「フラッペ」と「フラペチーノ」、どちらも暑い日にぴったりの冷たい飲み物(デザート)ですよね。
名前が似ているので混同しがちですが、この二つには決定的な違いがあります。
最大の違いは、「フラッペ」が氷菓全般を指す「一般名称」であるのに対し、「フラペチーノ」はスターバックスの「登録商標(商品名)」であるという点です。
この記事を読めば、二つの言葉の定義、歴史的背景、そして具体的な中身の違いまでスッキリと理解できます。もうカフェやコンビニで迷うことはありません。
それでは、まず二つの違いを比較表で見ていきましょう。
結論|フラッペとフラペチーノの違いを一言で
「フラッペ」と「フラペチーノ」の最も重要な違いは、「フラッペ」が氷を使った冷たいデザートや飲み物の「一般名称」であるのに対し、「フラペチーノ」はスターバックス コーヒー ジャパンの「登録商標(特定の商品名)」であるという点です。そのため、スターバックス以外のお店(コンビニや他のカフェチェーンなど)で提供される類似のフローズンドリンクは「フラッペ」と呼ばれますが、「フラペチーノ」と呼ぶことはできません。
【徹底比較】フラッペとフラペチーノの違い一覧表
「フラペチーノ」はスターバックスの商品名であり、「フラッペ」はより広義なかき氷やフローズンドリンクを指します。提供場所や定義の範囲が根本的に異なります。
まずは、両者の違いを分かりやすく一覧表にまとめました。
| 項目 | フラッペ(Frappé) | フラペチーノ(Frappuccino) |
|---|---|---|
| 分類 | 一般名称 | 登録商標(スターバックスの商品名) |
| 語源・由来 | フランス語で「冷やした」 | フラッペ + カプチーノ(造語) |
| 主な形態 | ・かき氷にシロップやリキュール ・氷と材料をミキサーで混ぜたもの ・スムージー状の氷菓 |
氷とコーヒーやクリーム、シロップ等を ミキサーで混ぜたフローズンドリンク |
| 主な提供場所 | カフェ、喫茶店、コンビニ(例:ファミリーマート)、レストランなど | スターバックス コーヒーのみ |
| 食感 | シャリシャリ、ガリガリ、スムージー状など多様 | クリーミーで滑らかなフローズン状 |
フラッペ(Frappé)とは?
「フラッペ」は、フランス語の「Frappé(フラッペ)」に由来し、「(氷などで)よく冷やした」という意味を持ちます。本来は砕いた氷にリキュールなどを注ぐ飲み物を指しましたが、日本ではかき氷やフローズンドリンク全般を指す言葉として広く使われています。
定義:フランス語由来の「氷で冷やしたもの」
「フラッペ」という言葉は、フランス語の動詞「frapper(打つ、叩く、冷やす)」の過去分詞形「frappé」が語源です。元々は「(氷で)強く冷やした」という意味があります。
ヨーロッパのカフェ文化では、クラッシュアイス(砕いた氷)にリキュールやシロップを注いだ飲み物を指すことが多かったようです。
しかし、日本においてはその意味が拡大し、「かき氷」そのものや、かき氷にシロップやアイスクリームを乗せたデザートを「フラッペ」と呼ぶことが一般的になりました。昔ながらの喫茶店で「コーヒーフラッペ」と注文すると、コーヒーシロップのかかったかき氷が出てくるのはこのためですね。
多様化する現代の「フラッペ」
近年では、さらにその定義が広がっています。
特にコンビニエンスストア、例えばファミリーマートの「フラッペ」シリーズのように、コーヒーやフルーツ味のついた氷をミルクなどで溶かしながら飲む、スムージーやフローズンドリンクに近い形態のものも「フラッペ」と呼ばれ、大ヒットしています。
このように、現代の日本では「氷を使った冷たいデザート飲料」の総称として、非常に幅広く使われる言葉となっています。
フラペチーノ(Frappuccino)とは?
