韓国料理店でメニューを見て、「デジカルビ」と「サムギョプサル」、どちらも豚肉だけど何が違うんだろう?と迷ったことはありませんか?
この二つ、実は「肉の部位」と「味付け」が全く異なる、似て非なる料理なんです。
結論から言うと、デジカルビは「タレに漬け込んだ豚のアバラ肉」、対してサムギョプサルは「生の豚バラ肉(三枚肉)」を焼く料理です。
この記事を読めば、デジカルビとサムギョプサルの明確な違いから、それぞれの美味しい食べ方、韓国での立ち位置までスッキリ理解でき、次のお店選びがもっと楽しくなりますよ。
それでは、まず両者の決定的な違いから詳しく見ていきましょう。
結論|デジカルビとサムギョプサルの違いを一言で
デジカルビとサムギョプサルの最大の違いは、デジカルビが「豚のアバラ肉(カルビ)を甘辛いタレ(ヤンニョム)に漬け込んでから焼く」のに対し、サムギョプサルは「豚のバラ肉(三枚肉)を生のまま厚切りにし、焼いてからタレにつけて食べる」点にあります。
韓国料理の二大豚肉料理として人気のデジカルビとサムギョプサル。
どちらも豚肉(デジ)を使いますが、その本質は「味付け肉」か「生肉」かという点で大きく異なります。
デジカルビは、骨付きのアバラ肉を醤油ベースの甘辛いタレ(ヤンニョム)にしっかり漬け込んで味を染み込ませたもので、日本の「味付けカルビ」に近いイメージです。
サムギョプサルは、皮付きのバラ肉(三枚肉)を味付けせずに厚切りのまま鉄板で焼き、余分な脂を落としながらカリッと仕上げ、ごま油と塩、サムジャン(味噌ダレ)などで後から味付けして食べます。
この二つの違いを、一覧表で比較してみましょう。
| 項目 | デジカルビ | サムギョプサル |
|---|---|---|
| 肉の部位 | 豚のアバラ肉(カルビ) (骨付きの場合も多い) | 豚のバラ肉(三枚肉) (皮付きの場合も多い) |
| 味付け | 調理前にタレに漬け込む (醤油ベースの甘辛い味) | 味付けなし(生肉) (焼いた後にタレをつける) |
| 調理法 | 網焼き(炭火が多い) | 専用の鉄板(脂を落とす) |
| 主な味 | 濃厚なタレの甘辛い味 | 豚バラ肉の脂の旨味と塩味 |
| 価格帯 | やや高め(タレの仕込み分) | 比較的安価(庶民的) |
簡単に言えば、「しっかり味の付いた肉が食べたい」ならデジカルビ、「豚肉本来の脂の旨味を味わいたい」ならサムギョプサル、という使い分けができそうですね。
デジカルビとサムギョプサルとは?定義と起源の違い
デジカルビは「豚のアバラ肉(カルビ)」を意味し、タレに漬け込む焼肉スタイルを指します。一方、サムギョプサルは「三層の肉(三枚肉)」を意味する言葉で、豚バラ肉そのものと、それを焼く料理の両方を指します。
デジカルビ(豚カルビ)の定義と語源
「デジカルビ」は、韓国語で「デジ(돼지)」が「豚」、「カルビ(갈비)」が「アバラ(肋骨)」を意味します。
つまり、直訳すると「豚のアバラ肉」です。一般的に、このアバラ肉を骨に沿って切り開き、醤油、砂糖、ニンニク、果物などで作った甘辛いタレ(ヤンニョム)に漬け込んだ料理を指します。
もともと韓国で「カルビ」といえば牛カルビ(ソカルビ)が主流でしたが、より安価な豚肉を使ったデジカルビも庶民の味として定着していきました。特に水原(スウォン)などがデジカルビで有名ですね。
サムギョプサル(三枚肉)の定義と語源
「サムギョプサル」は、「サム(삼)」が数字の「3」、「ギョプ(겹)」が「層」、「サル(살)」が「肉」を意味します。
