピーマンに比べてサイズが大きく、形はベル型や長円形など様々です。最大の特徴は果肉が非常に肉厚であること。加熱しても形が崩れにくく、ジューシーでサクサクとした食感が楽しめます。
| 項目 | 赤ピーマン | パプリカ(赤) |
|---|---|---|
| 味(甘み) | 緑ピーマンより甘い | 非常に甘い |
| 味(苦み) | やや苦み・青臭さが残る | ほとんどない |
| 食感 | 果肉が薄く、しなやか | 果肉が厚く、ジューシー |
| 見た目 | 緑ピーマンと同じ形・サイズ | 大型で肉厚なベル型など |
栄養・成分・健康面の違い
どちらもビタミン類が豊富ですが、特に赤パプリカの栄養価は際立っています。赤パプリカは、赤ピーマンと比較してビタミンCが約1.7倍、ビタミンEが約5.6倍、β-カロテンが約1.6倍も多く含まれています。
赤ピーマンもパプリカも、緑黄色野菜として非常に栄養価が高い食材です。ただし、品種と完熟度の違いから、含まれる栄養素の量には大きな差があります。
ビタミンCとβ-カロテンの比較
緑ピーマンもビタミンCが豊富ですが、完熟して赤ピーマンになると、その含有量はさらに増加します。
しかし、赤パプリカの栄養価はそれを上回ります。
文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によると、可食部100gあたりの主な栄養素は以下の通りです。
| 栄養素(100gあたり) | 赤ピーマン | パプリカ(赤) | 緑ピーマン |
|---|---|---|---|
| エネルギー | 28 kcal | 28 kcal | 20 kcal |
| ビタミンC | 100 mg | 170 mg | 76 mg |
| β-カロテン | 710 µg | 1100 µg | 400 µg |
| ビタミンE(α-トコフェロール) | 0.8 mg | 4.3 mg | 0.7 mg |
このように、赤パプリカは赤ピーマンと比較しても、抗酸化作用の強いビタミンC、ビタミンE、β-カロテン(体内でビタミンAに変わる)が圧倒的に豊富であることがわかりますね。
赤ピーマン特有の栄養は?
赤ピーマンには、緑ピーマンが完熟する過程で生成されるカプサンチンという赤い色素成分が豊富に含まれます。カプサンチンは、唐辛子の辛み成分であるカプサイシンとは異なり、辛みはありません。
カプサンチンには強力な抗酸化作用があり、健康維持に役立つとされています。もちろん、このカプサンチンは赤パプリカにも含まれています。
料理での使い分けとおすすめレシピ
加熱して鮮やかな色と食感を残したい場合は「パプリカ」が適しています。一方、ピーマン特有の風味を活かしつつ彩りを加えたい場合は「赤ピーマン」が向いています。
味、食感、栄養価の違いを理解すると、料理での使い分けも明確になります。
赤ピーマンが活きる料理
赤ピーマンは果肉が薄く、火が通りやすいのが特徴です。また、緑ピーマンの風味も残っているため、緑ピーマンと一緒に使うと料理に統一感が出ます。
- チンジャオロース(青椒肉絲):緑ピーマンと一緒に細切りにして使うと、彩りが豊かになり、ピーマンらしい風味も損ないません。
- ナポリタン:緑ピーマン、玉ねぎ、ソーセージと一緒に炒める定番の具材です。
- 野菜炒め:火が通りやすいため、他の野菜と炒める時間を合わせやすいです。
パプリカが活きる料理
パプリカは肉厚で甘みが強いため、その存在感を活かした料理に最適です。加熱しても煮崩れしにくく、生食にも向いています。
- サラダ・マリネ:生食がおすすめです。肉厚でジューシーな食感と強い甘みが、ドレッシングとよく合います。
- ラタトゥイユ:トマトやナスと一緒にじっくり煮込む料理です。煮崩れしにくく、料理に甘みとコクを加えてくれます。
- 肉詰め:大型で形がしっかりしているため、ピーマンの肉詰めよりも豪華な仕上がりになります。
- グリル(焼き野菜):オーブンやグリルで焼くと、甘みがさらに凝縮されます。
旬・産地・保存・価格の違い
赤ピーマンは緑ピーマンよりも栽培に時間がかかるため、価格は高めです。パプリカは輸入品が多く、年間を通して価格が安定していますが、国産品は夏から秋が旬です。
旬・産地
ピーマン(赤ピーマン含む)の旬は夏(6月〜9月)です。高知県や宮崎県、茨城県などが主な産地です。
パプリカは、オランダ、韓国、ニュージーランドなどからの輸入品が年間を通して多く流通しています。国産品も増えており、旬は夏から秋にかけてです。
価格
赤ピーマンは、緑ピーマンよりも栽培に時間がかかり、収穫量も少なくなるため、価格は緑ピーマンより高く設定されています。
パプリカもピーマンに比べると高価ですが、輸入品が多いため価格は比較的安定しています。
保存方法
どちらも乾燥に弱いため、キッチンペーパーなどで包んでからポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存するのがおすすめです。パプリカは肉厚な分、赤ピーマンよりも日持ちする傾向があります。
起源・歴史的背景|ピーマンが完熟すると赤くなる?
