スーパーのハーブコーナーで、「バジル」と書かれたパックと「スイートバジル」と書かれたパックを見つけて、何が違うんだろう?と悩んだことはありませんか。
どちらも同じように見えますが、使い分けがあるのか気になりますよね。
結論から言うと、「バジル」はシソ科のハーブ全体の「総称」であり、「スイートバジル」はそのバジルの中の「代表的な一品種」を指します。
実は、私たちが日本で「バジル」と呼んでイタリア料理などに使っているもののほとんどが、この「スイートバジル」なんです。
この記事を読めば、この「全体」と「品種」という関係性から、他のバジル品種(タイ料理に使うガパオなど)との具体的な違い、料理での使い分けまで、もう迷うことなくスッキリと理解できますよ。
それでは、まず両者の関係性を比較表で見ていきましょう。
結論|「バジル」と「スイートバジル」の違いが一目でわかる比較表
「バジル」は、シソ科メボウキ属に分類されるハーブ全体の「総称」です。一方、「スイートバジル」は、そのバジルという大きなカテゴリの中に含まれる「品種名」の一つです。日本で「バジル」として流通しているものの多くが、この「スイートバジル」品種を指しています。
まずは、「バジル」という言葉が指す範囲と、「スイートバジル」という品種の特徴を一覧表にまとめました。
| 項目 | バジル(総称) | スイートバジル(品種) |
|---|---|---|
| 分類・定義 | シソ科メボウキ属の総称 | バジルの中の一品種 |
| 指し示す範囲 | スイートバジル、ホーリーバジル、レモンバジルなど数百種類を含む全体 | バジルの中の特定の品種(日本で最も主流) |
| 主な品種 | 上記参照 | (スイートバジル自体が品種名) |
| 主な香り | 品種により様々(甘い、スパイシー、柑橘系など) | 甘く爽やかな香り |
| 主な用途 | 品種により様々(イタリア料理、タイ料理、ハーブティーなど) | イタリア料理(カプレーゼ、ジェノベーゼ) |
| 別名 | バジリコ、メボウキ(目箒) | (特になし) |
このように、「バジル」という大きな枠組みの中に「スイートバジル」が含まれているんですね。次に、この関係性について詳しく解説します。
「バジル」と「スイートバジル」の定義と関係性の違い
「バジル」は、シソ科メボウキ属(Ocimum)に分類される植物の総称で、数百もの品種が存在します。「スイートバジル」は、その中で最もポピュラーな品種で、イタリア料理やフランス料理で広く使われる、私たちが最もよく知る「バジル」です。
「バジル」とは?(シソ科メボウキ属の総称)
「バジル(Basil)」は、シソ科メボウキ属に属するハーブの「総称」です。原産地はインドや熱帯アジアで、世界中には数百種類もの品種が存在すると言われています。
日本のシソ(大葉)も同じシソ科ですが、属が異なるため近縁種ではあるものの、香りや使い方は異なります。
ちなみに、バジルをイタリア語で言うと「バジリコ(Basilico)」となります。「ジェノベーゼ(ペスト・ジェノヴェーゼ)」が「バジリコを使ったソース」と呼ばれるのはこのためです。つまり、「バジル」と「バジリコ」は言語が違うだけで、同じものを指します。
「スイートバジル」とは?(バジルの代表品種)
「スイートバジル(Sweet Basil)」は、その名の通り、「甘い(Sweet)」香りが特徴の、バジルの中で最も広く栽培されている代表的な品種です。
葉は柔らかく、ツヤがあり、爽やかで甘い独特の香りを持っています。この香りがトマトやチーズ、オリーブオイルとの相性が抜群であることから、イタリア料理を中心に世界中で愛用されています。
結論:「スイートバジル」は「バジル」の代表選手