これは豚のバラ肉の断面が、赤身と脂身が三層になっていることに由来し、日本語の「三枚肉」と全く同じ意味です。
サムギョプサルは、この豚バラ肉の部位そのものを指す場合と、それを厚切りにして焼く料理自体を指す場合があります。
歴史としては比較的新しく、1970年代以降に韓国で急速に広まったとされています。安価でボリュームがあり、脂の旨味をダイレクトに楽しめることから、学生や労働者を中心に爆発的な人気を獲得しました。
最大の違い!「肉の部位」と「味付け」の決定的な差
デジカルビは骨周りの旨味が強い「アバラ肉」を、調理前に「甘辛いタレ」に漬け込みます。サムギョプサルは脂身と赤身が層になった「バラ肉」を、味付けしない「生肉」のまま焼き、後からタレをつけます。
この二つの料理を分ける最大のポイントは、使用する「部位」と「味付け」のタイミングです。
デジカルビ:アバラ肉(骨付き肉)を甘辛いタレに漬け込む
デジカルビの主役は、豚の「アバラ肉(カルビ)」です。
骨付きのまま提供されることも多く、骨の周りの肉は特に旨味が強いのが特徴です。肉質はサムギョプサルのバラ肉に比べると脂身が少ない傾向にありますが、適度な歯ごたえがあります。
そして最大の特徴は、焼く前にタレ(ヤンニョム)に漬け込むこと。このタレが肉を柔らかくし、焼いた時の香ばしい香りと濃厚な味わいを生み出します。タレの味が染み込んでいるため、焼いた後はそのまま食べることが多いですね。
サムギョプサル:バラ肉(三枚肉)を生のまま焼く
サムギョプサルの主役は、「バラ肉(三枚肉)」です。
赤身と脂身がはっきりとした層になっており、デジカルビよりも脂の量が多いのが特徴です。
デジカルビとは対照的に、事前の味付けは一切しません。厚切りの生肉をそのまま鉄板に乗せ、焼けたところをハサミで切って食べます。味付けは、焼いた後にごま油と塩、サムジャン(辛味噌)、キムチなど、自分の好みに合わせて調整します。
調理法・食べ方・味の違いを徹底比較
デジカルビはタレが焦げやすいため網焼きで香ばしく焼かれます。サムギョプサルは脂が多いため、脂を落とす傾斜した専用鉄板で焼くのが主流です。どちらもサンチュで巻いて食べる点は共通しています。
調理法:網焼き(デジカルビ) vs 専用鉄板(サムギョプサル)
使用する部位と味付けが違うため、最適な焼き方も異なります。
デジカルビは、タレに漬け込んでいるため、非常に焦げやすいのが特徴です。そのため、余分なタレを落としつつ、炭火などで香ばしく焼き上げる「網焼き」が主流です。店員さんがこまめに網を替えたり、肉をひっくり返したりしてくれるお店も多いですよね。
サムギョプサルは、バラ肉から大量の脂が出ます。この脂を効率よく落とすために、傾斜がついた専用の鉄板(またはクリスタル板)が使われます。流れ出た脂でキムチやニンニクを焼くのも定番のスタイルです。
味と食感:濃厚なタレの味 vs 豚バラの脂の旨味
味わいも対照的です。
デジカルビは、醤油ベースの甘辛いタレの味がガツンと来ます。タレの糖分が焼けてカラメル化し、香ばしさがプラスされます。食感は、肉の旨味とタレの味が一体となった、柔らかくも食べ応えのある感じです。
サムギョプサルは、何よりも豚バラ肉の脂の甘みと旨味が主役です。鉄板で焼くことで表面はカリッと、中はジューシーに仕上がります。この「カリッ・ジュワッ」の食感がたまりません。味付けは後からなので、豚肉本来の味をシンプルに楽しむことができます。
食べ方:サンチュで巻く共通点と薬味の違い
どちらの料理も、サンチュ(レタスの一種)やエゴマの葉で巻いて食べるのは共通の楽しみ方です。
