デキストリンとマルトデキストリンの違いとは?DE値・甘さ・用途を徹底比較

「デキストリン」と「マルトデキストリン」。

どちらも食品の原材料表示や、スポーツサプリメントなどでよく目にする名前ですよね。

「なんとなく糖質っぽいけど、何が違うの?」と疑問に思う方も多いでしょう。

実はこの二つ、「デキストリン」がでんぷんを分解したものの「総称」であるのに対し、「マルトデキストリン」はそのデキストリンの中でも特定の分解度合い(DE値)を持つ「一種」を指す、という明確な違いがあります。

この記事を読めば、その専門的な定義から、甘さ、溶けやすさ、そして筋トレのエネルギー補給や食品加工での具体的な使い分けまで、スッキリと理解できます。

特に「難消化性デキストリン」との決定的な違いも解説しますので、もう迷うことはありません。それでは、詳しく見ていきましょう。

結論|デキストリンとマルトデキストリンの違いを一覧表で比較

【要点】

最大の違いは「分類の広さ」です。「デキストリン」は、でんぷんを分解して得られる糖質の総称です。一方、「マルトデキストリン」は、そのデキストリンの中でも特定の分解度(DE値が3以上20未満)のものを指す一種です。マルトデキストリンは甘さがほぼ無く、水に溶けやすいのが特徴です。

「デキストリン」と「マルトデキストリン」の主な違いを、一目で分かるように一覧表にまとめました。

項目デキストリンマルトデキストリン
定義でんぷん分解物の総称デキストリンの一種
DE値(分解度)広範(明確な定義は様々)3以上20未満(一般的定義)
主な原材料トウモロコシ、ジャガイモ、タピオカなどのでんぷん
味・甘さDE値による(ほぼ無味〜わずかに甘い)ほぼ無味(甘味が非常に少ない)
溶解性(水)DE値による(低いと溶けにくい)非常に溶けやすい
主な用途食品の増粘剤、安定剤、粉末化基剤など(広範)エネルギー補給(スポーツ)、粉末食品の増量剤、溶解性向上
栄養分類糖質(炭水化物) ※難消化性を除く
カロリー約4kcal/g ※難消化性を除く

「デキストリン」と「マルトデキストリン」の関係性(「マルトデキストリン」は「デキストリン」の一種)

【要点】

「マルトデキストリン」は、「デキストリン」という大きなカテゴリーに含まれる成分です。食品表示法では、マルトデキストリンも「デキストリン」と一括で表示することが認められているため、消費者からは違いが見えにくい場合があります。

この二つの関係性を理解するのが、違いを知る一番の近道です。

まず「デキストリン(Dextrin)」とは、トウモロコシやジャガイモなどに含まれる「でんぷん」を、アミラーゼ(酵素)や酸などで加水分解(分解)して、元のブドウ糖が連なった構造(多糖類)より小さくしたものの総称です。

でんぷん(数千〜数万のブドウ糖)と、その最終分解物であるブドウ糖(単糖類)や麦芽糖(二糖類)の「中間体」にあたる物質すべてを広く「デキストリン」と呼びます。

一方、「マルトデキストリン(Maltodextrin)」は、そのデキストリンの中でも、特定の分解度合い(後述するDE値が3以上20未満)のものを指す名称です。

つまり、「デキストリン」という大きな家族の中に、「マルトデキストリン」という名前の子供がいる、といったイメージですね。

日本の食品表示基準では、マルトデキストリンも「デキストリン」と表示することが認められているため、原材料表示だけでは区別がつかないことも多いのです。

原材料と製法・定義の違い(でんぷんの加水分解)

【要点】

原材料はどちらもトウモロコシ(コーンスターチ)やジャガイモ、タピオカなどのでんぷんです。これらのでんぷんを、酵素や酸を用いて加水分解(ブドウ糖の鎖を短く切る)することで製造されます。

原材料と基本的な製法は、デキストリンもマルトデキストリンも共通しています。

原材料:
トウモロコシ(コーンスターチ)、ジャガイモ(馬鈴薯でんぷん)、タピオカ、米、小麦など、あらゆる「でんぷん」が原料となります。

製法:
これらの「でんぷん」に、アミラーゼ(唾液にも含まれる消化酵素)などの酵素や、希塩酸などの酸を加えて加熱し、加水分解(かすいぶんかい)します。

加水分解とは、非常に長く連なっているブドウ糖の鎖(でんぷん)を、適度な長さの鎖にハサミで切っていくような作業です。

この「どれくらいの長さに切るか(分解度合い)」によって、デキストリンの種類が細かく分かれていくのです。

【重要】DE値(分解度)による分類の違い

【要点】

二つの違いを最も明確に示す指標が「DE値(ブドウ糖当量)」です。DE値は「でんぷんの分解がどれだけ進んだか」を示す数値で、ブドウ糖を100とします。マルトデキストリンはDE値が「3以上20未満」と定義されることが多く、粉あめ(DE値20〜30台)やブドウ糖とは区別されます。