「フラペチーノ」は、スターバックス コーヒー ジャパンの登録商標です。スターバックスが提供する、氷とコーヒーやクリーム、シロップなどをミキサーで混ぜ合わせたフローズンドリンクの「固有名詞」を指します。
定義:スターバックスの登録商標
一方、「フラペチーノ(Frappuccino)」は、特定の企業が権利を持つ「登録商標」です。
日本においては、「スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社」がこの商標を登録しています。そのため、「フラペチーノ」という名前の商品は、スターバックスの店舗でしか購入することができません。
他のカフェチェーンやコンビニが、スターバックスのフラペチーノと酷似した商品を販売していたとしても、それを「フラペチーノ」と名乗ることは法的に許されていないのです。
「フラッペ」と「カプチーノ」の造語
「フラペチーノ」という名前は、「フラッペ(Frappé)」と「カプチーノ(Cappuccino)」を組み合わせた造語です。
興味深いことに、この商品を最初に開発したのはスターバックスではありません。元々は1990年代初頭にアメリカ・ボストンの「The Coffee Connection」というコーヒーチェーンが開発し、提供していた商品でした。
その後、1994年にスターバックスがこのコーヒーチェーンを買収し、フラペチーノの権利も獲得。1995年からスターバックスブランドとして全米で展開し、世界的な大ヒット商品となりました。
【核心】一般名称 vs 特定のブランド商品という最大の違い
「フラッペ」は誰でも自由に使える「普通名詞」であり、「フラペチーノ」はスターバックスだけが使える「固有名詞(商品名)」です。これが両者を分ける絶対的な違いです。
ここまでをまとめると、両者の違いは非常にシンプルです。
- フラッペ:「一般名称」。かき氷やフローズンドリンクなど、氷を使った冷たいデザート全般を指す広い言葉。誰でも「フラッペ」という名前の商品を作ったり、販売したりできます。
- フラペチーノ:「登録商標(商品名)」。スターバックスが製造・販売する特定のフローズンドリンクの名称。スターバックス以外は使用できません。
例えるなら、「チョコレート菓子」という一般名称の中に、「キットカット」や「ポッキー」といった特定のブランド商品(登録商標)があるのと同じ関係性ですね。
製法・原材料・味わいの違い
フラッペは製法が多様で、かき氷ベースの「シャリシャリ」系からミキサーで作る「スムージー」系まであります。フラペチーノは、氷とベース(コーヒー、クリーム、果汁など)をミキサーで細かく攪拌(かくはん)し、ホイップクリームを乗せた「クリーミーなフローズン状」が基本です。
「一般名称」と「商品名」という違いがあるため、当然ながら中身の定義も異なります。
フラッペ:かき氷系からスムージー系まで多彩
「フラッペ」は一般名称なので、製法や原材料に厳密な決まりはありません。
- 喫茶店のかき氷タイプ:細かく削った氷(かき氷)に、コーヒーシロップやフルーツシロップ、練乳、リキュールなどをかけたもの。食感は「シャリシャリ」「ガリガリ」としています。
- コンビニのスムージータイプ:味付きの細かい氷(みぞれ状)に、ミルクやコーヒーを注いで混ぜ合わせるもの。食感は「シャリシャリ」感と「クリーミー」感が混ざり合います。
- カフェのフローズンタイプ:氷とシロップ、果物、牛乳などを一緒にミキサーにかけて作るもの。スムージーに非常に近い形態です。
フラペチーノ:氷とベースを混ぜたクリーミーなフローズン
「フラペチーノ」はスターバックスの商品であるため、明確なスタイルがあります。
基本的には、氷と、コーヒーベース、クリームベース、またはフルーツ果汁などのベース液、シロップなどを専用のミキサー(ブレンダー)で細かく攪拌して作られます。
これにより、かき氷のような「シャリシャリ」感というよりは、非常に滑らかで「クリーミーなフローズン状」の食感が生まれます。そして、仕上げにホイップクリームがトッピングされるのが定番のスタイルですね(一部乗らない商品もあります)。
価格と提供場所の違い
