カフェオレとカフェラテ、どちらも「ミルク入りのコーヒー」として、カフェメニューの定番ですよね。
名前が似ているので、「なんとなくオシャレな方がラテ？」といった曖昧なイメージで注文していませんか？
一言でいえば、両者の決定的な違いは「ベースのコーヒー」と「ミルクの種類」です。
「カフェオレ」は、フランス語で「ドリップコーヒー（普通のコーヒー）」に「温めたミルク（ホットミルク）」を加えたものです。
一方、「カフェラテ」は、イタリア語で「エスプレッソ」に「蒸気で泡立てたミルク（スチームミルク）」を加えたものを指します。
この違いが、味わいの「マイルドさ」と「コーヒーのコク」という大きな差を生み出しているんです。
この記事を読めば、その歴史的な背景から、味、カフェイン量、そしてラテアートの秘密まで、二つの違いがスッキリと理解できますよ。
まずは、その決定的な違いを一覧表で比較してみましょう。
結論｜カフェオレとカフェラテの違いを一言でまとめる
「カフェオレ」と「カフェラテ」の最も大きな違いは、①ベースのコーヒーと②使用するミルクです。「カフェオレ（Café au lait）」はフランス式で、ドリップコーヒー（普通のコーヒー）に温めた牛乳（ホットミルク）を1:1で割るのが基本です。「カフェラテ（Caffè Latte）」はイタリア式で、エスプレッソに蒸気で泡立てた牛乳（スチームミルク）を8:2の割合で注ぎます。
簡単に言えば、「カフェオレ」はマイルドなドリップコーヒーがベース、「カフェラテ」は濃厚なエスプレッソがベース、と覚えておくと分かりやすいですね。
| 項目 | カフェオレ | カフェラテ |
|---|---|---|
| 語源 | フランス語（Café au lait） | イタリア語（Caffè Latte） |
| ベースコーヒー | ドリップコーヒー | エスプレッソ |
| ミルクの種類 | 温めた牛乳（ホットミルク） | スチームミルク（蒸気で泡立てたミルク） |
| 比率（コーヒー:ミルク） | 1 : 1（が基本） | 2 : 8（ミルクが主体） |
| 味わい | マイルド、コーヒーとミルクが半々 | 濃厚、エスプレッソのコクとミルクの甘み |
| 主な用途 | 朝食、日常的な飲み物 | カフェでの一杯、ラテアート |
定義・原材料・ベースのコーヒーの違い
「カフェオレ」は、ペーパードリップやフレンチプレスで淹れたドリップコーヒー（抽出液）がベースです。「カフェラテ」は、専用のマシンで高圧・短時間で抽出したエスプレッソがベースとなります。このベースコーヒーの違いが、味わいの根本的な違いを生みます。
「カフェオレ（Café au lait）」とは？｜ドリップコーヒー＋ホットミルク
「カフェオレ（Café au lait）」はフランス語で、「Café（コーヒー）」に「au lait（牛乳入りの）」が付いた、文字通り「牛乳入りコーヒー」を意味します。
ベースとなるのは、私たちが家庭でよく飲む、ペーパードリップやフレンチプレスで淹れた「ドリップコーヒー」です。（ネルドリップで淹れたものを使うこともあります）。
このドリップコーヒーと、小鍋などで温めた「ホットミルク」を、1:1の割合で合わせるのが伝統的なスタイルです。コーヒーとミルクを両方のポットから同時に注ぎ入れるのが本場流とも言われていますね。
「カフェラテ（Caffè Latte）」とは？｜エスプレッソ＋スチームミルク
「カフェラテ（Caffè Latte）」はイタリア語で、「Caffè（コーヒー）」と「Latte（牛乳）」を意味します。（※本場イタリアで「Latte」とだけ注文すると、ただの牛乳が出てくるので注意が必要ですよ）
ベースとなるのは、エスプレッソマシンで高圧をかけて短時間で抽出した、濃厚な「エスプレッソ」です。
このエスプレッソ（約20%）に対して、エスプレッソマシンの蒸気（スチーム）で温めながら空気を含ませた、きめ細かく泡立った「スチームミルク」（約80%）をたっぷりと注ぎます。
エスプレッソの濃厚なコクと、スチームミルクの自然な甘みが特徴の飲み物です。
味・香り・カフェイン・ミルクの違い
「カフェオレ」は、ドリップコーヒーのすっきりした苦味・酸味とミルクが調和し、全体的にマイルドで優しい味わいです。「カフェラテ」は、濃厚なエスプレッソをベースにするため、ミルクの量が多くてもコーヒーのコクや香ばしさが際立ち、スチームミルクの甘みが加わります。意外なことに、1杯あたりのカフェイン含有量はカフェオレの方が多くなる場合があります。