デキストリンとマルトデキストリンの違いを語る上で欠かせないのが、「DE値(Dextrose Equivalent:ブドウ糖当量)」という専門用語です。

これは、でんぷんの加水分解がどれくらい進んだか(=ブドウ糖の鎖がどれだけ短くなったか)を示す指標です。

  • DE値 0:全く分解されていない「でんぷん」
  • DE値 100:完全に分解された「ブドウ糖(Dextrose)」

DE値が高くなるほど、鎖が短くなり、甘みが増し、水に溶けやすくなる性質があります。

このDE値によって、以下のように分類されます。

  • マルトデキストリン:DE 3 〜 20未満(※定義は諸説あり)
  • 粉あめ(水あめ):DE 20 〜 30台程度
  • ブドウ糖:DE 100

「デキストリン」という言葉は、このDE値が20以下の広範な範囲(時には粉あめを含む場合も)を指す総称として使われます。

一方、「マルトデキストリン」は、その中でも「甘みが少なく、エネルギー源として使いやすいDE値3〜20未満」の範囲を特定して呼ぶ場合に用いられることが多いのです。

味・甘さ・溶解性(溶けやすさ)の違い

【要点】

DE値が低いマルトデキストリンは、甘さがほとんどありません(ほぼ無味・無臭)。そのため、大量に摂取しても甘ったるくならず、水にもサッと溶けやすいのが最大の特徴です。DE値が高くなるにつれて、甘みと粘度(べたつき)が増していきます。

DE値の違いは、そのまま味や物性(性質)の違いとなって現れます。

味・甘さ:
マルトデキストリンはDE値が非常に低いため、甘みはほとんど感じられません。ほぼ無味・無臭と言ってもよく、かすかに風味がある程度です。これがスポーツドリンクなどでエネルギー源として大量に使われる理由です(甘すぎないため)。

デキストリンは総称なので、DE値によります。DE値が20に近くなると、わずかな甘みを感じるようになります。

溶解性(溶けやすさ):
マルトデキストリンは、でんぷんよりもはるかに水に溶けやすい性質(易溶性)を持っています。冷たい水にもサッと溶け、ダマになりにくいのが特徴です。

一方、DE値が非常に低いデキストリン(例:DE2など)は、水に溶けにくく、糊(のり)状になりやすい性質(難溶性・粘性)を持つものもあります。

栄養成分と体への吸収・働き(エネルギー源)

【要点】

(難消化性デキストリンを除き)デキストリンとマルトデキストリンは、どちらも1gあたり約4kcalのエネルギーを持つ「糖質(炭水化物)」です。消化・吸収されやすく、速やかなエネルギー源となります。

ここで非常に重要な注意点があります。それは「難消化性デキストリン」との違いです。

トクホ(特定保健用食品)の飲料などで有名な「難消化性デキストリン」は、その名の通り「消化されにくい」よう特殊な処理をされた水溶性食物繊維の一種です。これはエネルギー源(糖質)ではなく、血糖値の上昇を抑えたり、お腹の調子を整えたりする目的で使われます。

この記事で扱っている「デキストリン」および「マルトデキストリン」は、この難消化性デキストリンとは全くの別物です。

マルトデキストリンや一般的なデキストリンは、消化酵素によって最終的にブドウ糖に分解され、1gあたり約4kcalのエネルギー源となる「糖質」です。

ブドウ糖が複数個つながった状態(多糖類)であるため、ブドウ糖(単糖類)や砂糖(二糖類)に比べると、吸収速度がやや穏やかでありながら、速やかにエネルギーとして利用できる、という特徴があります。

食品・サプリメントでの使い分け・用途の違い

【要点】

マルトデキストリンは「エネルギー補給」と「溶解性向上」の目的で使われます。一方、デキストリン(広義)は、粘性を利用した「とろみ付け」や「安定剤」など、食品の物性を調整する目的で幅広く使われます。

同じデキストリンという名前でも、DE値や性質によって、使われ方は大きく異なります。

デキストリン(広義)の主な用途

デキストリンは、その多様な性質(粘性、乳化安定性、粉末化基剤など)から、非常に幅広い食品加工に利用されています。

  • 増粘剤・安定剤:ソース、タレ、スープ、アイスクリームなどに「とろみ」を付けたり、食感を安定させたりする。
  • 粉末化基剤:粉末スープ、粉末飲料、粉末香料など、液体を粉末化する際の土台(基剤)として。
  • 光沢剤:お菓子のコーティング(艶出し)として。