この関係を例えるなら、「りんご」と「ふじ」の関係に似ています。「バジル」が「りんご」という大きなカテゴリだとすれば、「スイートバジル」は「ふじ」という個別の品種名に当たります。
日本では「バジル」=「スイートバジル」という認識が非常に強いため、スーパーで単に「バジル」として売られているものは、ほぼ100%「スイートバジル」品種のことだと考えて問題ありません。
スイートバジルと他の主なバジル品種との違い
バジルには多くの品種があり、香りが全く異なります。スイートバジルは「甘く爽やかな香り」ですが、タイ料理のガパオライスに使われる「ホーリーバジル(ガパオ)」は「スパイシーで野性的な香り」がします。他にも「レモンバジル」や「シナモンバジル」など、香りが名前の由来になっているものも多いです。
「バジル」という総称が使われるのは、スイートバジル以外にも個性的な品種がたくさんあるからです。料理で使い分ける上で重要な、代表的なバジルの仲間を紹介します。
見た目(葉の形・色)
スイートバジル:
葉は丸みを帯びた卵型で、色は鮮やかな緑色。表面にはツヤがあります。
ホーリーバジル(ガパオ):
葉はスイートバジルよりやや細長く、縁がギザギザしているのが特徴。茎や葉が紫色を帯びる品種(赤ガパオ)と、緑色の品種(白ガパオ)があります。
その他の品種:
「レモンバジル」は細長い葉、「ダークオパールバジル」は名前の通り濃い紫色の葉をしています。
味と香り(スイートバジル vs ホーリーバジルなど)
ここが品種ごとの最大の違いです。
スイートバジル:
アニス(八角)にも似た、甘く爽やかで、まろやかな香りが特徴です。辛味や苦味はほとんどありません。
ホーリーバジル(ガパオ):
「聖なるバジル」とも呼ばれ、インドでは神聖なハーブとされています。香りはスイートバジルとは全く異なり、クローブ(丁子)に似たスパイシーで野性的な香りがします。加熱することでその香りが一層引き立ちます。
主なバジルの種類と特徴
| 品種名 | 主な特徴(香り・味) | 主な用途 |
|---|---|---|
| スイートバジル | 甘く爽やかな香り。イタリア料理の定番。 | カプレーゼ、ジェノベーゼ、ピザ |
| ホーリーバジル(ガパオ) | スパイシーで野性的な香り。加熱向き。 | タイ料理(ガパオライス) |
| レモンバジル | レモンのような柑橘系の爽やかな香り。 | 魚料理、鶏肉料理、ハーブティー |
| シナモンバジル | シナモンのような甘くスパイシーな香り。 | お菓子、ハーブティー、エスニック料理 |
| ダークオパールバジル | スイートバジルより香りは弱め。紫の色付け用。 | サラダの彩り、ハーブビネガー |
バジル(スイートバジル)の栄養・成分・健康面
バジル(スイートバジル)は、栄養価が非常に高いハーブです。特に、体内でビタミンAに変換されるβ-カロテンが極めて豊富に含まれます。また、骨の健康に関わるビタミンKや、カリウム、カルシウムも多く含んでいます。
ここでは、最も一般的な「スイートバジル(生)」の栄養について解説します。
バジルは、料理の彩りや香り付けだけでなく、栄養面でも非常に優秀な緑黄色野菜です。
- β-カロテン:生100gあたり6300μgと、野菜全体の中でもトップクラスの含有量を誇ります。β-カロテンは、体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜、目の健康を保つのに役立ちます。
- ビタミンK:骨の形成を助けるビタミンKも豊富です。
- カリウム・カルシウム:ミネラル類もバランスよく含んでいます。
また、バジル特有の香り成分(リナロール、エストラゴールなど)には、リラックス効果や食欲増進、消化を助ける働きがあるとも言われています。
使い方・料理での扱い方の違い