ピーマンもパプリカもコロンブスによってヨーロッパに持ち込まれた「とうがらし」が起源です。ピーマンはアメリカで品種改良され、パプリカはハンガリーで肉厚・甘みの強い品種として発展しました。
ピーマンとパプリカの歴史は、1493年にコロンブスが中南米から「とうがらし」をヨーロッパに持ち帰ったことに始まります。
当初は辛みのある品種が主流でしたが、ヨーロッパ各地で品種改良が進むにつれ、辛みのない品種が生まれます。
ピーマンは、アメリカで品種改良されたものが日本に伝わりました。日本では戦後、栄養価の高さから給食などを通じて普及しましたが、特有の苦みから長らく子供の嫌いな野菜の代表格でした。緑色の未熟な状態で食べるのが一般的でしたが、近年では完熟させた赤ピーマンの甘みや栄養価も注目されています。
パプリカは、特にハンガリーで品種改良が盛んに行われました。ハンガリー料理の「グヤーシュ」に欠かせないスパイス(粉末パプリカ)の原料として発展し、同時に大型で肉厚な野菜(生食用)としても定着しました。日本には1990年代にオランダからの輸入が始まり、そのカラフルな見た目と甘さから急速に普及しました。
体験談|赤ピーマンとパプリカを食べ比べてみた
僕も以前、この二つの違いがよく分からず、料理で失敗した経験があります。
それは、彩りのためにラタトゥイユ(野菜の煮込み)を作ろうとした時のことです。スーパーで赤パプリカを買うつもりでしたが、価格が少し安かった「赤ピーマン」で代用できるだろう、と安易に考えてしまいました。
緑ピーマンやナス、ズッキーニと一緒に赤ピーマンを煮込み始めたのですが、赤ピーマンは果肉が薄いため、すぐに煮崩れて形がなくなってしまったのです。
完成したラタトゥイユは、パプリカを使ったときのような具材のゴロゴロ感がなく、どことなく緑ピーマンの青臭い香りが残る、少し残念な仕上がりになってしまいました。
それ以来、「煮込み料理やサラダには肉厚なパプリカ」「炒め物には赤ピーマン」という使い分けを徹底しています。見た目が似ていても、適した調理法が全く違うことを実感した体験でしたね。
赤ピーマンとパプリカの違いに関するFAQ(よくある質問)
赤ピーマンとパプリカ、結局は同じ野菜なんですか?
A. 植物分類上は「同じナス科トウガラシ属」の仲間です。ただし、スーパーで売られている野菜としては、赤ピーマンが「緑ピーマンの完熟品」であるのに対し、パプリカは「大型で甘い別品種」として区別されています。
緑ピーマンが赤ピーマンになるまで、どれくらい時間がかかりますか?
A. 緑ピーマンを収穫しないでそのまま樹に成らせておくと、気候にもよりますが約20日〜1ヶ月ほどで赤く色づき始め、完熟した赤ピーマンになります。
栄養価がより高いのはどちらですか?
A. どちらも栄養豊富ですが、赤パプリカの方が栄養価は高いです。特にビタミンC、ビタミンE、β-カロテンの含有量が赤ピーマンを大きく上回っています。
まとめ|赤ピーマンとパプリカ、目的別の選び方
赤ピーマンとパプリカの違い、スッキリ整理できたでしょうか?
どちらも同じ「甘とうがらし」の仲間でありながら、品種、味、食感、栄養価、そして最適な調理法が異なります。
【赤ピーマンを選ぶべき時】
- 緑ピーマンと一緒に炒め物に使いたい時(チンジャオロース、ナポリタンなど)
- ピーマン特有の風味を残しつつ、彩りを加えたい時
- 火を通りやすく、しなやかな食感が欲しい時
【パプリカを選ぶべき時】
- サラダやマリネなど、生で食べたい時
- 煮込み料理(ラタトゥイユ)やグリルで、肉厚な食感と甘みを楽しみたい時
- 苦みや青臭さがなく、強い甘みが欲しい時
- より多くのビタミンCやEを摂取したい時
それぞれの個性を理解して使い分けることで、料理がもっと美味しく、彩り豊かになりますよ。
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