マルトデキストリンの主な用途

マルトデキストリンの「甘くない」「溶けやすい」「速やかなエネルギー源」という特徴は、特定の分野で非常に重宝されます。

  • スポーツドリンク・サプリメントこれが最大の用途です。筋トレやマラソン中のエネルギー補給(カーボドリンク)として、甘ったるくならずに大量の糖質を摂取できます。
  • 粉末食品の増量・溶解性向上:プロテインパウダーや粉末青汁などに配合し、全体のカサを増したり、水への溶けやすさを改善したりするために使われます。
  • 医療用・介護食:消化吸収が良くエネルギーになりやすいため、流動食やエネルギー補給食品にも利用されます。

体験談|プロテインで「マルトデキストリン」を選んだ理由

僕が「マルトデキストリン」の存在をはっきりと認識したのは、数年前に筋トレを本格的に始めた時でした。

トレーニング後にプロテイン(たんぱく質)を飲むだけでなく、同時に「糖質」を摂ることが筋肉の回復と成長に重要だと知りました。いわゆる「カーボドリンク」ですね。

最初、僕は単純に「糖質ならブドウ糖(グルコース)が一番速いだろう」と考え、プロテインにブドウ糖の粉末を混ぜて飲んでみました。しかし、これが大きな間違いでした。

「甘すぎる!」

もともと甘い味付けのプロテインに、ブドウ糖の強烈な甘さが加わり、飲むのが苦痛なほどの甘さになってしまったんです。さらに、吸収が速すぎるせいか、飲んだ後に一時的なだるさ(血糖値スパイク後の反動)を感じることもありました。

そんな時、ジムのトレーナーに勧められたのが「マルトデキストリン」でした。

「同じ糖質だけど、これは甘くないからプロテインの味を邪魔しないし、吸収も穏やかだよ」と。

半信半疑で試してみると、まさにその通りでした。白い粉末で見た目はブドウ糖と変わりませんが、プロテインに混ぜても味がほとんど変わらない(ほぼ無味)のです。水にもサッと溶けてダマにならず、ゴクゴク飲めました。

この経験から、同じ「糖質」でも、甘さや溶けやすさ、吸収のされ方が全く違うことを痛感しました。「デキストリン」と名前がついても、「難消化性デキストリン(食物繊維)」と「マルトデキストリン(糖質)」のように、全く逆の役割を持つものもある。食品の成分表示を見る目が変わった瞬間でしたね。

デキストリンとマルトデキストリンに関するよくある質問(FAQ)

質問1:「難消化性デキストリン」と「マルトデキストリン」は別物ですか?

全くの別物です。 マルトデキストリンは消化・吸収されてエネルギーになる「糖質」です。一方、難消化性デキストリンは、消化・吸収されにくい「水溶性食物繊維」です。目的が「エネルギー補給」と「整腸・血糖値対策」で正反対ですので、絶対に間違えないようにしてください。

質問2:マルトデキストリンは太りますか?

はい、太る可能性があります。マルトデキストリンは1gあたり約4kcalのエネルギーを持つ「糖質」です。運動などで消費するエネルギーに見合っていれば問題ありませんが、必要以上に過剰摂取すれば、使われなかったエネルギーは体脂肪として蓄積され、太る原因になります。

質問3:ブドウ糖とマルトデキストリン、スポーツ補給で選ぶならどっちですか?

目的によりますが、トレーニング中や長時間の運動にはマルトデキストリンが好まれます。理由は、ブドウ糖(単糖類)よりも吸収がやや穏やか(多糖類のため)であることと、何より「甘くない」ためです。甘いブドウ糖は一度に大量に飲むのが難しいですが、ほぼ無味のマルトデキストリンなら高濃度のエネルギー溶液を作って摂取しやすいという大きなメリットがあります。

まとめ|デキストリンとマルトデキストリン、目的別おすすめの選び方

「デキストリン」と「マルトデキストリン」の違い、明確になりましたでしょうか。

どちらも「でんぷん」から作られる仲間ですが、その分解度(DE値)によって性質が異なり、使い分けられています。

最後に、あなたがどちらを選ぶべきか、目的別にまとめます。

  • デキストリン(広義)
    この表示だけでは性質を特定しにくいですが、食品の原材料として使われる場合は、「とろみ付け」「粉末化」「安定剤」など、食品の物性を調整する目的で使われていることが多いです。(※ただし、マルトデキストリンや難消化性デキストリンも「デキストリン」と表示されることがあります)
  • マルトデキストリン
    スポーツや筋トレ時の「エネルギー補給」が目的の人。甘くない糖質を求めている人。プロテインや粉末飲料の「溶けやすさ」や「カサ増し」の原料として探している人。

特に重要なのは、これらと「難消化性デキストリン(食物繊維)」を絶対に混同しないことです。名前は似ていますが、働きは真逆です。

用途をしっかり理解して、目的に合ったものを選んでくださいね。

当サイト「違いラボ」では、他にも様々な食材・素材の違いについて詳しく解説しています。