「バジル」という言葉で迷ったら、料理のジャンルで使い分けましょう。「スイートバジル」はイタリア料理(トマト、チーズ、オリーブオイル)に。「ホーリーバジル(ガパオ)」はタイ料理(ナンプラー、唐辛子)に使うのが鉄則です。
品種によって香りが全く異なるため、料理のジャンルに合わせて使い分けることが非常に重要です。
スイートバジルが向いている料理(イタリア料理)
私たちが「バジル」と聞いてイメージする料理は、ほぼ全てスイートバジルです。その甘く爽やかな香りは、特にトマトとの相性が抜群です。
- 生で:カプレーゼ(トマトとモッツァレラチーズのサラダ)、サラダ、サンドイッチ
- ソースで:ジェノベーゼ(バジルソース)のパスタやソース
- 加熱して:ピッツァ・マルゲリータ、トマトソースのパスタ
ポイント:スイートバジルの爽やかな香りは熱で飛びやすいため、加熱調理の際は、火を止める直前に入れるか、仕上げに生の葉を散らすのがおすすめです。
ホーリーバジルが向いている料理(タイ料理)
タイ料理の定番「ガパオライス」は、この「ホーリーバジル」を使わなければ本物の味にはなりません。「ガパオ(Kaprao)」とは、タイ語でホーリーバジルのこと。「ガパオライス」は「バジル炒めごはん」という意味なんですね。
- 炒め物:ガパオライス(鶏肉や豚肉のバジル炒め)
ポイント:ホーリーバジルは、油で炒めることで、そのスパイシーな香りが最大限に引き出されます。スイートバジルのように仕上げに加えるのではなく、ナンプラーや唐辛子と一緒に具材としてしっかり炒めるのが特徴です。
その他のバジルの使い分け
- レモンバジル:爽やかな酸味のある香りを活かし、魚のムニエルや鶏肉のソテー、ハーブティーに。
- シナモンバジル:甘い香りを活かし、アップルパイやクッキーなどのお菓子、またはハーブティーに使われます。
バジルの旬・産地・保存方法
バジルの旬は、露地物が出回る夏(6月〜9月頃)です。ハウス栽培により通年流通していますが、夏場が最も香りが強くなります。主な産地は千葉県、愛知県、大分県など。乾燥と低温に非常に弱いため、冷蔵庫で保存する際は注意が必要です。
主な産地と旬の時期
バジルは熱帯原産のため、暖かい気候を好みます。露地栽培の旬は夏(6月〜9月頃)で、この時期のバジルは葉も大きく、香りも最も強くなります。
現在はハウス栽培が主流で、一年中安定して手に入ります。主な産地は千葉県、愛知県、大分県、静岡県などです。
正しい保存方法
バジルは乾燥と低温(10℃以下)に非常に弱いデリケートなハーブです。冷蔵庫にそのまま入れると、すぐに葉が黒ずんで(低温障害)香りが飛んでしまいます。
短期保存(2〜3日):
コップや瓶に少量の水を入れ、バジルの茎を挿して、常温(夏場以外)の明るい場所に置いておきます。花瓶に花を生けるのと同じですね。
冷蔵保存(1週間程度):
葉が乾燥しないよう、濡らしたキッチンペーパーでバジル全体をふんわりと包みます。それをポリ袋や密閉容器に入れ、冷蔵庫の野菜室(冷気が直接当たらない場所)で保存します。
長期保存(冷凍・乾燥):
使いきれない場合は、葉を摘んでオリーブオイルと一緒にミキサーにかけてペースト状にし、製氷皿で凍らせて「バジルキューブ」にするのがおすすめです。乾燥バジルにすることもできますが、スイートバジルの爽やかな香りは失われがちです。
起源・歴史・文化的背景
バジルの原産地はインドや熱帯アジアで、その歴史は5000年以上とも言われています。インドでは「ホーリーバジル」が神聖なハーブとして崇拝されてきました。ヨーロッパにはアレキサンダー大王によって伝えられ、特にイタリアで「スイートバジル」が料理に欠かせないハーブとして定着しました。
バジルは、最も歴史の古いハーブの一つです。原産地のインドでは、特に「ホーリーバジル(トゥルシー)」が、ヒンドゥー教において女神ラクシュミーの化身として神聖視され、宗教儀式や伝統医学(アーユルヴェーダ)で古くから用いられてきました。