味と香りの比較｜マイルド vs コーヒーのコク
カフェオレ
ドリップコーヒー自体がエスプレッソに比べてスッキリしているため、それを同量のミルクで割ることで、非常にマイルドで飲みやすい、優しい味わいになります。コーヒーの角が取れ、ミルクの風味がしっかりと感じられます。
カフェラテ
ベースが濃厚なエスプレッソのため、ミルクの比率が8割と多くても、コーヒーの香ばしい香りやコク、苦味がしっかりと残ります。ただの「コーヒー牛乳」とは一線を画す、飲みごたえのある味わいです。
ミルクの違い｜「温めた牛乳」 vs 「泡立てた牛乳」
味わいを決めるもう一つの要素が、ミルクの「質」です。
カフェオレに使うのは、基本的に「温めた牛乳（ホットミルク）」です。鍋や電子レンジで温めたもので、泡立ちはありません。
カフェラテに使うのは、「スチームミルク」です。エスプレッソマシンのスチームノズル（蒸気が出る管）で、牛乳に高温の蒸気を送り込みながら泡立てます。この工程で、牛乳に含まれる乳糖の甘みが引き出され、きめ細かく滑らかな「フォーム（泡）」が生まれます。この泡が、ラテ特有のまろやかな口当たりと甘みを生み出しているのです。
カフェイン含有量の違い
これは多くの人が誤解しているポイントかもしれません。
「エスプレッソ＝濃い＝カフェインが多い」と思いがちですが、それは「量（ml）あたり」の話。1杯あたりで比較すると、話は変わってきます。
- カフェラテ（1杯）：エスプレッソ1ショット（約30ml）がベース。カフェイン量は約60mg～80mg程度。
- カフェオレ（1杯）：ドリップコーヒー（約100ml～150ml）がベース。カフェイン量は約90mg～100mg程度。
実は、ドリップコーヒーをたっぷり使うカフェオレの方が、1杯あたりの総カフェイン量は多くなる傾向があるんです。もちろん、これはお店のレシピ（エスプレッソを2ショット使うラテなど）によって変動します。
飲み方・シーン別の楽しみ方
「カフェオレ」は、朝食でパンを浸したり、家庭でリラックスしたりする日常の飲み物として適しています。「カフェラテ」は、カフェでラテアートを目で楽しんだり、エスプレッソのコクとミルクの甘みで満足感を得たい時、シロップなどでアレンジしたい時に向いています。
カフェオレがおすすめのシーン
- フランス式の朝食：大きなカフェオレボウルにたっぷり注ぎ、クロワッサンやバゲットを浸して食べる。
- 自宅でのリラックスタイム：ドリップコーヒーさえあれば、鍋でミルクを温めるだけで手軽に作れます。
- マイルドなコーヒーが飲みたい時：コーヒーの苦味や酸味が苦手な方でも飲みやすいです。
カフェラテがおすすめのシーン
- カフェでのひととき：美しいラテアートを眺めながら、豊かな時間を過ごしたい時。
- コーヒーのコクを楽しみたい時：ミルクたっぷりでも、エスプレッソの力強さを感じたい時。
- アレンジを楽しみたい時：キャラメルラテ、ヘーゼルナッツラテなど、シロップとの相性も抜群です。
健康効果・カロリー・注意点
どちらも牛乳由来のカルシウムやたんぱく質が摂れます。カロリーは、ミルクの使用量が多い「カフェラテ」（エスプレッソ2：ミルク8）の方が、「カフェオレ」（コーヒー1：ミルク1）よりも高くなる傾向があります。
カフェオレ（1:1）
200mlのカップで作る場合、コーヒー100mlと牛乳100ml。牛乳100mlのカロリーは60～70kcal程度です。
カフェラテ（2:8）
200mlのカップで作る場合、エスプレッソ40mlとミルク160ml。牛乳160mlのカロリーは100～110kcal程度になります。
このように、同じカップサイズで比較した場合、ミルクの比率が高いカフェラテの方が、カロリーや脂質は高くなるのが一般的です。ダイエット中の方は、低脂肪乳や無脂肪乳（スキムミルク）に変更するのも良い選択ですね。
健康面では、どちらもコーヒーポリフェノール（クロロゲン酸類）と、牛乳の栄養素（カルシウム、たんぱく質）を同時に摂取できるメリットがあります。
文化・歴史の違い｜フランスの朝食とイタリアの朝食
「カフェオレ」はフランスの家庭で、大きなボウルでパンと共に楽しむ「朝食の文化」として定着しました。一方、「カフェラテ」はイタリアのバール（カフェ）で、エスプレッソの普及と共に生まれた「朝のコーヒー」（カプチーノと同様）として発展しました。