ただし、合わせる薬味が少し異なります。
デジカルビは、すでに味が完成しているため、サンチュで巻くだけで食べることが多いですが、お好みでサムジャンを少し加えたり、タマネギの醤油漬けと一緒に巻いたりします。
サムギョプサルは、薬味のバリエーションが豊富です。焼いたキムチ、ニンニク、青唐辛子、ネギサラダ(パジョリ)、そしてサムジャンをごま油と塩につけた肉と一緒に巻いて、複雑な味のハーモニーを楽しみます。
栄養・カロリー・健康面の違い
デジカルビはタレに漬け込むため糖質が高めですが、脂身の少ない部位を使えばカロリーを抑えられます。サムギョプサルは生のバラ肉を焼くため糖質は低いですが、脂身が非常に多いため、総カロリーと脂質はデジカルビより高くなるのが一般的です。
どちらも豚肉なので、タンパク質やビタミンB群が豊富ですが、部位と調理法によってカロリーや脂質に差が出ます。
サムギョプサルは、豚バラ肉(三枚肉)を使用するため、脂質の量と総カロリーが非常に高いのが特徴です。鉄板で脂を落とすとはいえ、肉自体の脂が多いため、食べ過ぎには注意が必要です。ただし、味付けは後からで、焼く前に糖分を加えないため、糖質は低く抑えられます。
デジカルビは、アバラ肉を使用するため、サムギョプサルに比べると脂身は少ない傾向にあります。しかし、醤油、砂糖、果物などを使った甘辛いタレに漬け込むため、糖質は高くなります。タレが焦げた部分(糖とタンパク質が結びついたもの)も、美味しさの一部ですが、健康面では気になるところかもしれません。
カロリーを気にするなら、サンチュやエゴマの葉といった野菜をたっぷり一緒に摂ることが、どちらの料理でも大切ですね。
韓国での人気と文化的立ち位置
韓国では、サムギョプサルは「国民食」と呼ばれるほど圧倒的な人気を誇り、友人や同僚と安価に楽しむ日常の味です。一方、デジカルビは、家族での外食や少し特別な日(ハレの日)に食べる、ご馳走としての側面も持っています。
韓国国内での人気と文化的立ち位置にも、面白い違いがあります。
サムギョプサルは、間違いなく韓国の「国民食」です。安価で手軽に楽しめ、お酒(特にソジュ=焼酎)との相性も抜群なことから、仕事帰りの飲み会、友人との集まり、家族の夕食など、あらゆるシーンで食べられています。「今日はサムギョプサルにソジュ(焼酎)で一杯」というのは、韓国ドラマでもお馴染みの光景ですよね。
デジカルビも非常に人気がありますが、サムギョプサルほどの日常食というよりは、「少しご馳走」というニュアンスが加わることがあります。タレに漬け込む手間がかかっていることや、骨付き肉の豪華さから、家族での外食や記念日など、少し特別な日に選ばれることも多い料理です。
もちろん、これはあくまで傾向であり、どちらも日常的に愛されていることに変わりはありません。
体験談|「タレ漬け込み肉」と「厚切り生肉」の衝撃
僕がデジカルビとサムギョプサルの違いを強烈に認識したのは、学生時代に初めて新大久保の韓国料理店に行った時でした。
当時の僕は、韓国料理といえば「焼肉」という大雑把なイメージしかありませんでした。メニューにあった「デジカルビ」を見て、「デジ=豚、カルビ=カルビ。なるほど、豚カルビか」と、日本の焼肉屋さんの豚カルビ(薄切りの塩ダレなど)を想像して注文したんです。
運ばれてきたのは、想像とは全く違う、赤黒い濃厚なタレにしっかりと漬け込まれた、骨付きの分厚い豚肉。炭火の網の上で店員さんが手際よく焼いてくれるのですが、甘辛いタレが焦げる香りが食欲をそそります。食べた瞬間の、あの濃厚なタレの味と香ばしさ、肉の旨味は衝撃的でした。「これがデジカルビか!」と。
