「バイ貝」と「つぶ貝」の違いとは?毒性・味・食感・値段を徹底比較

居酒屋のお通しや刺身、煮付けなどで人気の「バイ貝」と「つぶ貝」。

どちらもコリコリとした食感が美味しい巻貝ですが、この二つを同じものだと思っていたり、違いがよくわからなかったりしませんか?

見た目が似ているため混同されがちですが、実は生物学的な「科」が異なり、特に「毒(唾液腺)の有無」という非常に重要な違いがあります。

この記事を読めば、バイ貝とつぶ貝の分類から、味、食感、価格、そして最も大切な「安全な食べ方」まで、その違いがスッキリとわかります。もうこの二つの貝の違いに迷うことはありません。

結論:「バイ貝」と「つぶ貝」の違いを一言で

【要点】

最大の違いは「分類(科)」と「毒性の有無」です。一般に「つぶ貝」と呼ばれる貝の多く(エゾバイ科)は唾液腺に毒(テトラミン)を持つため調理前の除去が必須ですが、「バイ貝」(バイ科)は基本的に無毒です。また、食感は「つぶ貝」の方が圧倒的にコリコリ感が強いです。

非常にざっくりと言えば、「つぶ貝」は毒(通称アブラ)を持っている可能性が高く、下処理が必須な貝。「バイ貝」は基本的にその心配がない貝、と区別できます。

ただし、市場での流通名が曖昧なこともあるため、注意が必要です。食感の違いも明確で、刺身などで強い歯ごたえ(コリコリ感)を楽しむなら「つぶ貝」、上品な旨味と柔らかめの食感を楽しむなら「バイ貝」が向いています。

比較一覧表:「バイ貝」と「つぶ貝」の主な違い

【要点】

「バイ貝」はバイ科、「つぶ貝」はエゾバイ科の巻貝の総称です。最大の違いは毒性で、つぶ貝の多くは唾液腺にテトラミン毒を持つため除去が必須ですが、バイ貝は無毒です。

一目で違いがわかるように、代表的な特徴を一覧表にまとめました。

項目バイ貝つぶ貝
分類軟体動物門 腹足綱 バイ科軟体動物門 腹足綱 エゾバイ科
毒性(唾液腺)基本的に無毒多くが有毒(テトラミン)
主な種類バイ(本バイ)、シライトバイ(白バイ)、クロバイ(黒バイ)などエゾボラモドキ(真つぶ)、ヒメエゾボラ(灯台つぶ)、エゾボラ(毛つぶ)など
主な食感やや柔らかめ、上品な歯ごたえ非常に強いコリコリ感、硬め
主な味上品な甘み、旨味強い甘み、磯の香り
主な産地日本海側(福井、石川、富山など)北海道、東北、オホーツク海など(寒流系)
価格帯高価(特に白バイは高級品)種類による(安価なものから高価なものまで)
主な調理法煮付け、おでん、刺身、酒蒸し刺身、寿司、バター焼き、串焼き

定義・分類・生態の違い

【要点】

「バイ貝」はバイ科の貝の総称で、主に日本海側の砂泥底に生息します。「つぶ貝」はエゾバイ科の貝の総称で、主に北海道など北の冷たい海の岩礁域や砂礫底に生息する貝です。

まず知っておくべきは、この二つが生物学的に異なるグループに属しているという点です。

「バイ貝」とは?(バイ科)

「バイ貝」は、バイ科に属する巻貝の総称です。

代表的なものに「バイ(本バイ)」や、より高価な「シライトバイ(白バイ)」、殻が黒っぽい「クロバイ(黒バイ)」などがあります。殻は比較的丸みを帯びており、表面が滑らかな種類が多いのが特徴です。

主な生息地は日本海側や北海道南部以南の、水深10〜100メートルほどの砂泥底です。肉食性で、他の貝類やゴカイなどを食べます。

「つぶ貝」とは?(エゾバイ科)