カフェオレ
フランスでは、17世紀頃からコーヒーが飲まれ始め、家庭でドリップしたコーヒーにミルクをたっぷり入れて飲むスタイルが定着しました。特に、大きな「カフェオレボウル」で飲むのが伝統的です。これは、パン（特に硬くなったバゲット）を浸して柔らかくして食べるための、合理的な食文化でもありました。
カフェラテ
イタリアでエスプレッソマシンが発明された20世紀初頭以降に発展しました。イタリアでは、カプチーノやカフェラテのようなミルク入りのコーヒーは「朝（午前中）に飲むもの」という強い文化があります。消化に重いとされる牛乳を、食事（特に昼食や夕食）の後に飲むことは、観光客以外ではほとんどありません。
体験談｜僕がラテアートに挑戦して知った決定的な違い
僕はカフェオレとカフェラテの違いを、頭では「ドリップかエスプレッソか」と理解していました。しかし、その本当の違いを痛感したのは、自宅で「ラテアート」に挑戦しようとした時のことです。
エスプレッソマシンは持っていなかったので、「濃いめに淹れたドリップコーヒー」をベースに、「小鍋で温めた牛乳」を用意しました。
「これぞフレンチスタイル、カフェオレだ！」と思いながら、ミルクピッチャーから牛乳を注いで絵を描こうとしましたが…当然、何も描けません。ただの茶色い液体になるだけ。
「なぜだ？」と思い調べてみると、ラテアートに必要なのは、ただのホットミルクではなく、エスプレッソマシンの蒸気（スチーム）で作った「スチームミルク」のきめ細かい「マイクロフォーム（泡）」なのだと知りました。
カフェラテのあのクリーミーな口当たりと甘み、そして美しいアートは、このスチームミルクという「技術」によって生み出されていたのです。
カフェオレが「コーヒー」と「ミルク」のシンプルな「足し算」だとすれば、カフェラテは、エスプレッソとスチームミルクという、特殊な技術で作られた素材同士が組み合わさる「掛け算」なのだと痛感しました。同じミルクコーヒーでも、まったく別の飲み物だと実感した体験です。
カフェオレとカフェラテに関するよくある質問
カフェオレとカフェラテの違いについて、よくある疑問にお答えしますね。
質問1：結局、どっちがコーヒーの味が濃い（苦い）ですか？
回答：「カフェラテ」です。カフェラテはベースが濃厚なエスプレッソ（高圧で短時間抽出）のため、ミルクの比率が多くても、コーヒー豆のコクや苦味、香ばしさが際立ちます。カフェオレはドリップコーヒーがベースなので、よりマイルドな味わいになります。
質問2：カフェインが多いのはどっち？
回答：1杯あたりの総量では「カフェオレ」の方が多くなる傾向があります。エスプレッソ1ショット（ラテに使用）よりも、ドリップコーヒー1杯分（オレに使用）の方が、使用する豆の量や抽出時間が長くなり、カフェインの総量が多くなるためです。ただし、お店のレシピ（例：ラテが2ショット）によって逆転することもあります。
質問3：カプチーノとの違いは何ですか？
回答：「泡（フォームミルク）の量」が違います。カフェラテもカプチーノも「エスプレッソ＋スチームミルク」ですが、ラテはスチームミルク（液体）の割合が多いのに対し、カプチーノはフォームミルク（泡）の割合が非常に多い（全体の3分の1程度）のが特徴です。そのため、カプチーノの方がより口当たりが軽く、ふんわりしています。
まとめ｜カフェオレとカフェラテ、どちらを選ぶべきか？
「カフェオレ」と「カフェラテ」、その日の気分や求める味わいに合わせて、自信を持って選べるようになりましたか？
・カフェオレ ＝ ドリップコーヒー ＋ ホットミルク。（フランス式・マイルド）
・カフェラテ ＝ エスプレッソ ＋ スチームミルク。（イタリア式・濃厚・クリーミー）
この違いを理解して、あなたのカフェタイムをより豊かにしてください。
- 朝食に、あるいはマイルドなコーヒーをたっぷり飲みたい時
→ 「カフェオレ」がおすすめです。
- エスプレッソのコクと、ミルクの甘みの両方を楽しみたい時
- ラテアートなどでカフェ気分を味わいたい時
→ 「カフェラテ」が最適です。
飲み物の違いについてもっと知りたい方は、飲み物・ドリンクの違いカテゴリのまとめ記事もぜひご覧ください。コーヒーの淹れ方に関する公式な情報は、全日本コーヒー協会の「おいしいコーヒーのいれ方」のページも非常に参考になりますよ。