カフェのデザートでよく見かける「クリームブリュレ」と「プリン」。
どちらもカスタードを使った人気のスイーツですが、いざ違いを説明しようとすると難しいですよね。
この二つの最も大きな違いは、カラメルの状態と仕上げのタイミングにあります。クリームブリュレは提供直前に表面の砂糖を焦がして固い層を作りますが、プリンは液状のカラメルソースと一緒に冷やし固めるのが一般的です。
この記事を読めば、それぞれの定義、原材料、製法、味や食感の違いから、歴史的背景、上手な使い分けまで、もう二度と迷うことはありません。
それぞれの魅力を深く知って、スイーツ選びをもっと楽しみましょう。
結論|クリームブリュレとプリンの違いを一言でまとめる
クリームブリュレとプリンの最も大きな違いはカラメルの状態と仕上げのタイミングです。クリームブリュレは提供直前に表面の砂糖をバーナーで焦がし、パリパリの固いカラメル層を作るのに対し、プリンはあらかじめ型に液状のカラメルソースを敷いてから生地を流し込み、冷やし固めます。また、クリームブリュレは生クリームと卵黄で濃厚に、プリンは牛乳と全卵でぷるんとした食感に仕上げる点も異なります。
まずは、この二つの違いを一覧表で比較してみましょう。
| 項目 | クリームブリュレ | プリン(カスタードプリン) | 
|---|---|---|
| カラメル | 固形(パリパリ)。提供直前に砂糖を焦がして作る。 | 液状(とろとろ)。あらかじめ型に敷いておく。 | 
| 主な原材料 | 生クリーム、卵黄、砂糖 | 牛乳、全卵(または卵黄)、砂糖 | 
| 食感 | 濃厚でクリーミー、とろとろ | ぷるんとした弾力、滑らか | 
| 提供方法 | 耐熱容器(ココット)のまま提供 | 型から出して皿に盛る(容器のままの場合もある) | 
| 主な風味 | 濃厚なクリーム感と焦げた砂糖の香ばしさ | 卵と牛乳の優しい甘さとカラメルのほろ苦さ | 
| 起源 | フランス(諸説あり) | ヨーロッパ各地(日本のプリンの原型) | 
このように、似ているようで全く異なる背景と特徴を持っているんですね。
プリンは手軽なおやつとして、クリームブリュレはレストランの特別なデザートとして、それぞれの地位を確立しています。
クリームブリュレとプリンの定義・原材料・製法の違い
クリームブリュレはフランス語で「焦がしたクリーム」を意味し、生クリームと卵黄を主体に濃厚に作ります。一方、プリン(カスタードプリン)は牛乳と全卵を使い、型に敷いたカラメルソースと一緒に冷やし固める点で製法が根本的に異なります。
クリームブリュレとは?(Crème brûlée)
クリームブリュレは、フランス語で「Crème(クリーム)」が「クリーム」、「brûlée(ブリュレ)」が「焦がした」という意味を持ちます。
その名の通り、カスタード生地の表面に砂糖を振りかけ、バーナーなどで焦がして硬いカラメルの層を作るのが最大の特徴です。
レストランのデザートとして提供されることが多く、食べる直前に仕上げることで、冷たいカスタードと温かく香ばしいカラメルの対比を楽しみます。
プリンとは?(Crème caramel)
日本で一般的に「プリン」と呼ばれるものは、フランス語で「クレーム・カラメル(Crème caramel)」、英語では「カスタード・プリン(Custard pudding)」と呼ばれるものに近いです。
型の底にあらかじめ液状のカラメルソースを流し入れ、その上からカスタード生地を注いで蒸し焼き(または湯煎焼き)にし、冷やし固めます。
お皿に取り出す(プッチンする)と、底にあったカラメルソースが上からかかるのが特徴ですね。コンビニやスーパーでも手軽に購入でき、家庭のおやつとしても定番です。
原材料:濃厚さの「ブリュレ」、滑らかさの「プリン」
どちらも卵、乳製品、砂糖が基本ですが、その配合が食感の違いを生み出します。
- クリームブリュレ:生クリームをふんだんに使い、卵は卵黄のみを使用することが多いです。これにより、非常に濃厚でクリーミー、とろりとしたリッチな味わいが生まれます。
 - プリン:牛乳を主体とし、卵は全卵(卵黄と卵白)を使うのが一般的です。これにより、卵白の凝固作用(熱で固まる力)が働き、「ぷるん」とした独特の弾力と滑らかな食感が生まれます。
 
もちろん、レシピによって逆の材料(プリンに生クリーム、ブリュレに全卵)を使うこともありますが、基本的な傾向としてこの違いがあります。
製法:「焦がす」ブリュレ、「冷やし固める」プリン
決定的な違いは、やはりカラメルの扱いです。
プリンは、砂糖と水を煮詰めて作った熱いカラメルソースを、「焼く前」に型の底に敷きます。生地と一緒に冷やし固められ、ソースとして機能します。
一方、クリームブリュレは、カスタード生地を「焼いて冷やした後」、食べる直前に表面に砂糖(カソナードやグラニュー糖)をまぶし、バーナー(ガストーチ)で一気に焦がします。これにより、砂糖が溶けて再び固まり、パリパリとした薄いガラスのような層が完成するのです。