ヨーロッパへは、紀元前にアレキサンダー大王の遠征によって伝わったとされています。古代ギリシャやローマでは薬草として使われていました。
その後、イタリアで料理、特にトマトとの相性の良さが発見され、「スイートバジル」が誕生。イタリア料理の発展とともに、世界中に「バジリコ」の名で広まっていきました。
【体験談】ガパオライスで知った「ホーリーバジル」との違い
僕も以前は、「バジル=スイートバジル」としか思っていませんでした。家でタイ料理の「ガパオライス」を作ろうと思った時も、当然のようにスーパーで「バジル」(スイートバジル)を買ってきて作っていたんです。
ナンプラーと唐辛子で炒めると、それらしい香りはするんですが、どうもお店で食べるような、あの独特のスパイシーでパンチのある香りが出ない。「何か違うんだよな…」と常々思っていました。
ある日、本格的なアジア食材店に行く機会があり、そこで「ガパオ(ホーリーバジル)」という名前のハーブを見つけました。試しに買って帰り、それでガパオライスを作ってみて、衝撃を受けました。
油で炒めた瞬間、スイートバジルの「爽やかさ」とは全く違う、「野性的でスパイシーな香り」がキッチンに充満したんです。これこそが、僕が求めていた本場のガパオの香りでした。
この経験から、同じ「バジル」という名前がついていても、スイートバジルとホーリーバジルは全くの別物であり、料理のジャンルによって品種を使い分けることが絶対的に重要なんだと学びました。イタリアンにはスイートバジル、ガパオライスにはホーリーバジル(ガパオ)。この使い分けは、今では僕の料理の鉄則です。
バジルとスイートバジルの違いに関するよくある質問(FAQ)
Q1. 結局、「バジル」と「スイートバジル」は同じものですか?
A. ほぼ同じもの、として使われることが多いです。厳密には「バジル」はハーブ全体の総称で、「スイートバジル」はその中の一品種です。ただ、日本ではバジル=スイートバジルという認識が一般的なので、スーパーで「バジル」と売られていたら、それは「スイートバジル」のことだと考えて大丈夫ですよ。
Q2. 「バジル」と「バジリコ」の違いは何ですか?
A. 言語が違うだけで、同じものを指します。「バジル」は英語(Basil)、「バジリコ」はイタリア語(Basilico)です。どちらも、主に「スイートバジル」のことを指して使われます。
Q3. ガパオライスに使うのは、スイートバジルでも代用できますか?
A. 代用は可能ですが、本場の味にはなりません。ガパオライスに必須なのは「ホーリーバジル(ガパオ)」のスパイシーな香りです。スイートバジルで代用すると、爽やかで優しい風味の「バジル炒めごはん」になります。それはそれで美味しいですが、ガパオライスとは別の料理になりますね。
まとめ|バジルとスイートバジル、料理に合わせた選び方
バジルとスイートバジルの違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
基本的には、「バジル」は大きなカテゴリ名、「スイートバジル」はその中の代表的な品種名、と覚えておけば間違いありません。日常生活で「バジル」と言えば、ほとんどの場合「スイートバジル」を指しています。
大切なのは、バジルには他にもたくさんの仲間がいて、それぞれ香りが全く異なるという点です。
- イタリア料理(カプレーゼ、パスタなど):「スイートバジル(バジル、バジリコ)」
- タイ料理(ガパオライス):「ホーリーバジル(ガパオ)」
この使い分けさえ押さえておけば、それぞれの料理の本格的な香りを最大限に引き出すことができます。ぜひ、品種ごとの香りの違いを楽しんでみてくださいね。
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