後日、別の友人と今度は「サムギョプサル」を食べに行きました。僕の頭の中は、あの甘辛いデジカルビの記憶でいっぱいです。
ところが、またしても衝撃を受けました。テーブルに運ばれてきたのは、傾いた鉄板と、分厚い「生」の豚バラ肉。味付けは一切されていません。「え、これをどうするの?」と戸惑う僕の前で、友人が肉を鉄板に乗せると、ジュワーッと音を立てて脂が流れ落ちていきます。
カリカリに焼けた肉を、ごま油と塩、そしてサムジャン(辛味噌)につけ、キムチやニンニクと一緒にサンチュで巻いて食べる。「……うまい!」。タレの味ではなく、豚肉の脂そのものの甘さと旨味を味わう、全く新しい体験でした。
この二つの体験を通じて、僕は「デジカルビは味付けを楽しむ料理」「サムギョプサルは肉そのものを楽しむ料理」なのだと、身をもって学びました。どちらも最高に美味しいですが、全く別の料理として、その日の気分で選ぶのが正解ですよね。
デジカルビとサムギョプサルに関するFAQ(よくある質問)
デジカルビとサムギョプサル、どちらが安いですか?
一般的にはサムギョプサルの方が安価な傾向にあります。デジカルビは、タレに漬け込むという手間がかかっていることや、骨付きのアバラ肉という部位の価格から、サムギョプサルよりも少し値段設定が高めのお店が多いですね。
「デジカルビ」と「豚カルビ」は同じものですか?
ほぼ同じ意味ですが、ニュアンスが異なります。「デジカルビ」は韓国語で、通常は本場韓国式の「タレに漬け込んだ豚のアバラ肉料理」を指します。一方、日本の焼肉店で「豚カルビ」と書かれている場合、タレ漬け込みではなく、塩ダレや味噌ダレなどで軽く味付けした薄切りのバラ肉(サムギョプサルに近い部位)が出てくることもあります。
サムギョプサルの「三枚肉」ってどういう意味ですか?
豚のバラ肉のことです。赤身と脂身が交互に3つの層(三枚)になっているように見えることから、韓国語で「サム(3)ギョプ(層)サル(肉)」と呼ばれます。日本のスーパーで売られている「豚バラブロック」と同じ部位ですね。
両方ともサンチュで巻くのはなぜですか?
脂の多い豚肉をさっぱりと食べられるからです。また、野菜をたっぷり摂ることで栄養バランスも良くなります。サンチュやエゴマの葉に、肉、キムチ、ニンニク、味噌などを全部乗せて一口で食べるのが韓国式のマナーとされていますよ。
まとめ|デジカルビとサムギョプサル 目的別おすすめ
デジカルビとサムギョプサルの違い、明確にご理解いただけたでしょうか。
どちらも韓国料理を代表する美味しい豚肉料理ですが、その個性は全く異なります。
デジカルビ(豚のアバラ肉・タレ漬け):
こんな時におすすめ → 白いご飯と一緒ガッツリ食べたい時、甘辛く濃厚な味付けが好きな時、少し贅沢な気分を味わいたい時。
サムギョプサル(豚のバラ肉・生焼き):
こんな時におすすめ → 豚肉本来の脂の旨味を味わいたい時、カリカリの食感が好きな時、友人とお酒(ソジュやマッコリ)を飲みながらワイワイ楽しみたい時。
韓国の食文化は非常に豊かで、豚肉一つとっても様々な楽しみ方があります。日本の農林水産省も世界の食文化について多様な情報を発信しており、こうした背景を知ると食事がさらに楽しくなりますね。
ぜひ、その日の気分や目的に合わせて、デジカルビとサムギョプサルを選んでみてください。
当サイト「違いラボ」では、他にも様々な「料理・メニューの違い」について詳しく解説しています。ぜひ他の記事も読んでみてくださいね。