「つぶ貝(ツブ)」は、エゾバイ科に属する巻貝の総称で、非常に多くの種類が含まれます。

市場で「真つぶ」と呼ばれる高級な「エゾボラモドキ」や、「灯台つぶ」として知られる「ヒメエゾボラ」、殻に毛が生えているような「エゾボラ(毛つぶ)」などが有名です。

殻はゴツゴツしていたり、角が張っていたりする種類が多く、バイ貝に比べて厳つい(いかつい)見た目をしています。

北海道や東北、オホーツク海、ベーリング海といった冷たい海域に広く分布しており、岩礁域や砂礫底に生息しています。バイ貝と同じく肉食性です。

最重要:「バイ貝」と「つぶ貝」の毒性(唾液腺)の違い

【要点】

「つぶ貝」の仲間(エゾバイ科)の多くは、唾液腺(アブラ)にテトラミンという毒を持ちます。この毒は加熱しても消えないため、調理前に必ず除去しなければなりません。一方、「バイ貝」(バイ科)の唾液腺は無毒とされています。

この違いは、食の安全に関わる最も重要なポイントです。

「つぶ貝」と呼ばれるエゾバイ科の貝の多くは、唾液腺(だえきせん)に「テトラミン」という神経毒を持っています。この部分は俗に「アブラ」と呼ばれます。

テトラミンは加熱しても分解されません。もしこの唾液腺(アブラ)を食べると、食後30分〜1時間ほどで、頭痛、めまい、船酔いのような症状、視覚異常(物が二重に見える)などを引き起こす可能性があります。

そのため、つぶ貝を調理する際は、必ずこの唾液腺を除去しなければなりません。貝殻から身を取り出した後、身の部分に切り込みを入れ、黄色っぽく見える唾液腺を取り除きます。スーパーの刺身や寿司店で提供されるつぶ貝は、この下処理が済んでいます。

一方、「バイ貝」(バイ科)の唾液腺には、このテトラミン毒は含まれていないとされています。

ただし、市場では「ツブ貝」として売られるべき貝が「バイ貝」として流通したり、その逆があったりと、呼称が混同されている場合があります。特に個人で採取したり、産地直売所などで下処理されていない貝を購入したりした場合は、貝の種類を正確に特定できない限り、安全のために唾液腺(アブラ)は除去するのが最も賢明です。

味・食感・可食部の違い

【要点】

食感の差は歴然です。「つぶ貝」は非常に強いコリコリとした歯ごたえが特徴ですが、「バイ貝」はそれと比べると柔らかく、上品な甘みと旨味があります。

毒性の次に大きな違いが、この「食感」です。

バイ貝の味と食感

バイ貝の身は、つぶ貝に比べると柔らかく、しなやかな歯ごたえです。もちろん貝特有の食感はありますが、硬すぎず、上品な印象を受けます。

味は、クセがなく、じんわりとした優しい甘みと旨味が特徴です。特に煮付けにすると、身がふっくらと柔らかくなり、出汁の味が染み込んで絶品です。

つぶ貝の味と食感

つぶ貝の最大の魅力は、非常に強いコリコリとした食感です。噛むほどに磯の香りと強い甘みが口の中に広がります。

この歯ごたえは、バイ貝では味わえない独特のもので、刺身や寿司ネタとして非常に人気があります。熱を加えても身が縮みにくく、しっかりとした食感を保つのも特徴で、バター焼きや串焼きにも向いています。

主な種類・産地・価格の違い

【要点】

「バイ貝」は主に日本海側で獲れ、特に「白バイ」は高級品として扱われます。「つぶ貝」は北海道や東北が主産地で、種類が非常に多く、価格も安価なものから高級な「真つぶ」まで様々です。

「バイ貝」と一口に言っても、「本バイ(バイ)」、高級料亭などで使われる「シライトバイ(白バイ)」、少し小ぶりな「クロバイ(黒バイ)」などがあります。主な産地は福井県、石川県、富山県、島根県など日本海側が中心です。特に白バイは高値で取引されます。

「つぶ貝」は、その種類が非常に多いのが特徴です。北海道で最も高級とされる「エゾボラモドキ(真つぶ)」、比較的安価でスーパーなどでもよく見かける「ヒメエゾボラ(灯台つぶ)」、殻がゴツゴツした「エゾボラ(毛つぶ)」など、多様な貝が「つぶ貝」という総称で流通しています。産地は北海道や東北が中心です。

使い方・料理での扱い方の違い

【要点】

毒処理が必須の「つぶ貝」は、その強い食感を活かして刺身や寿司、バター焼きが定番です。「バイ貝」は上品な旨味を活かし、煮付けやおでんの具、酒蒸しなどにすると、その柔らかさと味の良さが引き立ちます。