味・食感・香り・見た目の違いを比較
クリームブリュレは、表面のパリパリとしたカラメルを割る食感と、中の濃厚でとろりとしたカスタードの対比が特徴です。プリンは、全体がぷるんとしており、液状のほろ苦いカラメルソースが滑らかなカスタードと絡み合います。
カラメルの違い:パリパリの層 vs とろとろのソース
この二つのスイーツの体験価値を最も大きく分けるのがカラメルです。
クリームブリュレの醍醐味は、スプーンで表面の硬いカラメルを「コンコン」と叩き、「パリッ」と割る瞬間でしょう。焦がしたての香ばしさと、ほのかな苦味、砂糖の甘さが、中の冷たいクリームと混ざり合います。
プリンの魅力は、お皿に出した瞬間に上から流れ落ちる、とろりとした液状のカラメルソースです。このソースが、カスタード生地の優しい甘さを引き締め、ほろ苦い大人のアクセントを加えます。
食感の違い:濃厚でクリーミー vs ぷるんとした弾力
原材料の違いが、そのまま食感に直結しています。
生クリームと卵黄が主体のクリームブリュレは、非常に濃厚でリッチ、口に入れるととろけるようなクリーミーさが特徴です。どちらかといえば、固形のカスタードというより「濃厚なクリーム」に近い食感ですね。
牛乳と全卵が主体のプリンは、「ぷるぷる」「つるん」とした弾力があり、喉越しが滑らかです。卵白が熱で固まる力(熱凝固性)が、この独特の食感を生み出しています。
見た目と提供方法の違い
クリームブリュレは、表面を焦がす必要があるため、オーブン対応の耐熱容器(ココットやラメキンと呼ばれる小さな器)に入れたまま提供されるのが基本です。カラメル層を割って、中のクリームと一緒にすくって食べます。
プリンは、型から出してカラメルソースが上にかかった状態で皿に盛られるのが伝統的なスタイルです。ただし、最近では瓶やカップに入ったまま提供される「なめらかプリン」なども多く、必ずしもお皿に出すとは限りません。
カロリー・保存方法・日持ちの違い
一般的に、生クリームと卵黄を多く使うクリームブリュレの方が、牛乳と全卵が主体のプリンよりも高脂質・高カロリーになる傾向があります。また、クリームブリュレは表面のカラメルが湿気やすいため、提供直前に仕上げる必要があり、日持ちしません。
カロリーと脂質の違い
正確な数値はレシピによりますが、一般的な傾向として、クリームブリュレの方がプリンよりもカロリーと脂質が高いです。
これは、主な乳製品が「牛乳」であるプリンに対し、クリームブリュレは乳脂肪分がはるかに高い「生クリーム」を大量に使うためです。また、卵黄の使用量が多いことも脂質とカロリーを押し上げる要因となります。
ダイエット中などでカロリーが気になる場合は、比較的さっぱりとしたプリンを選ぶ方が賢明かもしれませんね。
保存と日持ちの違い
プリンは、冷蔵庫で冷やし固める工程が必須であり、そのまま2〜3日程度は日持ちします。市販品も多く、手軽に保存できるのがメリットです。
一方で、クリームブリュレは非常にデリケートなスイーツです。
最大の特徴であるパリパリのカラメル層は、時間が経つと空気中の水分やカスタードの水分を吸って、すぐに湿気てベトベトになってしまいます。そのため、カスタード自体は前もって作っておけますが、砂糖を焦がす工程は必ず食べる直前に行う必要があります。作り置きやテイクアウトには不向きなデザートと言えるでしょう。
文化・歴史・食べられるシーンの違い
クリームブリュレはフランス発祥とされ、レストランで最後に楽しむ特別なデザートとしての側面が強いです。一方、プリン(カスタードプリン)はヨーロッパ各地に原型があり、日本では明治時代に伝わって以降、家庭のおやつやコンビニスイーツとして広く大衆化しました。
クリームブリュレの起源と文化
クリームブリュレの起源には諸説あり、フランスが有力とされていますが、イギリスのケンブリッジ大学トリニティ・カレッジの「トリニティ・クリーム(Trinity Cream)」や、スペインの「クレマ・カタラーナ(Crema catalana)」が原型だという説もあります。
特にクレマ・カタラーナは、カスタードの表面を熱した鉄ゴテで焦がす製法が非常によく似ています。
いずれにせよ、ヨーロッパで生まれ育ち、レストランのコース料理の最後を飾る、少し贅沢なデザートとして発展してきました。1990年代のアメリカ映画「アメリ」で主人公がカラメルを割るシーンが印象的に使われ、世界的に人気が広まったとも言われています。
プリンの起源と日本の食文化
プリンの原型も古く、ヨーロッパ各地で卵と牛乳を蒸し固める料理(甘いもの、塩辛いもの両方)が存在しました。日本で知られるカスタードプリン(クレーム・カラメル)の直接の原型もフランスやイギリスにあるとされています。