フラペチーノはスターバックス店舗でのみ提供され、価格帯は比較的高めです。フラッペはコンビニ、カフェ、レストランなど多様な場所で提供され、価格帯も低価格なものから高価格なものまで幅広いです。
提供される場所と価格帯も、両者の違いを明確に示しています。
フラペチーノは、前述の通りスターバックスの店舗でのみ提供されます。価格は、サイズやカスタマイズによって異なりますが、一般的に500円~800円程度と、ドリンクとしては比較的高価格帯に設定されています。
フラッペは、提供場所が非常に多様です。コンビニでは200円~400円程度の手頃な価格で提供されていますし、昔ながらの喫茶店やホテルのラウンジ、レストランのデザートメニューとしても提供されており、価格は場所や内容によって大きく異なります。
【体験談】「フラペチーノ」登場で変わった「フラッペ」のイメージ
僕が子供だった1990年代初頭、日本で「フラッペ」といえば、夏祭りの屋台や近所の喫茶店で食べる「かき氷」のことでした。
特に喫茶店の「コーヒーフラッペ」は、ガリガリとした氷に甘いコーヒーシロップがかかっていて、上にソフトクリームが乗っている、少し贅沢な子供のデザートという記憶があります。
そのイメージが大きく変わったのが、1996年にスターバックスが日本に上陸し、「フラペチーノ」が登場してからです。
初めて「キャラメル フラペチーノ」を飲んだ時の衝撃は忘れられません。かき氷とは全く違う、クリーミーで滑らかな口当たり、コーヒーのほろ苦さとキャラメルの甘さ、そしてホイップクリームの満足感。これは「飲み物」であり「デザート」でもある、全く新しい体験でした。
フラペチーノがあまりにも大ヒットしたため、それ以降、「フラッペ」という言葉自体が、昔ながらのかき氷だけでなく、「フラペチーノのようなフローズンドリンク」全般を指す言葉としても使われるようになった、と僕は感じています。
最近のコンビニで売られている「フラッペ」が、かき氷系ではなくフローズンドリンク系であるのも、この「フラペチーノ」によるイメージの変化が大きく影響しているのではないでしょうか。
フラッペとフラペチーノに関するよくある質問(FAQ)
ファミリーマートの「フラッペ」は「フラペチーノ」の仲間ですか?
いいえ、違います。「フラペチーノ」はスターバックスの登録商標(商品名)です。ファミリーマートの商品は、氷菓やフローズンドリンクの一般名称である「フラッペ」という名前で販売されている、独自の人気商品ですね。
「フラッペ」と「スムージー」はどう違いますか?
とても良い質問ですね。現代の「フラッペ(フローズンドリンク系)」と「スムージー」は非常に似ています。一般的に「スムージー」は凍らせた果物や野菜を牛乳やヨーグルトと一緒にミキサーにかけたものを指すことが多いです。一方、「フラッペ」は氷や味付きの氷をベースに作られることが多く、よりデザート感が強い傾向があります。ただし、厳密な境界線は曖昧になってきています。
「フラペチーノ」と「カプチーノ」の違いは?
これは全くの別物です。「カプチーノ」は、エスプレッソコーヒーに蒸気で温め泡立てたスチームドミルクやフォームドミルクを加えた、温かいコーヒードリンクです。一方、「フラペチーノ」は氷を使った冷たいフローズンドリンクです。フラペチーノの語源にカプチーノが含まれていますが、提供形態は正反対ですね。
まとめ|フラッペとフラペチーノ、正しく使い分けよう
「フラッペ」と「フラペチーノ」の違い、これで明確になりましたね。
最後にポイントを整理します。
- フラッペ:「一般名称」。かき氷、または氷を使ったフローズンドリンク全般を指す広い言葉。
- フラペチーノ:「スターバックスの登録商標」。スターバックスが提供する、特定のクリーミーなフローズンドリンクの商品名。
「スターバックスで飲むのがフラペチーノ、それ以外のお店で飲む氷のフローズンドリンクはフラッペ」と覚えておけば、まず間違いありません。
どちらも夏の暑さを忘れさせてくれる美味しいスイーツ(飲み物)です。それぞれの違いを理解した上で、その日の気分に合わせて楽しんでみてください。
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