どちらも美味しい貝ですが、その特性を活かす調理法は少し異なります。

バイ貝のおすすめ料理

上品な旨味と柔らかめの食感を活かすため、じっくりと味を含ませる料理に向いています。

  • 煮付け:最も定番の食べ方。甘辛い出汁で煮込むことで、身がふっくらと仕上がります。
  • おでんの具:富山など北陸のおでんには欠かせない具材です。
  • 酒蒸し・うま煮:貝本来の味をシンプルに楽しめます。

つぶ貝のおすすめ料理

※調理前に必ず唾液腺(アブラ)の除去が必要です。

強い食感と甘みをダイレクトに味わう料理が人気です。

  • 刺身・寿司:コリコリとした食感と磯の香りを最大限に楽しめます。
  • バター焼き・エスカルゴ風:加熱することで甘みが増し、バターやニンニクとの相性が抜群です。
  • 串焼き:屋台や居酒屋の定番メニュー。香ばしさが加わります。

体験談:居酒屋で「アブラ抜き」を教わった日

僕が「バイ貝」と「つぶ貝」の違いを強烈に意識したのは、北海道旅行で訪れた居酒屋での出来事でした。

メニューに「活つぶ貝刺し」とあり、注文したところ、大将が水槽から大きなつぶ貝を取り出し、目の前で殻を割って捌き始めました。

その時、身の一部を器用に指でつまみ出し、「はい、これアブラね。毒だから食べちゃダメだよ」と捨てたのです。それが「唾液腺」だと知ったのは後日ですが、毒がある貝を食べているという事実に少し驚きました。

しかし、出てきた刺身の美味しかったこと!今まで食べていた貝とは比べ物にならないほどの強いコリコリ感と、噛むほどに広がる甘みに感動しました。

一方で、地元の金沢でおでんを食べた時に入っていた「バイ貝」は、同じ巻貝なのに全く違いました。身はふっくらと柔らかく、おでんの出汁を吸い込んで、噛むと上品な旨味がジュワッと溢れ出します。

この二つの体験から、「つぶ貝=コリコリ・刺身・毒注意」「バイ貝=ふっくら・煮込み・安心」というイメージが、僕の中で明確に分かれました。

「バイ貝」と「つぶ貝」に関するよくある質問

バイ貝とつぶ貝の違いについて、よくある質問をまとめました。

「アブラ」と呼ばれる毒は何ですか?

主に「つぶ貝」(エゾバイ科)の唾液腺に含まれる「テトラミン」という毒です。食べると頭痛やめまいを引き起こすことがあり、加熱しても分解されないため、調理前に必ず唾液腺を除去する必要があります。

バイ貝には本当に毒はないのですか?

はい、「バイ貝」(バイ科)の仲間(本バイ、白バイなど)の唾液腺には毒がないとされています。ただし、市場では毒を持つ「つぶ貝」の仲間が「バイ貝」として売られている可能性もゼロではないため、エゾバイ科の貝(つぶ貝)と判断に迷う場合は、安全のために唾液腺を除去するのが賢明です。

食感で一番違う点は何ですか?

「つぶ貝」の方が圧倒的にコリコリとした歯ごたえが強いです。「バイ貝」は、つぶ貝に比べると身が柔らかく、上品な旨味と甘みがあります。

お寿司屋さんでよく見るのはどっちですか?

強いコリコリ感が好まれるため、寿司ネタや刺身として使われるのは「つぶ貝」(エゾバイ科の貝)であることが多いです。

まとめ:用途と安全性を理解して使い分けよう

「バイ貝」と「つぶ貝」の違い、ご理解いただけたでしょうか。

この二つは、見た目こそ似ていますが、生物学的な分類から異なり、味、食感、そして何よりも「毒性」において明確な違いがあります。

  • バイ貝(バイ科):基本的に無毒。食感は柔らかめで上品な旨味。煮付けやおでんに最適。
  • つぶ貝(エゾバイ科):多くが唾液腺に毒(テトラミン)を持つため除去が必須。食感は非常に強いコリコリ感。刺身や寿司、バター焼きに最適。

特にご家庭で「つぶ貝」と称される貝を調理する際は、必ず唾液腺(アブラ)の除去を忘れないようにしてください。正しい知識を持って、それぞれの貝の美味しさを安全に楽しみましょう。

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