日本には明治時代に伝わり、当初は高級な西洋菓子でした。しかし、戦後、家庭でも手軽に作れる「プリンの素」が発売されたり、1970年代に「プッチンプリン」が登場したりしたことで、一気に国民的なおやつとしての地位を確立しました。今では、駄菓子屋の小さなプリンから、コンビニの本格派プリン、パティスリーの高級プリンまで、非常に幅広い層に愛されています。
食べられるシーンの違い
こうした背景から、食べられるシーンも異なります。
クリームブリュレ:レストランやカフェで、食後のデザートとして注文する「ハレの日」のスイーツ。提供直前の仕上げが必要なため、テイクアウト専門店は比較的少ないです。
プリン:コンビニ、スーパー、お菓子屋さん、カフェ、レストランなど、あらゆる場所で提供される「日常」のスイーツ。家庭でも作りやすく、手土産や差し入れとしても定番です。
体験談|カラメルを割る瞬間の高揚感
僕にとって、この二つのスイーツは全く別の体験として記憶されています。
クリームブリュレは、少しお洒落なカフェやビストロで注文する「ご褒美デザート」という感覚です。運ばれてきた時、まだカラメルがほんのり温かいことさえありますよね。
一番の楽しみは、やはり最初のスプーンを入れる瞬間。硬いカラメルの層にスプーンの先を当て、「パリッ」という小気味良い音とともに割れ目が入るあの感覚は、他のスイーツでは味わえません。香ばしいカラメルの破片と、下の冷たくて濃厚なカスタードを一緒に口に運ぶと、その対比がたまらなく贅沢に感じられます。
一方、プリンは「安心するおやつ」の代表格です。
子供の頃、風邪を引くと母親が作ってくれたり、冷蔵庫に「プッチンプリン」が常備されていたり。あの、お皿に「プッチン」と出す瞬間の緊張感……。カラメルソースが綺麗に流れ出た時の達成感は、クリームブリュレとはまた違った喜びがありました。
大人になってからは、デパ地下などで少し高級な「なめらかプリン」を買うことも増えました。瓶の底にあるビターなカラメルソースを、あえて最後まで残しておいて、最後にカスタードと一気に混ぜて食べるのが密かな楽しみだったりします。
パリパリを割る「非日常の興奮」がクリームブリュレなら、ぷるんとした食感とソースに癒される「日常の安心感」がプリン。どちらも甲乙つけがたい、素晴らしいデザートですよね。
クリームブリュレとプリンに関するよくある質問(FAQ)
ここでは、クリームブリュレとプリンに関してよく寄せられる質問にお答えします。
クリームブリュレと似ている「クレマ・カタラーナ」とは何が違いますか?
クレマ・カタラーナ(Crema catalana)はスペイン・カタルーニャ地方の伝統的なデザートで、クリームブリュレと非常によく似ています。
主な違いは、クリームブリュレが湯煎焼きでじっくり火を通すのに対し、クレマ・カタラーナは牛乳(生クリームは使わないことが多い)をコーンスターチ(または小麦粉)でとろみをつけて作る点です。また、レモンやシナモンの皮で香り付けするのも特徴ですね。表面のカラメルはブリュレと同様に焦がして作ります。
クリームブリュレは家で作れますか?
はい、作れます。材料を混ぜて湯煎焼きするまではプリンと似ていますが、最大の難関は表面を焦がす「キャラメリゼ」です。
レストランでは専用のガストーチ(バーナー)を使いますが、家庭用の小さなバーナーも市販されています。それがない場合、熱したスプーンの背を砂糖に押し当てて焦がすという伝統的な方法もありますが、火傷に注意が必要で、均一に焦がすのはかなり難しいでしょう。
結局、カロリーが高いのはどっちですか?
一般的なレシピで比較すると、クリームブリュレの方が高カロリーになる傾向が強いです。
前述の通り、プリンが牛乳をベースにするのに対し、クリームブリュレは乳脂肪分が格段に高い生クリームを主原料にするためです。卵黄の使用量が多いことも、脂質とカロリーを押し上げます。濃厚でリッチな味わいは、その分カロリーも高くなりがち、ということですね。
まとめ|濃厚な特別感ならブリュレ、優しい食感ならプリン
クリームブリュレとプリンの違い、明確にご理解いただけたでしょうか。
両者の決定的な違いは「カラメルの状態」と「主な乳製品」にありました。
- クリームブリュレ:生クリームと卵黄で作り、表面の砂糖を直前に焦がす(パリパリ)。濃厚でクリーミーな食感と香ばしさを楽しむ、レストランのデザート。
 - プリン:牛乳と全卵で作る(ことが多い)、液状のカラメルソースと一緒に冷やし固める(とろとろ)。ぷるんとした弾力と優しい甘さを楽しむ、日常のおやつ。
 
パリパリの食感と濃厚なクリームで贅沢な気分を味わいたい時は「クリームブリュレ」、ぷるんとした喉越しと優しい甘さに癒されたい時は「プリン」。
シーンや気分に合わせて、この二つの素敵なデザートを選んでみてくださいね。
他にも様々なスイーツ・お菓子の違いに関する記事がありますので、ぜひご覧ください。